あぽいち

温泉とヨガ、たまに心臓外科医

マムシ酒

2009-08-15 12:18:36 | Weblog
昨日の当直は朝の5時にマムシにかまれたおっさんがやってきました。
まー、地域柄、この時期になると時々いらっしゃいます。
都会の病院ではあまりお目見えすることはないと思います。
このおっさん、この辺じゃ、マムシ取りの名人として有名らしく、近所でマムシが出たとなると、おっさんのところに依頼が来るらしい。
この日の朝も、近所でマムシが出たとの連絡を受けて、向かったところ3匹おったらしく、果敢にも素手でつかもうとしたところ、親指をがぶりとやられたそうな。
これでマムシに咬まれて病院運ばれるの3度目とのことで、さすがになれており、咬まれてすぐに自分で親指を縄で縛って救急車よんだと。
病院運ばれてきたときは、親指に3箇所咬傷がありまして、全身が発赤して、目の周りなんかは浮腫んでまして、縛ってきたとはいえ、それなりに毒が回っている感じでした。
マムシの場合は咬傷は4箇所までで、それ以上あるときはマムシではないと。
バイタルは安定してましたので、とりあえず、水道水でよく洗ってから、咬傷部を切開して、毒を搾り出して、ステロイドと抗ヒスタミン投与しながら、その間、マムシ抗毒素血清のアレルギーを皮内テストしました。
血清は過去に使用したことがある人は、特にアレルギーを起こしやすいらしく、10%ぐらい?、結構怖いです。
そのためにもステロイドを先行投与しておきましたが、先生によってはアレルギー反応を避けるため、血清を投与せずに、セファランチン(ただしエビデンスなし)のみを投与することもあるとか。

たいがいの場合、早く処置すれば重症には至らずに済むらしいが、時に急性腎不全を起こして、命に関わることもあるらしい。

血清を投与後、全身の発赤も引いてきたので(ステロイドかもしれないが)、近所なので自宅安静として帰して、今日また、顔を出すようにいっておきましたが、どうなったかな、元気にしているか気になります。
本来は入院が基本であります。
ただ、マムシの毒というのは、咬まれても6-7割は体内に入らないらしいので、状態をみて冷静に判断しないといけませんね。
おっさんに、とったマムシはどうするのか聞いてみたら、何でも1ヶ月ぐらい水に漬けて、いろいろなものを抜くらしい、毒も抜けるのか?、でもって、その後、ウイスキー漬けにすると、結構、これが好きな人たちがいるらしい。
他の酒では臭くてダメだと、ウイスキーなら、匂いがなくなるらしい。