あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

「主権回復の日」の式典実施について

2013-03-20 09:54:05 | インポート

先日の天声人語に、4月28日に政府が初めて「主権回復の日」の式典を実施することが取り上げられていました。1952年4月28日にサンフランシスコ平和条約が発効し、日本が6年8カ月に及ぶ占領から解放され、主権を回復しました。しかし、同時にこの日は、沖縄・奄美・小笠原が本土から切り離され、沖縄ではその後20年間に渡って米軍統治下に置かれることになった日でもありました。沖縄の人々にとっては、4月28日は「屈辱の日」として記憶される日であり、なぜこの日に式典が実施されるのかと読者に問いかけています。

今でも、米軍基地の大半が沖縄に存在し続け、本土の安全と安心を守るための犠牲を強いられている現状と 沖縄の人々の思いを汲み取るならば、私も実施する意味がないのではないかと考えます。むしろ、実施することでさらに沖縄の人々の痛みを増幅し、身勝手な政府の論理に失望感を抱くことになるのではないかと想像します。

「日本には長い占領期間があったことも知らない人が増えている」と安倍首相は言っているそうですが、本土よりもさらに長い26年間余りを占領下の中で過ごしてきた沖縄の人々の屈辱の思いも理解した上で、語っているのでしょうか。本土の安全や安心を保証するために、沖縄が引き受けてきた痛みを、本土で暮らす以上 しっかりと受け止める必要があると感じます。

また、占領されたという負の事実だけを強調することで、それが先の戦争の結果が招いた事実だということから目をそらしてしまうことを懸念します。不戦の誓いを込めた憲法を改正する動きと連動して、主権回復を愛国心の高揚と軍事力の強化に結び付けていくような方向性さえ感じてしまいます。

忘れてはいけないのは、戦争がもたらした負の歴史であり、それを背負い続けてきた沖縄の人々の心の痛みなのではないでしょうか。

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