アンの絵本日記&g

大人にも楽しめる絵本の紹介と
稲垣吾郎さんについて(時々)語ります。

今日の絵本

2010-10-24 21:52:53 | 絵本
「したきりすずめ」(6分)
那須田淳:文
はたこうしろう:絵
小学館:発行
2010.9初版第1刷(1000円)

『したきりすずめ』は古くから全国で語られている昔話で、『ももたろう』『はなさかじいさん』『さるかにがっせん』『かちかちやま』と並んで、五大昔話のひとつに数えられています。
おじいさんは厳しい試練を乗り越えて、竹やぶの中にあるすずめのお宿を訪ねるわけですが、竹やぶは人間の世界とは違う「異郷」です。
ですから、『したきりすずめ』は異郷訪問の物語なのです。
すずめは、私たちの身近にいるもっとも親しい野鳥です。
子育てが終わった秋、すずめは何百と竹やぶに集まって、にぎやかな夜を過ごします。
そこから、竹やぶは人間のうかがい知れない不思議な場所、「異郷」というイメージが作られたのでしょう。
本書のおじいさんの試練は牛や馬を洗うことでしたが、他に伝わる話では大量の小便、米のとぎ汁、野菜の洗い水、たきぎ、天びん棒を飲むなど、とても不可能と思われることばかりです。
それを克服するのは、子すずめに対するおじいさんのひたむきな愛情です。
おじいさんは心やさしく、欲がありません。
それに対しておばあさんは心がひねくれており、強欲です。
この対比によって、おじいさんの善良さがくっきりと浮き上がってくるのです。
一般に知られている『したきりすずめ』には、試練の部分がありません。
これは江戸時代の子ども向け絵本や、明治時代以降に作られた国定教科書の影響と思われます。
(児童文学作家 千葉幹夫氏のあとがきより)

本来の昔話では、おばあさんは殺されちゃうはず。。
最近はそーいう結末は、あえて避けて絵本が作られているような気がする。
果たしてそれが子どものためになっているんだかどうだか。