東大阪でそろばん教室を運営しているの先生のブログ 関西珠算瓢箪山教場・石切教場

子供たちから教えられたこと、感じたことを想いのままに綴ります。

科学の進歩は、現状をしっかりと把握することから

2014-11-20 00:52:42 | 学習・塾に関する中身
 私は大学生時代「地震予知」につながるかもしれない研究をしていました。

「地震」にはおおきく二つの種類があります。「内陸型」と「プレート境界型」です。

「プレート境界型」は東日本大震災に代表される、海で起こるタイプの地震が圧倒的に多くなります。地球の表面は緩やかに動き続けるプレートにおおわれており、そのプレート同士がぶつかり合う境界において、押し合った際にたまっていく「歪み(ひずみ)」エネルギーを放出するときにおこります。
 海底が沈んだり持ちあがったりするので、それに伴い海水の大きな移動が起こり、津波となって海岸に押し寄せます。

「内陸型」でみなさんの記憶に新しいのは「阪神・淡路大震災」だと思います。簡単に言えば「断層」が動く(活動するとも言います)際に発生する振動がもとになって起こるタイプの地震です。

 今から数十年前には、地震の予知を目標として様々な研究がなされていました。私がしていた研究は、土器の年代測定を活断層(主に今から数千年前以内に活動し、近い将来に地震を伴う活動をするであろうと予測される断層)に応用して、一番最近でいつ活動したかを測定しようとするものでした。結果的には、この手法は断層に応用することは極めて困難であることが分かり、私はあきらめたのですが、できればすごいことだと研究に励んでいました。この研究をしている学生時代に阪神・淡路大震災が起こり、わりとよく知る後輩が帰らぬ人となりました。こんな悲劇が少しでもなくなればと、より一生懸命研究に励みましたが、できないものはできないという結果に残念な思いを持ちました。

 でもこの研究の過程で、仮説を立てて実験し考察してくという自然科学の考え方を身に付けることができました。そして既知の知識から、未知の事実に向き合うためには、既知の事実を深く知り、その既知の知識をどう応用していくかを考えることが一番大切であるということも知りました。

 今、子どもたちに教えていることがらの中には、大学時代の研究を通して学んだ「順序立てて整理していくこと」「基礎的な知識の積み上げがなければ、未知の事柄には到底太刀打ちできないこと」を含んでいます。

 わりざんマスターや漢字・暗算の宿題は、小学生時代を通して身に付けておくべき基礎脳力と学習習慣を身に付けることが主眼になっています。毎日の反復練習という一見簡単であり、そしてめんどくさいこの課題ですが、将来に絶対に実を結ぶと確信を持って指導しています。


 さて、話を戻して、地震予知は現在の科学の知見では「ピンポイントの予測」は恐らく無理であろうという考え方が大勢を占めています。現実的には「地震予知を完璧に行う防災」から、「地震予知は無理でも、少しでも地震に付随する被害を減らす減災」に科学は向かっています。

 そしてこの「減災」の考え方を持って、現在気象庁が運用している「緊急地震速報」は、このどちらのタイプの地震も「地震動」として観測網で捉え、地震の際に発生する二種類の揺れの到達速度の差を利用して、大きな揺れの数~数十秒前に、警報を発して大きな地震動に備える仕組みになっています。

 しかしながら、この「緊急地震速報」には
 二つ以上の地震が同時に起こった場合でも、「1か所」で起こっていると認識するので、たとえばそれほど離れていない二つの場所で同時に中程度の地震が発生した場合は、その付近でのより大きな地震と認識する可能性がある(緊急地震速報が誤報となる可能性が極めて高くなる)
 断層の活動領域が「面上」に伸びているくらい巨大なものでも震源を「点」として認識してしまうので、広範囲に大きくなる揺れが発生しても、その全範囲をカバーできない(緊急地震速報が発信されていない地域でも、大きな地震動になる恐れがある)
 などの問題点があります。

 気象庁はこのほど、京都大学地震研究所と共同で、より正確なデータ解析の方法を開発していくと発表しました。プレスリリースを読むと、実は既知の知識の組み合わせであって、今までとは着眼点を変えて考えることにより、的中率が76%→88%に向上するということです。

 なが~くなりましたが、つまるところ、科学の進歩は既知の知識の組み合わせによることがほとんどだというお話で、だからこそ、小学生の間は、その既知の知識を理解するために必要な基礎能力読み・書き・そろばん(計算)をしっかりと身に付けようという、まあなんともありきたりなオチに着地する秋の夜長のお話でした。

 いまやっているめんどくささは、将来必ず実を結びます。たゆまぬ努力を持って積み上げた反復練習は必ず身となり骨となって、下支えします。毎日の少しの努力を絶対に軽視しないでください。

 「中学生になればできるようになりますから、今はのびのびと」←間違いです。今のびのびすることのみをしていれば、中学生になってものびのびすることがデフォルトになります。
 「今のうちから積み上げることを覚えておけば、中学生になってもできるはず」←正解です。中学生になってできるのであれば、今からでもできるはずです。

 っていうか、今できない人は中学生になってもやっぱりしません。何百人とみてきましたが、例外はほぼ0です(記憶では二人ほどいましたが、それでもパーセンテージでいえば、全体の1%未満です。特例です)
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

声が大きいものが勝ちっていやですね

2014-11-07 00:27:53 | 日記
 ノーベル物理学賞を受賞した青色LEDでおなじみの中村さんが、この研究をしていた当時に在籍していた会社に、過去を清算したいと呼びかけたところ、その会社から丁寧ながらも拒絶されたというニュースに触れました。

 今中村さんはアメリカの大学に在籍されています。アメリカの大学は、研究費用は自分で企業に営業をかけて援助してもらうことが一般的です。日本の大学も昨今はずいぶんとこの風潮が強くなっているようです。研究費用をじぶんで企業から「引っ張ってくる」ことができないとだめなんですね。
 今回の中村さんの呼びかけは「研究費用の援助を願い出るための布石?」と勘繰ってしまいました。

 お互いの信頼関係が一度壊れてしまうと、それを取り返すことは容易ならぬことです。中村さんとこの企業の間に起こっている本当のことはわかりませんが、少なくともこの会社の中村さんに対するコメントを読む限りは「もううちはあなたとは関わりたくはありません」と読み取れます。

 ふつう、自分の会社に関わった人間がノーベル賞を受賞するということは、喜ばしいことであるはずです。そして在籍当時の研究が授賞対象であるならばなおさらそうであるはずです。それなのにこの対応。かなり溝は深いと思われます。

 私がこの会社の社長でも、同様の対応をしたのかなあと考えてしまう情報に触れてしまいました。

 「会社からの報奨金は2万円」「和解額は6億円」などのニュースが飛び交いましたが、たとえばみなさんは中村さんが退職する前の数年間は、年間およそ2千万円の報酬を受け取っていたこと、ご存知でしたか?。
 正直な話、身分と給料が保障された状態で研究を続け、出した研究成果は自分のもの! 研究費用もすべて負担したうえで、さらに発明の利益を折半しろと言っているようにも聞こえかねません。

 もしかしたら、何の成果も生まないかもしれない研究を支援し、社員としての立場を保障し、研究を見守る。これ以上の恵まれた環境はないでしょう。もし、得られた成果を納得できる形で享受したいなら、企業に就職せず、自分で研究所を立ち上げ、取り分を明確に提示したうえでスポンサーを探す。それが筋と言うものだと思います。
 もちろん、研究成功によって得られた利益を、すべて会社が取ってしまうことにも問題はありますが、身分を守っていただきながら研究ができる。その環境を保証してくれた会社に対して中村さんの取った訴訟と言う行動。そして要求額はちょっと私の感覚からは信じられません。

 身分を保証してもらうというローリスクを選んだからには、成功してもローリターンが当然だと思うんですよね。自分で研究所を立ち上げる。失敗することも覚悟してのハイリターンを選んだなら、その研究成果を自分のものにできるハイリターンも当然だと思うんです。

 中村さんは、結果的にローリスク・ハイリターンに成功したと言えます。ノーベル賞受賞で研究者としての実績も申し分なし。でも過去に在籍していた企業に自分の在籍時の全てを否定されたともいえるコメントを出されてしまいました。少なくとも私は中村さんと共同研究をしたいとも思わないし、スポンサーになりたいとも思いません。
 金銭的にはローリスク・ハイリターンに成功したのでしょうが、社会的にはどんなリターンになったかと思うと、あの裁判は本当に正しかったのかと疑問に思います。

 声を大きく上げたほうが勝ち!。ちょっと嫌な世の中だと思います。でもそれもまた人生。私は損得勘定をあまり気にせず、目の前でいろんなことにもがいている子供たちと全力で戦うことにします。

 絶対にあきらめないで頑張りましょうね。お母さん!。 損得勘定ではなく、当たり前のことを当たり前と感じて行動できる大人になってくれると信じて。絶対に子供は悪魔じゃないですからね!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする