東大阪でそろばん教室を運営しているの先生のブログ 関西珠算瓢箪山教場・石切教場

子供たちから教えられたこと、感じたことを想いのままに綴ります。

夏休みチャレンジ~各学年ごとの指導者としての想い~ 6年生編

2012-09-28 01:45:36 | 夏休みチャレンジについて
6年生はこの課題の集大成です。覚えるのは
日本国憲法前文


 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。
 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。 
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたい思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。


 日本は日清・日露戦争と大国に勝利かそれに準ずる結果を得たことで、軍事大国への道を突き進みます。武力をもって世界を手中に収めるべく、まずは「大東亜共栄圏」の完成へとひた走ります。
 「大日本帝国憲法」は、天皇主権の欽定憲法として、法の定める範囲において、国民の権利を定めることが出来ました。国(軍部)の意向に逆らうものは弾圧され、最終的には国民全員が戦争の道へと連れて行かれることになりました。
 われわれの先人がしたことを、子孫のわれわれが全て否定することはいいことだとは思いません。しかしながら、先の戦争で日本が得たものはなんだったのでしょうか?。
 よく「今の憲法はアメリカ軍に決められたものだから、日本人の総意ではない。早く改定すべきだ」という意見を耳にします。では前の憲法のほうがよかったのでしょうか?。私はそうは思いません。この憲法こそ先の戦争で日本が得たかけがえのない宝であると思います。

 日本国民は恒久の平和を念願するんです。国際社会において名誉ある地位を占めたいと思うんです。そして末文

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

 
 確かに、アメリカ軍部主導の憲法であったかもしれません。何をきれいごとを言ってるんだという意見もあるでしょう。でも、子供たちにはこの憲法が持つ意味、これまでの日本の行動をできるだけ正しく伝え、自分でしかるべき年齢になった時に、自分の力で日本国の憲法としてふさわしいかどうかを判断できるようになってほしいんです。そのために、なるべく社会に染まる前に、純粋にこの日本国憲法前文を、「日本語の文章」として理解してほしかったんです。

 この文章が理解できる力があれば、人の気持ちを考えることができるはずです。学校でおこりうる悲しい事件を引き起こすような生徒にはならないはずです。私は、一人の日本人として、たとえきれいごと・絵空事であったとしても、この文章の持つ意味を子供たちに伝えたいんです。だから、この文章を選びました。

 暗誦の集大成としてのこの文章が終われば、小学校6年間で

★ 日本語のもつきれいなリズムを感じる
★ 人に対する思いやりを持つ。さらに、命ないものであってもそうした感情を持つ
★ 日本という国が持つ四季折々の美しさとそれを感じる感性を磨く
★ 日本の国が、世界の中でどうあるべきか。自分はこれからどうあるべきか。自分の力で進む力の原動力を養う

 という、暗誦指導の真の目標を学んでもらったことになります。どれだけ子供たちに伝わるかは未知数ですが、必ず何かが伝わると信じて、これからも指導を続けていきたいと思います。
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夏休みチャレンジ~各学年ごとの指導者としての想い~ 5年生編

2012-09-27 01:49:23 | 夏休みチャレンジについて
(5年生の課題として大事なのはこちらです。枕草子:清少納言)


 春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは少し明りて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。

 夏は、夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、をかし。

 秋は、夕暮れ。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛び急ぐさへあはれなり。まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず。

 冬は、つとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も白き灰がちになりて、わろし。

 日本の古典文章の銘文のひとつだと思います。小学校では去年度から教科書が一新されました。6年生の国語では古典文章が復活しました。個人的な見解としては、日本語の能力が未熟なうちから英語の学習をさせるならば、現代国語はもちろんのこと、古典もある程度学習させて、美しく正しい日本語を身に付けさせるべきだと考えます。良質な文章に数多く触れておくことは、国語能力を育てるうえで必須のことです。

 さて、この文章には世界でも稀な「四季の移ろい」を見ることができる日本の、一人の女性の感性から見た世界観が、短い文章中に凝縮されています。「いとをかし」前の文章を受けて表現されるこの言葉に、日本の美学が凝縮されていると思うのは言いすぎでしょうか?
 特に「炭が燃えている」赤色が、燃えつきてゆき、「白き灰」がたくさんある状態になるのは「見ていて美しいものではない、興ざめする」という感覚。子供たちにかの感覚が少しでも伝わればうれしいです。小学生には意味がわかりにくい言葉が多く使われている文章であることは事実です。でも骨があるからこそ、暗誦に意味があると考えます。(子供たちに渡している暗誦シートには、現代語訳を併記しています)

 私は、わからない言葉は「辞書をひきなさい」と指導しています。中学生にもなれば携帯電話を持ち、高校生ともなれば電子辞書が当たり前。そんな学習環境はおかしいと思います。紙の辞書を手間をかけてひくからこそ身に付く能力があるはずです。そして子供たちには「今のうちに言葉の貯金をしておきなさい。必ずあとで役に立つからね」と声をかけています。

 良質の日本語をたくさん知っていれば、ほかの言語はある程度理解できます。(発音がネイティブと同程度になることは難しさがあるのは事実です) 早くから英語を学習することは、意味がないことではないですが、せいぜい「英語アレルギーをなくす」程度の効果しかないと思います。(アメリカンスクールなど英語漬けにする環境では英語学習の効果は大きいと思いますが、日本語能力は育たなくなります)
 私は、そろばんを指導しながら、日本語の美しさを伝えたいと思っています。
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夏休みチャレンジ~各学年ごとの指導者としての想い~ 3・4年生編

2012-09-27 01:49:11 | 夏休みチャレンジについて
(3年生の課題として大事なのはこちらです。竹:萩原朔太郎)


光る地面に竹が生え、
青竹が生え、
地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、
根の先より繊毛が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるえ。

かたき地面に竹が生え、
地上にするどく竹が生え、
まっしぐらに竹が生え、
凍れる節々りんりんと、
青空のもとに竹が生え、
竹、竹、竹が生え。

 3年生は、学校で学習する漢字も1年間で約200文字と、国語の世界がぐっと広がる学年です。そこで、この文章を選びました。全体的に躍動感にあふれ、写実的で、竹が地面から地表を割って生え出てくる姿が想起されます。これは、言葉の世界が広がり、新しい知識の海へとこぎだす3年生の姿そのものです。
 「かすかにけぶる繊毛が生え」。ぜひとも脳裏に浮かんでほしい光景です。文章からその光景が描けるようになったとき、脳の力はひとつ上のステージへと上がるはずです。

(4年生の課題として大事なのはこちらです。鉄棒:村野 四朗)


僕は地平線に飛びつく
わずかに指さきが引っかかった
僕は世界にぶら下がった
筋肉だけが僕の頼みだ
僕は赤くなる 僕は収縮する
足が上ってゆく
おお 僕はどこへ行く
大きく世界が一回転して
僕が上になる
高くからの俯瞰
ああ 両肩に柔軟な雲

 鉄棒を「そろばんを頑張ること」に置き換えて読むと、練習を一生懸命頑張って培った能力が、自分を一段階高い場所へと導いてくれると読むことができます。鉄棒を頑張ったから、鉄棒の上から見る景色が違って見えるわけです。そろばんを頑張れば、脳の力がワンランク上に上がり、できなかったことができるようになる。ということが少しずつ実感できると思います。

 そして、同時進行で暗算学習を進めていますから、右脳を使った記憶力も伸びてきていますから、次学年の課題へとつながっていくわけです。

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夏休みチャレンジ~各学年ごとの指導者としての想い~ 1・2年生編

2012-09-27 01:49:01 | 夏休みチャレンジについて
(1年生の課題として大事なのはこちらです。お山の大将:西條八十)

お山の大将 俺ひとり
あとから来るもの つき落とせ

ころげて 落ちて またのぼる
あかい夕日の 丘の上

子供四人が 青草に
遊びつかれて 散りゆけば

お山の大将 月ひとつ
あとから来るもの 夜ばかり


 1年生はまず、リズムの良い文章を唱えるということを覚えてほしくて、この文章を選びました。1日の太陽と月の移り変わりを詠んだこの文章を深く理解するのは当然難しいでしょう。太陽と月を擬人的に「お山の大将」と表していることには、指導をしてあげないと気づかないと思います。でも気づかなくても、リズムの良い文章を呪文のように唱えることができればまずはOKです。もし意味合いを聞いて来れば無理のない範囲で説明をしています。

(2年生の課題として大事なのはこちらです。私と小鳥とすずと:金子みすゝ)


わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地面をはやくは走れない。

わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように
たくさんなうたは知らないよ。

すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。


 2年生は、小学校生活において1年先輩になりました。1年生を迎える行事を経験し、年下の後輩への「思いやり」が芽生える学年です。「人はみんな違うんだ。いいところを認めよう」という心が自然と芽生えてくれる。これに勝ることはないと思います。この頃に優しさが確立すると、まずいじめる側の子供にはならないでしょう。そんな情緒を育む大事な時期に、金子みすず(ゝが表記できないのでごめんなさい)さんの文章は、最適だと思います。命のないすず。人間に比べるとはるかにちいさな小鳥。そしてわれわれ人間の三者が三様にそれぞれの長所を持っていることを感じ取ってくれればこんなにうれしいことはありません。
 2年生がこの文章を暗誦しているのを聞いた4年生の女の子が「せんせ~。この文章どこで読んだの?」と聞いてくれたので、金子みすずさんの詩集を見せたところ、目を輝かして「貸してください!」と言ってくれたことがうれしくてなりませんでした。
 この生徒は純粋で心優しい生徒です。私の気持ちが伝わったのかな?と思いました。

 1・2年生はリズムの良い、伝統的な日本語を読むことに重点をおいて、暗誦の課題文を選びました。何人かでもこの想いを感じ取ってくれたならば、うれしく思います。
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昨日は頑張った生徒との約束を…

2012-09-24 13:49:40 | 学習・塾に関する中身
 昨日は、勉強もそろばんもがんばっている(若干?ですが…)生徒と約束していた遊びに行ってきました。行先はラウンドワン。ボーリングですね。
 みんなあんまり上手ってわけではありませんでしたが、それなりに楽しんでいたようです。



(お見事!ストライクな瞬間です)


 お勉強の点数に、個人の能力に応じて目標を設定しているんですが、いまのところ全員その目標を達成しているんですね。決して学年トップを望んでいるわけではなくて、「これくらいは努力で達成できる」と考えて設定しています。

 最近は少したるんできていて、さぼりが目に付き始めましたが、約束は約束です。これで少しでもスイッチが切り替わってくれるといいんですが…。さて中学校は間もなく定期テストに突入します。先生はきちんと約束を守りました(かなり遅くなってごめんね)今度はみんなが約束を守る番ですぞ!

 さて、結果やいかに!
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