「この国のかたち」的こころ

敬愛する司馬遼太郎さんと小沢昭一さんに少しでも近づきたくて、書きなぐってます。

へうげもの第2巻

2006年05月16日 23時16分57秒 | 書評
へうげもの 2 (2)

講談社

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 戦国武将として信長などに仕えたが、武将としてよりも茶人、陶芸の「織部焼き」を評価し、世に出した人間として歴史に名を残した人が、よもやと思ったがマンガになってしかも2巻目まで出している。

 こんどこそ「モーニング」に連載してるのですが、絵の癖の強さはともかくとして、ストーリー的にも斬新な見方をしている。
 特に光秀の謀反については千利休が絵を描いて秀吉がそれに乗り、光秀を追い込んだ形に仕上げている。

 しかもだ、実際に信長に手を下したのは、光秀の育ちの良さを懸念した秀吉自身が本能寺に密行して決行したことになっている。

 秀吉の出世の糸口が信長専属の忍びだったという説を尊重しての展開だと思うのだが、前後の様子が語られないので少し説明不足の感がある。

 それと信長が現在進行中の「功名が辻」くらい軽くて愚かで、周りが見えていない人物だという面が強調されており、少し残念である。

 主人公は茶道具に目がない男で、風流を解するが、武功のない人物として描かれ、道具を通して人物を価値判断していくという生き方を貫き、迷い、失敗しながらも次第に茶人としての評価をあげていくのである。

 茶道具が政治の場面で重きをなす様子が面白いし、文化財が取り引きや、経済に少なからず影響しただろうことを考慮にいれても良いのかなという姿勢を作ってくれる作品である。
 大笑いするマンガでも登場人物がイケメンで格好いいわけでもないが、人物がある程度スポイルされながらも、底光りする動きを見せてくれるマンガである。