《東日本大震災》 チェルノブイリで治療したロバート・ゲイル博士会見 [11/03/23](アスパラクラブ)
https://aspara.asahi.com/blog/kochiraapital/entry/sWh2otqZz6
[前略]
まず強調したのは「原子炉が爆発したチェルノブイリや、臨界が起きて至近距離で破壊力の大きい中性子線を浴びたJCO事故と、現時点では放射性物質のほとんどが格納容器内に収まっている福島の状況は全く異なる」ということだった。また、「現場で作業をしている人と、そうではない人のリスクも全く違う」とも。「今の福島のレベルであれば、一般の住民にとっては、喫煙の方がよほど発がんリスクが高い」
会場の記者からは「米国などは原発の周囲80キロ以内から避難するように指示していますが」と質問が出た。ゲイル博士は、「こういうケースでははどうしても安全な側に考える。医学的・科学的な基準というよりも、クレームを避けるための政治的な判断と思う」と答えた。
食品についても、「問題となっている放射性ヨウ素131は半減期(放射線量が半分に減るまでの期間)が8日間と短く、体内に入っても短期間でレベルは下がる。またそもそも基準値は、子どもなど最も影響を受けやすい人が、過剰に摂取した場合で計算しているものだ」として、現時点で過度に心配する必要はない、と述べた。
「食べ物自体に毒性があるわけではない。時間がたてば危険度は下がるのだから、例えば野菜を冷凍保存したり、牛乳をチーズなどに加工したりすれば後で十分食べられる。慌てて捨てる必要はないと思う」
現在、原発周辺で通常より高い放射線量が計測されていることについては「線源(放射性物質)がどこにあるのかが重要だ。大気中や海の中にあるのであれば、時間とともに拡散されていくのでそれほど心配はいらない。しかし、土壌に付着したとすれば、長期間影響が残る可能性はある」と説明した。
原発で作業にあたる方々へ、次のような対応を是非ともしてあげたいですね。
博士が最も重視したのは、原発で作業にあたる方々の安全についてだった。
大量の被曝をすると、「骨髄抑制」と呼ばれる症状が起きる。骨髄は、白血球・赤血球・血小板などの血液中の細胞をつくる重要な機能をもっているが、これが損なわれてしまう。この症状は、ある程度までであれば、骨髄移植をすることで救える。チェルノブイリで、ゲイル博士は骨髄移植を行っている。
移植は他人からでもできるが、遺伝子の違いによるGVHD(慢性移植片対宿主病)と呼ばれる合併症の危険などがあり、場合によっては命にかかわることもある。この危険は、自分のものを使えば避けられる。なので、作業にあたる人は、前もって自分の末梢血幹細胞を採取、保存しておき移植に備えておくべきだ
これまで様々な有識者の見解を紹介してきたが、そのほとんど一致している。
にも関わらず、どうして原発関連のリスクがこれほど注目を集めるのか。
原発のトラブルは何故過剰に恐れられるか(細見ちひろ)
http://agora-web.jp/archives/1286579.html
そして行動経済学の入門書とされる『経済は感情で動く』の中で、著者のマッテオ・モッテリーニは、次の12点を、高く評価されやすいリスクの特徴として挙げている。
1.自分が選んだリスクより、他から強制されたリスク
2.自分でコントロールできない災害などのリスク
3.死者が出るリスク
4.めったに発生しない、マスコミで取り上げられているリスク
5.映像的に悲惨なリスク
6.広い範囲で、すぐ近くで起きたリスク
7.特定の人だけを襲うリスク
8.一度に多くの被害者が出るリスク
9.なじみのない、新しいリスク
10.自然によるものより人工的なもの、先端技術によるリスク(遺伝子組み換えや放射線、原発など)
11.次の世代、子どもたちに影響が及ぶリスク
12.原因不明、謎、何が起きているのかわかないリスク
このような特徴をもつリスクは、合理的に判断される度合いを越えて、高く評価されてしまう可能性がある。解説するまでもなく、12項目のほとんどが今回の原発のトラブルに当てはまるものであることがお分かりいただけるだろう。
タバコは自分でコントロールできるリスクだから過小評価するし、原発は自分でコントロールできず、しかも見えないリスクだから過大評価する。
『超ヤバイい経済学』のネタだが、アメリカで9.11テロが起きてから、飛行機テロを防ぐ取り組みが多く行われた。
人々も飛行機を乗るのを避けた。
その結果、何が起こったか。
なんと死者が増えた。
人が死ぬのを避けようとテロを防止する取り組みで、死者が増えたのだ。
なぜかというと、飛行機に乗らなくなった人々が移動のために使ったものが自動車だったからだ。
死亡確率という点では、テロで死ぬ確率が最も低く、その次に飛行機で死ぬ確率、最も死亡確率が高いのが自動車での移動だ。
人々はテロを恐れて、テロを避けるために飛行機を避け、そして車に乗る。
結果、車で死ぬ人が増えて、全体として死者数が増える。
テロによる死を防ごうとして、より多くの人々が死ぬ結果になったのだ。
しかし、テロで人がすれば大騒ぎになるが、自動車事故による死者数が増えてもたいしたニュースにはならない。
実際にはより多くの人々が死んでいるのだが、それを知る由もない。
このようにして、人は不合理に合理的である。
https://aspara.asahi.com/blog/kochiraapital/entry/sWh2otqZz6
[前略]
まず強調したのは「原子炉が爆発したチェルノブイリや、臨界が起きて至近距離で破壊力の大きい中性子線を浴びたJCO事故と、現時点では放射性物質のほとんどが格納容器内に収まっている福島の状況は全く異なる」ということだった。また、「現場で作業をしている人と、そうではない人のリスクも全く違う」とも。「今の福島のレベルであれば、一般の住民にとっては、喫煙の方がよほど発がんリスクが高い」
会場の記者からは「米国などは原発の周囲80キロ以内から避難するように指示していますが」と質問が出た。ゲイル博士は、「こういうケースでははどうしても安全な側に考える。医学的・科学的な基準というよりも、クレームを避けるための政治的な判断と思う」と答えた。
食品についても、「問題となっている放射性ヨウ素131は半減期(放射線量が半分に減るまでの期間)が8日間と短く、体内に入っても短期間でレベルは下がる。またそもそも基準値は、子どもなど最も影響を受けやすい人が、過剰に摂取した場合で計算しているものだ」として、現時点で過度に心配する必要はない、と述べた。
「食べ物自体に毒性があるわけではない。時間がたてば危険度は下がるのだから、例えば野菜を冷凍保存したり、牛乳をチーズなどに加工したりすれば後で十分食べられる。慌てて捨てる必要はないと思う」
現在、原発周辺で通常より高い放射線量が計測されていることについては「線源(放射性物質)がどこにあるのかが重要だ。大気中や海の中にあるのであれば、時間とともに拡散されていくのでそれほど心配はいらない。しかし、土壌に付着したとすれば、長期間影響が残る可能性はある」と説明した。
原発で作業にあたる方々へ、次のような対応を是非ともしてあげたいですね。
博士が最も重視したのは、原発で作業にあたる方々の安全についてだった。
大量の被曝をすると、「骨髄抑制」と呼ばれる症状が起きる。骨髄は、白血球・赤血球・血小板などの血液中の細胞をつくる重要な機能をもっているが、これが損なわれてしまう。この症状は、ある程度までであれば、骨髄移植をすることで救える。チェルノブイリで、ゲイル博士は骨髄移植を行っている。
移植は他人からでもできるが、遺伝子の違いによるGVHD(慢性移植片対宿主病)と呼ばれる合併症の危険などがあり、場合によっては命にかかわることもある。この危険は、自分のものを使えば避けられる。なので、作業にあたる人は、前もって自分の末梢血幹細胞を採取、保存しておき移植に備えておくべきだ
これまで様々な有識者の見解を紹介してきたが、そのほとんど一致している。
にも関わらず、どうして原発関連のリスクがこれほど注目を集めるのか。
原発のトラブルは何故過剰に恐れられるか(細見ちひろ)
http://agora-web.jp/archives/1286579.html
そして行動経済学の入門書とされる『経済は感情で動く』の中で、著者のマッテオ・モッテリーニは、次の12点を、高く評価されやすいリスクの特徴として挙げている。
1.自分が選んだリスクより、他から強制されたリスク
2.自分でコントロールできない災害などのリスク
3.死者が出るリスク
4.めったに発生しない、マスコミで取り上げられているリスク
5.映像的に悲惨なリスク
6.広い範囲で、すぐ近くで起きたリスク
7.特定の人だけを襲うリスク
8.一度に多くの被害者が出るリスク
9.なじみのない、新しいリスク
10.自然によるものより人工的なもの、先端技術によるリスク(遺伝子組み換えや放射線、原発など)
11.次の世代、子どもたちに影響が及ぶリスク
12.原因不明、謎、何が起きているのかわかないリスク
このような特徴をもつリスクは、合理的に判断される度合いを越えて、高く評価されてしまう可能性がある。解説するまでもなく、12項目のほとんどが今回の原発のトラブルに当てはまるものであることがお分かりいただけるだろう。
タバコは自分でコントロールできるリスクだから過小評価するし、原発は自分でコントロールできず、しかも見えないリスクだから過大評価する。
『超ヤバイい経済学』のネタだが、アメリカで9.11テロが起きてから、飛行機テロを防ぐ取り組みが多く行われた。
人々も飛行機を乗るのを避けた。
その結果、何が起こったか。
なんと死者が増えた。
人が死ぬのを避けようとテロを防止する取り組みで、死者が増えたのだ。
なぜかというと、飛行機に乗らなくなった人々が移動のために使ったものが自動車だったからだ。
死亡確率という点では、テロで死ぬ確率が最も低く、その次に飛行機で死ぬ確率、最も死亡確率が高いのが自動車での移動だ。
人々はテロを恐れて、テロを避けるために飛行機を避け、そして車に乗る。
結果、車で死ぬ人が増えて、全体として死者数が増える。
テロによる死を防ごうとして、より多くの人々が死ぬ結果になったのだ。
しかし、テロで人がすれば大騒ぎになるが、自動車事故による死者数が増えてもたいしたニュースにはならない。
実際にはより多くの人々が死んでいるのだが、それを知る由もない。
このようにして、人は不合理に合理的である。
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