2022年6月に中国公開された朱一龍主演の映画『人生大事』がNetflixで配信されています。Netflixでの日本語タイトルは『星明かりを見上げれば』で好評を得ています。
この映画は中国で2022年6月24日に公開され、興行収入17.12億元(約340億円)を記録しており、2022年度の興行収入ランキング4位につけています。
映画『星明かりを見上げれば』(原題『人生大事』)
主演:朱一龍、楊恩又(子役)、王戈、劉陸、羅京民
監督・脚本:劉江江、監修:韓延 時間:112分 公開日:2022年6月24日
あらすじ
葬儀屋の息子・莫三妹は稼業を毛嫌いしている。しかし服役歴のある莫三妹が戻る場所は実家の葬儀屋しかなく、やむなく仕事、つまり葬儀を請け負う。仕事先で老婆の遺体の手入れしていると、突然タンスから幼い少女が飛び出してくる。「おばあちゃんを返せ!」と。死んだ老婆は少女の祖母で、少女の親代わりだった。老婆の葬式が済んでも、火の粉を散らしたような気性の少女を親戚たちは持て余している。葬儀屋の莫三妹は押し付けられるように少女を預かることになるが、やがて不思議な情が芽生えて、莫三妹、少女、仕事仲間2人を合わせた4人で家族のように暮らし始める・・・。
主演俳優 朱一龍(チュー・イーロン) 葬儀屋の息子・莫三妹役
朱一龍はプロフィールによると、1988年4月16日生まれ、身長180cm、体重62kg、出身地は武漢、北京電影学院卒です。
2006年に名門・北京電影学院演劇科に入学、2010年に卒業、在学中から多数のドラマやウェブシネマに出演していますが、俳優としてブレイクしたのは2018年にウェブドラマ「鎮魂」が配信されてからです。
「鎮魂」はブロマンス・ファンタジードラマで、この作品をきっかけに、朱一龍は爆発的に売れました。演じた役は大学教授で、ドラマ公開時、朱一龍はすでに30歳になっていました。中国芸能では、長い間脇役が多かった俳優が、30歳前後になって突然ブレイクするケースが少なくありませんが、朱一龍はまさにその代表例です。「鎮魂」のヒット以来、朱一龍は主役クラスの俳優として活躍しています。
過去記事:中国配信ドラマ「鎮魂」が大ヒット~BL・耽美から“兄弟情”へ
ルックスのイメージから、温和で繊細な美形役を演じることが多かったですが、『星明かりを見上げれば』では従来のイメージとまったく異なる、粗暴な社会のはみ出し者を演じています。
映画『星明かりを見上げれば』の舞台は武漢です。
朱一龍が演じる莫三妹と莫三妹の父親の会話は、北京語(普通話)ではなく武漢方言で語られています。
朱一龍は武漢出身なので、自ら武漢方言を話しています。
一方、少女・小文(シャオウェン)は劇中で四川方言を話しています。小文の亡くなってしまった祖母も四川方言を話しています。
設定としては、四川から武漢に出てきた祖母に育てられているため、孫娘の小文も日常的に四川方言を話している、ということかと思います。
武漢は内陸の大都市なので、様々な出身の人が住んでいてもおかしくありません。
小文(シャオウェン)を演じた子役の楊恩又が四川省成都出身で、もともと四川方言を話せたため、そのような設定になったのかもしれません。
小文(シャオウェン)役を演じた楊恩又
プロフィールによると楊恩又は2013年10月16日生まれ、四川省成都出身。2018年に社会実録番組の再現ドラマから芸能活動をスタート。広告モデルやショートフィルムの出演歴がある。『星明かりを見上げれば』の名演で一躍注目を浴びましたが、本格的な演技は本作が初めてと言われています。現在9歳で、逆算すると撮影当時満7歳だったことになります。
『星明かりを見上げれば』のクランクインは2021年5月27日、クランクアップは2022年8月1日と発表されています。
本来、この映画は2022年4月2日に公開される予定でした。ところが、3月以降、深センや上海などの大都市がロックダウンに入り、各地のコロナ規制が厳しくなったため公開が延期されました。延期を経て、改めて設定された公開日が2022年6月24日です。
なお、上海は当時まだロックダウンの影響が残っており、映画館は全面休業状態にありました。上海の映画館が再開したのは7月8日です。
当初のポスター。2022年4月2日に公開予定でしたが、公開直前に公開を延期しました。
本作のような大作とは言いがたいヒューマンドラマが興行収入17.12億元(約340億円)を上げるのは快挙です。
しかも、コロナ規制の影響を相当受けています。一方で、コロナ規制があったために、他に目ぼしい新作映画が上映されなかったので、興行収入が伸びたという見方もあります。
葬儀業の男性が主人公という設定から「中国版おくりびと」と言われることもありますが、人物関係の設定が「うさぎドロップ」に似ており、ポスターも類似性が見られるという指摘もあります。
非常によくできた映画ですが、家族ドラマ、ヒューマンドラマとしては、ストーリーがものすごく斬新というわではありません。
ただ、葬儀屋という仕事の主人公を通じて、市井の人々の暮らし、商店と住居が一体化した雑然とした路地、中国独特の風習などを美しい映像でテンポよく描き出しており、映像に説得力があります。
一貫して庶民を描きながらも、映像の作りが異様に洗練されているのは、昨今の中国映画ならではです。
ただし、ストーリーとしては、ひっかかるところがあります。具体的にいうとラストの展開が妙に安直に感じられました。
しかしそれは、中国の法律が関係しているものと思います。中国では2020年に民法各法をとりまとめた「民法典」が正式に施行されました。「民法典」には親が子どもを扶養する義務だけではなく、子どもも親を扶養する義務があることが明確に定められています。
つまり、子どもは、将来的に実の親を扶養する義務があり、法律上の継父継母がいてもその義務は変わりません。この映画は、2022年の中国ファミリードラマとして、中国の法律、道徳観と矛盾しないようなラストになっています。
この映画は中国で2022年6月24日に公開され、興行収入17.12億元(約340億円)を記録しており、2022年度の興行収入ランキング4位につけています。
映画『星明かりを見上げれば』(原題『人生大事』)
主演:朱一龍、楊恩又(子役)、王戈、劉陸、羅京民
監督・脚本:劉江江、監修:韓延 時間:112分 公開日:2022年6月24日
あらすじ
葬儀屋の息子・莫三妹は稼業を毛嫌いしている。しかし服役歴のある莫三妹が戻る場所は実家の葬儀屋しかなく、やむなく仕事、つまり葬儀を請け負う。仕事先で老婆の遺体の手入れしていると、突然タンスから幼い少女が飛び出してくる。「おばあちゃんを返せ!」と。死んだ老婆は少女の祖母で、少女の親代わりだった。老婆の葬式が済んでも、火の粉を散らしたような気性の少女を親戚たちは持て余している。葬儀屋の莫三妹は押し付けられるように少女を預かることになるが、やがて不思議な情が芽生えて、莫三妹、少女、仕事仲間2人を合わせた4人で家族のように暮らし始める・・・。
主演俳優 朱一龍(チュー・イーロン) 葬儀屋の息子・莫三妹役
朱一龍はプロフィールによると、1988年4月16日生まれ、身長180cm、体重62kg、出身地は武漢、北京電影学院卒です。
2006年に名門・北京電影学院演劇科に入学、2010年に卒業、在学中から多数のドラマやウェブシネマに出演していますが、俳優としてブレイクしたのは2018年にウェブドラマ「鎮魂」が配信されてからです。
「鎮魂」はブロマンス・ファンタジードラマで、この作品をきっかけに、朱一龍は爆発的に売れました。演じた役は大学教授で、ドラマ公開時、朱一龍はすでに30歳になっていました。中国芸能では、長い間脇役が多かった俳優が、30歳前後になって突然ブレイクするケースが少なくありませんが、朱一龍はまさにその代表例です。「鎮魂」のヒット以来、朱一龍は主役クラスの俳優として活躍しています。
過去記事:中国配信ドラマ「鎮魂」が大ヒット~BL・耽美から“兄弟情”へ
ルックスのイメージから、温和で繊細な美形役を演じることが多かったですが、『星明かりを見上げれば』では従来のイメージとまったく異なる、粗暴な社会のはみ出し者を演じています。
映画『星明かりを見上げれば』の舞台は武漢です。
朱一龍が演じる莫三妹と莫三妹の父親の会話は、北京語(普通話)ではなく武漢方言で語られています。
朱一龍は武漢出身なので、自ら武漢方言を話しています。
一方、少女・小文(シャオウェン)は劇中で四川方言を話しています。小文の亡くなってしまった祖母も四川方言を話しています。
設定としては、四川から武漢に出てきた祖母に育てられているため、孫娘の小文も日常的に四川方言を話している、ということかと思います。
武漢は内陸の大都市なので、様々な出身の人が住んでいてもおかしくありません。
小文(シャオウェン)を演じた子役の楊恩又が四川省成都出身で、もともと四川方言を話せたため、そのような設定になったのかもしれません。
小文(シャオウェン)役を演じた楊恩又
プロフィールによると楊恩又は2013年10月16日生まれ、四川省成都出身。2018年に社会実録番組の再現ドラマから芸能活動をスタート。広告モデルやショートフィルムの出演歴がある。『星明かりを見上げれば』の名演で一躍注目を浴びましたが、本格的な演技は本作が初めてと言われています。現在9歳で、逆算すると撮影当時満7歳だったことになります。
『星明かりを見上げれば』のクランクインは2021年5月27日、クランクアップは2022年8月1日と発表されています。
本来、この映画は2022年4月2日に公開される予定でした。ところが、3月以降、深センや上海などの大都市がロックダウンに入り、各地のコロナ規制が厳しくなったため公開が延期されました。延期を経て、改めて設定された公開日が2022年6月24日です。
なお、上海は当時まだロックダウンの影響が残っており、映画館は全面休業状態にありました。上海の映画館が再開したのは7月8日です。
当初のポスター。2022年4月2日に公開予定でしたが、公開直前に公開を延期しました。
本作のような大作とは言いがたいヒューマンドラマが興行収入17.12億元(約340億円)を上げるのは快挙です。
しかも、コロナ規制の影響を相当受けています。一方で、コロナ規制があったために、他に目ぼしい新作映画が上映されなかったので、興行収入が伸びたという見方もあります。
葬儀業の男性が主人公という設定から「中国版おくりびと」と言われることもありますが、人物関係の設定が「うさぎドロップ」に似ており、ポスターも類似性が見られるという指摘もあります。
非常によくできた映画ですが、家族ドラマ、ヒューマンドラマとしては、ストーリーがものすごく斬新というわではありません。
ただ、葬儀屋という仕事の主人公を通じて、市井の人々の暮らし、商店と住居が一体化した雑然とした路地、中国独特の風習などを美しい映像でテンポよく描き出しており、映像に説得力があります。
一貫して庶民を描きながらも、映像の作りが異様に洗練されているのは、昨今の中国映画ならではです。
ただし、ストーリーとしては、ひっかかるところがあります。具体的にいうとラストの展開が妙に安直に感じられました。
しかしそれは、中国の法律が関係しているものと思います。中国では2020年に民法各法をとりまとめた「民法典」が正式に施行されました。「民法典」には親が子どもを扶養する義務だけではなく、子どもも親を扶養する義務があることが明確に定められています。
つまり、子どもは、将来的に実の親を扶養する義務があり、法律上の継父継母がいてもその義務は変わりません。この映画は、2022年の中国ファミリードラマとして、中国の法律、道徳観と矛盾しないようなラストになっています。
鎮魂の片割れの白宇は「紳探(紳士探偵L)」で観ましたが、こちらはイメージ通りでした。二人ともとても雰囲気がある俳優さんですね。
最近は民国期のミステリーに嵌っていますが、日本で観られるのは数が少なくて残念です。
白宇はどの作品でもあんまりイメージが変わらないですね。WOWOWでやってる「風起隴西」という歴史智謀ドラマにチェンクン(陳坤)とダブル主演で出てますがちょっと難解なドラマです。
民国期ミステリー「河神」とかやってますか?「琅琊榜Ⅰ」のキャストで作られた「偽装者」という民国期スパイドラマがあります。すごく面白い作品なのですが、日本ではちょっとひっかかりそうな表現があるので、放送されてないかもしれません。
ミステリーとはちょっと違いますが民国がらみでは「司藤」(ラタン)というドラマも人気ありました。