雲は完璧な姿だと思う。。

いつの日か、愛する誰かが「アイツはこんな事考えて生きていたのか、、」と見つけてもらえたら。そんな思いで書き記してます。

新価値創造

2014-08-06 02:54:48 | 勇気
誰もが知る大手製薬メーカーの管理職だったTさんは、
数年前に僕が働くエンターテイメント会社に転職して来ました。

エンターテイメントを基軸とする僕等の会社......業種は、
言ってみれば「水商売!?」の様なもので、
それも全国民、全世界に向けた大規模な水商売。
浮きも沈みも激しくて商品やコンテンツの入れ替わりも激しい。
確固たる経営基盤も有るようで、実は無くて。
流行りも廃りもつくり出すけれど、流行り廃りの影響も受けやすい。
投資家などからしたら最も慎重になってしまうような、
何かと判断が難しい業種。業態。
もう毎日、一分一秒が生き残りをかけた戦争。戦場。
イワユル「生き馬の目を抜く」ような世界。
ちょと言い過ぎ!?か。でも、遠からず。

大手製薬会社とは真反対の概念の中にある、
そんな業種世界に転職して来たTさん。
前職でのキャリアも長く、カナリの上役でもあったハズ。
それなりの安定した収入もあって、
二人の子供もいて家庭も含めて安心出来る環境だったはず。
「それなのになんで転職なぞをぉぉ?」
と、数人の親しい仲間で集まった昨夜の食事会で聞いてみると......



「昔タップダンスをしていたことがあったんですよ。
それでそんな世界にずっと興味と憧れがあったのと、、
あと、奥さんも理解してくれて、
後押しもしてくれたから......」



と。



「確かに前の会社で働いている時は生活も安定していて、
収入にも満足していて。
このままの環境でいる方が安心だ......
というのは誰よりも奥さんがそう思っていたんだけど、
それでも俺が転職の相談をした時には
“自分の思うことを自由にすればいいよ”
と言ってくれて。
それで踏ん切りもついて思いきって転職したんですよ。
明日死んでも後悔しない様に」



そんなTさんはウチの会社に来てからはカナリの苦労をしていました。
マッタク勝手の違う世界に有る程度の年齢で来たワケですから......
それは本当に大変だったと思います。



「新設の予備的なセクションに入ったもんだから
経費もマッタク認められなくて。
入社して最初の一年間は携帯電話代も出してもらえなかったんですよ」



僕は初めて聞く自分の会社の別セクションの実態にちょっと驚きながらも、
そのまま話しを聞きました。



「......それで、、それでも早く実績を出して、
皆に認めてもらおうとも思っていたから、
入社してからは人脈作りや営業やらで食事会や飲み会も沢山あって。
それで、経費を提出しても実績が無いから、、、
という理由で認めてもらえず突き返されるし、もう半分ヤケで。
プライドなんかもあったから
前の会社の退職金を全てそんな経費に回しちゃってたんです......
そんな生活を一年して、
で気がついたら退職金も貯金もあっという間に無くなっていて。
それでも上司からは
“実績が出ていないから経費は認められない”
と言われ続けていて......前はね、自分が可否を出す方だったのに......
セクション的に接待的なことが多かったので
先方にお金を出させるわけにもいかなかったんですよ。
しかも付き合いには重役、社長クラスが多かったし。
お店の値段が半端無いの。毎度。
2年目からはアクセサリーとか家財道具とか、
お金に換えられそうなものは皆お金に換えていたんです。
自分には仕事人としてのプライドもあったし。
それでなんとかお付き合いをしていたんですよ。アチコチと......」



「......そんなセクションだったの!?
信じられん......同じ会社で。。
俺知らなかった。
それさ、家とか!?大丈夫だったの?」



「奥さんはずっと何も言わないで付合ってくれてました。
今はドン底でキツい時だから......ごめんね。。と。
俺はそう言うしかなかったのですけど、
奥さんは何も言わずに製薬会社時代とはマッタク違うキツイ生活に
何の文句も言わず付合ってくれてました」



実はつい最近も彼は会社でかなり辛いことがあって、
それはハタから見るに彼が「悪い」というような事では決して無いのですが、
彼は会社を辞める、辞めない、、としばらく深く思い悩んでいました。
それでも「辞めない」という判断をしたのは、
これまでして来た色々な思いや我慢。仕事人としての誇り。
私的な貯金をハタイテ迄して築き上げてきた人脈と大きなプロジェクトも
最近やっと順調に進みだしたからでした。
「ここで辞めるわけにはいかない......」
と。そんなことがTさんに辞職を思いとどまらせた理由でした。
「苦労をかけた家族にもやっと恩返しが出来るハズだから......」
と。Tさんはそんなふうに考えたそうです。



「最後には家で売れるようなものも無くなっちゃって。
それで、今思うとその頃がドン底だったような気はするけど、、
外食なんてもう殆ど出来なくなっていて。
家でもあまり美味しいものは家族に食べさせられていなくて。
それでも、タマには外食を......と、子供達を連れて......
その時は松屋に行ったんですよ。
でね、久々の外食で、ファミレスでもなく、
牛丼を食べさせたんです。家族に。一人400円ぐらいです」



「......うん。。」



「それでその時、小さい子供達が、
牛丼食べながら俺にこう言ったんですよ。
牛丼美味しいね!とても美味しい!って。
奥さんがそれ見て笑ってて。
俺ね、、ソレで、、初めて家族の前で泣いちゃって。。
ごめん。。って気持ちがあふれて来て。。
松屋で泣いちゃったんですよ。」



「。。。」



「その時の気持ちが今の俺を支えてるんですよね。
ソレ迄が恵まれすぎていたとは思うけど、
自分のワガママで家族に辛い思いをさせちゃって。
でも、それで色んなこと学べたしね。
感謝してるんですよ。今は。
そんな事にも。マジで。」



上を見ても下を見てもキリがなく、
世界にはこの瞬間も生きるか死ぬか
空腹や病気、戦争災害に苦しんでいる人が沢山いるのだと思います。
不自由な体で懸命に生きる人も
お金に困って途方に暮れている様な人も、
きっと沢山いると思います。
経済的には裕福でも、家族や親族、時に家系や社会的に
大きな問題を抱えながら生きている様な人も沢山いると思います。
それでも、
どんな人もソレゾレの環境の中でソレゾレの力を精一杯働かせて、
ソレゾレの器に入れられるイッパイイッパイの水を
毎日溢れんばかりに注ぎ込んで生きている

ということに関してはアマリ変らないのではないかな......と思います。
ソレゾレの環境と状況と人生を、
ソレゾレがソレゾレの持ち得ている力と懸命さでもって生きているということです。
その一点に関しては平等だと思えるということです。



明日はTさんのために、
京都のとあるクライアントさんの所へ行ってこようかと思っています。
Tさんの仕事をより大きなものとするためにも僕は明日、
自分に出来るだけのことをしっかりとやってこようと思っています。



そのクライアントさんに明日持ち込むプレゼンシート。
通常のシート資料とは別にエンタメ会社の企画書らしく一風変わった
京都らしい「絵巻物」にしてみました。
「お土産」的に。

タイトルは「新価値創造」

Tさんや自分達のチームのためにも。
大好きな京の都のためにも。
必ず、新たな価値を創造したく思います。

我々は、
あまりに「ちゃらんぽらん」ではありますが、
生き馬の目を抜く世界に生きる人間でございます。

あまりに「馬鹿者」ではありますが、
ただの馬鹿にならぬよう、
日々頑張っている次第でございます。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Lica★)
2019-07-23 10:20:04
いつもすみません。
サーフィンして飛んできてしまいました。。

前回、井伊様の御墓参りの件でお世話になってから
大きく事が動き、
一介の音楽教室教師だった私は今、企業の要も兼任しています。

どう足掻いても、自分で分かってしまいました。
要だと。血筋的にも、立場的にも、人間的にも。。
また、世代交代、価値観の変遷の方でも。

この度こうしてまたIさんに吐露してしまうのは、
リニアの件です。

私は親族代々の企業の娘です。
うちの会社は電気部門があるのですが、
リニアに関わる事になるようなのです。

話を聞いた時、本来なら会社の人間としてよくやった!と喜ぶべき事ですが、ひどく胸が痛みました。
今もです。。

今回なぜ、今、私がこのポジションにいるのか。
居なければならなかったのか。

「中断」の記事から様々に飛んで学び、
点と点が繋がりそうな気がしています。

こんな私に何が出来るのか…
今はまだ具体的には分かりません。。
けれど、またきっと見えて来るのだろうと希望を持って
今はただ祈り、今出来ることを頑張ります。

罪悪感が拭えないので、変えていきたいです。
私も新価値を、創造していきたいです。

ありがとうございました。
Lica★さんへ。 (amenouzmet)
2019-07-23 13:17:07
100悪いと思うことをしたら、101良いと思うことをする。
その1つ多い分、その色は善である、と。
神々はよくそんなことを言います。
Unknown (Lica★)
2019-07-23 19:10:16
神々の優しさ、身に染み入ります。
ありがとうございました!!
Lica★さんへ。 (amenouzmet)
2019-07-23 19:17:14
こちらこそー

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