雲は完璧な姿だと思う。。

いつの日か、愛する誰かが「アイツはこんな事考えて生きていたのか、、」と見つけてもらえたら。そんな思いで書き記してます。

秤の真実

2013-09-16 00:09:16 | 感動
これ......
ですね、コレ......
一見何の変哲も無い、この古めかしい秤(はかり)。

先日、ちょっと作りたいモノが浮かんで来てしまい、
セコセコと作ったプレゼン資料とパートナーのiPad君を抱え、
黒板用のチョークやマーカーの製造や卸を手掛ける
「日本理化学工業」
という会社さんにアポイントをとってお出かけをして来ました。
その時に

「せっかくですから、、」

と、オフィスと同じ敷地内にある工場の方も
丁寧に案内をして頂いて。
その広い工場の中で、僕が何故か?真っ先に目が行き、
不思議と気持ちまでが釘付けになってしまった......
というモノが、この秤なのです。

実は、僕の実家は鉄工所でして
こちらの工場と全く同じ様な場所を毎日の遊び場として育った僕には、
この秤は、
よーーーく見ると、
ちょっと普通でないところを瞬時に感じ取れてしまうのです......

それは......

色。

特に目盛の下に置いてある「丸い」2つの「おもり」の色。

普通は「鉛色」した鉄を削り出した様な、
錆びついていたりもする様な「タダの」重りのハズなのですが、
何故か?目立つ2色に......「赤」と「青」に塗られています。
僕が広い工場で足を止めてジッとこの小さな秤に見入っていると、
案内をしてくれていた理化学工業の「OY」さんが
ニコニコと僕に聞いてきました......



「uzmetさん、その秤、少し普通と違うんですよ。
分かります?(^^)」

「んん!?!(◎_◎;).......うーーんと、うーーうんと、、
重りに色がついてますよね」

「そうです(^^) それ、どうしてだかわかります?」

「むぅぅんーーと、、、うーーーんと、
うーーーんと。。( ̄。 ̄;)。。」



その秤さんをさらにジィィーッと見つめる僕ちん......



「......わかりません(T . T)ぶぇ...」



するとOYさんは
「この秤はですね、、」
と、僕の胸を強く打つ話を聞かせてくれました————————



——————この「日本理化学工業」という会社さんは、
冒頭でも記したチョークやマーカーの製造、
卸で日本の30%以上のシェアを誇る会社さん。
商品特性上、この会社さんの大きな顧客というのは、
学校や様々な施設関係になります。
昔、どの学校でも使われていた
「カツカツ!」
と音を立てて黒板に字を刻んでいたチョークも、
最近では粉の出ない
「ダストレスチョーク」
と呼ばれるモノが主流となっていて。
そのチョークを開発したのもこの会社さん。
当然シェアもトップ。

マーカーの方も、
最近はアクリルやガラス板などであれば何にでも書けて、
消すのも布やハンカチ一枚あれば大丈夫!
......というようなものに変わってきているようで。
わかりやすい所で言えば、クリスマスなどが近づくと、
色々なお店の窓にデコラティブな絵や、
グラフィティちっくなものなどが描かれたりしている、
アヤツ達がマサにソレです。
書いたり消したりが自由自在のマーカーさん。
「キットパス」という商品名で、
そのマーケットにおいても理化学工業さんが
ほぼ独占的なシェアを持っているようでした。

この日お会いした商品開発、兼、営業担当者の「OY」さんは、
実を言うとかなり以前から「個人的なご縁」があった人で。
我が家のリビングにある壁一面の大きな「黒板」を
メチャクチャ無理を言って!?(@.@)
作ってくれた人になります。
その、最初にお会いした時に、OYさんは、

「長い間この仕事して来ましたが、
一般住宅のリビングにこんなの作ったのは初めてです。
とても不思議ですね~( ̄O ̄;)」

と、

「コイツ変わり者じゃね!?」

と、
僕はOYさんにかなり強い印象を残してしまっていたようなのですが。
おかげで、その後も沢山のチョークやマーカーをタダで頂いたり!
少しばかりのお付き合いをさせて頂いていた方であって。
それで先日も、
僕のアポイントに快く時間を割いてくれたというわけなのです。
暫く会っていなかったので、最初は

「なんだか久々ですね......」

という感じのトークで盛り上がり、
肝心の本題まではナカナカ辿り着けないような感じでもありました、
が、とても楽しいひと時でもありました。(^_^)
そして、そんな仕事話が一通り終わった後に、
OYさんは町工場を少し大きくした様な工場を、
色々な説明をしてくれながら案内してくれました......
というのが冒頭の話しとなります。



——————そこで、僕が足を止め、
マジマジと見入ってしまった
「秤」さんに出会うこととなるのです————————



工場の中では生産ラインに沿って座り、
無駄口一つ話さず黙々とモノ作りに勤しんでいる人達が沢山居ました。
それぞれに課せられた業務を、それはもう、
機械と見間違うような早さと正確さと、丁寧さでこなしていました。
その雰囲気は作業員というよりは「職人」さんというオーラ。
そして......実は......
この理化学工業さんの作業員......社員の皆さんというのは、
ほぼ全員が、体の機能に何らかの不全を持った、
国からも認定を受けている障害者の方々なのです。



OYさんによると、
「日本理化学工業」さんは、
もう50年以上前から主に知的障害者の皆さんを雇用していて。
その数は現在では全社員の7割を超えているとのこと。
知的障害者の方々というのは、
特に数字関係の認知や認識に難があるらしく、
数を覚えたり、
その意味を理解したりすることがとても難しいようなのです。
その中で、写真の秤(はかり)は、
数字が理解出来ない障害者の皆さんでもちゃんと規定の数字や
定量通りに作業が出来るよう、
理化学工業の皆さんが必死に考え出した「秤」なのだそうです。
OYさんはこう言ってました。



「数字が理解出来ないのであれば、色で。
皆さんをよく見ていると、色ならちゃんと理解出来ているんですよ。
会社に来るまでに信号とか、バス停の標識とか、
そういうものはちゃんと理解出来ているんです。
だからまず、計らなければいけない二種類の材料を
”赤” と “青” の大きな入れ物に分けて、
赤い入れ物に入っているこの材料は同じ赤色の重りで計って、
バランスをとって混ぜてもらう。
青い方に入っている材料は青い重りで計ってもらう。
そういう色のキマリだけ覚えてもらったんです。

そしたら、、

まったく秤が使えなかった皆さんが使えるようになったんですよ。
ちゃんと決まった重さ、分量でそれぞれの材料を分けて計れて、
混ぜることが出来たんです......」



さらにOYさんはこう続けてくれました......



「その時、私等は確信したんですよ。
イケル!って。
皆ちゃんと働けるって(^^)
それってですね、
今まで私等が考えることが浅かったんじゃないのかな、って。
そうも思ったんです。その時に。
こうしてちゃんと考えれば、
ちゃんといい方法が見つかるじゃないか、って。
そう気付いたんですよ。
私達が浅はかだったんじゃないのかな、って。
ソレでですね、
重さを量るという事以外でももう少し考えることが出来れば、
他にも皆が出来ることがあるんじゃないのかなって、
そうも考え始めたんですよ。

uzmetさん。
もしuzmetさんがこんな知的障害がある皆さんに
“時間” を認識させるにはどうします?
彼らは数字がよく理解出来ないから、
普通の時計も良く解らないんですよ。
文字盤が数字になっているから時間が読めない。
デジタルもダメ。
そんな彼らに、この素材は機械で何分間だけ混ぜるんだ、
何時間混ぜるんだ、、、と教えたい。
そう思った時、uzmetさんはどうします?」

「もふふ!?(@_@;)......
うーーーんんと、、うーーーーーんと。。。
うーーー..........」

つづく......



秤と同様に色分けがしてある大きなチョーク素材入れ。
秤の置いてある台のすぐ下に置かれています。
作業中に秤と同じ視界の中に納められるのと、
余計な動作が生まれ無い様に秤のすぐ傍に合理的に置かれています。

僕は、この工場のアチコチに、
紛れも無い「」を感じていました。
それは、工場の隅々にまで漂っていて、
透明な輝きで働く人達を包んでいました。

人の為に「ちゃんと考える」という愛。

「ちゃんと」の深さ。

そこに愛が生まれるのでしょうか。

日本理化学工業さんがどうしてこの様な雇用形態になっていったのか......
次回、知っている限りでココに書ければと思っていますが、
ソレも本当に、心打たれるお話しでした。

この日の訪問とOYさんが話してくれたことは
偶然の出来事ではありましたが、
僕の中にあった価値観を少し磨き上げてくれました。
勿論、より輝く!?と思われる方に(^^)です。


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