そうそう、シアトルでこんな騒ぎがあったんですよ。
９月から住む家の近くのホテルに泊まっていた時のことです。
１２時にベッドに入って
いい気持ちで眠りに就いたと思ったら
キ～ン ウ～ウ～というすさまじい音で目が覚めました。
時計を見れば深夜１時です。
キ～ン ウ～ウ～、、、、
それが絶え間なく繰り返されるものですから
いったい何ごとだろうと
恐る恐る部屋の扉を開けてみれば
同じように眠そうな目で
みんながドアから顔をのぞかせています。
そのうちドヤドヤと
消防服を着た人たちが廊下を行き交い始めました。
そして叫ぶのです。
「エレベーターを使わずに非常階段から至急ロビーに下りてください！」
テロでしょうか、火事でしょうか、それとも？
と、不安でいっぱいになりながらも
ともかく上着を羽織って
パスポートやお金やらの貴重品だけを持ち
階段を大急ぎで走り下りました。
ロビーはすでに人でいっぱいです。
何が起こったのかは誰にもわかりません。
何の説明もありません。
ホテルの外には消防車が何台も止まっています。
外に出ることはできません。
腹を括って周りを見回してみれば
まあまあ、何という人間模様！
深い眠りを破られて
何が何だかわからぬままに
非常階段を下りねばならなくなった人たちが
しっかり抱えている物と言ったら、、、、、
赤ん坊を抱いたお母さんは哺乳瓶を
その隣りのお父さんはミルクの缶と携帯用の魔法瓶を
本を何冊かかかえた人もいれば
パソコンを抱いている人も
パジャマ姿にパナマ帽をかぶった人もいれば
裸足の人も、スリッパの人も、革靴の人も
頭にカーラーをたくさんつけたご婦人もいるかと思えば
おろおろと枕をかかえた人も
なぜかアイロンだけを手にした人もいて
その突然のあわてぶりがうかがえます。
我が夫はと見れば
身支度は整えたもののほぼ手ぶら（笑）。
我が娘はと見れば
いつの間にやらスーツケースをいっぱいにして
いつの間にやら５階分の階段を駆け下りて
落ち着いた顔で私たちに言いました。
「パパとママの分も入れといてあげたから当分は大丈夫よ。」
ロビーで待機すること約１時間。
結局、緊急指令は解かれて
みなそれぞれの部屋に戻って再び眠りに就きました。
原因は何だったと思います？
６階の宿泊客が夜中に煙草を吸ったのですって。
全館禁煙の廊下に漂った煙草の煙を
火災報知器が感知して
消防車が出動し
警察も出動し、、、、、、、
たった一本の煙草が巻き起こしたドタバタ劇でございましたが
無事に過ぎてみて思えば
なかなか面白い人間模様でもありましたよ。
ところで
あなただったら何を持って逃げますか？
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