先日、福山大学教授の伏見浩先生とお話しする機会を得た。先生は広島県福山市の郊外にある、福山大学に在籍しておられる。といっても研究所は同じ広島県の因島大浜町にある内海生物資源研究所にいらっしゃって海洋生物育成研究室におられる。これでも省略したんだけれど、難しいね。でもまあ何となく漢字の意味から拾うと、「育成」とか「生物資源」とかから連想して、「魚の養殖に関係するお仕事ですか」と聞くと、「そうです、先ほどお渡しした名刺を良いですか」といってつい先ほど渡されたばかりの名刺を取り返されてしまった。
その名刺の右上の部分を指さし、「これハゼの稚魚です。ここに(ハゼの右下9に線が引いてあるでしょ。これが1ミリなんです。」といわれる。
画像じゃわかりにくいけど、どう見たって3ミリはありますよね。と口まで出かかってやっと分かりました。「これが1ミリということは、本物はもっとイラストより小さいんですね。」というと察しの悪い聞き手に優しい笑顔を向けてくれました。
裏面がまた変わっていて、骨格標本になっているんですね。
まあどんだけ~っていうくらいに魚のことが好きなんでしょうね。先生の主なお仕事は、沖の金網の中で育った魚が安全に食卓に上るようにすることなんだそうです。養殖すするときは沖合いで四角いざるみたいなところでするんですが、何が原因か詳しくは聞かせてもらえませんでしたが、僕は前にテレビで見たことがあって、養殖の網ってのはやわい網だと流れてしまう、でも強い金属は塩水に強くなくて、すぐに腐食が始まります。そうならないために網に薬品を塗り付けておきますから薬剤は結構海中に残っているんじゃないかと思います。そいつが魚に影響を与えるんじゃないかってのをNHKでやってましたね。
で、そういうイメージがありましたし、最近のミートホープや白い恋人、赤福とかそういうのが連続してましたから、思わず「食の安全に関するお仕事ともいえますね、」とか言ってしまったんですね。先生は「まあそういった部分もあります。」と微妙なお返事でした。魚が大好きな人に対する言葉じゃありませんでしたね。僕は違和感を抱きながらもさらに失礼な言葉を続けて、「奇形でもお弁当にしちゃえば分からないって先週の週刊誌に書いてありましたね。」とか言っちゃいました。
後で考えれば怒鳴られものなんですが、先生は紳士でしたから、「それは無いです。そんなことしたら日本じゃ信用を失ってしまいます。」と穏やかだけどしっかりと否定なさいました。
で、先生は色んな魚の中でも今はマグロのプロジェクトに係わっているみたいですね。奄美大島を拠点に企業と組んで活動されてるみたいです。
そのうち新聞発表もあるかと思いますがなにをしてんでしょうか。詳しくは教えていただけませんでしたが、楽しみですね。卵からの孵化なら近畿大学がすでに成功してますからね。きっとそれ以上のことなんだとおもいます。
で、先生は最初から大学で研究されていたわけではないんだそうです。東京水産大学(現東京海洋大学)を卒業されて水産試験場におられたらしいんです。静岡では浜名湖、伊豆の白浜、それから焼津の小川にもおられたそうで、静岡には縁が深いそうです。で、それから農水省にもどられてお仕事を続けていたそうですが、或る日突然上司に呼ばれて「福山大学でこれこれこういう学部ができてこういう研究所もあるから、君行ってくれんか。君が断るとすべて白紙に戻して文部科学省への申請からやり直しになるんだ。」っていわれたそうです。これって相当な強制力持った脅しぎりぎりなんじゃないかと思うんですが、先生もそれで断ることができずに福山まで出かけたそうです。まあ人を教えるってのは別に嫌いじゃなかったそうなので、そう抵抗は無かったらしいんですが。自分の年齢が若すぎるのが気になったそうで、自分ではそういうことをするのは定年後でいいやと考えていたらしいんですね。それでそういう意識があったせいかどうか分かりませんけれど、最初はずいぶん苦労されたらしいんですね。
研究職とはいっても学生に教えなくちゃいけないし、僕みたいな素人とも話をしなくちゃいけないのは試験場職員時代から比べるとずいぶん違っただろうなと思いますね。
まあ、今日も昨日も眠くて起きてられないくらいなので、さっきこの記事を見たらメタメタの文になってました。読んだ方済みませんでした。
ようするに、こういう風に何かに夢中になってキラキラしてる人と話をしたり話を引き出したりするのって、僕にとってもとても充実感を味わえることなので、こういうときは仕事そっちのけで話をしちゃったりするのが常なのですね。失礼しました。