杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

静おばあちゃんにおまかせ

2021年10月07日 | 

中山七里(著) 文藝春秋(版)

神奈川県内で発生した警官射殺事件。被害者も、容疑者も同じ神奈川県警捜査四課所属。警視庁捜査一課の葛城公彦は、容疑者となったかつての上司の潔白を証明するため、公休を使って事件を探り出したが、調査は思うに任せない。そんな葛城が頼りにしたのは、女子大生の高遠寺円。――円はかつてある事件の関係者で、葛城は彼女の的確な洞察力から事件を解決に導いたことがあった。円は中学生時代に両親を交通事故で亡くし、元裁判官だった祖母の静とふたり暮らしをしている。静はいつも円相手に法律談義や社会の正義と矛盾を説いており、円の葛城へのアドバイスも実は静の推理だったのだが、葛城はそのことを知らない。そしてこの事件も無事に解決に至り、葛城と円は互いの存在を強く意識するようになっていった――(「静おばあちゃんの知恵」)。以下、「静おばあちゃんの童心」「不信」「醜聞」「秘密」と続く連作で、ふたりの恋が進展する中、葛城は円の両親が亡くなった交通事故を洗い直して真相を解明していく。女子大生&おばあちゃんという探偵コンビが新鮮で、著者お約束のどんでん返しも鮮やかなライトミステリー。(内容紹介より)

 

全部で5話の事件を通して葛城と円の仲が進展する一種の恋愛小説にもなっているような 驚いたのは最後に明かされる静おばあちゃんの正体。え?それってありですか 

・知恵

警視庁捜査一課刑事・葛城公彦は、埠頭のコンテナターミナルで神奈川県警組対本部長の久世警視が銃殺体で発見され、その犯人として逮捕された久世と犬猿の仲だった同じ対策課の椿山警部(葛城の元上司)の無実を証明しようと、非番を利用して調べ始めますが、解決の糸口は見つからず、1か月前に知り合った女子大生・高遠寺円に協力を求めます。円は事件現場で椿山の部下の立石の話を聞いて家に帰ると祖母の元裁判官の静に話して推理を伝授されます。久世警視が倒れていた時にうつ伏せだったことから、証拠を捏造して椿山に罪をかぶせた犯人が判明しますが、動機には同情すべき点ありでした。

・童心

祖母の遺体を発見した女子大生の朝倉美緒と生協の配達員の通報で、葛城ら警察が現場に駆けつけます。裏口は開いていて室内は荒らされた形跡が無く顔見知りの犯行と推察するが、身内には完全なアリバイがありました。喜美代のド派手ファッションが鍵となって、犯人のアリバイが崩れるお話です。 事件解決後、葛城は上司である財部管理官に謎解きは円がしたと話したことを謝り、円も謎を解いたのは祖母の静だと打ち明けるのでした。

・不信

財部に呼び出された葛城は、〈至福の園〉という宗教団体から警視庁の釘宮警備部長の一人娘の亜澄を脱退させて欲しいと内密の命を受けます。記者を名乗って取材を申し込み亜澄にインタビューした彼は、彼女の傾倒の理由が師父・総領龍人の復活の儀を目の当たりにしたからと考え、そのトリックを暴こうと円に助けを求めます。〈至福の園〉に体験入信した円は、亜澄から話を聞いて祈祷所も調べて静に報告します。単純なマジックのトリックでしたが、潜入した円が危険な目に遭いそうになりちょっとハラハラする場面も 円の両親の命日に、彼女が事故の詳細を葛城に語るのは後の伏線になっていました。

・醜聞

東京スーパータワー(スカイツリーを連想させますね)の地上450メートル付近でタワークレーンの解体作業中に作業員の須見田が突然倒れ、監督の土岐が死亡を確認します。状況的に外国人作業員・パウロに嫌疑がかかりますが、彼は全面否認。財部の命を受けて応援に行った本所署には、円の両親を轢き殺した犯人の三枝刑事がいました。財部の意向で円を現場に伴いますが、三枝と鉢合わせしてしまいます。円は動揺しながらも、「印象が違う」と言い、違和感を持った葛城は改めて事故の記録を調べ直すと不備が見つかり、円の両親を轢いたのは別の人物なのではと考えるようになります。事件の方は古い灯油を使って一酸化炭素中毒を起こさせてからの犯行と分かり、犯人の動機も女性絡みでした。 外国人に対する偏見からの冤罪を防いだお話でもあり、静おばあちゃんの昔の冤罪告白もありました。

・秘密

警視庁警備部の完全な警備体制の中、南アの小国パラグニアの大統領が暗殺され、釘宮警備部長から葛城を通して協力を要請された円から、現場の様子を聞いた静かは真犯人の正体に気付きます。独裁者の敵は身内というのはテッパンよね

一方円も、両親を轢き殺した犯人は三枝ではないと考え真犯人の正体に思い至ります。事件解決後、事件を推理していたのは円の祖母であると知ってその功績を労いたいと釘宮、財部、津村と葛城は高遠寺家へ。そこには三枝も来ていて、遂に円の両親の事故の真実が明らありゃりゃ~~ありゃりゃ~~上司皆繋がってるじゃん 同時に静が既に死亡していることが判明。彼女は孫娘が心配で幽霊として見守っていたという・・・なんかファンタジーになってきたぞ 事故の真犯人がわかっても一度結審した裁判を覆せるんだっけ??

この静おばあちゃんのお説教はいちいちごもっともで耳が痛いところもあるのですが、円の素直さ、純粋さは、やはりおばあちゃんの教育の賜物ってことですかね

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