春、三月に1200年以上の間、一度も途絶えたことのない奈良東大寺の
「お水取り」修二会神事は二月堂で執り行われます。
東大寺に二月堂、三月堂、四月堂はありますが、一月にあたる正月堂は
何故かありません!! どこにあるのでしょう??
東大寺の北東、直線距離で約12キロの位置、京都府と奈良県の県境に
東大寺の鬼門除けとして栄え、神が宿るとされる笠置山の山中に
東大寺にはない一月堂(正月堂)があるようです!
標高289mの笠置山山頂には狭い山道を登って行きますが途中、道が崩れていたり、
未舗装だったりでUターンも出来ず、こころ細く不安になってくる悪路でした。
頂上近くの " これより先は徒歩で進め " の案内板にやっと一安心!
狭い山道を歩き、先に進むと木立の合間から突然、毘沙門天堂が
現れて山頂の笠置寺に到着。 ヤレヤレの感でした!
「鹿鷺山 笠置寺」 (しかさぎさん かさぎでら)
このお寺の本堂が正月堂のようです。
笠置寺 本堂(正月堂)
正月堂のある笠置寺の創建は1300年以上も昔、西暦682年に天武天皇によって開基。
その後、752年に東大寺・実忠和尚が十一面観音を祀ったと伝わっています。
今日まで1200年以上もの間、途絶えずに続く「お水取り」の神事、
修二会(しゅにえ)の初回法会はこの正月堂で営まれました!
更にはこの正月堂は本尊の弥勒磨崖仏を礼拝するお堂でもありました!
高さ15mもの大きな岩に刻まれた笠置寺の本尊「弥勒磨崖仏」
ご本尊が磨崖仏という珍しいお寺への参拝は初めてでした!
「お水取り」の起源となった笠置寺は山岳信仰、巨石信仰の場でもあり
開基したと伝わる天武天皇が鹿狩りの際に断崖絶壁で立ち往生した際に
救いを祈願した場に笠を置いたことから笠置の名がついたそうです!
山頂にある境内には大師堂や毘沙門天堂もありました。
そして何よりも気になったのは・・・・・
「お水取り」の発祥の地が笠置寺の正月堂であるという事を知らせる手段です。
歴史的に意味深い事実を無造作にも粗末な紙に走り書きして貴重な建造物の
正月堂の戸に無頓着にも画びょう、セロハンテープで止めていることです。
もうちょっと知らせる手段を考え直して文化財を守って欲しいと思った。