雲は完璧な姿だと思う。。

いつの日か、愛する誰かが「アイツはこんな事考えて生きていたのか、、」と見つけてもらえたら。そんな思いで書き記してます。

宇梶さんの味 2

2023-12-01 00:46:38 | 素敵
他に紹介していたお店は、
博多の鉄鍋餃子のお店と、
やはり地元の「柴さん」という焼き鳥屋さんでした。
宇梶さんの人生においては、
そのお店の「煮込み」が忘れられない最高の一品であるのだと。
溢れそうになる涙を堪えながら話していた宇梶さんのそのお話は......

……もう少しだけ続きまする(^^)




中学生の時から家を飛び出していた宇梶さんは、
新聞配達など色々なバイトをやっていたそうです。
でも、いつもハラペコの状態で。
そんな頃にいつもご飯を食べさせてくれていたのが、
その「柴さん」というお店だったのだそうで。
お店の女将さんは宇梶さんがお店のトイレに行くと、
足早にササッとやって来て、
クシャクシャに丸まったティッシュを
両手で握手をするように宇梶さんに握らせるのだそうです。
その渡されたクシャクシャのティッシュを開けると、
中には5000円札とかが入っていて

「美味しいもん食べなさい!」

と、そんなことを言われ。
宇梶さんはいつも

「おばさん!」

と呼び止めて、
いただいたものを返そうとしていたらしいのですが、
女将さんはいつも駆け足でキッチンの中に
戻っていってしまうのだそうです。

そんなお店に、
更生施設から出て来た宇梶さんが最初に挨拶に行った時。
店主である柴山幸司さんに

「おまえこれからどうすんだ?」

と言われ。
宇梶さんは

「俺、俳優なりたいんだ」

と答えたらしいのですが、
その時に店主のオヤジさんは

「ばかやろー!」

と、すごい剣幕で宇梶さんに怒鳴ってきて。
宇梶さんは

「え、なんで怒鳴られるの?」

と思っていたところ、
オヤジさんはこう続けたそうです。



「男がそうやって、一生かけていく、
そういう報告をする時にヘラついた顔で言うんじゃねぇ!
10年でもやってから言え!
そう言うことは!」



それで、
俳優になって10年が経った時に、
宇梶さんはお店のカウンターで

「そういえば、俺、10年経ったよ」

とオヤジさんに言ったらしいのですが、
そう言うなり

「今度の日曜空いてるか?」

とオヤジさんに聞かれ。

「なんだべ?」

と思いつつ、当日、
オヤジさんに呼ばれた街の集会所に行ってみると、
近所の人達50人ぐらいが呼ばれていて。
オヤジさんはその全員に寿司や沢山のご馳走をふるまい、
宇梶さんが10年頑張ってきたことを盛大に祝う!
という席を設けてくれたのだそうです。
その席で、普段は無口なオヤジさんが皆の前でマイクを握り、
こんなことを言ったそうです。

「皆さん、
みんなが知っている宇梶が俳優になって10年経ちました。
まだまだだけど、
頑張って10年やったから皆でお祝いしてくれ」

それを受けて、
宇梶さんは挨拶しようとしたらしいのですが、

「みなさん、、、」

と言い出した途端、言葉に詰まってしまい、
マイクを持ったまま皆の前で大号泣をしてしまったそうです。
番組の中でも、この話をしている時の宇梶さんは
溢れそうになる涙を必死に堪えていました。

その後、宇梶さんが飲んでいたら、
隣で飲んでいた背広を着た3人組の男性陣がいて。
女将さんがその人達に

「宇梶君、俳優頑張ってるんだよ」

と繋いでくれたのだそうです。
すると、彼らは

「え?しらねーよ。見たことねーよ」

と宇梶さんに言って来たのだそうで、
「売れないやつイコール低いヤツ」
みたいに色々なことを言われたのだと。
彼らはその後もそんな言葉を宇梶さんに何度も何度も
しつこく言ってきて、

「働きたくねーんだろ?」

みたいなことも言われ。
流石に怒りが込み上げてきた宇梶さんは、

「何か言い返してやろう!」

と、そうなった時に、
傍からオヤジさんが

「バカやろーーっ!」

と言ってくれたのだそうです。
宇梶さんは最初、
その背広を着た連中に言ってくれたのだと思ったらしいのですが、
しかし、それは宇梶さんに向けられたものだったようで。

「ナニはしたねーことしてんだ!」

と、そのまま続けて怒鳴られたのだそうです。
宇梶さんは

「なんで?おれ?」

と思ったそうなのですが、でも、
オヤジさんが凄く怒っているので、一応

「すいませんでした......」

とその場は皆に謝り。
すると背広連中は

「へっ!」

っと言って、
妙にシラケテしまった会場を出て行ってしまったのだそうです。
宇梶さんは悔しくて、

「おかしいよ!おじさん!
俺、何かバカなことした!?
散々言われていたの聞いてたんだろ?
おじさんも聞いてただろ?」

とオヤジさんに詰め寄ったらしいのですが、
オヤジさんは

「聞いてたよ」

と。
そして、続けて、

「役者ってのは落ち込んだり、
元気ない人を元気にさしたり、
こうやって、いろんなことやるんだろ。
そういう、おまえ、
いくらな、お前が言われてたのはわかるけど、
そこを、こう、なにか、違うものに変える、
そんなこともできねーでナニが役者だ。
このやろう」

と言われたのだと。
宇梶さんはそれを正論だと思い、
グウの音も出なかったと。
同時に、自分は未だ有名作品などにも出ていないのに
オヤジさんは自分のことを役者だと思ってくれているんだ......
と、そうも感じたそうです。
なので、

「わかったよ。。」

と言って。
そのまま飲んで。

「ありがとうございます」

と、オヤジさんにはそう返答したそうです。
そんなオヤジさんは今はもう亡くなられているとのことでしたが、
今もお弟子さんが「栗太郎」という焼き鳥屋を
引き継いでやっているとのことでした。
TVを見ながら、
僕もオヤジさんの煮込みを食べてみたいなぁ......
なんて、思ったりもしたわけなのです。(^^)



俳優「宇梶剛士(うかじたかし)」さんのお話を聞いていたら、
なぜか?この映画作品をとても見たくなりました。

「鉄道員(ぽっぽや)」
高倉健(たかくらけん)主演。
降旗康男(ふるはたやすお)監督作品。

宇梶さんは勿論、
優れた俳優さんというのは、皆、
役柄を超えたところで人としての味を感じられるように思うのです。
それは、その人が歩んできた道から培われ、
染み込んだ「人間味」というものなのでしょうか。
「ぽっぽや」はそんなことをとてもよく感じられる作品として
僕のライブラリーに置かれています。
この作品に入り込んでいる高倉健さんの人間味と人間力が、
僕はDVDを買ってしまうほど好きなのです。
ええ。ええ。(^^)


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (福岡の通りすがり)
2023-12-01 11:16:24
夜勤中にこそこそと読みながら泣いてました。

ある意味、実の親以上の暖かさと利他の男気。

心コロっと奪われます。

自分も店長みたいな人に怒られたいです〜。


感動を伝える為の大変な文字起こし、ありがとうございました。感極まってます😭
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福岡の通りすがりさんへ。 (amenouzmet)
2023-12-01 11:17:45
(T . T)ぶぇ。
返信する
Unknown (鳥取の通りすがり)
2023-12-01 19:43:31
   こんな 人に (健さんみたいな人) 
出逢えれたら それをしあわせと 呼ぶのでしょうか
  
  ( 黄色いハンカチがヒレヒレ ハラハラ ) 
    (T . T)ぶぇ。 (T . T)ぶぇ。

宇宙で一番の 健さんファンの 唐獅子牡丹より
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鳥取の通りすがりさんへ。 (amenouzmet)
2023-12-01 21:50:27
こ、今度は、と、鳥取の!?
通りすがりさん!?
と、通りすがりが流行ってるのきゃ!?(゚o゚;;
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Unknown (鳥取の通りすがり)
2023-12-02 08:24:29
毎日 通りすがってますよ (●'◡'●)

先日 札幌の方が 健さんがよく通っていたカフェにいったら ぽっほやの撮影に関わった方が富良野から来られていて 健さんの思い出話に花が咲いていたそうです。

健さんも福岡の中間市の出身なので 通りすがられたのかなぁ と ついつい (T . T)ぶぇ となりました。
鳥取への通りすがりもお待ちしております ブぇ。
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鳥取の通りすがりさんへ。 (amenouzmet)
2023-12-02 11:25:46
鳥取には大阪に住んでいた頃によく行っていました。
大切な思い出も多い地です。
また行きたいですねー(^ω^)
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