いつか英国日記

英国を中心とした靴、鞄、時計、その他ファッションに関するブログ

batak ハウスオーダー No2

2011-02-06 04:05:02 | スーツ
色々コメントいただき
ありがとうございます。

早速昨日に続き
ハウスオーダーの詳細ディティールについてご紹介します。

ハウスオーダーとパターンオーダー
これほど違うものか、というのが
正直な感想です。
はっきり言ってパターンオーダーと
ハウスオーダーは全くの別の物と考えた方が
良いと思います。

まずは生地のアップです。
結構ざっくりした感じの生地ですが
とても打ち込みがあり重厚な生地です。



そして袖付けです。
左が以前オーダーした
パターンオーダーの物。
明らかに袖付け部分のラインが違います。



ハウスオーダーの方は袖付けの上部が
とても美しい曲線になっています。
正に職人の技量が問われる
重要な箇所のひとつだと思います。

そして肩ですが
パターンオーダーも多少前肩になっていますが
ハウスオーダーは
より前肩になっている印象があります。
滑らかな曲線を描いて袖が前方に伸びています。
これがヘビーオンスの生地であっても
ストレスを感じさせない要因のひとつだと思います。

そしてボタン付けとボタンホール。



ボタンホールが精緻です。
ボタンも裏を見ると
とても丁寧に取り付けられています。

そして袖周りです。



こちらもボタンホールが奇麗ですね。

そして袖裏。



恐らく袖裏の生地の素材とかは
ビスポークと同じ物が使われていると思います。

そして拘った、チケットポケット。



チケットポケットの裏にも
ちゃんと裏地と同じ生地が、はられています。
ここら辺の美しい仕上がりは
目を見張るものがあります。

そして、これぞハウスオーダーの意匠とも言うべき
ネームタグ。
バタクハウスカットではなく代官山メイドを示す
batak名のタグです。
これはビスポークと同じタグですね~。



上着について言えば
昨日もブログに書きましたが
正に肩に乗るフィッティング。
これだけ重い生地で
尚かつしっかりした副素材を使っていながら
まったく重さを感じさせません。
オフィスでデスクワークをしていても
上着を脱ぎたいと感じさせない仕立てになっています。

そして次はウェストコートです。
シンプルなシングルの物。



裏地は拘って
dunsfordの物にしてもらいました。
色は渋~い、バーガンディです。



ポケットの縫製です。



これも精緻ですね~。
とても奇麗です。

そしてパターンオーダーではあり得ない腹ぐり。



う~ん、、、メタボ、、、。
この処理が体に沿った奇麗な曲線を実現させています。

そしてウェストコートにも
ビスポークと同じタグが。



そしてトラウザースです。
ある意味、これが一番パターンオーダーと
違うかもしれません。

まずはウエスト周りです。



すぐわかるのが、パターンオーダーと比較して
腰回りの芯地の副素材が
かなりしっかりした物が入っていることです。

そして腰のストラップより後ろの部分が
ウェストバンドがなく、お尻の部分の生地が
そのまま腰上までのびています。

腰回りはアイロンワークでクセ取りをし
立体縫製で包み込むような作りになっています。
このトラウザースを履くと下半身が
袋で包まれている様な
着心地を感じます。
ここは全くパターンオーダーと違うところですね~。

そして内側の作りです。



これも又、まったく違います。
裏地がかなり丁寧に腰回り全体に
はられています。
見た目にも奇麗ですし
履き心地をも違います。
手で広げている部分
ブレイシーズ用のボタンの取り付けも
拘った作りとなっています。
反対側の面には
ビスポークと同じネームタグも付いています。

そしてファスナー。



イタリア riri製の物。
とてもしっかりした作りです。

そして、こんなところも違います。



裏の縫製を見るだけでも愉しくなるような美しさ。

そして、お尻のポケットの裏まで
生地のタグが。
凄い拘りです。



上記以外にも、全体に言えるのは
縫製のレベルが全く違うということです。
ハウスオーダーは
アトリエで職人が手縫いするビスポークと同じレベル。
そしてパターンオーダーは
ある程度大量に生産することを前提とした
ファクトリーメイド。
縫製のレベルが違うのは当然のことだと思います。

ということで結論は
ハウスオーダーには
やられてしましいました~。

ゼロから作るビスポークと
ある程度パターンが決まったところから
スタートするハウスオーダー。
しかし、形が決まってしまえば
その後の縫製の工程は両者とも
まったく同じだと思います。
この価格でその事を実現出来ているのは
素晴らしいことだと思います。

アトリエを見て感動したことは
かなりベテランの職人さんが生き生きとして
働いていたことです。

非常に高いレベルを求めるN寺氏と
それに技術で応える場を与えられた
ベテランの職人さん達。
きちっとした装いで物作りをしている職人さんを見ると
自ずと、とてもモチベーションが高い状態というのが
見て取れます。

この理想的とも言える
スーツ作りのビジネスモデル。
モデリスト兼カッターであるN寺師と
職人さん達の
お互い良い物を作ろうという気概が
相互に作用し合い
そして何よりお互いの信頼関係があって
成立している希有なビジネスモデルだと思いました。

これは他の所が、まねしようとしても
恐らく出来ないのではないでしょうか、、、

ということで
今後は1年に1着は、ハウスオーダーしたいと思います。

N寺さん、K部店長宜しくお願いします。




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22 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
素晴らしいですね。batak (francois.ani)
2011-02-06 14:33:29
いいスーツが出来ましたね。
生地といい、デザインといい、長く着れそうです。
エイジングする様が楽しみです。

一度阪急メンズ館のぞいて見ます。
返信する
やはりいいですね。 (紳士見習い)
2011-02-06 16:04:33
ベストとトラウザースの作りもやはりPOとは全然違うようですね~。
いつかは私も3PCで仕立てたいと思います。

そういえば最近、ハウスオーダーを値上げしたとハウスカットのスタッフ某氏から伺いました。
でもこのクオリティを考えれば多少の値上げは仕方がない気がしますね。

返信する
Unknown (うめっつ)
2011-02-06 22:41:54
らみいさん、こんばんわー

いつもながら、すごく丁寧でわかりやすい解説、感服いたします。
ハウスオーダーのすばらしさが、自分が手にしたかのような臨場感で追体験できるのもやはりらみいさんのブログだからですねぇ。

いやぁ、それにしても凄いですね、ハウスオーダーって。
自分はまだパターンオーダー止まりですが、将来是非ハウスオーダーにもチャレンジしたいですね。
打ち込みのしっかりした生地にも憧れます。
これからの変化も楽しみな逸品ができましたね!!
返信する
エイジング (らみい)
2011-02-06 23:41:32
francois.aniさん こんにちは。

今回のスーツ、大げさでなく
一生物になりそうです。
体に完全に馴染むのは
2~3シーズンかかるのでは
ないでしょうか?

まあ。これも愉しみのひとつですね。

イタリア系のスーツだと
出来上がった瞬間が頂点ですが
イギリス系のスーツは
(batakは日本製ですが
 その作りのコンセプトはイギリス系です)
正に、出来上がって
実際に身につけて
そして、段々体に馴染んでいって
本当に良くなっていく物だと
思います。

エイジング愉しみです。


返信する
値上げ? (らみい)
2011-02-06 23:47:08
紳士見習いさん こんにちは。

ハウスオーダー ジャケットも
ウェストコートもトラウザースも
全く別物ですね~。

但し、ウェストコートとトラウザースは
目に見える部分が違うので
ある意味分かりやすいですね。

ところで値上げですか?

アトリエであの工程を見ていると
ハウスオーダーの価格は
ビスポークと同じ価格でも
いい気がしてきます。

よって、多少の値上げは
調整の範囲内かと思います。
返信する
そうですか~ (らみい)
2011-02-06 23:54:12
うめっつさん こんにちは。

そんな、わかりやすいですか?
そうですか~ 何か照れますね~。

ところでハウスオーダー
本当に良いと思います。

大丈夫かとは思いますが
万が一、ハウスオーダー
バックオーダー多すぎて受付中止なんて
事態になる前に、早めに1着作っておくことを
お勧めします。

最初の1着目のハウスオーダーは
ヘビーオンスの打ち込みのある物を
お選びになると
ハウスオーダーの良さが
わかりやすいと思います。

そろそろ、春物を着る日も
近づいてきました。
是非、残された時間で
今回のスーツ、エイジングを進めていこうと思います。





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Unknown (通りすがりの者です)
2011-02-07 01:26:47
お久しぶりです。アクアスキュータムのトレンチコート以来でしょうか。

私もヘビーオンス服地にそそられて、リアブラウン&ダンスフォードのP&B Universalに入っていたプリンス・オヴォ・ウェールズチェックで一着注文してしまいました(パターンオーダーですが)。

 骨董通りのTailor&cutterにお願いしたので、いったいどれだけ英国な服に仕上がるのか楽しみです
 
返信する
ハウスオーダー (Wen-li)
2011-02-07 19:01:14
みらいさん、こんにちは。
今回のスーツの出来上がりにご満足されているのが文面から伝わってきます。
今まで気付きませんでしたが、私も去年同じ生地でシングル3ピース作っていました。週1ペースで1シーズン着てやっとなじむ感じですよ。私がPOとHOで一番違いを感じたのは胸のボリューム感、背中の張り付き、ヒップから腰にかけての一体感でした。1年に1着の気持ちわかります(笑)

ところで多少調整されたようですが、普段仕上がりどのようにチェックされてます?自分はちょっと歩いたりして着心地や前・横姿はチェックしますけど、後ろ姿や細かい箇所はほとんどお任せです。
返信する
お久しぶりです (らみい)
2011-02-07 20:00:37
通りすがりの者です さん
こんにちは。

リアブラン&ダンスフォードの生地は
英国らしい生地で良いですよね。

プリンス オブ ウェールズチェック
愉しみですね~。

デザインはハウススタイルですか?
特徴的なフロントカットや腰ポケット
そして細身のスーツに
袖はフレアなのでしょうか、、、

どちらにしても
早く出来上がると良いですね。
返信する
奇遇ですね (らみい)
2011-02-07 23:09:26
Wen-liさん こんにちは。

同じ生地とは、これまた奇遇ですね~。
本当にこの生地、仕立て映えがして
良いと思います。

ところで仕上がりのチェックですが
納品時はお店の鏡でチェック。
でもこれは冷静にチェック出来ない事も
まま、あるので
自宅に帰り、再チェック
前から横から。
そして、客観的にチェックする為に
家内に写真を撮ってもらったりします。

特に後ろ姿。

そして気になった時は
申し訳ないと思いながら
N寺氏にチェックして
もらったりします。

N寺師は
おかしければ、おかしいと
はっきり言ってくれるので、、、

そして、自分で納得がいって
初めてブログで紹介となります。

まあ、細かいところは
信頼しているので
私もおまかせですね~。

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