東大阪でそろばん教室を運営しているの先生のブログ 関西珠算瓢箪山教場・石切教場

子供たちから教えられたこと、感じたことを想いのままに綴ります。

何を目標にして教えているのか?

2023-06-24 10:06:58 | 日記

 ということは、子供たちを指導する上でとても大切なことです。その目標は、指導者が歩んできた学習(勉強)観が反映されていると言っても過言では無いと思っています。

 私自身は、文系で高校時代を過ごしましたが、英語ができずに数学がわりと得意で(といっても当時の基礎解析・代数幾何の行列までなど現在の数学Ⅱ・Bの途中までの範囲相当でしたけど)、理科も物理以外は割合に良い成績でした。中でも地学はダントツに得意でした。そんなわけで受験した奈良教育大学は併願可能だったので、第一志望を「中学社会」、第二志望を「文系でありながら高校地学」といわけのわからない受験をしました。結果は「高校地学」での合格でした。なんの因果か大学院(教育学研究科)まで進み、教育学研究の修論としてまるで理学部のようなテーマを選びます。理科教育の教授にはかなりキツいことを言われました。でも「自然現象の何かを不思議に思い、その理屈を考え、再現できるため(要因を追求するため)の実験を考え、試行錯誤して結果を得、その結果について考察する(必要であれば改良実験を行い考察を深めていく)。こうしたことができない・経験無い理科の先生が、どうして教材研究をできると思われますか?」と質問したところ、納得いく回答はいただけませんでした。

 私自身は理科教育を含めて、学校教育の問題点はここにあるとすら思っています。教科書で学ぶ内容を「身につけさせること」にあまりにも重点を置きすぎなのです。そうではなくて「教科書の中身を身につけるためにどうすればいいか?」を試行錯誤するべきなのです。

 漢字や英単語・九九を覚えること1つとっても、書いて覚える・見て覚える・書きながら声に出す・じっと眺めて黙読するなど、個々に応じて1番良い方法は違うはずなんです。それを「10回書きなさい」とか「瞬時に言えないと意味が無い」とか、、、。いろいろと子供たちが取り組んで「だんだんできるようになっていく手応え」を感じる。そしてブラッシュアップしていくことこそ学びだと思うのです。

 (もちろん、学び方が身についていない低学年の頃はある程度の導きは必要ですし、学ぶ内容を細かく刻んだり短いスパンで確認を繰り返したりといった配慮が必要なことは論を待ちませんが。)

 教材を研究することも大切ですが、目の前の子供たちがどう伸びているかをつぶさに見るべきなのです。「自分たちの作った教材や指導計画に子供たちを合わせる」のではなくて、「目の前の子供たちがさらに伸びるためにどのような教材を準備し、どのような指導計画にするべきか」にエネルギーを裂くべきなんです。そのための「教材作りや指導計画を作る練習」を大学で学ぶのです。自分(達)が作ったものを絶対視していてはいけないと思うのです。

 

 「宿題」というものには、特に指導者の考え方が如実に反映されていると思います。行った学習を「可視化」することしか考えていないと、「目に見えるもの」を重視することになります。ワークを3回やりなさいとか、10回書いてきなさいとか、教科書を写しなさいとか、ノート1冊分書きなさいとか。こうした宿題が意味を持たないとまでは言いません。その指導者なりの宿題の意味合いを(「賛同できるかどうか」は関係なく)、明確な根拠を持って説明できるのであれば良いと思います。私が子供達の指導に携わるようになって四半世紀が過ぎましたが「物量大作戦」の宿題で、そこまで意味を見いだせる宿題は見たことがありません。

 頭の中でじっくると考える。1週間ほど自分で考えて取り組んだことが「意味が無かった」と学ぶ。1問の何かの問題を1ヶ月以上考える。同じ本を繰り返し読む。違う人からのアドバイスを比較検討しやってみる、、、。物量大作戦ではできないことをいくつか挙げてみました。ちなみにここに挙げた学びの例はすべて「私の経験」です。こうした学びを認めてもらえる環境にあったこと。これは今の教育の現状を考えるに幸せな方だったんだと思うようになりました。

 

 私自身は「そろばんでの教育」を通してこの学びの入り口を伝えたいと思っています。宿題は出しますし、「書く」宿題もあります。その意味合いはいつでも保護者の皆様に説明できます。(絶対に正しいとも思っていませんが、私なりの根拠もお伝えします)

 揺るがない基礎を身につけると、その後の学びは強いと思います。教え子も高3はいよいよ進路を本格的に決断し始めていますが、やはり身につけた力は生きているなと感じることが多いですね。そろばんの先生に相談に来てくれる生徒が少なくないこと。これは私の自慢であり誇りです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする