あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

久し振りの雪です

2023-01-10 11:01:45 | 日記
朝から雪が舞っています。
粒の大きさはさまざまで、舞う方向も上下左右さまざまです。
木々にも道にもうっすらと雪が積もり、冬景色が出来上がりました。
時々日が差し、枝枝に積もった雪の花が輝きます。
降る雪をながめながら、雪の詩を探してみました。

 その1
         ゆきがふる
                 まどみちお
      ふるふる ふるふる ゆきが ふる
      ゆきを みあげて たつ ぼくに
      ふるふる ふるふる ゆきが ふる
      とつぜん ぼくは のぼってく
      せかいじゅうから ただ ひとり
      そらへ そらへと のほってく
      ふと きがつくと ゆきが ふる
      ゆきを みあげて たつ ぼくに
      ふるふる ふるふる ゆきが ふる

 降る雪を見上げていると、雪が舞い降りてくる方向とは逆に自分の方が空に向かって舞い上がっていく
ような気がしてきます。ふるふる と繰り返される言葉を通して 次から次へと雪が舞い降り、それに合わ
せて ゆっくりと上へ上へと昇っていくような……。

 その2
         ゆき
                 草野心平
      しんしんしんしん
      しんしんしんしん

      しんしんしんしんゆきふりつもる
      しんしんしんしんゆきふりつもる
      しんしんしんしんゆきふりつもる
      しんしんしんしんゆきふりつもる
      
      しんしんしんしん
      しんしんしんしん

 風もなく あたりの物音まで消し去るように 静かに静かに 休むことなく雪が降り積もります。
しんしんしんしん の言葉の内に 雪の冷たさや降り続ける様子、降り積もる雪の深さや重さまでも
感じられるような気がします。雪国ならではの雪景色が見えてくるようです。

 その3
      つもった雪
               金子みすゞ
   上の雪
   さむかろな。
   冷たい月がさしていて。

   下の雪
   重かろな。
   何百人ものせていて。

   中の雪
   さみしかろな。
   空も地面も見えないで。

 積もった雪を通して 人々が抱えている深い思いにふれています。
上の雪だから抱えている寒さ、下の雪だから抱えている重さ、中の雪だから抱えているさみしさ。
どの場所にあっても それぞれが その寒さや重さ、さみしさに耐えながら懸命に生きているのだということ。
そんな人々をやさしく包み込むようなまなざしが 励ましのようにあたたかく心に届いてきます。

民話「かさこじぞう」を読みながら

2023-01-09 15:52:33 | 日記
 雪の降る場面で頭に浮かんでくるのが、民話「かさこじぞう」(岩崎京子:文)です。
売れずに残ったすげがさを、じいさまが地蔵様にかぶせてあげる場面です。
以前にもブログに書いたことがあるのですが、改めて取り上げてみたいと思います。

  むかしむかし、あるところに、たいそうびんぼうで、その日その日をやっとくらしておった
  じいさまとばあさまがおりました。ある年のおおみそか、じいさまとばあさまは もちこの
  よういもできたらと考え、夏の間にかりとっていたすげでかさを五つつくります。
  じいさまはそれをしょって町に売りに出かけます。町には大年の市が立っていて、正月買い
  もんの人で大にぎわいでした。しかし、じいさまが「かさこはいらんか」と声をはりあげても
  誰もふりむいてはくれません。しかたなく、じいさまは帰ることにしました。もちこも持たん
  で帰れば、ばあさまはさぞかしがっかりするじゃろうのう。いつの間にか日も暮れかけ、じい
  さまはとんぼりとんぼり町を出て、村の外れの野っ原まで来ました。

 次からは、印象的な場面ですので原文のまま取り上げます。
   風が出てきて、ひどいふぶきになりました。
   ふと顔を上げると、道ばたにじぞうさまが六人立っていました。
   おどうはなし、木のかげもなし、ふきっさらしの野っ原なもんで、じぞうさまはかたがわだけ
  雪にうもれているのでした。
  「おお、お気のどくにな。さぞつめたかろうのう。」
   じいさまは、じぞうさまのおつむの雪をかきおとしました。
  「こっちのじぞうさまは、どうじゃ。ほおべたにしみをこさえて。それからこのじぞうさまは
   どうじゃ。はなからつららを下げてござらっしゃる。」
   じいさまは、ぬれてつめたいじぞうさまのかたやらせなやらをなでました。
  「そうじゃ。このかさこをかぶってくだされ。」 
   じいさまは、売りもののかさをじぞうさまにかぶせると、風でとばぬよう、しっかりあごのところで
  むすんであげました。 
  ところが、じぞうさまの数は六人。かさは五つ。どうしても足りません。
  「おらのでわりいが、こらえてくだされ。」
   じいさまは、自分のつぎはぎの手ぬぐいをとると、いちばんしまいのじぞうさまにかぶせました。
  「これでええ、これでええ。」
   そこでやっと安心して、うちに帰りました。
   
  以前、国語の公開研究会でこの場面を扱った2年生の授業を参観したことがありました。 
 じぞうさまの様子を見て、おつむの雪をかきおとし、ぬれてつめたいじぞうさまのかたやらせなやらをなで、
 売りもののかさを風でとばぬようしっかりむすんであげ、最後のじぞうさまには自分のてぬぐいをかぶせて
 あげた じいさまの行為を一つ一つていねいに取り上げた授業でした。じぞうさまに対するじいさまのやさ
 しさ(孫に対するような)とともに、【お気のどくにな、…ござらっしゃる、かぶってくだされ】といったじい
 さまのじぞうさまを敬う気持ち(信仰心)にまでふれる授業だったように記憶しています。

  子どもたちも活発に意見を述べ、教師の発問や授業の流れも的確だったと思いましたが、何かもう一つ欠け
 ているような印象がありました。それは、情景の読み取りに関わることでした。
  じぞうさまの様子からも想像できることですが、そこはさえぎるもののないふきっさらしの野っ原で、さらに
 ひどいふぶきだっことを考えると、じいさまの肩にも背中にも顔にも雪が吹き付け、凍えるような寒さの中で、
 じいさまはじぞうさまの雪を指先でかきおとし、せなやらかたやらをなで、風でとばされぬようにかさをかぶせ、
 手ぬぐいをかぶせたのではないでしょうか。寒さをしのぐ手ぬぐいまでとってじぞうさまにかぶせてしまい、じ
 いさまの頭も顔も雪まみれになっていたのかもしれません。それでも「これでええ、これでええ。」とやっと安心
 した表情で吹雪の中を帰っていくじいさまの背中や肩にも雪は降り積もっていたのかもしれません。そんな情景に
 も目を向けて読んでいくと、じいさまの様子やその時の表情までがあざやかな絵になって見えてくるのではないで
 しょうか。とんぼりとんぼり帰りかけたじいさまの沈んだ表情が、かさや手ぬぐいをかふぜてあげることで、穏や
 かなやさしい笑顔に変わっていることにも気づいていけるような気がします。

  この民話の最後には、かさと手ぬぐいをかぶせてくれたお礼に、じぞうさまたちがそりに米のもち、あわのもち、
 みそだる、にんじん、ごんぼ、だいこんのかます、おかざりのまつなどを積んでじいさまとばあさまのうちに届ける
 場面があります。 
  そのおかげで、じいさまとばあさまはよいお正月をむかえることができたのですが、不思議なことが一つあります。
  じぞうさまたちがお礼を届ける際に、「六人のじぞうさ かさことってかぶせた じさまのうちはどこだ ばさまの
 うちはどこだ」と歌っていたことです。かさをかぶせたのはじいさまだったわけですが、歌にはばあさまのことまでふ
 れてあります。その理由は、もしばあさまがおじぞうさまの様子を見たら、きっとじいさまと同じようにかさをかぶせ
 てくれるだろうとじぞうさまたちが考えたからなのでしょう。じいさまがかさをかぶせて帰ってきたとき、ばあさまは
 かさが売れなかったことにいやな顔ひとつせず、こういいます。「おお、それはええことをしなすった。じぞうさまも、
 この雪じゃさぞつめたかろうもん。…」このばあさまの言葉にあるように、寒さに凍えるようなじぞうさまを見たら、
 ばあさまもじいさまと同じことをきっとしてくれただろうと、じぞうさまたちは考えたのだと思います。
  また、こんな印象的な場面もありました。大みそかの夜、じいさまとばあさまは食べる物もないので、いっしょにもち
 つきのまねごとをし、つけなをかみかみ、お湯を飲んで休む場面です。貧しい中にあってもそれを苦にしない明るさと強さ
 を持った二人のあたたかい絆に、心の中まであたためられるような気がしてきます。

  改めて読み返してみますと、近代化の流れの中で失われつつある人間としての優しさや素朴で飾らない信仰心、貧しく
 ともそれを明るくはねかえしてしまう強さなど、いろんなことを考えさせてくれる民話のような気がしました。
  人々の日々の暮らしの中で生まれ、語り伝えられてきた民話だからこそ、時を越えた人間のあたたかい営みや願いに、
 ふれることができるのかもしれません。 

 








新たな取り組みのスタート

2023-01-07 22:09:24 | 日記
「栗原ともに学び合う会」の学び合いも、今日からスタートしました。
これまでの2コマの学び合いを4コマに広げての取り組み(その分1コマの時間は30分以内)になりました。
 1コマ目は、前回学び手のNさんが理解に戸惑った分数÷分数の答えの求め方について、担当のHさんが
改めてタイル図を基に理解を深める学び合いに取り組みました。
 2コマ目は、スタッフ若手のKさんによる「飛行機はなぜ飛ぶのか」というテーマでの学び合いでした。
エンジンによる「推力」と翼がつくる「揚力」とによって、飛行機が飛ぶしくみを具体的な事例などを基
にした資料を用意し、分かりやすく説明してもらいました。Kさんにとっては初めての担当でしたが、その
専門的な知識を生かした貴重な学び合いとなりました。
 3コマ目は、「くりはら再発見~栗駒無山麓ジオパーク」というテーマで、ジオパークの説明ボランティ
アとしても取り組んでいるTさんが担当した学び合いでした。ジオパークとはどんなもので、世界や日本
にあるジオパークの現状や栗駒山ろくジオパークの取り組みについて資料をもとに説明してもらいました。
その具体的な取り組みと内容については、次回に改めて詳しく説明してもらうことになっています。
 4コマ目は私が担当し、三好達治さんの詩「雪」の読み合わせをしました。
      雪  
            三好達治
  太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
  次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
 質問をいくつか用意し、その答えとして頭に浮かんだ景色やイメージを書き込んでもらってから読み合わせ
をしました。
①雪は、降り続いていますか。どの言葉からそう感じますか。
②屋根には、どれぐらい雪が積もっているのでしょうか。
③物音はしますか。外に人の気配は感じますか。
④場所はどんなところででしょうか。町の中、田舎…
⑤太郎や次郎を眠らせたのは誰(何)でしょうか。
⑥太郎や次郎は、何歳ぐらいでしょうか。
⑦太郎と次郎は、兄弟でしょうか。
⑧時間はいつごろでしょうか。朝、昼、夕方、夜…
⑨太郎や次郎は、どんな夢をみているのでしょうか。
⑩この詩は二行詩ですが、一行だけの場合と二行目がある場合とでは、どんな印象の違いを感じますか。
⑪この詩から、どんな景色や様子が浮かんできますか。
 Nさんには、それぞれの質問に対する自分の想像したことを話してもらい、⑦と⑩の質問については、
スタッフにも問いかけ、それぞれの考えを出し合いました。
 この読み合わせのねらいは、自由に想像を広げるということでしたので、どんな世界を思い描くかは
自由で、どの考えも正解となります。詩の言葉を入り口にしてそこから入って見えてくる世界、その違い
を感じながら、それぞれの個性豊かな想像力の一端にふれることができました。
 皆さんは、どんな世界を思い描いたでしょうか。
 最後に、⑪の質問の答えとして私の頭に浮かんでくる世界を描いてみます。
 真夜中に、雪が次から次へと降り続いています。風はなく村全体を静かに包み込むように、点在する家
々の屋根に雪が降り積もっています。太郎の家の屋根にも、次郎の家の屋根にも。それぞれの屋根の下で
太郎も次郎も、村の子供たちも、楽しい雪遊びの夢を見ながら穏やかに眠っていることでしょう。
 朝起きたときに、白銀の世界を目にした子どもたちの歓声が聞こえてきそうです。

 



新たな思いで新たな一歩を

2023-01-01 23:12:01 | 日記
 昨日から今日へと変わっただけなのに、2022年から2023年へと新たな年が
スタートしました。
 景色も変わらないのに、それでもなぜか新鮮な空気が満ちて新たな未来の扉
が開かれたような気がしてなりません。
 どんな一歩を踏み出し、どんな足跡を刻む新たな年になるのか、期待を込め
て未来は見守っているのかもしれません。
 振り返れば、後悔と痛みのある人生であるものの 新しい年を迎える度に
人生は 真っ白なページを用意し、繰り返し新たな人生のステージを用意して
くれているような気がします。
 真新しいページにどんな出来事や足跡を記していくのか、新たな思いで日々
の足跡を記していきたいものです。

 ウクライナの人々に平和が訪れ、笑顔あふれる日常が取り戻せた喜びを
 コロナが収束し、誰もが安心して語り合いふれあうことができる喜びを
 軍事力に頼ることなく話し合いと信頼によってつくられる平和の実現を
 かけがえのない命をお互いに支え合うあたたかい社会の実現を

 そんな未来を新たなページに記すことのできる一年でありたいものです。

 個人的には、学ぶことの楽しさや喜びを多くの人と分かち合うことので
きる年であることを願い、日々の努力を重ねていきたいと思っています。

  皆さんにとりましては 新たな今年の歩みが 新たな幸せを招く 
  すばらしい一年でありますように!
 と願っています。