AN現代針灸治療

ANとは「にただあつし(似田敦)」のイニシャルです。現代医学的知見に基づいた私流の針灸治療の方法を解説しています。

第8期針灸奮起の会「内科症状の現代針灸」無事終了しました。

2023-12-09 | 講習会・勉強会・懇親会

先回の令和5年春には、第7期針灸奮起の会「五官科の現代針灸」を実施しましたが、今回は令和5年10月1日~12月5日に第8回針灸奮起の会「内科症状の現代針灸」を開催します。首尾一貫した内科針灸学を学習できる希有の機会になります。皆様のご参加をお待ちしています。

 


鍼灸奮起の会マスコットキャラが誕生しました。
「放心状態で考える君」です。
人気者に育ってくれると嬉しいなぁ

 

内臓症状の現代針灸テキスト 序文より

よく現代針灸は、整形外科疾患には適しているが、内科などの治療には向かないとの声を耳にする。それは本当なのだろうか。自分に対する言い訳ではないだろうか。現代針灸を学習しようとする場合、優先順位として遭遇する機会の多い整形疾患の治療から学習を始めるのが普通なので、内科針灸の学習を後回しにするのはやむを得ない。とはいえ、あとになって内科針灸を学習するのかと思いきや、代表的な内科症状のいくつかに対する定番的治療点を教えるだけという状況では、とても内科針灸治療学とよべる内容ではない。針灸師があまり内科に興味を持てないもう一つの原因は、内科学は膨大な知識量なので、何から手をつけてよいのか分からないことが挙げられよう。指導する側にしても、内科疾患を実地で診た経験不足から、自信をもって教えることができないという葛藤があるだろう。
   私はかつて病院の東洋医学内科に5年半所属していたので、現代医療に関するある程度の現場的知識と経験を積むことができた。ただし現場での内科の針灸は、バックボーンがなかった。恩師の代田文彦先生にしても質問には答えて下さったが、講義形式で教わった記憶はない。治療法は各人のやり方に任せられてた。要するに内科の針灸臨床体系づくりができる段階にはなかった。
代田先生は鍼灸師とも医師なみに知識を獲得するのは何年くらいかかるものかという研修生の問いに、20年かかるだろうと回答した。だいたい玉川の鍼灸師は長くても10年程度だったのだ。内科針灸学みたいなものをつくることは夢物語だったのだろうか。内科針灸学の構想は、内科学教科書の延長上からは生まれない。オリジナルな内容を必要としている。その実現に向けて、結局は自分なりにテキストを何十回も書き直しを行い、少しずつ完成度を高めていく方法をとった。今回の内科講習会では、針灸師が内科知識を現代針灸臨床をどのように取り入れるべきか実際の治療方法を示した。

第1章 上・中腹部消化器症状[p21]     
 第1節    内臓体壁反射と体性神経反応 
 第2節    横隔神経と体壁反応 
 第3節 針灸院に来院する胃十二指腸疾患  
 第4節 胃症状の針灸治療 
 第5節 鼓腸と押圧治療  
 第6節 胆道疾患と針灸治療  

第2章 下腹部消化器症状[p21]

    第1節 下腹部臓器の体壁反射 
    第2節 針灸院での下腹部症状の診察手順  
    第3節   下痢  
    第4節 便秘  
    第5節 下痢・便秘の針灸治療 
    第6節 S状結腸~直腸の反射 
    第7節 痔疾  

第3章 胸部症状[p23]

    第1節 内臓の自律神経支配区分  
 第2節 狭心痛と針灸診療 
 第3節 胸壁性胸痛の針灸治療
    第4節    動悸・息切れ 
 第5節 咳嗽と喀痰の針灸治療 
    第6節 気管支喘息と針灸治療  

第4章 腎・泌尿器症状[p21]
 第1節    腎・泌尿器疾患と体壁反応 
    第2節    膀胱~尿道と睾丸の体壁反応  
 第3節 排尿痛と針灸治療 
 第4節 頻尿・尿失禁・排尿困難  
    第5節 夜尿症 
    第6節 勃起障害(ED)


1.スケジュール(残席数は、11月24日時点です)
            
第1回 10月1日(日)  上・中部消化器症状  終了しました。


 

第2回 10月15日(日) 下部消化器症状    終了しました。
第3回 11月5日(日) 胸部症状 終了しました。
第4回 12月10日 (日) 腎・泌尿器症状 終了しました。 

2.開催時間:午後5時30分~8時頃、実技助手として小野寺文人、岡本雅典の両名も参加します。
3.毎回の定員:12名(定員になり次第〆切)
4.持参品:筆記用具程度、   毎回オリジナルカラーテキストを進呈。針灸実技用の道具類は支給します。
5.講習会費:針灸有資格者7,000円、針灸学生6,000円 
6.会場:国立市中1丁目集会所

 

6.懇親会:講習会後、駅前の居酒屋にて。当日払実費(希望者のみ) 

7.受講お申し込み方法

参加御希望の方は、①参加希望会のテーマと開催予定日、②氏名、③住所、④電話 ⑤メールアドレスを、メールまたは電話でお伝えください。 折り返しご連絡を差し上げます。参加費は当日お支払いください。領収書発行します。 お申し込み〆切り日は各回とも開催前日午後3時頃までです。ただし参加者12名に達した場合、その時点で受け付け終了させていただきます。
 
あんご針灸院 似田 敦(にただあつし) 電話042(576)4418 
メールアドレスnitadakai825@jcom.zaq.ne.jp

 


ブログ「現代針灸治療」とテキスト「現代針灸臨床論」10年前との比較

2023-12-09 | 講習会・勉強会・懇親会

「現代医学的鍼灸」という気負ったタイトルでブログを開始したのは、2006年3月11日からであった。今から17年9ヶ月前で、私が53才の頃だった。すなわち現在、古希を迎えた。あとどれくらい頑張って続けられるかは分からない。当記事約1年ほど前からは、タイトルを現在の「現代針灸治療」とシンプルなものにした。

最初の頃は、「現代針灸臨床論」という鍼灸学生用テキストとしてすでに存在した内容を、ブログとして発表しただけだったので、とくに苦労を感じなかった。現在の発表ブログ数は473題だが、200題を越えた頃から、発表するネタがなくなっていった。そこから先は、考えたり調べたりして新たな内容を創作し、その内容をテキスト内容に付け加えるという作業を繰り返しつつ現在に至った。


「現代針灸臨床論」では授業時間の兼ね合いから、一つの章を基本的に20ページ未満とにし、プリント配布の関係から白黒印刷に対応する図しか載せられなかった。しかし現在、教員を辞めて以来、こうした制約はなくなり自分の思うようなテキストに変化してきた。

その結果、テキストページ数は、かつての1.5倍で、必要に応じて、カラー図も増えていった。ネット上で「現代針灸臨床論」(売価11,000円)このテキスト販売を開始してから、約十年が経過した。コンスタントに月平均4枚程度購入希望者が連絡してくるのを嬉しく思っている。このテキストは頻繁に内容が刷新されているが、平成29年4月4日時点で目次は次のようになっている。

 

5年前に平成29年4月4日で目次を記したが、本日は令和4年4月26日で、あれから5年が経過した。この5年間にテキストがどのように変化したのか比較してみた。新たな内容を加えつつ、ページ数増大を防ぐため削除した内容も少なくなかった。全体で10%程度ページ数が増加となった。ブログ発表数は418題で、5年前の316題と比べ102増えた。
5年前が黒字、現在が赤字。

 

現代針灸臨床論Ⅰ(H29.4.4  計297ページ)→(R4.4.26  計330ページ)
整形・ペインクリニック領域

第1章 頭痛(p19)(p23)
 1節 針灸不適応の頭痛の除外
 2節 針灸適応となる頭痛の概要
 3節 頭痛の鑑別診断
 4節 頭痛の針灸治療

第2章 頸腕痛(p35)(p31)
 1節 頸腕痛疾患の概要  
 2節 頸肩腕症状の鑑別診断  
 3節 頸肩腕痛の針灸治療
 4節 肩こり性 

第3章 肩関節痛(p22)(p29)
1節 肩関節の動きと作用筋
2節 肩関節疾患の概要
3節 肩関節痛の鑑別診断
4節 肩関節痛の針灸治療

第4章 腰痛(p24)(p26)
1節 腰痛疾患の概要

2節 腰痛の不適応の判定
3節 効かせるための針の技法  
4節 殿部痛

第5章 腰下肢痛(p31)(p39)
1節 腰神経叢症状
2節 仙骨神経叢症状と腰椎椎間板ヘルニア
3節 脊柱管狭窄症  
4節 股関節疾患

第6章 膝関節痛(p29)(p31)
1節 針灸不適応の膝痛疾患  
2節 膝関節痛の鑑別診断  
3節 針灸適応の膝関節痛の針灸診療
4節 変形性膝関節症の針灸診療

第7章 顔面症状(p22)(p25)
1節 顔面痛
2節 顔面神経麻痺   
3節 顔面部の痙攣

第8章 上肢部症状(p34)(p36)
1節 肘関節痛 
 2節  手関節痛・手指痛
 3節 上肢の神経麻痺と神経絞扼障害

第9章 下肢部症状(p34)(p41)
1節 下肢の常見疾患 
2節 足部の常見疾患
3節  下肢の神経麻痺と神経絞扼障害

第10章 歯科症状(p21)(p24)
1節 歯の基礎知識
2節 歯科の主要疾患
3節 歯科領域の針灸治療
4節 口内炎
5節 顎関節症

第11章 治療効果を高める理論(p26)(p25)
1節  神経線維と運動制御
2節  MPS(筋膜性疼痛症候群)
3節『鍼治新書』の要点
               


現代針灸臨床論Ⅱ(H29.3.24 計356ページ)→(R4.4.26 計393ページ)

内科・眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・産婦人科・皮膚科他 領域 
 
第1章 上中腹部消化器症状(p36) ( p39)

1節 腹痛の代表疾患
2節 針灸院における診察手順
3節 内臓体壁反射と針灸治療パターン
4節 横隔神経と体壁反応
5節 胃疾患と針灸治療
6節 肝炎患者の扱いと慢性肝炎の針灸治療
7節 胆道疾患と針灸治療
8節 膵炎と針灸治療        

第2章 下腹部消化器症状(p27)( p31)

1節 下腹痛と体壁反応  
2節 針灸院での下腹診察と針灸治療
3節 下痢
4節  便秘
5節 下痢・便秘の針灸治療
6節 虫垂炎と針灸治療
7節 痔疾と針灸治療         

第3章 鼻科・咽喉科症状  (p30)  (p33)
1節 鼻の疾患

2節  咽頭の疾患
3節 喉頭の疾患
4節 くしゃみ・しゃっくり
5節 かぜ症候群

第4章 胸部症状(p24)( p30)

1節 胸痛の針灸診療
2節 動悸・息切れ
3節 咳嗽・喀痰の針灸治療
4節 気管支喘息の針灸診療     

第5章 末梢循環器症状(p32)( p33)

1節 冷え症

2節 ほてり・のぼせ
3節 末梢動脈閉塞性疾患
4節 メタボリックシンドローム
5節 低血圧症


第6章 精神症状と全身症状( p37)(p43)

1節 不眠症
2節 疲労倦怠および貧血
3節 不定愁訴症候群・神経症・更年期障害
4節 肥満 

第7章 腎・泌尿・生殖器症状(p31) ( p35)

1節 腎・泌尿器と体壁反応  
2節 主な腎疾患  
3節 疼痛を生ずる尿路疾患
4節 頻尿・尿失禁・排尿困難
5節 夜尿症
6節 ED          

第8章 産婦人科症状( p29)(p31)

1節 性周期とホルモン
2節 婦人科の主要疾患   
3節 婦人科疾患の体表反応と針灸治療
4節 月経異常  
5節 月経随伴症状と針灸治療  
6節 不妊症 
7節 産科の主要疾患
8節 乳房症状             

第9章 眼症状(p31)(p37)

1節 眼の構造と機能 
2節  代表的な眼症状と鑑別診断
3節 代表的な眼科疾患
4節 全身疾患の一部としての眼科症状
5節 眼科の針灸治療            

第10章 耳科症状( p37)(  p39)

1節 耳の構造と機能
2節  難聴・耳鳴の診察

3節 めまいの診察
4節  中耳炎と針灸治療
5節  耳科疾患の概要
6節 難聴・耳鳴の針灸治療
7節 めまいの針灸治療    

第11章 皮膚科症状(p23)(p25)

1節 皮膚腫瘤
2節 アトピー性皮膚炎

3節 毛髪の異常

第12章 その他の主要疾患( p19)( p20)

1節  関節リウマチ
2節 脳血管障害 
3節 パーキンソン病
  巻末資料:体性神経デルマトーム図