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●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》

2024年07月12日 00時00分05秒 | Weblog

[↑ 飯塚事件 冤罪で死刑執行「再審請求…08年死刑執行」(朝日新聞 2024年06月3日[月])]


(20240616[])
再審法の改正を
 いま何かと話題の鹿児島県警。かつて、鹿児島県警と言えば、原口アヤ子さんの大崎事件。そして、なんと言っても、志布志事件。体質は変わらない。

   『●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)
   『●GPJ「クジラ肉裁判」と検察審査会
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
    「…など職業裁判官の怠慢の例は
     数え上げたらきりがありません。ましてや、福岡事件西武雄さん
     飯塚事件久間三千年さんといった無罪な人を死刑・私刑にして
     しまった可能性(控え目に表現しています)さえあります。村木厚子さん
     志布志事件の裁判結果などは極々稀な例です」

   『●『検察に、殺される』読了
    「『検察に、殺される』…。粟野仁雄著。…ガタガタの特捜。
     志布志事件…、氷見事件…。甲山事件…(松下竜一さん
     『記憶の闇』)。高知白バイ事件…。布川事件…。足利事件…。
     袴田事件…。村木厚子さん冤罪・証拠捏造事件…。」

   『●冤罪(その2/2): せめて補償を
    「飯塚事件久間三千年さんは、冤罪であるにもかかわらず、
     死刑を執行された。これは、被害者の遺族に対する、
     何と表現して良いのかわからないが……遺族の方たちも
     複雑な感情を抱いてしまうはずだ。/どんな背景や力学が
     働いたのかはそれぞれの事件によって異なるが、布川事件
     氷見事件東電OL殺害事件志布志事件村木厚子氏冤罪事件
     足利事件……、せめて賠償で報いる以外に方法が無いのではないか。
     しかし、その扉は当方もなく厚い。」

   『●「戦後70年 統一地方選/その無関心が戦争を招く」 
              『週刊金曜日』(2015年4月3日、1034号)
       「山口正紀さん【「可視化」口実の盗聴法大改悪 
        「刑事司法改革」法案】、「志布志事件の川畑幸夫さん
        …足利事件菅家利和さん…布川事件桜井昌司さん
        …冤罪被害者が声をそろえて「全面可視化を」と訴えた。
        …日弁連執行部の賛成で批判記事を書きにくいのかも
        しれないが、メディアは「冤罪をなくし、人権を守る」視点から、
        法案の危険性を是非伝えてほしい」。青木理さん「刑事司法改革
        …端緒は郵便不正事件・・・法務省に都合よく集約…
        日本の司法は中世なみ

   『●《黒田さんは「差別」と「戦争」を最も憎んだ。人々の幸福実現が
     新聞の最大の使命なら、それを最も阻害するのが差別と戦争だからだ》
    《…志布志事件の被害者川畑幸夫(さちお)さんの聞き書き
     「一歩も退(ひ)かんど」…》

   『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたと
     しても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》
    《布川事件の再審無罪決定と相前後して、足利事件氷見事件
     志布志事件、そして村木厚子さんの郵便不正事件などで次々と
     衝撃的な冤罪が明らかになったことを受けて、公訴権を独占する
     上に、密室の取り調べが許される検察の暴走が冤罪を生んでいる
     との批判が巻き起こり、2009年に民主党政権下で刑事訴訟制度の
     改正論議が始まった。しかしその後、政権が自民党に戻る中、
     一連の制度改正論議の結果として行われた2016年の刑事訴訟法の
     改正では、むしろ検察の権限が大幅に拡大されるという
     信じられないような展開を見せている

   『●《首相の演説にやじを飛ばしただけで、警官に排除される時代…
                 こんな「表現の不自由」な社会を誰が望んだ》?
    「桐山桂一さんの仰る通り、《今日では既に、首相の演説にやじを
     飛ばしただけで、警官に排除される時代である。
     こんな表現の不自由な社会を誰が望んだであろうか》?」
    「《鹿児島県警から任意の「捜査関係事項照会」と呼ばれる依頼を受け、
     うち4図書館で利用者の個人情報が提供》…。
     《警察は政党の手先ではない訳がないし警察は正義の味方
     呼ぶこと》もできない…悲惨な社会。最「低」裁を頂点とした司法も、
     検察や警察も、いまやアベ様に忖度する時代。
     《岸の末裔が首相では日本に未来はない》。」

   『●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょ
      らんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」
    「元鹿児島県警捜査員「適正捜査だった」「自白偏重はだめだと徹底的に
     言われた時代。決して自白の強制はなかった」…本当だろうか?
     原口アヤ子さん以外の3人 (一郎氏・二郎氏・太郎氏) が、
     無実なのに「自白」するだろうか? 志布志事件では何が起きたか?
     在りもしなかった事件を、鹿児島県警から
     「強制的に自白させられた」…。」

 東京新聞の【<社説>捜査書類の管理 冤罪招く「廃棄の助長」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/333457?rct=editorial)。《鹿児島県警が昨年、捜査書類の速やかな廃棄を促す内部文書を捜査員らに配布していたことが明らかになった。後に訂正されたが、「即時廃棄されると再審請求などで被告に有利な証拠が失われる可能性があり、冤罪(えんざい)を招きかねない文書だった。同県警ではほかにも不祥事が続発しており、迷走する組織の立て直しが必要だ。文書は昨年10月、「刑事企画課だより」と題した公文書で、県警本部各部や各署を通じて、捜査員にメールで送られた。再審請求などで、警察にとって都合の悪い書類だったので(検察に)送致しなかったのではないか、と疑われかねないため、未送致書類であっても、不要な書類は適宜廃棄する必要があります」などと記載されていた。また、末尾では「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!と捜査員らに呼びかけていた》。

 (鈴木耕さん)《日本司法の異常さが世界からの批判の的になっているということを、国連ですら認めているのだ。よく言われるように「日本の常識は世界の非常識」の実例である》…それ故の犠牲者がまたしても。再審法改正も進まず。低「民度」なニッポンの《刑事司法はおそろしいほどに後進的代用監獄人質司法》…さらに、司法取引…。

   『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
     刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ
   『●《冤罪を起こしてはならない。再審法の改正が待たれる。杉山さんや桜井
       さんらが残した人間の笑い泣き、そして袴田さんの思いを見逃すまい》
   『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
     はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》
   『●ニッポンの《刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…人質司法》
       …《法曹三者が「冤罪を学び、冤罪から学ぶ」こと》が重要だが…
   『●人質司法…《保釈請求…東京地裁も却下。否認を貫く相嶋さんに妻が「うそ
     をついて自白して、拘置所から出よう」と頼んだが、首を縦に振らなかった》
   『●大川原化工機でっち上げ事件《勾留後に亡くなった1人》…《無罪主張
       するほど保釈されない「人質司法」》の問題点が最悪の形で顕在化
   『●《恣意的な捜査がえん罪を引き起こした》大川原化工機でっち上げ事件…
     《取調官は「知ったこっちゃないですよ。組織の方針に従うだけですよ」》
   『●大川原化工機でっち上げ事件《勾留後に亡くなった1人》…《無罪主張
       するほど保釈されない「人質司法」》の問題点が最悪の形で顕在化
   『●《恣意的な捜査がえん罪を引き起こした》大川原化工機でっち上げ事件…
     《取調官は「知ったこっちゃないですよ。組織の方針に従うだけですよ」》
   『●大川原化工機でっち上げ事件の国家賠償訴訟・東京高裁控訴審…《原告側
           は事件そのものを「捏造」》《社長らは「真相を明らかにする」》と

 これも、何度でも、書く。飯塚事件…既に死刑執行してしまった。山口正紀さんの記事《「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。…オンライン集会は、この第2次再審請求の意義・内容を報告し、支援の輪を広げていこうと企画され、飯塚事件再審の実現に向けて尽力してきた九州大学の大出良知・名誉教授、再審法改正をめざす市民の会木谷明代表(元裁判官)、布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんら幅広い支援者たちの呼びかけで開催された。…布川事件冤罪被害者桜井昌司さん…「こんなことを優秀な裁判官がなぜわからないのか日本の警察はこれまでも証拠を捏造してきました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されてきたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件東電事件)、東住吉事件だれもその責任を追及しない。再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず果たせると確信しています。必ず勝ちます。一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす殺したのは誰か検察庁です」》。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/333457?rct=editorial

<社説>捜査書類の管理 冤罪招く「廃棄の助長」
2024年6月14日 07時48分

 鹿児島県警が昨年、捜査書類の速やかな廃棄を促す内部文書を捜査員らに配布していたことが明らかになった。後に訂正されたが、「即時廃棄されると再審請求などで被告に有利な証拠が失われる可能性があり、冤罪(えんざい)を招きかねない文書だった。同県警ではほかにも不祥事が続発しており、迷走する組織の立て直しが必要だ。

 文書は昨年10月、「刑事企画課だより」と題した公文書で、県警本部各部や各署を通じて、捜査員にメールで送られた。

 再審請求などで、警察にとって都合の悪い書類だったので(検察に)送致しなかったのではないか、と疑われかねないため、未送致書類であっても、不要な書類は適宜廃棄する必要があります」などと記載されていた。また、末尾では「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!と捜査員らに呼びかけていた

 この文書が一部、ネットに流出して県警内部でも問題視され、11月に「国賠請求や再審請求への対応に必要な文書は廃棄せずに保管管理する必要がある」といった内容に改められた。県警はこうした経緯を公表していなかったが、最近、報道で明らかになった。

 刑事裁判で検察側は、自らに有利な証拠だけを法廷に提出して有罪を立証するケースが大半だ被告に有利な証拠は、検察は基本的に開示せず、そもそもそうした証拠は警察から検察に送られずに眠っていることも少なくない

 名張毒ぶどう酒事件(第11次再審請求を準備中)の鈴木泉弁護団長は「警察当局が組織的に証拠を廃棄させようとするのは、『全ての証拠開示』を求める私たちにとって、無罪立証の機会を奪う行為ではないか」と憤る。

 鹿児島県警では最近、捜査情報を流出させた疑いで巡査長、続いて同様事案で前生活安全部長が逮捕されている。さらに、この前部長が裁判手続きの中で、その後、盗撮容疑で逮捕された巡査部長の捜査中に、「(その事案を)県警本部長が隠蔽(いんぺい)しようとした」と告発。本部長は否定したが、警察庁が監察を行う方針を示している。

 警察組織にあるまじき組織の混乱だ。文書廃棄を求める文書がどんな指示に基づいて出されたのかも含め、徹底した監察で背景を洗い出さなければならない。
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●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょらんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」

2023年02月26日 00時00分05秒 | Weblog

―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》



/ (2023年02月12日[日])
NTV【NNNドキュメント’23/あたいはやっちょらん 鹿児島・大崎事件 「95歳の叫び」】(https://www.ntv.co.jp/document/backnumber/articles/1894tndd5kqpjiek0ts8.html)。元鹿児島県警捜査員「適正捜査だった」「自白偏重はだめだと徹底的に言われた時代。決して自白の強制はなかった」…本当だろうか? 原口アヤ子さん以外の3人 (一郎氏・二郎氏・太郎氏) が、無実なのに「自白」するだろうか? 志布志事件では何が起きたか? 在りもしなかった事件を、鹿児島県警から「強制的に自白させられた」…。

   『●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)
   『●GPJ「クジラ肉裁判」と検察審査会
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
    「…など職業裁判官の怠慢の例は
     数え上げたらきりがありません。ましてや、福岡事件西武雄さん
     飯塚事件久間三千年さんといった無罪な人を死刑・私刑にして
     しまった可能性(控え目に表現しています)さえあります。村木厚子さん
     志布志事件の裁判結果などは極々稀な例です」

   『●『検察に、殺される』読了
    「『検察に、殺される』…。粟野仁雄著。…ガタガタの特捜。
     志布志事件…、氷見事件…。甲山事件…(松下竜一さん
     『記憶の闇』)。高知白バイ事件…。布川事件…。足利事件…。
     袴田事件…。村木厚子さん冤罪・証拠捏造事件…。」

   『●冤罪(その2/2): せめて補償を
    「飯塚事件久間三千年さんは、冤罪であるにもかかわらず、
     死刑を執行された。これは、被害者の遺族に対する、
     何と表現して良いのかわからないが……遺族の方たちも
     複雑な感情を抱いてしまうはずだ。/どんな背景や力学が
     働いたのかはそれぞれの事件によって異なるが、布川事件
     氷見事件東電OL殺害事件志布志事件村木厚子氏冤罪事件
     足利事件……、せめて賠償で報いる以外に方法が無いのではないか。
     しかし、その扉は当方もなく厚い。」

   『●「戦後70年 統一地方選/その無関心が戦争を招く」 
              『週刊金曜日』(2015年4月3日、1034号)
       「山口正紀さん【「可視化」口実の盗聴法大改悪 
        「刑事司法改革」法案】、「志布志事件の川畑幸夫さん
        …足利事件菅家利和さん…布川事件桜井昌司さん
        …冤罪被害者が声をそろえて「全面可視化を」と訴えた。
        …日弁連執行部の賛成で批判記事を書きにくいのかも
        しれないが、メディアは「冤罪をなくし、人権を守る」視点から、
        法案の危険性を是非伝えてほしい」。青木理さん「刑事司法改革
        …端緒は郵便不正事件・・・法務省に都合よく集約…
        日本の司法は中世なみ

   『●《黒田さんは「差別」と「戦争」を最も憎んだ。人々の幸福実現が
     新聞の最大の使命なら、それを最も阻害するのが差別と戦争だからだ》
    《…志布志事件の被害者川畑幸夫(さちお)さんの聞き書き
     「一歩も退(ひ)かんど」…》

   『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたと
     しても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》
    《布川事件の再審無罪決定と相前後して、足利事件氷見事件
     志布志事件、そして村木厚子さんの郵便不正事件などで次々と
     衝撃的な冤罪が明らかになったことを受けて、公訴権を独占する
     上に、密室の取り調べが許される検察の暴走が冤罪を生んでいる
     との批判が巻き起こり、2009年に民主党政権下で刑事訴訟制度の
     改正論議が始まった。しかしその後、政権が自民党に戻る中、
     一連の制度改正論議の結果として行われた2016年の刑事訴訟法の
     改正では、むしろ検察の権限が大幅に拡大されるという
     信じられないような展開を見せている

 弁護団は、そもそも殺人事件ではなく、「事故」の可能性を指摘。遺体はなぜ「堆肥の中に」? 冤罪の原口さんにそこまで解明しろ、とでもいうのだろうか?
 「父、母が刑務所に行った人たち、人殺しだと世間の人たちから一生言われる」「娘とか孫、窓の子供まで関わるから」「罪だけは晴らさなくては生きていたくない」。「やっちょらんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」。

 大崎事件は冤罪である。一貫して「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?

 再度書く。何度でも書く。………そして、なんでこんな決定になるのだろう? 鹿児島地裁・中田幹人裁判長、なぜ? 「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。《これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁ちゃぶ台返ししている。
 山口新太郎記者による。西日本新聞の記事【【速報】大崎事件、再審開始を認めず 95歳、43年前の殺人 鹿児島地裁が第4次請求を棄却】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/944293/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めている第4次再審請求に対し、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)は22日、請求を棄却する決定を出した。弁護団は即時抗告する方針。》

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ……に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。
     『イチケイのカラス』…のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
     ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?

 またしても同じ疑念が頭に浮かぶ ――― 《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》。原口さんが物言えぬようになることを待っているのではないか…なんという冷酷・冷血か。「自らの責任を回避するために、検察は奥西勝さんという冤罪死刑囚の死を持っているとしか思えない。裁判所がそれに加担しているのだから、全く冷酷な人たちである」。

   『●冤罪死刑囚の死を待ち、責任を逃れようとする冷酷な人々
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                  ……死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●司法権力の〝執念〟:映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
    《別の意味で恐るべし、司法権力の“執念”

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》

 何度でも、引用する。斎藤貴男さんのコラムの一部―――――― 最「低」裁を頂点とする司法に失望してばかりだが、最近、衝撃を受けたことを再掲。(斎藤貴男さん)《当時、「週刊文春」の記者だった私は、彼を殺人犯に仕立てた連中に、「今のお気持ちは」と尋ねて回る取材を仰せつかったのだが、凄まじい成果を得てしまった。「犯人は梅田だと上が言うから逮捕したまで証拠なんかねえよ」と、元刑事は笑ったし、元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ真犯人なんか誰でもいい裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい無期だと言ったらつなげばいいんだ」と、力説してくれたものである》…。

   『●裁判員制度反対…「冤罪もあることですし、あたしは死刑制度に反対
       です。人の命を、自民党の人たちみたいに軽く考えられないので」

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https://www.ntv.co.jp/document/backnumber/articles/1894tndd5kqpjiek0ts8.html

2023年1月29(日) 24:55
あたいはやっちょらん
鹿児島・大崎事件 「95歳の叫び」

43年前、鹿児島県大崎町で牛小屋の堆肥の中から男性の遺体が見つかり、義姉の原口アヤ子さん(95)が殺人犯とされた。物的証拠がなく共犯者の親族の自白だけで有罪となった原口さん。冤罪を訴えるも再審の扉は開かず、認知症が進み今は入院生活を送る。事件を調べ直した記者が感じたいくつもの疑問。会いたい…コロナ禍で厳重警戒の中、許された面会。もう話すことができなくなった原口さん心の叫びに耳を傾ける

ナレーション/田丸裕臣  制作/鹿児島読売テレビ  放送枠/30分

再放送
2023年2月5日(日)5:00~/24:00~ 日テレNEWS24
2023年2月5日(日)8:00~ BS日テレ
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●大崎事件、再審開始を認めず ――― 終始一貫して「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?

2022年07月07日 00時00分55秒 | Weblog

―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》



(20220626[])
大崎事件は冤罪である。一貫して「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?

   『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
      …検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定
   『●《裁判長は「取り調べや証拠開示などが一つでも適切に行われていれば、
       逮捕・起訴はなかったかもしれません」》と仰ってたのですがね?
   『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を
        着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん
   『●再審無罪が確定した西山さんの国家賠償請求訴訟で、冤罪を生んだ
     滋賀県警が《今になって西山さんを犯人視する書面を作成、裁判所に》…
   『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
     大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん

 決定前の中原興平記者による、西日本新聞の記事【イチから学ぶ 大崎事件(上)実は「殺人事件」ではなかった?】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/942867/)によると、《✓ 実は「殺人事件」ではなかった?》《✓ 弁護側が主張する「事故死」の可能性》《✓ 一度は裁判所も認めたけれど…》。
 また、後編記事【イチから学ぶ 大崎事件(下)浮かぶ再審制度の「欠陥」】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/943840/)によると、《✓ 「家政婦は見た!」とは違う〝目撃〟》《✓ 「白い証拠」は隠されていた》《✓ 検察側が繰り返した「うそ」》。

 ………そして、なんでこんな決定になるのだろう? 鹿児島地裁・中田幹人裁判長、なぜ? 「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。《これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁ちゃぶ台返ししている。
 山口新太郎記者による。西日本新聞の記事【【速報】大崎事件、再審開始を認めず 95歳、43年前の殺人 鹿児島地裁が第4次請求を棄却】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/944293/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めている第4次再審請求に対し、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)は22日、請求を棄却する決定を出した。弁護団は即時抗告する方針。》

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ……に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益には再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
     ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/942867/

イチから学ぶ 大崎事件(上)実は「殺人事件」ではなかった?
2022/6/20 6:00 [有料会員限定記事]
中原興平

     (再審開始を認める決定を受けて旗を掲げる弁護団
      =2018年3月、宮崎市の福岡高裁宮崎支部(撮影・古瀬哲裕))
     (大崎事件関係者相関図)
     (3兄弟宅の事件当時の配置)
     (被害者の男性が転落したとされる側溝付近=鹿児島県大崎町)
     (原口アヤ子さん夫婦、義弟一家、被害者が住んでいた
      自宅跡地。雑草や雑木が茂る=鹿児島県大崎町)

 この記事のポイントは

―――――――――――――――――――――
実は「殺人事件」ではなかった?
弁護側が主張する「事故死」の可能性
✓ 一度は裁判所も認めたけれど…
―――――――――――――――――――――

 犯人が捕まり、刑務所にも入って解決したはずの殺人事件が「実は殺人事件ではなかった」-そんな可能性が指摘されている事件があります。1979年に鹿児島県大崎町で男性の変死体が見つかった「大崎事件」です。「犯人」とされた原口アヤ子さん(95)は当初から一貫して無実を訴え、繰り返し裁判のやり直しを求めてきました。鹿児島地裁は22日、アヤ子さんの裁判をやり直すかどうかの決定を出します。注目を集める大崎事件の「謎」について、できるだけ分かりやすく説明します。(中原興平)


◆ 既に亡くなっていた?

………。
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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/943840/

イチから学ぶ 大崎事件(下)浮かぶ再審制度の「欠陥」
2022/6/22 6:00 (2022/6/22 10:21 更新) [有料会員限定記事]
中原興平

     (大崎事件の再審請求の結果)
     (大崎事件関係者相関図)
     (警察が現場で撮影していた「行動再現写真」のイメージ。
      2人のすぐそばに目撃者とされる義弟の妻ハナさんが
      写っていた)
     (早期の再審開始を求め、署名を呼び掛ける原口アヤ子さん
      (左)=2004年12月、鹿児島市)
     (95歳の誕生日を迎えた原口アヤ子さん(左)を祝う
      鴨志田祐美弁護士=2022年6月15日(大崎事件弁護団提供))

 この記事のポイントは

―――――――――――――――――――――
✓ 「家政婦は見た!」とは違う〝目撃〟
✓ 「白い証拠」は隠されていた
検察側が繰り返した「うそ」
―――――――――――――――――――――

 1979年に鹿児島県で起きた「大崎事件」で有罪判決を受け、服役までした原口アヤ子さん(95)の裁判をやり直すかどうかを、鹿児島地裁が22日に判断します。最終回のテーマは大崎事件から見える「制度の不備」。できるだけ、分かりやすく説明します。(中原興平)


こっそり見聞きしたはずでは…

 大崎事件の犯行に関わったとされるのは、原口アヤ子さん▽夫の一郎さん▽義弟の二郎さん▽おいの太郎さんの4人。被害者は義弟の四郎さんでした(アヤ子さん以外はいずれも仮名)。前回は一郎さんたちの自白と、二郎さんの妻ハナさん(仮名)が「アヤ子さんと夫の共謀の場面を見た」とする目撃供述の不自然さについて説明しました。

 唐突ですが、アヤ子さんが二郎さんに犯行を持ちかけている場面を、ハナさんはどんなふうに見ていたと思いますか。

 以前、「家政婦は見た!」という人気のテレビドラマが...………。
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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/944293/

【速報】大崎事件、再審開始を認めず 95歳、43年前の殺人 鹿児島地裁が第4次請求を棄却
2022/6/22 10:05 (2022/6/22 12:26 更新)
山口新太郎

     (鹿児島地裁)
     (大崎事件の第4次再審請求が棄却され、「不当決定」と
      書かれた旗を掲げる関係者=22日午前10時過ぎ、
      鹿児島市の鹿児島地裁前(撮影・佐藤雄太朗))
     (大崎事件の第4次再審請求が棄却され、悔しさをにじませる
      鴨志田祐美弁護士(右から2人目)=22日午前10時3分、
      鹿児島市の鹿児島地裁前(撮影・佐藤雄太朗))


 鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めている第4次再審請求に対し、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)は22日、請求を棄却する決定を出した。弁護団は即時抗告する方針。

【関連】イチから学ぶ 大崎事件(上)実は「殺人事件」ではなかった?

 一貫して無実を訴えてきた原口さんは、繰り返し再審を請求。これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた

 確定判決によると、被害者は原口さんの義弟。79年10月12日、酒に酔って道路の側溝に転落し、午後9時ごろ、隣人2人に車の荷台に乗せられて自宅に運ばれた。同10時半ごろ、泥酔して自宅の土間に座り込む義弟を見た原口さんが日頃の恨みを募らせ、同11時ごろに元夫らに持ちかけて絞殺。翌未明に遺体を牛小屋に埋めた-とされている。

 今回の再審請求で弁護側は「被害者は殺されたのでなく、事故死だった」と主張。埼玉医科大高度救命救急センター長の澤野誠医師の医学鑑定と、心理学者らによる隣人2人の供述鑑定を「無罪を言い渡すべき明白な新証拠」として提出した。

 澤野医師の医学鑑定は、遺体の解剖写真や弁護団による再現実験などを基に、被害者が隣人2人に搬送された際の状況を分析した内容。被害者は側溝転落事故で頸髄(けいずい=首の神経)を損傷しており、救急救命の知識のない2人の不適切な搬送で状態が悪化したため、自宅に到着した午後9時過ぎの時点で既に死亡していた可能性が高いと指摘した。

 供述鑑定は、被害者を運んだ2人の話について「隣人供述には体験に基づかない兆候があり、生きている被害者を自宅土間に置いて帰ったとする核心部分は信用できない」と分析。医学鑑定の結論を補強する証拠とした。

 これに対し検察側は、澤野医師の鑑定について「遺体の状況から乖離(かいり)した仮説に過ぎない」、供述鑑定も「結論ありきの分析」と反論。「確定判決の事実認定に何ら影響を及ぼさない」と主張していた。(山口新太郎)
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●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?

2021年08月28日 00時00分31秒 | Weblog

(20210718[])
西日本新聞の2月のシリーズ記事【検証「大崎事件」 アナザーストーリーを追う】(https://www.nishinippon.co.jp/serialization/the_osaki_case/)。

 《「殺人犯」は存在しない? 解決したはずの殺人事件にショッキングな疑惑が浮かんだ。40年前に鹿児島県で起きた「大崎事件」を、調査報道で追う》。

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ……に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?

 《殺人などの罪で懲役10年が確定、服役した原口アヤ子さん(92)が一貫して無実を訴え、再審を求めてきた大崎事件は発生から40年が過ぎた。3度目の請求で地裁、高裁が再審開始を認め、開くかに見えた「再審の扉」は昨年6月、最高裁で閉ざされるという異例の経過をたどっている》。最「低」裁だけが、こだわる〝殺人〟…《被害者は自転車事故による出血性ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だったのではないか、と》。

 以前の引用から。中島邦之記者による、西日本新聞のコラム【風向計/裁判の公正らしさとは】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/620476/)によると、《同様の事例は飯塚事件大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた…加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか》
 「ちゃぶ台返し」が起こる訳だ。《飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた》。裁判の制度がこれじゃぁ、デタラメな判決が出るはずだ。
 山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。おまけに、《裁判の公正らしさ》もないのでは…。

   『●飯塚事件…《しかしもっと恐ろしいのは、そんな誤りを認めず、
     国家による殺人を無かった事にする国家の強引さだろう》(清水潔さん)
   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を
     見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》

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https://www.nishinippon.co.jp/serialization/the_osaki_case/

検証「大崎事件」 アナザーストーリーを追う

 「殺人犯」は存在しない? 解決したはずの殺人事件にショッキングな疑惑が浮かんだ。40年前に鹿児島県で起きた「大崎事件」を、調査報道で追う。


連載目次

 1 殺人なき遺体遺棄事件? 揺らぐ死因 #鑑定①
   2020/2/17 6:00

 2 驚きの展開 鑑定は訂正されていた #鑑定②
   2020/2/18 6:00

 3 不可解な「空白の30分」 #被害者①
   2020/2/19 6:00

 4 「空白」をつなぐ目撃者に会う #被害者②
   2020/2/20 6:00

 5 「虚像」? 泥酔は本当か #被害者③
   2020/2/21 6:00


https://www.nishinippon.co.jp/item/n/584658/

殺人なき遺体遺棄事件? 揺らぐ死因 #鑑定①
2020/2/17 6:00 (2021/5/17 21:55 更新)

 殺人などの罪で懲役10年が確定、服役した原口アヤ子さん(92)が一貫して無実を訴え、再審を求めてきた大崎事件は発生から40年が過ぎた。3度目の請求で地裁、高裁が再審開始を認め、開くかに見えた「再審の扉」は昨年6月、最高裁で閉ざされるという異例の経過をたどっている。3月末に予定される第4次請求を前に、現場を訪ねた。
 事件は1979年10月12日に起きた。鹿児島県大崎町で、被害者の四郎さん=当時(42)=が酒に酔い自転車ごと側溝に転落。路上に倒れている姿で発見される。被害者宅の近くに住む男性2人が迎えに行き、1・1キロ離れた自宅へ軽トラックで連れ帰った。

     (現場地図)

 横たわる被害者を最初に見つけた西崎良一さん(61)に話を聞くことができた。当時21歳。「車で徐行しながら見て父親の知人だと気付き、すぐに父親に知らせた。けがや出血はない様子でした」と振り返る。
 自宅まで運んだ2人は、当時47歳のIさんと37歳のTさん。被害者は側溝に落ちたためか、びっしょりぬれていた。40年前に軽トラが通った道を、車で走った。農地が広がる風景は、東九州自動車道の建設工事が進んだ以外は当時とあまり変わっていないという。

     (「この辺りに倒れていました」と語る西崎良一さん。
      右側が、被害者が自転車ごと転落したとみられる側溝
      =1月、鹿児島県大崎町)

 わずか1キロ余り。被害者宅があった所まで数分。被害者の長兄でアヤ子さんの夫だった一郎さん=当時(52)、次兄の二郎さん=同(50)=の自宅も同じ敷地内にあった。転落事故の3日後、被害者宅の牛小屋から遺体が発見される。その後、アヤ子さん、一郎さん、二郎さん、その息子の太郎さん=同(25)=が相次いで逮捕された。

     (大崎事件相関図)

 車を止めて100メートルほど歩くと、竹と雑木に囲まれた空間に出た。一角に朽ちた小屋。「アヤ子さん宅の物置でした」。彼女の支援者、武田佐俊さん(76)が教えてくれた。左手に被害者方と牛小屋があったというが、やぶに覆われて前に進めない。住人がいなくなった一帯は、人を寄せ付けない雰囲気だった。
 被害者は倒れていた地点から車で自宅へ運ばれた-。ここまでは事件当日の出来事として、アヤ子さんら4人を有罪とした確定判決と、冤罪(えんざい)の可能性を認め再審開始決定を出した福岡高裁宮崎支部決定(2018年)は一致する。
 その後の犯行ストーリーは異なる。確定判決は、自宅土間に放置された被害者がアヤ子さんら3人にタオルで絞殺され、太郎さんを加えた4人によって堆肥に埋められた、と認定した。
 一方、高裁は新証拠を基に「アナザーストーリー」に踏み込む。被害者は自転車事故による出血性ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だったのではないか、と。
 筋書きを分けた「自宅到着後」。一体、何があったのか。
 大崎事件は1980年の一審判決で「親族間で起きた殺人・死体遺棄事件」と認定され、確定した。
 原口アヤ子さん(92)の当時の夫で長兄の一郎さん、次兄の二郎さん、被害者の四郎さんの3兄弟はいずれも農家で、自宅も隣接していた。酒飲みだった被害者はトラブルを起こすこともあり、兄たちとの仲は良くなかったという。
 事件発生の79年10月12日。確定判決によると、酔いつぶれた被害者が自転車ごと側溝に転落、連絡を受けた隣人のIさんとTさんが午後9時ごろ車で連れ帰る。2人は被害者を土間に運び、帰宅する。
 連絡を受けたアヤ子さんはIさん宅に謝罪に行き、被害者宅へ。「泥酔して土間に座り込む姿を見て日頃の恨みが募り、殺害を決意」「一郎さんと二郎さんに持ち掛けて午後11時ごろにタオルで首を絞めて殺害し、翌13日未明、二郎さんの息子の太郎さんにも頼んで遺体を牛小屋に運び、堆肥に埋めた」-これが確定判決による犯行の流れだ。
 警察の調べに対し一郎さんと二郎さんは、タオルで首を絞めたと「自白」。(1)死因は「首の圧迫による窒息死」とした鹿児島大教授による法医学鑑定(2)「共謀の場面を見た」とする二郎さんの妻の目撃供述-で裏付けられたとされた。

     (被害者宅があった辺りを指さす武田佐俊さん。
      右手はアヤ子さん方の朽ちた物置小屋
      =1月、鹿児島県大崎町)

   ◇    ◇

 3度目の再審請求で弁護団は東京医科大の吉田謙一教授による新鑑定を提出した。遺体の解剖所見や写真、死亡前の行動を分析し、死因は「窒息死ではなく、自転車ごと側溝に転落した事故による出血性ショック死の可能性が高い」。「タオルによる絞殺」という自白の信用性を揺るがす新証拠だった。
 2018年の福岡高裁宮崎支部決定は吉田鑑定を基に「被害者は自転車転落事故により、自宅に運ばれた際には出血性ショックで死亡するか、瀕死(ひんし)状態だった可能性が相当程度ある」と指摘した。Iさん、Tさんは「被害者を土間に置いた」と供述していたが、その時、そもそも被害者は生きていたのか-。確定審で信用性が問題になることはなかった「第三者」の2人の供述内容に、吉田鑑定が疑問を差し挟む形になった。
 吉田鑑定を認めれば「土間で座り込む被害者に(アヤ子さんが)殺意を抱く」場面から始まる確定判決の筋書きは成り立たない。高裁は「既に死亡していた被害者が『何者か』によって堆肥に埋められた」というアナザーストーリーに踏み込み、再審開始の結論を導いた。

     (確定判決と高裁の犯行ストーリーの違い (1979年10月12日午後))

   ◇    ◇

 これに対し最高裁は、高裁の推認通りであれば「堆肥に埋めたのは最後に被害者に接触したIさん、Tさん以外に想定し難いことになるが、それは証拠上、全く想定できない」と一蹴。Iさん、Tさんの供述内容や共犯者の自白、親族の目撃供述について「相互に支え合っており、供述の変遷に問題があることを考慮しても、信用性は相応に強固だ」として確定判決を「支持」した。
 再審に詳しい元東京高裁裁判長の門野博氏は「搬送した被害者の死亡に驚いて、予想外の行動に出てしまう可能性は全く考えられないだろうか。最高裁は致命的な誤りを犯していないか」と疑問を投げ掛ける。 (親族、関係者は全て仮名。いずれも故人)

   ■    ■

 大崎事件は地裁で2回、高裁で1回の計3回、再審開始決定が出た。「これを取り消さなければ著しく正義に反する」とまで言い切った最高裁決定(小池裕裁判長)は正しかったのか。25年に及ぶ再審請求の歳月で積み上げられた証拠を基に検証する。



https://www.nishinippon.co.jp/item/n/584965/

驚きの展開 鑑定は訂正されていた #鑑定②
2020/2/18 6:00 (2021/5/30 16:43 更新)

     (城哲男氏が証人尋問で事故死の可能性に言及したことを
      1面で報じた1997年7月10日付の南日本新聞)

 変死体が発見された場合、その状況と併せて「死因」が事実を知る鍵を握る。殺人事件なのか、殺害方法はどうだったのかを、遺体から探る。大崎事件も例外ではなかった。
 確定審では、被害者の遺体を解剖した鹿児島大の城哲男教授(当時)による「城旧鑑定」がその役割を担った。(1)死因は窒息死を推定(2)頸部(けいぶ)内部の組織間出血は頸部への外力作用を推測させ、他殺と想像する-との内容。原口アヤ子さん(92)の元夫らが自白した「タオルによる絞殺」を裏付ける証拠とされた。
 一方、2015年の第3次再審請求で弁護団は東京医科大の吉田謙一教授による法医学鑑定書を新証拠として提出。吉田鑑定は「自転車転落事故による出血性ショックの可能性が高い」とした。これが正しければ「タオルによる絞殺」と認めた確定判決は誤りになる。司法判断は分かれた。
 福岡高裁宮崎支部は18年、吉田鑑定の信用性を認めて再審開始を決定。最高裁は昨年6月、この決定を取り消し、吉田鑑定を否定して「自白の信用性は強固」と結論付けた。ならば、被害者の死因は城旧鑑定の指摘通り「窒息死」でなければならない。
 実は第1次再審請求の段階で驚く展開があった。城氏が再度鑑定し、自らの鑑定を「訂正」していた
 1997年7月。当時82歳の城氏の体調を考慮して宮崎地裁都城支部であった出張尋問で語っている。

「旧鑑定では(堆肥に埋まっていた遺体の)状況で他殺であろうと一部先入観を持たされていたから、新鑑定では先入観をよけた。自転車で側溝に転落すれば、頸椎(けいつい)損傷で死亡することもありえる

 その上で、こう認めた。「今の時点では、他殺か、事故死かは分からないというのが正しいですね」。旧鑑定当時は自転車転落事故のことを警察から聞いていなかったと、新鑑定書に明記していた。
 4カ月後、城氏はがん性腹膜症のため死去した。なぜ弁護団の求める新鑑定を行い、証人尋問にも応じたのか。九州大法医学教室出身の城氏の後輩で、本人をよく知る九州大の池田典昭教授は「法医学者として、確定判決への疑問があったのだと思う」と語る。
 この城旧鑑定について最高裁決定は「被害者の遺体は、頸部圧迫の他に著しい所見を認めないので窒息死を推定するほかない、というものにすぎず、死因を断定するものではなかった」としている。
 もともと弱い証拠だから、それが崩れても影響は小さいという論理-。だが、最高裁が「信用性は強固」と言い切る自白が、法医学の裏付けを欠いていることは確かだろう。
 客観的裏付けを失った以上、最高裁は自白自体に疑わしい点がないか精査すべきだったのではないか。決定文14ページのうち、6ページの「当裁判所の判断」に、その痕跡は見当たらない。


https://www.nishinippon.co.jp/item/n/585283/

不可解な「空白の30分」 #被害者①
2020/2/19 6:00 (2021/6/5 12:28 更新)

     (事件当日の被害者の足取り(1979年10月12日午後))
     (被害者が自転車ごと転落したとされる側溝付近=1月、鹿児島県大崎町)

 殺人事件ではなく、自転車ごと側溝に転落したことによる事故死だったのではないか-。仮にそうなら、大崎事件は冤罪(えんざい)ということになる。裁判記録を基に、事件当日の被害者の「足取り」を追ってみた。
 1979年10月12日。被害者は朝から酒を飲み、午後から外出。午後6時ごろ、自宅から1キロ余り離れた路上に倒れているのが見つかり(❺)、近所のIさんとTさんが午後9時ごろ自宅に連れ帰ったとされる。外出後、雑貨店を訪ねたり(❶❹)、自転車を押したり(❸)する姿が目撃されている。
 午後3時半ごろには、自宅前で酒気を帯びて車を運転し(❷)、警察官から注意されたことも確認できた。
 不可解なことがあった。午後5時半ごろ、雑貨店で店主と会話をしていた被害者(❹)が、わずか30分後、店から約300メートルしか離れていない路上で倒れ、寝ていた(❺)という点だ。
 確定判決によると、被害者はその後「酔いつぶれて前後不覚のまま」自宅に運ばれ、殺害時刻とされる午後11時ごろの段階でも「自宅の土間に座り込み泥酔のため前後不覚だった」と認定されている。泥酔状態が午後6時から11時まで、実に5時間も続いた計算になる。いつ、どこでそんなに飲酒したのか。
 「泥酔」の一番の根拠は被害者を連れ帰ったIさんらの供述だった。路上に倒れていたときの様子を「物事を言える状態ではなく、1人で立つこともできない泥酔状態でした」と説明していた。
 当時の目撃者の裁判記録も調べた。目撃情報のない「空白の30分」を挟む前後の様子はこうだ。
 午後5時半ごろ、被害者が雑貨店に立ち寄る(❹)。焼酎の2合瓶2本、タマネギ1袋を「ツケで売ってほしい」と頼み、断られるが「そげん言わんで」と言って持ち帰った。「話しぶりからは、そう酔っている様子はなかった」(雑貨店主の記録)
 午後6時ごろ、同店から約300メートルの場所で、車で通行中の当時21歳の男性に発見される(❺)。「被害者が自転車もろとも倒れ、寝ていたらしい」。これは男性本人の記録ではなく、男性から話を聞いた父親の話として記録に残る。息子の説明に「泥酔」はない。
 どうだろうか。「そう酔っている様子はなかった」被害者が、わずか30分後、路上に倒れていた。雑貨店で買った焼酎のせいか。転落現場に転がっていた2合瓶2本のうち「1本は封を切っておらず、1本は半分ほど残っていた」とIさんは警察に供述している。
 被害者が道路に横たわっていたのは、泥酔ではなく転落事故の影響だったのではないのか。既に紹介したように、2人の法医学者も「事故死の可能性」を指摘している。当時を知る目撃者2人を訪ねた。



https://www.nishinippon.co.jp/item/n/585580/

「空白」をつなぐ目撃者に会う #被害者②
2020/2/20 6:00 (2021/6/17 21:18 更新)

     (事件当日に被害者が通ったとみられる付近=鹿児島県大崎町)

 元気だった被害者がわずか30分後、300メートルしか離れていない路上で倒れていたのはなぜか-。被害者の当時の様子を聞くため「空白の30分」をつなぐ目撃者2人を訪ねた。
 被害者が最後に元気な姿を見せた雑貨店は、当時と同じ場所にあった。幸運にも、40年前に接客した店主(76)に会えた。「焼酎好きでね、よく来られてましたよ」。事件当時を驚くほど覚えていた。
 当時の供述記録には、こうある。

<「銭を持ってきておらん。焼酎をツケで売ってくれ」と言うので断ると、「そげん言わんで」と持参の袋に無断で入れた。私が盗むのをやめるように言うと、「今までツケを払わなかったことがあるか。貸してくれよ」と申された>

 このやりとりを店主に聞いてみた。「盗むということではないですよ。ツケにしてください、という話でした」と振り返った。供述記録とは微妙にニュアンスが異なる。
 供述記録はこう続く。

<店の品を盗むような人ではなかったので酔いすぎかなと思ったが、話しぶりや態度から、そう酔っている様子ではなかった

 深酒状態ということか。

「いや、そうじゃないですよ。ちょびちょび飲まれている状況だから。うん、飲んでらっしゃるという感じがするわけです」「いつもここで飲んで、ちょっといい気分になって帰るという感じでしたね」

 事件発生は1979年10月12日。来店した午後5時半段階では、確定判決が認定する「泥酔」の印象はない。30分後、突然路上に倒れていた理由は、やはり自転車事故の影響ではないのか。そうであるならば、共犯者が自白した「タオルによる絞殺」と矛盾する可能性が高まる。

     (事件当日に被害者が通ったとみられる付近=鹿児島県大崎町)

 もう1人のキーマンは、午後6時ごろ、自宅そばの路上に横たわる被害者を最初に発見した西崎良一さん(61)。当時の自宅で今も暮らす。玄関払いも覚悟していたが、来意を告げると居間に通された。

「路上に寝転んでいた記憶はありますよ。車で走っていて50メートルほど手前から見えた。顔も分かった。牛の世話の関係で、うちのおやじの知り合いでした。そのまま通り過ぎ、おやじに知らせた。体がぬれている印象で、酔っぱらって小便して寝ていると思った」

 出血やけがはなかったのか。

「なかったですね。なぜすぐに救護しなかったのか? 酒癖が悪い人だと聞いてましたから、絡まれたくなくて通り過ぎました。でも出血していたら、さすがに助けますよ」

 こんな話もした。「当時刑事さんがここに来て、おやじと一緒に調書を取られました」。そこには何が書かれているのか。



https://www.nishinippon.co.jp/item/n/585867/

「虚像」? 泥酔は本当か #被害者③
2020/2/21 6:00 (2021/7/11 12:38 更新)

     (事件当日に被害者が買った銘柄の焼酎。当時購入した
      「大金の露」の2合瓶は現在なく、写真は1合瓶)

 路上に倒れた被害者を最初に発見した西崎良一さん(61)は、再審請求審の重要証人といえた。倒れていた理由は、確定判決の認定通り「泥酔」だったのか、それとも側溝への自転車転落事故で瀕死(ひんし)状態だったのか。もし事故の影響による死亡なら、原口アヤ子さん(92)の元夫らの自白(タオルによる絞殺)も、それを証拠にした確定判決も成り立たなくなる。
 第1次再審請求の2001年、弁護側の求めにより、鹿児島地裁で西崎さんの証人尋問が行われた。
 「倒れている被害者を車を止めて見たのか、通りすがりに見たのか」。弁護人に問われ「止めて見たと思う」と答えたが、「降車して近寄って見たのか」と詰められると「はい、いや…だと思います」。発言が揺れていた。尋問当時で事件から22年。記憶に曖昧な部分があるのは無理もない。
 倒れていた被害者の様子については「酔っていた記憶がある」と説明。その理由を聞かれ「焼酎の瓶か何か知らんけど、開けたものが断片的に記憶に残っているんです」と答えた。

   ◇    ◇

 今回の取材で、西崎さんには2回会った。1月22日の初訪問の際は、うかつにも大切な点を聞き忘れており、翌々日に再訪した。
 なぜ被害者が酔っていると分かったのか。証人尋問でも弁護人が入念に尋ねていた点だ。「あの時、私は車から降りていません。徐行しながらのぞきこんだ。酒癖が悪いという話を聞いてたから、その先入観が入っていたと思いますよ」。「泥酔」を確かめていたわけではなかったのか。
 当時西崎さんから連絡を受けた父親も約1時間後、同じ場所で被害者を目撃。だが、確認できた父親の供述記録は、アヤ子さんの元夫らの逮捕から6日後のものだった。泥酔については「被害者が泥酔して道路に寝込み、自宅に連れ帰られたことは聞いて知っているのです」と、出所が定かでない記述があるだけだ。
 「人間の記憶は意外なほどもろい」。目撃供述に詳しい今村核弁護士(東京)に別の事件の取材で教わった注意点だ。目撃後、さまざまな暗示の影響で記憶が上書きされ、本人もそれに気付いていないことが珍しくない。西崎さんの話も、19年前の証人尋問よりも今回の方が記憶が鮮明な点は気になった。
 ただ、もう一人の目撃者である雑貨店主の話からも、酔いつぶれて道路に寝ていた-という被害者像が「虚像」であった疑いは拭えなかった。
 「当時刑事さんが自宅に来られ、調書を取られた」と西崎さんは言った。この説明は19年前と同じ。存在が確かな供述調書に何が書かれているのか。16年の裁判所の開示勧告に対し、検察側は「廃棄されたと思われる」と回答した。

   ■    ■

 「泥酔して自宅土間に放置された被害者をアヤ子さんが目撃した」という場面から始まる確定判決の犯行ストーリーは、被害者を運び込んだ「IさんとTさん」の供述が土台になった。次は2人の供述を詳しくみていく。
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●映画『BOX 袴田事件 命とは』で熊本典道さん役…《「法廷では裁判官自身も裁かれている」。自分で自分を裁こうとした日々…》

2021年01月14日 00時00分43秒 | Weblog

(2020年12月13日[日])
西日本新聞のコラム【春秋/袴田事件の元裁判官・熊本典道さん死去】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/670907/)。

 《▼2010年公開の映画「BOX 袴田事件 命とは」で熊本さん役は言う。「法廷では裁判官自身も裁かれている」。自分で自分を裁こうとした日々を想像する》。

   『●『美談の男』読了
   『●袴田事件: いい加減に誤まりを認めるべき
   『●作られた袴田冤罪事件、理不尽極まる漸くの初の証拠開示
   『●袴田事件、48年間のそれぞれの苦難……
      袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん
   『●袴田事件: 静岡地裁は「疑わしきは被告人の利益に」を
   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審:
                   司法の良心を示せるか?
   『●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」
               「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」

   『●映画「ザ・ハリケーン」と袴田事件:「冤罪事件を「絶対に忘れるな」」
    《ルビン・カーターさんが二十日亡くなった。七十六歳…
     デンゼル・ワシントン主演の映画「ザ・ハリケーン」のモデル
     といえば、思い出すだろうか▼一九六六年六月、
     米ニュージャージー州のバーで三人が殺された。現場近くを車で
     走っていたカーターさんが逮捕された。無実を訴えたが、
     有罪の評決が下り、八五年に釈放されるまで十九年間服役した。
     冤罪事件の背景には人種差別もあった袴田事件も同じ年同じ六月
     だった。同じ元ボクサー。獄中にあった袴田巌さん(78)は
     境遇の似たカーターさんが釈放された時、手紙を書いたという。
     「万歳万歳と叫びたい」。カーターさんの返事は
     「決してあきらめてはならない」だった》

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…
       政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁
    「NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・
     袴田巖の52年-】…《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した
     「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま
     姉と二人故郷浜松で暮らす》」
    「三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした
     「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、
     ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。
     《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ」

   『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
       証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」
   『●袴田秀子さん《ボクシングに対する偏見…
      チンピラだっていうイメージ…その印象以外に何の証拠もなかった》
   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
           耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    「週刊朝日の記事【袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 
     弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 】」
    《静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、
     1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの
     袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど
     “新証拠”を提出した》

   『●《死刑を忠実に実行している》のはニッポンだけ…
       飯塚事件でも、《十三人の死刑執行》でも揺るがず…
   『●(ジョー・オダネルさん)「焼き場に立つ少年」は
     《鼻には詰め物…出血しやすい状態…なんらかの形で被爆した可能性》
    「関連して…青木理さん。ローマ法王来日に関して、もう一つの
     注目点は「死刑制度」。明日のミサに袴田巌さんを呼ばれている
     らしい。事実上の廃止も含めて国連加盟国の7割…死刑廃止が
     世界の潮流。存置派は、先進国でアメリカの一部の州とニッポンのみ。
     昨年も13人のオウム幹部を死刑…。死刑制度を考えるきっかけに」

   『● CD『Free Hakamada』の《ジャケットには、元プロボクサーの
          袴田さんが…名誉チャンピオンベルトを持った写真》
   『●《「袴田事件」で死刑判決を書きながら、後に「無罪の心証だった」
        と明かした元裁判官熊本典道さん》がお亡くなりになりました
    「袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん」

 《いまも、死刑囚のまま》な袴田巌さんと《「袴田事件」で死刑判決を書きながら、後に「無罪の心証だった」と明かした元裁判官熊本典道さん》、そして、袴田秀子さんと。

 免田栄さんについて、清水潔さんの4つのつぶやき:

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https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1335954617075519489

清水 潔@NOSUKE0607

確定死刑囚から一転し無罪となった免田栄さん。83年の釈放直後から何度か取材をさせてもらった。免田さんは逮捕時に木の伐採の仕事をしていた。その現場に2人で行ってみたことがある。すると彼が伐採した後に植林された杉が天に向かって延びていた。それは獄中にいた34年の間に育った大木だ。(続)

午後11:29 2020年12月7日
--- - --- -- --- -- --- - --- -- --- -- - ---
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1335954909091360769

清水 潔@NOSUKE0607

その木を見上げた免田さんは深いため息をついた。自身の失われた人生を見るような表情で。私は何回もカメラのシャッターを切った。34年の獄中生活で、その間いつ死刑が執行されるかわからないという恐怖。結果から見れば、それは国家の手による殺人行為になるところだったのだ。(続)

午後11:30 2020年12月7日
--- - --- -- --- -- --- - --- -- --- -- - ---
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1335955382737354752

清水 潔@NOSUKE0607

一方、死刑が確定したのになぜ34年もの長い間それを執行しなかったのか? それは検事が死刑執行起案書を書かなかったからだろう。無実を訴え、何度も再審請求を続ける人、証拠は脆弱。それを知っていた検事たちは執行が恐ろしかったのではないか。そんな免田さんを当局はそのまま放置したのだ。(続)

午後11:32 2020年12月7日
--- - --- -- --- -- --- - --- -- --- -- - ---
https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1335956580056006656

清水 潔@NOSUKE0607

免田さんは、釈放されてから亡くなるまで37年間生きた。34年の拘置所生活より少しだけ長く娑婆で生きることができた。それは氏にとってせめてもの救いになっただろうか。国家による殺人を自力でひっくり返し、天寿を全うした免田さんの冥福を祈りたいと思う。

午後11:37 2020年12月7日
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 西日本新聞の記事【免田栄さん死去、95歳 死刑囚で初の再審無罪】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/670852/)によると、《1948年に熊本県人吉市で一家4人が殺傷された「免田事件」で死刑が確定し、死刑囚として初めて再審無罪となった免田栄(めんだ・さかえ)さんが5日午前、老衰のため福岡県大牟田市の高齢者施設で死去した。95歳。熊本県免田町(現あさぎり町)出身》…免田さんは、2020年12月5日にお亡くなりになったそうだ。
 《それを知っていた検事たちは執行が恐ろしかったのではないか。そんな免田さんを当局はそのまま放置したのだ》《免田さんは、釈放されてから亡くなるまで37年間生きた。34年の拘置所生活より少しだけ長く娑婆で生きることができた》《国家による殺人を自力でひっくり返し、天寿を全うした免田さん》。
 一方、急ぐ様に死刑にされた飯塚事件久間三千年(くまみちとし)さん。袴田巌さんは《いまも、死刑囚のまま》だ…。

   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ……に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●《首相の演説にやじを飛ばしただけで、警官に排除される時代…
              こんな「表現の不自由」な社会を誰が望んだ》?

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/670907/

春秋
袴田事件の元裁判官・熊本典道さん死去
2020/12/6 10:40

 元裁判官の熊本典道さんが先月病気で死去した。83歳だった。2007年にメディアに大きく取り上げられた

▼1968年に主任裁判官として書いた「袴田事件」(静岡県、一家4人殺害)の一審死刑判決について「無罪の心証を持ち判決文を準備したが、合議により」と告白した時のことだ。最高裁は評議の秘密をと批判した。世論は「裁判官の良心」と拍手した

▼佐賀県出身、九州大卒。<司法試験トップ合格。判決の翌年に自責の念から退官し、民事の弁護士になって年収1億円の年もあった>が、過去の重さからか<酒におぼれ、家族を失い…>(尾形誠規著「袴田事件を裁いた男」朝日文庫)。自殺も考えた時期を経て告白に至る

▼2010年公開の映画「BOX 袴田事件 命とは」で熊本さん役は言う。「法廷では裁判官自身も裁かれている」。自分で自分を裁こうとした日々を想像する

▼告白後は袴田巌さん(1980年に死刑判決確定)の再審請求を支援してきた。14年に再審開始決定が出され、釈放された袴田さんと18年に面会を果たした。福岡市内で病床にあった元裁判官は、じっと見つめ、「巌…」と声を絞り出した

▼その数カ月後に再審開始決定は高裁で取り消され、今は最高裁に特別抗告中。熊本さんは亡くなる1週間前に袴田さんの姉秀子さんの見舞いを受けている。「しっかりしなきゃ」と言われた。最期まで一緒に闘った
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●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?

2020年07月22日 00時00分54秒 | Weblog

[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]



中島邦之記者による、西日本新聞のコラム【風向計/裁判の公正らしさとは】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/620476/)。

 《同様の事例は飯塚事件大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた…加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか》。

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》

 「ちゃぶ台返し」が起こる訳だ。《飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた》。裁判の制度がこれじゃぁ、デタラメな判決が出るはずだ。
 山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。おまけに、《裁判の公正らしさ》もないのでは…。

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/620476/

風向計
裁判の公正らしさとは 中島邦之
2020/6/26 11:00
西日本新聞 オピニオン面 中島 邦之

 裁判官がある事件の判決を出したとしよう。その事件の控訴審や、再審を求める審理に同じ裁判官が関わり、再び判断するこれは、公正と言えるだろうか

 裁判には公正らしさが求められる。「公正らしさ」とは何か。「裁判官が国民に信頼されるには中立・公正であることが必要だが、それは裁判官の心の中にあり、外からは見えない。外形的にそれを担保するのが、外から公正だと見える公正らしさ」。元裁判官で法政大法科大学院の水野智幸教授(刑事法)はこう説く。

 滋賀県日野町で1984年に発生した強盗殺人事件。14年前に大津地裁の裁判長として第1次再審請求を退けた長井秀典判事が、第2次請求を審理している大阪高裁の裁判長になったのだ。これを知った弁護団は、本人が自ら辞退を申し出る「回避」を求め、高裁に要請書を提出した。

 弁護団の石側亮太弁護士は「長井氏は過去に自らが下した判断の当否を自ら審理することになり、信頼できない」と説明。さらに「憲法上も、37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利が侵害される」と憤る。

 刑事訴訟法は、通常審の一審や二審を担った裁判官が、上級審に関与することを禁じる。ところが、再審を始めるか否かを審理する再審請求審には定めがない。最高裁は59年、禁止とはしなかった。背景には、再審は通常審からつながる「上訴」ではないという論理があるとされる。

 だが、水野氏は解説する。「75年の最高裁決定によって、再審請求審では新旧の全証拠を総合評価することになり、上訴に近い性格を持つようになった。それ以前の59年の判例が今も妥当かは疑問」。その上で「裁判の公正らしさを損なわないよう、長井氏本人が回避すべきだ。しない場合は、裁判所が担当を変更するなど対応すべきだ」と指摘する。

 同様の事例は飯塚事件大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた

 根底には再審法(刑事訴訟法)の不備がある。冤罪(えんざい)から無実の人を早期救済するため(1)証拠開示の制度化(2)審理を長引かせる検察官抗告の禁止-などの法整備を日本弁護士連合会や市民グループが求めている。加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか。 (社会部編集委員)
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●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》

2019年10月30日 00時00分40秒 | Weblog


東京新聞の2019年6月28日の社説【最高裁の判断 なぜ再審の扉を閉ざす】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019070102000126.html)。
亀井洋志氏による、週刊朝日の記事【袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 】(https://dot.asahi.com/wa/2019062800063.html)。

 《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての再審請求だった…疑わしきは被告人の利益には再審請求にも当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めてはならない》。
 《静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど“新証拠”を提出した》。

   『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」
         /『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について
    「山口正紀さん【裁判長の訴訟指揮も報じるべきだ 大崎事件再審請求】、
     「冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…
     マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、
     無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう」」

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
    「まず、小池裕裁判長について。《小池裕氏は、NPO法人による
     森友学園問題で国側が持つ交渉記録等の証拠保全の申し立てについて、
     最高裁の裁判長として保全を認めなかった高裁判断を支持し、
     抗告を棄却した》方です。アベ様には寛大なるご判断、一般市民には
     《あまりにも横暴》、冷酷。「司法判断」としてもデタラメ」

 再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定が出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れているのか? 誤りを潔く認めるべきだ。
 山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。
 「無辜の救済」を拒む最「低」裁の意図は何か?
 白鳥決定を持ち出すと、原口アヤ子さんを何か犯人であるかのような印象を与えてしまうかもしれない。でも、冤罪なのですから、「無辜の救済」が正しい表現。

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…
       政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁
    「NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・
     袴田巖の52年-】…《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した
     「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま
     姉と二人故郷浜松で暮らす》」
    「三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした
     「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、
     ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。
     《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ」

   『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
       証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」
   『●袴田秀子さん《ボクシングに対する偏見…
      チンピラだっていうイメージ…その印象以外に何の証拠もなかった》

 《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》。《特別抗告が棄却され、袴田さんが再収監されるような事態になれば、国民の信頼はおろか、海外からも日本の司法は総スカンを食うことになる》。

   『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…
      無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019070102000126.html

【社説】
最高裁の判断 なぜ再審の扉を閉ざす
2019年6月28日

 四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。

 「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての再審請求だった。

 鹿児島県大崎町で一九七九年に起きた事件だった。被害者が酒に酔い、側溝に落ちているのを住民が発見した。三日後に遺体が自宅横にある牛小屋で見つかった。原口さんは隣に住み、被害者の義姉にあたる。親族の計四人が殺人容疑などで逮捕され、八一年に最高裁で確定した。

 そもそも本当に殺人なのかも疑われる事件だ。側溝に転落した際の「出血性ショック死の可能性が極めて高い」からだ。新証拠の鑑定はそう記している。この見方は地裁・高裁も支持している。何しろ確定判決時の鑑定は「他殺を想像させる。窒息死と推定」という程度のあいまいさだった。

 では、絞殺という根拠は何か。実は共犯者とされた親族の自白に寄り掛かっている。供述は捜査段階でくるくる変わる。虚偽自白の疑いとみても不思議でない。

 なぜ自白したか。「警察の調べが厳しかったから」だそうだ。しかも知的障害のある人だった。今なら取り調べが適切だったか、捜査側がチェックされたはずだ。

 最高裁は新鑑定を「遺体を直接検分していない」「十二枚の写真からしか遺体の情報を得られていない」と証明力を否定した。親族の自白は「相互に支え合い信用性は強固」とした。だが、本当に「強固」なのか。過去の冤罪(えんざい)事件では、捜査側が描くストーリーに沿った供述を得るため、強要や誘導があるのはもはや常識である。

 最高裁の判断には大いに違和感を持つ。審理を高裁に差し戻すこともできたはずである。事件の真相に接近するには、そうすべきだった。事故死か他殺かの決着も、再審公判でできたはずだ。再審取り消しは論理自体が強引である。もっと丁寧に真実を追求する姿勢が見えないと、国民の司法に対する信頼さえ損なう

 疑わしきは被告人の利益には再審請求にも当てはまる。その原則があるのも、裁判所は無辜(むこ)の救済の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めてはならない。
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https://dot.asahi.com/wa/2019062800063.html

袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 
亀井洋志 2019.7.1 10:30 週刊朝日

     (白半袖シャツに開いた2つの穴と、袴田さんの体の傷(赤ライン)の位置)
     (味噌タンクから発見された白半袖シャツ。右肩の2つの穴の周りだけ
      血が付いている=いずれも藤原よし江さん提供)

 静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど“新証拠”を提出した。焦点となるのは、袴田さんの犯行時の着衣とされた「5点の衣類(スポーツシャツ、白半袖シャツ、ズボン、ステテコ、ブリーフ)」だ。弁護団は衣類は袴田さんのものではなく、捜査機関によって捏造(ねつぞう)された可能性が高いと重ねて主張した。

    (【写真】味噌工場のタンクから発見された白半袖シャツはこちら)

 改めて事件を振り返る。1966年6月30日、静岡県清水市(現・静岡市清水区)の味噌会社の専務宅から出火。焼け跡から一家4人の他殺死体が見つかった。味噌会社の従業員で当時30歳だった袴田さんが強盗殺人などの疑いで逮捕された。袴田さんは連日10時間以上に及ぶ苛酷な取り調べを受け、逮捕から20日目に「自白」してしまう。裁判では無罪を主張したが、事件から1年2カ月も経って味噌工場のタンクの中から血染めの衣類が発見される。いま焦点となっている「5点の衣類」だ。事件直後、警察が徹底的に捜索しながら見つからなかった衣類が突然発見されるのだから、きわめて不可解な展開だ。

 その後、警察は袴田さんの実家を捜索すると、都合のいいことに発見されたズボンの共切れを見つけ出す。その結果、「5点の衣類」が決定的な証拠とされ、68年9月、静岡地裁は袴田さんに死刑判決を言い渡したのである。

 2度目の再審請求で弁護団は、新証拠についての書面を提出した。そこで指摘したのは、「5点の衣類」のうち、スポーツシャツと、下着の白半袖シャツの右肩に付いた穴状の損傷に関するものだ。事件当時、袴田さんは白半袖シャツの上にスポーツシャツを着て、右肩(右上腕部)にケガをしたとされている。だが、不自然なことにスポーツシャツの右肩には釘で刺したような穴が1カ所あるだけだが、白半袖シャツには穴が二つ空いている。しかも、穴の位置がいずれも一致せずに、ずれているのだ。

 実は、死刑が確定する前の東京高裁で、犯行着衣とされた「5点の衣類」が本当に袴田さんのものなのかを検証するための試着実験が行われている。この時、衣類の穴の矛盾点が明らかになったが、裁判ではほとんど問題にされなかったという。その理由について、袴田さんの弁護団が6月7日に開いた記者会見で、角替(つのがえ)清美弁護士が次のように説明した。

「高裁は、確かに穴の位置はずれているが、おおむね一致している、という見方でした。スポーツシャツに穴が一つで、白半袖シャツに二つあることについては、スポーツシャツはゆったりしているが、白半袖シャツは肌にぴったりと密着している。だから一度スポーツシャツに刺さった鋭い刃物状のものが、白シャツの2カ所に穴を開けることもあり得るということでした」

 白半袖シャツの二つの穴の周囲には、内側から染みついた袴田さんのものとされるB型の血がついていた。ここで気になるのは、出血した袴田さんの傷の位置はどこなのか、ということだ。

 袴田さんは2014年、逮捕されてから47年7カ月ぶりに釈放されたが、驚くべきことに右肩の傷あとが残っていたのだ。生きた証拠であり、衣類の穴との位置関係を比較すれば、矛盾点はいっそう明確になる。

 この測定実験を思い立った支援者の藤原よし江さんは、「5点の衣類」の写真など、裁判資料をもとにスポーツシャツと白半袖シャツの穴を再現し、測定した。その結果、スポーツシャツの穴も、白半袖シャツにできた二つの穴も、袴田さんの傷あとの位置とは、まったく一致しなかったのである。

 藤原さんに話を聞いた。

「シャツの穴の問題は、ずっとおかしいと思っていました。控訴審の段階でも弁護団(再審弁護団とは別)が鑑定を求めていますが、裁判所は却下しました。白半袖シャツの穴のまわりには血が付いているのに、袴田さんの肩の傷の位置に血が付いていない=写真参照=のは、誰が見てもおかしいと思うはずです」

 袴田さんがこれまで一貫して主張し続けてきたのは、事件当時、パジャマ姿で専務宅の消火活動を手伝い、その際、右肩にケガをしたということだ。

 実際にパジャマの右肩部分に、何かに引っ掛けてできた「カギ裂き」の破れがあり、その部分に血が付いていたことがわかった。袴田さんの体の傷あとを測定した藤原さんは、判決文などをもとにパジャマのカギ裂き部分も特定した。すると、傷あとの位置とぴったりと一致したのである。藤原さんが語る。

「裁判所は、パジャマにカギ裂きがあることや、カギ裂きの位置も確認しながら、袴田さんが右肩に傷を負ったことを示す衣類が、二つあることのおかしさについては黙殺したのです。ものすごく非常識な認定をしながら、死刑判決を出していることが本当に許せません」

 再審請求審で弁護団は、本田克也・筑波大学教授(法医学)に鑑定を依頼した。本田教授は「5点の衣類」に付着した血液のDNA型は、被害者のものと一致しないと結論付け、白シャツの右肩の穴のまわりに付いた血も、「袴田さんのものではない」との結果を出した。今回の藤原さんの測定実験も、この「本田鑑定」の正しさを裏付けている。

 14年5月、静岡地裁はこのDNA鑑定結果を「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と評価し、再審開始を認める決定をした。当時の村山浩昭裁判長は「(5点の衣類は)捜査機関によって捏造された疑いがある」とまで言及し、「これ以上拘束を続けることは、耐え難いほど正義に反する」として拘置の執行停止も決めたのだ。

 だが、昨年6月、東京高裁(大島隆明裁判長)は、本田教授のDNA型鑑定について「手法に疑問がある」などとして、「新証拠としては認められない」とした。

 昨年6月に弁護団が最高裁に特別抗告してから、1年が経過した。弁護団は最高裁側の感触を得るため、調査官に面談を求めているが、回答すらしてこないという。

 最高裁の調査官は、裁判官の指示に従って裁判に必要な調査を行い、資料の作成や、判決の素案作りなどを行う黒子役だ。主席調査官のもとに上席調査官3人が、刑事・民事・行政事件を担当している。最高裁の調査官には、エリートと目される裁判官が起用される。

 弁護団の西嶋勝彦弁護士がこう嘆く。

「20年くらい前までは、調査官も気さくに面談に応じたものです。袴田事件ばかりではなく、名張毒ぶどう酒事件でも対応してくれていました。特別抗告状や補充書の論点を口頭で説明したり、時にはスライドなどを使ったりすることもありました。それが、裁判官会議の申し合わせで決めたのか、ある時から一斉に対応しなくなったのです。調査官がどこまで記録を読み込んでいるのか、裁判官がどこまで合議しているのか。ブラックボックスでまったくわからなくなってしまいました」

 最高裁の決定はある日突然、何の前触れもなく通知される。こんなシステムはおかしいのではないか。調査官が弁護側の面談に応じれば、証拠との向き合い方はまったく異なってくるだろう。現在の調査官に、証拠を丁寧に吟味する姿勢は見られない

 『裁判官幹部人事の研究』などの著書がある明治大学政治経済学部の西川伸一教授がこう指摘する。

「最高裁は孤高の存在で、国民から恐れられているくらいのほうが判決に威厳があっていいんだという発想があるのでしょう。一方で、裁判官は選挙で選ばれるわけではないから、国民の信頼を失うことを非常に恐れています。最高裁長官は年頭のあいさつに、必ず『国民の信頼』という言葉を入れています。けれども、国民に向けて閉鎖的なイメージは拭いようもありません。調査官は各小法廷の裁判官に資料を上げるだけなのですから、合議の秘密には当たらないはずです。弁護人と会談するのも裁判に必要な調査の一環だと思いますが、どうにもユーザーフレンドリーではありませんね」

 特別抗告が棄却され、袴田さんが再収監されるような事態になれば、国民の信頼はおろか、海外からも日本の司法は総スカンを食うことになるだろう。袴田事件のこれまでの経過に対し、再審開始を決定した静岡地裁が発した「耐え難いほど正義に反するという戒めが、軽んじられるようなことがあってはならない。(本誌・亀井洋志
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●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し

2019年07月01日 00時00分15秒 | Weblog


大崎事件に対する冷酷な最「低」裁決定についての東京新聞の三つの記事【大崎事件 再審取り消し 最高裁 鑑定の証明力否定】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000175.html)と、
池田悌一記者による記事【大崎事件 再審、ハードルさらに高く】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000174.html)と、
蜘手美鶴記者による【大崎事件 再審の扉3度閉ざす 弁護団「最高裁の決定は横暴」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000160.html)。

 《「大崎事件」で、殺人罪などで服役した義姉の原口アヤ子さん(92)が裁判のやり直しを求めた第三次再審請求審で、最高裁第一小法廷(小池裕裁判長)は、再審開始を認めた福岡高裁宮崎支部と鹿児島地裁の決定を取り消し、再審請求を棄却する決定をした。再審を認めない判断が確定》。
 《第一次再審請求審を加えると、三度にわたり再審開始決定が出ながら、再審の扉は唐突に閉じられた。「疑わしきは被告の利益に」という刑事裁判の鉄則は守られたのか。新旧証拠の総合評価で確定判決に疑いが生じれば、再審を開始すべきだとする「白鳥決定」に沿ったと言えるか疑問だ》。
 《四十年間、一貫して潔白を訴え、無罪判決を法廷で聞くという原口アヤ子さん(92)の悲願は、三度目の再審請求でもかなわなかった。一九七九年に起きた「大崎事件」の第三次再審請求審をめぐる最高裁決定。弁護側の新証拠の価値を一蹴した判断に、弁護団からは「あまりにも横暴だ」と怒りの声が上がった》。

 まず、小池裕裁判長について。《小池裕氏は、NPO法人による森友学園問題で国側が持つ交渉記録等の証拠保全の申し立てについて、最高裁の裁判長として保全を認めなかった高裁判断を支持し、抗告を棄却した》方です。アベ様には寛大なるご判断、一般市民には《あまりにも横暴》、冷酷。「司法判断」としてもデタラメ。

   『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」
         /『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について
    「山口正紀さん【裁判長の訴訟指揮も報じるべきだ 大崎事件再審請求】、
     「冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…
     マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、
     無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう」」

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
    《「やってないものは、やってない」-。殺人罪で服役した原口アヤ子さんは
     一貫して無実を叫んだ。その願いは第三次の再審請求でやっと重い扉を
     開けた。裁判所は早く無実を認めるべきである》。
    「《あたいはやっちょらん》…《だれより責任の重いのが…
     でっち上げを追認した裁判官》、《鹿児島地裁は証拠開示を認めず、
     原口さんの無実の訴えに再審の重い扉を開くことはなかった》。
       年老いた原口アヤ子さん…。無慈悲な司法、長年月に渡る放置
     というか見殺し。司法の「」だ…《原口さんは既に九十歳。三審制でも
     過去二回の再審請求でも救えなかった。司法界の恥と刻まれる》」

   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

    《重い再審の扉が大きく開き、光が差し込んだ。「大崎事件」の
     第3次再審請求即時抗告審。昨年6月の鹿児島地裁決定に続き、
     福岡高裁宮崎支部も再審開始を認めた12日、弁護団や
     支援者たちは喜びに包まれた。逮捕から39年一貫して無実
     訴えてきた原口アヤ子さんも今は90歳で、残された時間は限られる。
     「命あるうちに無罪判決を」。願いは今度こそ届くのか-》

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】

 再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定が出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れているのか? 誤りを潔く認めるべきだ。

   『●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、
      証拠の隠蔽や喪失、逆に、証拠の捏造…デタラメな行政
    《布川事件で再審無罪が確定した桜井昌司さん(72)の訴えを認めた
     二十七日の東京地裁判決は、警察官の違法な取り調べや検察官の
     証拠開示拒否などがなければ、「遅くとも控訴審判決(一九七三年)で
     無罪判決が言い渡され、釈放された可能性が高い」と捜査機関に猛省を
     促した。弁護団からは「画期的だ」との声が上がり、
     桜井さんは捜査機関の在り方を批判した》
    《桜井さんと同じ冤罪被害者も訴訟を支援した。大阪市の女児死亡火災で
     再審無罪となり、自身も国賠訴訟中の青木恵子さんは「桜井さんから
     希望をもらった」と喜んだ。いまだ再審の扉が開かれない袴田事件
     大崎事件に触れ、「順番に勝っていってもらいたい」と望んだ》

 《あたいはやっちょらん》の叫びは小池裕裁判長らによって揉消され、事件に係わった警察官や検察といった行政、裁判所といった司法は安堵した訳です。
 《白鳥決定無視の過ち》を犯し、冤罪者の〝沈黙〟を待つ裁判官らの冷酷さ…。白鳥決定を無視し、再審するかどうかの判断を延々と引き伸ばし、最後は最「低」裁がちゃぶ台返し。原口アヤ子さんがあまりに御気の毒だ。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000175.html

大崎事件 再審取り消し 最高裁 鑑定の証明力否定
2019年6月27日 朝刊

     (原口アヤ子さん)

 鹿児島県大崎町で一九七九年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人罪などで服役した義姉の原口アヤ子さん(92)が裁判のやり直しを求めた第三次再審請求審で、最高裁第一小法廷(小池裕裁判長)は、再審開始を認めた福岡高裁宮崎支部と鹿児島地裁の決定を取り消し、再審請求を棄却する決定をした。再審を認めない判断が確定した。二十五日付。裁判官五人全員一致の意見。 

 一審、二審の再審開始決定を最高裁が覆したのは初めてとみられる。共犯とされた元夫(故人)の再審開始も取り消した。

 最高裁は、一、二審が重視した弁護側が新証拠として提出した法医学鑑定を検討。鑑定は、確定判決が「窒息死と推定される」とした男性の死因について、「転落事故による出血性ショックの可能性が極めて高い」と指摘していた。

 最高裁は鑑定について、写真だけでしか遺体の情報を把握できていないことなどを挙げ、「死因または死亡時期の認定に、決定的な証明力を有するとまではいえない」と判断した。

 有罪の根拠となった「タオルで首を絞めた」などとする元夫ら親族三人の自白については、「三人の知的能力や供述の変遷に問題があることを考慮しても、信用性は強固だといえる」と評価。「法医学鑑定に問題があることを踏まえると、自白に疑義が生じたというには無理がある」とした。

 最高裁は「鑑定を『無罪を言い渡すべき明らかな証拠』とした高裁支部と地裁の決定を取り消さなければ著しく正義に反する」と結論づけた。

 弁護団は二十六日、東京都内で記者会見し、「許し難い決定だ」と批判。第四次再審請求を検討するとした。

 第三次再審請求審では、鹿児島地裁が二〇一七年六月、目撃証言の信用性を否定する心理学者の鑑定や法医学鑑定を基に、再審開始を認めた。一八年三月の福岡高裁宮崎支部決定は、心理鑑定の証拠価値は認めなかったが、「法医学鑑定と整合せず不自然」などとして親族らの自白の信用性を否定し、再審開始決定を維持した。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000174.html

大崎事件 再審、ハードルさらに高く
2019年6月27日 朝刊

<解説> 確定判決に疑問を投げかけた法医学鑑定を「証明力はない」と一蹴し、大崎事件の再審開始を認めなかった最高裁決定は、再審のハードルをさらに上げかねない

 「絞殺ではなく事故死の可能性がある」と指摘したこの鑑定について、一審と二審は証明力を認めて再審開始決定を出した。これに対し、最高裁は「遺体を直接検分していない」「十二枚の写真からしか遺体の情報を得られていない」と証明力を否定した。

 だが、そもそも遺体は腐敗が進んでおり、確定判決時の鑑定も「他殺を想像させる。窒息死と推定」という程度。絞殺の根拠は、共犯者とされた親族三人の自白に依存していた。

 親族三人は、捜査段階から何度も供述を変遷させていた。「タオルで絞め殺した」と自白しながら、いまだタオルは特定されていない。

 第一次再審請求審を加えると、三度にわたり再審開始決定が出ながら、再審の扉は唐突に閉じられた。「疑わしきは被告の利益に」という刑事裁判の鉄則は守られたのか。新旧証拠の総合評価で確定判決に疑いが生じれば、再審を開始すべきだとする「白鳥決定」に沿ったと言えるか疑問だ。 (池田悌一)
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201906/CK2019062702000160.html

大崎事件 再審の扉3度閉ざす 弁護団「最高裁の決定は横暴」
2019年6月27日 朝刊

     (大崎事件の再審請求が棄却され、記者会見で言葉を詰まらせ、
      うつむく鴨志田祐美弁護団事務局長=26日、東京・霞が関の司法クラブで)

 四十年間、一貫して潔白を訴え、無罪判決を法廷で聞くという原口アヤ子さん(92)の悲願は、三度目の再審請求でもかなわなかった。一九七九年に起きた「大崎事件」の第三次再審請求審をめぐる最高裁決定。弁護側の新証拠の価値を一蹴した判断に、弁護団からは「あまりにも横暴だ」と怒りの声が上がった。 (蜘手美鶴

 「原口さんの人生をかけた闘いに、最高裁はちゃんと向き合っていない。五人の裁判官は何を考えているのか」。東京・霞が関の司法記者クラブで二十六日に会見した鴨志田祐美弁護団事務局長は、表情をこわばらせ語気を強めた。

 一九九五年に初めて再審請求を申し立てて以降、これまで地裁、高裁で三回の再審開始決定が出ている。「ある意味一番頼りにしていたのは最高裁。長い長い闘いにピリオドを打ってくれると信じていた」と落胆を隠さない。

 会見に同席した元裁判官の木谷明弁護士も「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか。大変がっかりしている」と批判した。

 原口さんの長女京子さん(64)には、鴨志田弁護士が電話で連絡した。京子さんはしばらく絶句した後、「これは裁判所のトップが決めたことなんですか? それなら日本の恥ですよね。お母さんも私も、もうちょっとで楽になれると思ったのに…」と漏らしたという。弁護団は、原口さんには決定内容をまだ伝えていないという。

 これまで脳梗塞を二度患い、原口さんは発声もままならない状態。今月七日にあった誕生日会では、鴨志田弁護士が再審請求審について話すと、目に光が宿り、何かを言いたそうに頭を持ち上げた。「一緒に同じ法廷で裁判長の『被告人は無罪』っていうのを聞こうね」と話しかけると、大きくうなずいたという。

 

 最高裁は今回、高裁支部に審理を差し戻すことをせず、書面の審査のみで自ら再審請求棄却を判断するという異例の決定をした。

 再審制度に詳しい白鴎大法学部の村岡啓一教授(刑事訴訟法)は「原口さんの関与があったかには触れず、法律論だけで決着を付けてしまっている」と指摘。「選ぶべきは再審開始だった。事故死の可能性についても、再審公判でやるべきだった。ここで終わってしまったのは、原口さんへのものすごく冷たい仕打ちだ」と非難した。

大崎事件> 鹿児島県大崎町で1979年10月、農業中村邦夫さん=当時(42)=が酒に酔って道路脇の溝に落ちているのを住民が発見。3日後、遺体が自宅横の牛小屋で見つかり、隣に住んでいた中村さんの義姉原口アヤ子さんと親族の計4人が殺人容疑などで逮捕された。原口さんは一貫して否認したが、親族3人は殺害や死体遺棄を自白。一審・鹿児島地裁は原口さんに懲役10年を言い渡し、1981年に最高裁で確定。親族3人は懲役1~8年の判決が確定し、出所後いずれも死亡した。
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●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、証拠の隠蔽や喪失、逆に、証拠の捏造…デタラメな行政

2019年06月06日 00時00分11秒 | Weblog


東京新聞の二つの記事【布川事件 国・県に賠償命令 「証拠開示拒否・警察偽証は違法」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201905/CK2019052802000134.html)と、
蜘手美鶴記者による【「ウソや証拠独占冤罪生む」布川事件損賠判決 逮捕から52年 桜井さん捜査批判】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201905/CK2019052802000121.html)。

 《一九六七年に茨城県利根町布川で男性が殺害された布川事件で、再審無罪が確定した桜井昌司さん(72)が国と県に計約一億九千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が二十七日、東京地裁であった。市原義孝裁判長は、検察官の証拠開示の拒否や公判での警察官の偽証を「違法」と認定》。
 《布川事件で再審無罪が確定した桜井昌司さん(72)の訴えを認めた二十七日の東京地裁判決は、警察官の違法な取り調べや検察官の証拠開示拒否などがなければ、「遅くとも控訴審判決一九七三年で無罪判決が言い渡され、釈放された可能性が高い」と捜査機関に猛省を促した》

 《桜井昌司さんと杉山卓男さんは冤罪で29年間も獄中に》。《市原義孝裁判長は、検察官の証拠開示の拒否や公判での警察官の偽証「違法」と認定。国と県に対し連帯して約七千六百万円を支払うよう命じた。市原裁判長は、これらの違法行為がなければ遅くとも控訴審で無罪判決が言い渡され、釈放された可能性が高いと指摘した》。
 検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、証拠の隠蔽や喪失、逆に、証拠の捏造…行政がデタラメ。桜井昌司さん《警察官のうそと検察官の証拠独占が冤罪を生む》と言います。そして、強大な権力には政治判断=忖度を乱発し、弱者には厳格・冷酷な司法判断…司法の堕落。そんな中で、《判決後に記者会見した桜井さんは「警察官のうそと検察官の証拠独占が冤罪を生む踏み込んだ判決に感謝している」と評価》しておれる。また、《弁護団からは「画期的だ」との声が上が》った。
 《自身も国賠訴訟中の青木恵子さんは「桜井さんから希望をもらった」と喜んだ。いまだ再審の扉が開かれない袴田事件大崎事件に触れ、「順番に勝っていってもらいたい」と望んだ》…他の冤罪事件にも波及することを望む。

 東京新聞の社説【布川事件に賠償 再審でも証拠開示を】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019053102000176.html)によると、《再審無罪となった男性に対し、「国と県は賠償せよ」と東京地裁が命じた。一九六七年の布川事件(茨城)だ。検察に不利な証拠でも開示義務を指摘した点は大きい。再審でも同じルールが必要だ。母親が早く自白するように言っている」「被害者宅近くで目撃証言がある」-。取り調べでは事実と異なる供述の誘導があった。公判でも捜査官の偽証があった。検察官も証拠開示を拒否した。損害賠償を認めた根拠には、警察・検察側の不公正の数々が積み重なっている。何より判決が証拠開示の在り方について、「裁判の結果に影響を及ぼす可能性が明白なものは、被告に有利か不利かを問わず法廷に出す義務がある」と述べた意義は大きい。検察が合理的な理由がなく証拠開示を拒否することは、できないはずである手持ち証拠は基本的にすべて法廷に出すという規範が働くことが期待される。万一、証拠隠しが発覚すれば、賠償義務が生じることになるからだ。問題は再審のケースである。刑事訴訟法には、再審での証拠開示についての明文規定がない。検察側は再審では積極的に応じようとしない傾向があるし、訴訟指揮権も裁判官の裁量次第である。…近年の再審無罪のケースは、検察側の証拠開示が決め手になっている場合が多い。松橋事件(熊本)、東京電力女性社員殺害事件(東京)、東住吉事件大阪)…。新証拠が確定判決をゆるがせ、無罪に導いている。もはや全面的な証拠開示が必要なときだ。裁判員裁判の時代でもある。冤罪(えんざい)をこれ以上、生んではいけない

   『●『冤罪File(2010年3月号)』読了
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
    「…など職業裁判官の怠慢の例は
     数え上げたらきりがありません。ましてや、福岡事件西武雄さん
     飯塚事件久間三千年さんといった無罪な人を死刑・私刑にして
     しまった可能性(控え目に表現しています)さえあります。村木厚子さん
     志布志事件の裁判結果などは極々稀な例です」

   『●『冤罪ファイル(2010年10月号)』読了
   『●『検察に、殺される』読了
   『●布川事件の記録映画、・・・そして、・・・・・・・・・
    《布川事件、再審無罪 発生から44年 水戸地裁土浦支部 2011年5月24日》

   『●冤罪だらけ: 裁判官の目は節穴か?
   『●強大な氷山の一角としての冤罪発覚
   『●「前川さんの身になってほしい!」: 「福井事件」という明々白な冤罪
   『●東電OL殺人事件元被告マイナリさん、
        冤罪15年間への償いはできるのか?
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●またしても裁判所は機能せず、闘いは高知高裁へ:
          高知白バイ「冤罪」事件、地裁が再審請求を棄却
   『●「戦後70年 統一地方選/その無関心が戦争を招く」
            『週刊金曜日』(2015年4月3日、1034号)
   『●「検察・警察も冤罪防止のために“前向き”」?…
       刑事訴訟法の「改正案が成立すれば、新たな冤罪を生む」
   『●刑事訴訟法の「改正」どころか、警察・検察に、
             司法取引と盗聴拡大という「追いゼニ」
   『●②飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 廃止か?」
               …話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
    《狭山事件…で逮捕され、31年も獄中生活を余儀なくされた石川和雄さん
     だけでなく、「冤罪オールスターズ」と呼びたくなる面々が集まっていた。
       67年、茨城で起きた「布川事件」の強盗殺人犯とされ、29年も刑務所に
     ブチ込まれた桜井晶司さん(2011年、無罪が確定)。66年、一家4人が
     殺害された「袴田事件」で犯人とされ、48年も獄中に囚われていた
     袴田巌さんの姉・秀子さん。そして90年、栃木で起きた「足利事件」で
     女児殺しの犯人にでっち上げられて17年を獄中で過ごした菅家利和さん
     (2010年、再審で無罪が確定)》

   『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…
       代用監獄…人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚
    《直後には東京地検特捜部でも捜査報告書の捏造事件が発覚し、
     加えて足利事件布川事件といった重要事件での冤罪が相次いで
     判明したため、検察に対するメディアや世論の批判はかつてないほど高まった》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201905/CK2019052802000134.html

布川事件 国・県に賠償命令 「証拠開示拒否・警察偽証は違法」
2019年5月28日 朝刊

     (国家賠償を命じる判決を受け、記者会見する桜井昌司さん
      =27日午後、東京都千代田区で)

 一九六七年に茨城県利根町布川で男性が殺害された布川事件で、再審無罪が確定した桜井昌司さん(72)が国と県に計約一億九千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が二十七日、東京地裁であった。市原義孝裁判長は、検察官の証拠開示の拒否や公判での警察官の偽証「違法」と認定。国と県に対し連帯して約七千六百万円を支払うよう命じた。

 市原裁判長は、これらの違法行為がなければ遅くとも控訴審で無罪判決が言い渡され、釈放された可能性が高いと指摘した。

 判決で市原裁判長は、県警の警察官が取り調べ段階で桜井さんに、母親が早く自白するように言っている被害者宅近くで桜井さんを見たという目撃者がいる-などと発言した内容は虚偽で欺くような取り調べ手法は違法と判断。ほかにも供述の誘導があり、「限度を超えた取り調べがあった」と非難した。警察官が取り調べを録音したテープの存在を隠し、公判で偽証したとも批判した。

 検察官の証拠開示の在り方については、「裁判の結果に影響を及ぼす可能性が明白なものについては、被告に有利か不利かを問わず法廷に出す義務がある」と指摘。その上で、控訴審段階で弁護側が、目撃者に関する捜査報告書や別の目撃証言を巡る参考人調書などの開示を求めたにもかかわらず、検察側が開示を拒絶したのは合理的理由はなく、違法だとした。

 桜井さんには既に、拘束された二十九年分の刑事補償として約一億三千万円が支払われたが、判決は控訴審判決時点から損害が発生していたと認定し、刑事補償額を差し引いた七千六百万円の支払いを命じた。

 判決後に記者会見した桜井さんは「警察官のうそと検察官の証拠独占が冤罪を生む。踏み込んだ判決に感謝している」と評価した。


<水戸地検の横井朗次席検事のコメント> 判決内容を精査し上級庁などと協議した上で対応を検討したい。

<茨城県警の浅野芳徳監察室長のコメント> 判決内容を精査し今後の対応を検討する。
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201905/CK2019052802000121.html

「ウソや証拠独占冤罪生む」布川事件損賠判決 逮捕から52年 桜井さん捜査批判
2019年5月28日 朝刊

     (支援者らを前に、勝訴を報告する桜井昌司さん
      (前列、左から2人目)=27日、東京都千代田区で)

 布川事件で再審無罪が確定した桜井昌司さん(72)の訴えを認めた二十七日の東京地裁判決は、警察官の違法な取り調べや検察官の証拠開示拒否などがなければ、「遅くとも控訴審判決(一九七三年)で無罪判決が言い渡され、釈放された可能性が高い」と捜査機関に猛省を促した。弁護団からは「画期的だ」との声が上がり、桜井さんは捜査機関の在り方を批判した。 (蜘手美鶴

 「捜査官がウソを言い、検察官が証拠を独占するやり方が冤罪(えんざい)を生む。それが許されないのは当たり前。裁判所が踏み込んで認定してくれて感謝している

 判決後、弁護団と東京都内で記者会見した原告の桜井昌司さんは、逮捕から五十二年の「戦い」を振り返り、支援者の前でほっとした表情を見せた。捜査や公判の違法性が認められた点を挙げ、「検察官や警察官の個人責任を問う法律をつくるべきだ」と訴えた。

 桜井さんと同じ冤罪被害者も訴訟を支援した。大阪市の女児死亡火災で再審無罪となり、自身も国賠訴訟中の青木恵子さんは「桜井さんから希望をもらった」と喜んだ。いまだ再審の扉が開かれない袴田事件大崎事件に触れ、「順番に勝っていってもらいたい」と望んだ。


<布川事件> 1967年8月、茨城県利根町布川の大工玉村象天さん=当時(62)=が自宅で絞殺され、県警は別の窃盗容疑などで逮捕していた桜井昌司さんと杉山卓男さんを強盗殺人の疑いで再逮捕した。2人は公判で無罪を主張したが、水戸地裁土浦支部は70年に無期懲役判決を言い渡し、78年に最高裁が上告を棄却して確定した。2人の再審請求に同支部は2005年、再審開始を決定。11年5月に無罪判決が言い渡された。
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●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】

2018年05月01日 00時00分06秒 | Weblog


NTVのテレビ【NNNドキュメント’18/あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】(http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-82.html)。

 《原口アヤ子さん(90)。…出所後「自白は強要されたものだ」と主張した。原口さんが再審を求めて22年。…再審制度の目的は「罪のない人の救済」。だがなぜ再審は始まらないのか。制度の在り方を問う》。

   『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」
         /『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について
    「山口正紀さん【裁判長の訴訟指揮も報じるべきだ 大崎事件再審請求】、
     「冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…
     マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、
     無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう」」

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
    《「やってないものは、やってない」-。殺人罪で服役した原口アヤ子さんは
     一貫して無実を叫んだ。その願いは第三次の再審請求でやっと重い扉を
     開けた。裁判所は早く無実を認めるべきである》。
    「《あたいはやっちょらん》…《だれより責任の重いのが…
     でっち上げを追認した裁判官》、《鹿児島地裁は証拠開示を認めず、
     原口さんの無実の訴えに再審の重い扉を開くことはなかった》。
       年老いた原口アヤ子さん…。無慈悲な司法、長年月に渡る放置
     というか見殺し。司法の「」だ…《原口さんは既に九十歳。三審制でも
     過去二回の再審請求でも救えなかった。司法界の恥と刻まれる》」

   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

    《重い再審の扉が大きく開き、光が差し込んだ。「大崎事件」の
     第3次再審請求即時抗告審。昨年6月の鹿児島地裁決定に続き、
     福岡高裁宮崎支部も再審開始を認めた12日、弁護団や
     支援者たちは喜びに包まれた。逮捕から39年一貫して無実
     訴えてきた原口アヤ子さんも今は90歳で、残された時間は限られる。
     「命あるうちに無罪判決を」。願いは今度こそ届くのか-》

 逮捕から39年間の「あたいはやっちょらん」の叫び!…「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」。そして、今、《昨年6月の鹿児島地裁決定に続き、福岡高裁宮崎支部も再審開始を認めた》にも係わらず、なぜ再審は始まらないのか? 2回も再審開始を地裁が決めたにもかかわらず、検察の抗告がいたずらに時間を浪費し、有罪か無罪かを争うのではなく、再審開始かどうかをいつまでも争う。また、証拠を警察が独占し、場合によっては隠蔽している可能性すら指摘されている。
 冷酷な司法。警察・検察・裁判所は、原口アヤ子さんが「沈黙すること」を、冷酷にも、待っているのではないのか? 彼/彼女らは、自分たちがソレに加担しているという意識はないのか?
 冤罪者を死刑によって、「沈黙させて」もいる。飯塚事件では、決して再審は認められない…《司法権力の“執念”》。《再審制度の目的…「罪のない人の救済」》は、死刑後に達成されても…。
 原口さんは、かつて言っていたそうだ、「やっていない罪を受けて、死ぬことはできません」。

   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●司法権力の〝執念〟: 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
    《別の意味で恐るべし、司法権力の“執念”

   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●①飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●②飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●飯塚事件冤罪者を国家が死刑執行、「この重すぎる現実」:
                       無惨…「死刑執行で冤罪を隠蔽」

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http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-82.html

2018年2月18日(日) 24:55
あたいはやっちょらん
大崎事件 再審制度は誰のもの?

1979年鹿児島県大崎町で男性が牛小屋の堆肥の中から遺体で発見された。逮捕されたのは義姉の原口アヤ子さん(90)。共犯とされた親族3人の自白が決めてだったが、出所後「自白は強要されたものだ」と主張した。原口さんが再審を求めて22年。鹿児島地裁は2度も再審開始の決定を出したが、検察側の不服申し立てに阻まれている。再審制度の目的罪のない人の救済。だがなぜ再審は始まらないのか。制度の在り方を問う。

ナレーター/湯浅真由美 制作/鹿児島読売テレビ 放送枠/30分

再放送
2月25日(日)11:00~ BS日テレ
2月25日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24」
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●39年間「あたいはやっちょらん」、一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

2018年04月08日 00時00分25秒 | Weblog


西日本新聞の記事【無実の叫び、壁破る 大崎事件高裁再審決定】(https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/400629/)。

 《重い再審の扉が大きく開き、光が差し込んだ。「大崎事件」の第3次再審請求即時抗告審。昨年6月の鹿児島地裁決定に続き、福岡高裁宮崎支部も再審開始を認めた12日、弁護団や支援者たちは喜びに包まれた。逮捕から39年一貫して無実を訴えてきた原口アヤ子さんも今は90歳で、残された時間は限られる。「命あるうちに無罪判決を」。願いは今度こそ届くのか-》。

   『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」
         /『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について
    「山口正紀さん【裁判長の訴訟指揮も報じるべきだ 大崎事件再審請求】、
     「冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…
     マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、
     無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう」」

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
    《「やってないものは、やってない」-。殺人罪で服役した原口アヤ子さんは
     一貫して無実を叫んだ。その願いは第三次の再審請求でやっと重い扉を
     開けた。裁判所は早く無実を認めるべきである》。
    「《あたいはやっちょらん》…《だれより責任の重いのが…
     でっち上げを追認した裁判官》、《鹿児島地裁は証拠開示を認めず、
     原口さんの無実の訴えに再審の重い扉を開くことはなかった》。
       年老いた原口アヤ子さん…。無慈悲な司法、長年月に渡る放置
     というか見殺し。司法の「」だ…《原口さんは既に九十歳。三審制でも
     過去二回の再審請求でも救えなかった。司法界の恥と刻まれる》」

 《やってないものは、やってない》《あたいはやっちょらん》。39年間「あたいはやっちょらん」、一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに、早く、《命あるうちに無罪判決を》。

 飯塚事件名張毒ぶどう酒事件など、さらには、核発電絡みの裁判や高江・辺野古の沖縄イジメ判決など…これまで、司法の冷酷さを嫌というほど見せつけられている…。原口さんは、《「あたいはやっちょらん」。何度も繰り返してきたその言葉を発することすら難しくなった》…そうだ。《今なお固い一念をうかがわせていた》…司法は誤りを、今こそ直ぐに、認めるべきではないのか?

   『●名張毒ぶどう酒事件という冤罪
   『●「疑わしきは罰する」名張毒ぶどう酒事件、あ~っため息が・・・
   『●司法権力の〝執念〟:
           映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』

   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず

   『●名張毒ぶどう酒事件第八次再審請求審:  
         検証もせずに、今度は新証拠ではないとは!
   『●「触らぬ神にたたりなし、ということなのか」?    
         訴えることが出来なくなるのを待つ司法の残酷さ!
   『●「福島の声」を聞き、避難者に寄り添っていたのはアベ様ら?、
                   それとも、経産省前テントひろばの皆さん?
   『●飯塚事件冤罪者を国家が死刑執行、「この重すぎる現実」:
                       無惨…「死刑執行で冤罪を隠蔽」

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https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/400629/

無実の叫び、壁破る 大崎事件高裁再審決定
2018年03月12日 17時00分

 重い再審の扉が大きく開き、光が差し込んだ。「大崎事件」の第3次再審請求即時抗告審。昨年6月の鹿児島地裁決定に続き、福岡高裁宮崎支部も再審開始を認めた12日、弁護団や支援者たちは喜びに包まれた。逮捕から39年一貫して無実を訴えてきた原口アヤ子さんも今は90歳で、残された時間は限られる。「命あるうちに無罪判決を」。願いは今度こそ届くのか-。

 午前11時すぎ、裁判所前。弁護団の2人が「高裁で初の再審開始決定!」と書かれた幕を広げると「おおー」「やった」と歓声が上がり、万歳三唱が響いた。森雅美弁護団長は「万感の思いでここまでたどり着いた。アヤ子さんに喜びを伝え、声を聞きたい」。“吉報”に笑みが浮かんだが、その後は表情を引き締め「これで確定して再審を開始し、無罪を勝ち取りたい」と力を込めた。

 原口さんは高裁の“壁”にはね返されてきた。最初の再審請求は2002年、鹿児島地裁が再審開始を認めたが、高裁宮崎支部で04年に取り消された。第2次請求も退けられ、今回は3度目の請求。それゆえ、弁護団や支援者はこの日の決定を万感の思いで迎えた。

 歓喜の輪の中に原口さんの姿はなかった。体は弱り、昨年秋からは入院生活を送る。「あたいはやっちょらん」。何度も繰り返してきたその言葉を発することすら難しくなった。それでも、再審の話になると目の色が変わる。

 12日、入院先の病院で知らせを聞いた原口さんは「ありがとう」と絞り出したという。今月4日、鴨志田祐美弁護団事務局長が「潔白」の意味を込めたダリアを手に訪問した際、「良い知らせを持ってくるよ」と語り掛けると、原口さんは何度もうなずいた。そのまなざしは、今なお固い一念をうかがわせていた

=2018/03/12付 西日本新聞夕刊=
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●①飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン

2017年09月10日 00時00分22秒 | Weblog


NTVのウェブ頁【NNNドキュメント’17死刑執行は正しかったのかⅡ 飯塚事件 冤罪を訴える妻】(http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-63.html)。
マガジン9の記事【雨宮処凛がゆく!/第424回:もし、冤罪で捕まったら〜「死刑執行は正しかったのか」から考える〜の巻】(http://maga9.jp/karin170906/)。

   『●NNNドキュメント’13:
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』

 《あなたは死刑制度に賛成だろうか、それとも反対だろうか。この国では、死刑に賛成する人の割合は約8割だという。それほどの人が「必要」だと思う死刑制度。が、被害者感情などは多く語られても、制度そのものの「欠陥」が語られることはあまりない。…犯人として逮捕されたのが、久間三千年氏。逮捕された彼は一貫して無実を訴えていたものの、06年に死刑が確定し08年死刑が執行……石川さん、桜井さん、袴田さん、菅家さんの4人を合わせた獄中生活の期間は、なんと125年である…が、まだ彼らは「まし」な方なのかもしれない――飯塚事件の番組を見て、思った。なぜなら、久間氏は無実を訴えながらも、既に死刑を執行されてしまっているのだ。これほどに「取り返しのつかないこと」って、他にあるだろうか》。

 まず、この二つの記事に関係なく、ブログ主は死刑制度廃止を支持します。
 マガ9の雨宮処凛さんの記事にもある通り、死刑存置支持者がなんと8割を超えるニッポン…。ましてや、裁判員裁判制度で「死刑のスイッチ」を押させられる時代だというのに、暢気すぎる。

   『●善良な市民には関係ない?? 
      死刑制度存置派驚異の8割の我国では全く揺るがず!?
   『●袴田冤罪事件を機に死刑制度の再考ができない我国
   『●無残!……『朝日』は、素人に《人を裁くという経験を通じ、
               死刑と向き合い、是非を考え》させたいらしい
   『●手遅れ!! ~死刑のスイッチを押すことと死刑執行~
   『●「裁判員制度」の下での「死刑制度」存置支持
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
   『●裁判員制度下で少年死刑判決
   『●裁判員の心を慮る・・・
   『●そのスイッチを押せない
   『●『きみが選んだ死刑のスイッチ』読了(1/2)
   『●『きみが選んだ死刑のスイッチ』読了(2/2)
   『●裁判員制度: 被告にとっても憲法違反
   『●裁判員制度を即刻中止に
   『●「死刑のスイッチ」を押すこと: 裁判員のストレス障害
   『●裁判員制度という不始末に最高裁はどのような落し前を?
   『●死刑という制度:  
       「吊るせ、吊るせ」の合唱で何か状況は変わるのか?
   『●「彼を赦したわけではない。
      しかし死刑にして問題が解決するわけではない」

   『●「殺すなかれ・・・」 
       ・・・「彼らを処刑することが「社会正義」なのだろうか」?
   『●「死刑のスイッチ」を強制する裁判員制度: 
      「やった人でないと、この苦しみは分からない」
   『●裁判員の心を慮る・・・
   『●シロウト裁判官の地獄…: 「裁判員の経験を
      話した親しい友人にこう問われた。「人を殺したのか?」」

 さて、飯塚事件の冤罪者・久間三千年さん。取り返しようのない手遅れ…冤罪者を死刑執行しています。終始無実を訴えていたにもかかわらず、「死刑判決からたった2年足らずの死刑囚に執行命令」が出されたこと、さらに、(足利事件について)「2008年10月16日にDNA型鑑定に疑問が生じた時点で、死刑執行は停止されておくべきだった」のに、同年10月28日に死刑が実施されたこと…あまりに酷すぎます。「死刑執行命令を下したのは、麻生内閣の森英介法務大臣(当時)」、飯塚は麻生太郎氏の「地元」だ。また、《青木俊氏の小説『潔白』…ちなみにこの本の帯の言葉は「死刑が誤りだった時、国は全力で真実を隠蔽する」》。
 久間三千年さんやご家族の皆さんは、一体どれほど無念だったことでしょうか。さらには、被害者やそのご遺族に対しても大変な侮辱行為です。

   『●『創(2009年11月号)』読了
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
   『●手遅れ!! ~死刑のスイッチを押すことと死刑執行~
   『●和歌山県警科学捜査研究所の鑑定結果捏造事件と
              和歌山毒カレー冤罪事件、そして死刑制度
   『●冤罪で死刑執行、あってはならない!!
     「冤罪で死刑にしてしまった警察や検察、法務大臣、裁判官、
      一体どう責任を取るのでしょうか。異例の早さで死刑執行が実施された
      久間さん、一体どれほど無念だったことでしょうか。
      被害者やそのご遺族に対しても大変な侮辱行為ではないでしょうか?」

   『●『冤罪File』(2012年11月号、No.17)についてのつぶやき
   『●死刑存置賛成派と飯塚事件
   『●冤罪(その2/2): せめて補償を
   『●飯塚事件の久間三千年さんと福岡事件の西武雄さん
   『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
               飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行
  
    「2008年10月16日 足利事件 再鑑定へ
     2008年10月28日 飯塚事件 死刑執行
     2009年 4月20日 足利事件 再鑑定で一致せず
     ……そう、足利事件で誤鑑定であることが分かった時には、既に、
     久間さんの死刑が執行されていた。2008年10月16日
     DNA型鑑定に疑問が生じた時点で、死刑執行は停止されておくべき
     だったのに…。なぜ、急いで死刑執行したのか?、大変に大きな疑問である」

   『●手遅れ!! ~死刑のスイッチを押すことと死刑執行~
    「陶山博生氏(p.43)は飯塚事件で一審担当。久間三千年さんの
     「死刑執行命令を下したのは、麻生内閣の森英介法務大臣(当時)である。
     大臣任命後1か月後に、死刑判決からたった2年足らずの死刑囚に
     執行命令を下すのは極めて異例である。…再申請求の準備
     なぜ久間氏の死刑が先に執行されたのか、全く理解に苦しむ

   『●「官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている」
                  ・・・冷たい司法が続くわけだ

   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
     ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●足利事件と飯塚事件と、そして「国家は人を殺す」:
                谷垣禎一法相「死刑制度は国民から支持」

   「実は菅家氏逮捕後、類似の事件が隣市で起きていた
    著者はある人物を突き止めた。ルパン三世に似た男。
    警察に情報を提供したが動かない。なぜか。著者は疑う。
    もし真犯人が逮捕されれば、過去のDNA型鑑定の誤りが明白になる
    すると同じ鑑定で死刑が執行された飯塚事件はどうなるか
    (警察は「犯人のDNA」は鑑定で全量消費されてしまったと言う。
    本当か。DNAは簡単に増幅できる。試料を全量使うことと
    半量使うことの間に
    質的な差は出ない慎重な研究者なら原試料の一部を保存しているはずだ)。
    著者の推測通りなら、
    司法の威信が根幹から揺らぐ隠蔽された闇は限りなく深い

   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審
                       司法の良心を示せるか?

   『●足利事件と飯塚事件との12日間:
         死刑執行された久間三千年さんの冤罪は晴らされるか?

   『●「情況証拠のみ」によって「高度に立証」?:
       飯塚事件の再審請求棄却と冤罪下での死刑執行と裁判員制度

   『●袴田冤罪事件を機に死刑制度の再考ができない我国
   『●「疑わしきは罰せず」「疑わしきは被告人の利益に」:
             今ごろそれを裁判所に訴えねばならないとは・・・

   『●鎌田慧さんインタビュー: 「一人の人間として勇気をふるった名判決」
   『●死刑制度存置: 袴田事件にどう責任?、そして、飯塚事件の絶望感
    「また、袴田さんを有罪にした証拠が否定された最大の要因が48年前の
     血痕のDNA鑑定だったことを振り返れば、どんなに昔の事件であっても
     後に再鑑定ができるように、試料の保存・適正管理をする仕組みも必要だろう。
     袴田事件の再審開始決定が出た4日後に、
     死刑執行後の再審請求が棄却された「飯塚事件」では、
     試料が使い切られていてDNA再鑑定ができなくなっている

   『●疑わしきは死刑に:
      この先も決して翻されることはない冤罪死刑・飯塚事件

    「本件では、久間氏と犯行との結び付きを証明する
     直接証拠は存在せず、情況証拠のみによって有罪認定が行われており、
     中でも警察庁科学警察研究所が行ったいわゆるMCT118型DNA型鑑定
     よって、被害女児の身体等に付着していた血液から久間氏と一致する
     DNA型が検出されたことなどが死刑判決の重要な証拠とされている。」
    「……しかし、DNA型鑑定の信用性に疑問が生じている以上、
     上記血液から検出されたDNA型と久間氏のDNA型が一致する可能性
     というのも科学的な裏付けを伴わない推論に過ぎない。しかも、決定も
     指摘するとおり、本件においては再鑑定のための資料が残されておらず
     再鑑定を行う機会が奪われている。それにもかかわらず、決定は、
     これらの事情を請求人に不利益に扱ったものであって、
     到底容認できないものである」

   『●試料が無い!! DNA鑑定も杜撰なら、
           証拠保全も杜撰 ~冤罪死刑の飯塚事件~

   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足


(※ その②続く[←ココ])

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●「あたいはやっちょらん」の叫び!…「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」

2017年07月17日 00時00分23秒 | Weblog


東京新聞の社説【大崎事件再審 司法の恥と受け止めよ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017062902000147.html)。

 《「やってないものは、やってない」-。殺人罪で服役した原口アヤ子さんは一貫して無実を叫んだ。その願いは第三次の再審請求でやっと重い扉を開けた。裁判所は早く無実を認めるべきである》。

 《あたいはやっちょらん》…《だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官》、《鹿児島地裁は証拠開示を認めず、原口さんの無実の訴えに再審の重い扉を開くことはなかった》。
 年老いた原口アヤ子さん…。無慈悲な司法、長年月に渡る放置というか見殺し。司法の「」だ…《原口さんは既に九十歳。三審制でも過去二回の再審請求でも救えなかった。司法界の恥と刻まれる》。


【NNNドキュメント’13/あたいはやっちょらん 鹿児島大崎事件「再審格差」】
http://www.dailymotion.com/video/xytngi_%E3%81%82%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%AF%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%A1%E3%82%87%E3%82%89%E3%82%93-%E9%B9%BF%E5%85%90%E5%B3%B6%E5%A4%A7%E5%B4%8E%E4%BA%8B%E4%BB%B6-%E5%86%8D%E5%AF%A9%E6%A0%BC%E5%B7%AE_news

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あたいはやっちょらん 鹿児島大崎事件「再審格差」
30分枠 放送 : 4月7日(日) 25:20~
ナレーター : 湯浅真由美
制作 : 鹿児島読売テレビ
再放送 : 4月14日(日)11:00~

1979年、鹿児島県大崎町で男性(当時42)が牛小屋の堆肥の中から遺体で見つかった。原口アヤ子さん(85)は一貫して無実を訴えたが、共犯とされた親族の自白が決め手で有罪とされた。やっていない罪を認める訳にはいかないと仮出所の話も断り、判決通り10年間服役。「無実を勝ち取るまで死んでも死にきれない」出所後、原口さんは裁判のやり直し「再審」を求めている。裁判所の勧告で捜査機関の未開示証拠の存在が明らかになり再審無罪が相次ぐ中、鹿児島地裁は証拠開示を認めず、原口さんの無実の訴えに再審の重い扉を開くことはなかった。証拠開示に対するルールがなく、裁判所の「さじ加減」に委ねられている現在の再審制度。34年に渡る1人の女性の戦いの中から「再審の格差」が見えてくる。
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   『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」
         /『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について
    「山口正紀さん【裁判長の訴訟指揮も報じるべきだ 大崎事件再審請求】、
     「冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…
     マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、
     無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう」」

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足


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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017062902000147.html

【社説】
大崎事件再審 司法の恥と受け止めよ
2017年6月29日

 「やってないものは、やってない」-。殺人罪で服役した原口アヤ子さんは一貫して無実を叫んだ。その願いは第三次の再審請求でやっと重い扉を開けた。裁判所は早く無実を認めるべきである。

 厳しい取り調べにも、原口さんは一度も罪を認めたことはない。例え話であるが「認めれば仮釈放される」などの誘いにも乗ったことはない。事件は鹿児島県大崎町で一九七九年に起きたが、物証はないに等しく、共犯者とされる者たちの証言のみで立証されている。

 知的障害者も含まれる。かつ共犯者も後に証言をひるがえして、原口さんの関与を虚偽であったとしている。それでも原口さんは懲役十年の刑を受け、服役を終えている。どんな証拠によるものだろうか。

 発端は、義理の弟が自宅から一キロ離れた用水路に自転車とともに倒れていた。泥酔していたのだ。村人に引き上げられ、家まで軽トラックで送り届けられたものの、その後、所在不明となった。

 義理の弟は敷地内にある牛小屋の堆肥から死体となって発見された。原口さんの夫らが逮捕された。確定判決では「タオルによる絞殺」である。今回の弁護側は鑑定書を基に「死斑などがなく、窒息死の所見は認められない」と指摘しつつ、「自転車事故による出血性ショック死の可能性が高い」と訴えていた。

 検察から開示されたネガフィルムを基に現像した写真を調べても、遺体の皮膚に変色が見られなかった。つまり、首を絞めて殺害したとする供述は信用できなくなる。弁護側はそう主張した。

 また、第二次再審請求の抗告審で「親族の自白を支えている」と判断された義妹の「共犯者から殺してきたと聞いた」という証言についても、「体験していないことを話している可能性が高い」とする鑑定書を出していた。

 要するに「大崎事件」は人が死んでいたことは事実であるが、殺人事件であったかどうかさえ、あやふやである。確たる証拠は何もないのではないか。死体遺棄のような状態であったから、警察が殺人事件だと思い込んでしまったのではないか。

 たまたま死亡した義理の弟に郵便局の簡易保険を原口さんがかけていたから、事件の首謀者に仕立て上げられたのだろう。原口さんは既に九十歳。三審制でも過去二回の再審請求でも救えなかった。司法界の恥と刻まれる。
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●試料が無い!! DNA鑑定も杜撰なら、証拠保全も杜撰 ~冤罪死刑の飯塚事件~

2014年08月13日 00時00分07秒 | Weblog


東京新聞の記事【有罪男性の「DNA鑑定は誤り」 再審請求へ』(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014080301001680.html)。
asahi.comの記事【「DNA再鑑定で別人の可能性」 暴行事件で再審請求へ】(http://www.asahi.com/articles/ASG845D8DG84UTIL02M.html?iref=comtop_6_04)。
東京新聞の記事【袴田さん抗告審 証拠衣類のネガ存在 検察 従来説明撤回し謝罪】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014080602000137.html)。

 「検察側が「存在しない」と裁判所や弁護団に説明してきた五点の衣類のカラー写真のネガが存在していたことが五日、分かった。証拠開示を求めてきた弁護団は「検察の証拠隠しだ」と批判」・・・・・・袴田事件ではまたしても、証拠捏造だけでなく、隠蔽も発覚。しかも、「検察幹部は・・・・・・「再審開始決定後、警察が倉庫を整理していて偶然、ネガを見つけた。故意に隠したのではない」」・・・・・・なんて、白々しいにもほどがあるDNA鑑定も杜撰なら、証拠保全も杜撰。しかも、だれも責任をとらない。酷いものである。

   『●真の司法改革とは?、そして「イヌのイヌのイヌのイヌ」
   『●「敗戦特集」 『週刊金曜日』
      (2014年8月8日・15日合併号、1003号)についてのつぶやき


 「無罪が確定した「足利事件」と同時期の約20年前に実施されたDNA鑑定が有力な証拠となり、有罪判決を受けた中部地方の男性について、弁護士が現在の方法で鑑定をやり直したところ、犯人と一致しない結果が出たとして、今月中にも同地方の裁判所に再審請求を起こすことが3日、分かった。鑑定をやり直したのは、足利事件を担当した佐藤博史弁護士で、取材に対し「足利事件と同様に、精度が低い鑑定で有罪が確定したのは全国で8人いる。現在の技術で、正しい判断をすべきだ」と話している」・・・・・・飯塚事件には波及しないのか? 確実にそこに波及しなければ、大変に奇妙だ。まさか、「再鑑定のための試料が残されていない」ことを、飯塚事件の再審却下の言い訳に使わないでしょうね? 『●沖縄密約文書: 「捨てちゃったんだからもういいジャン」の国を許す最高裁』なんてことはないでしょうね? 倉庫を整理していて、「偶然」、後からDNA試料が見つかったりしないでしょうね?


   『●死刑存置賛成派と飯塚事件
   『●NNNドキュメント’13:
       死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●飯塚事件の久間三千年さんと福岡事件の西武雄さん
   『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
               飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行』  
   『●手遅れ!! ~死刑のスイッチを押すことと死刑執行~
    「陶山博生氏(p.43)は飯塚事件で一審担当。久間三千年さんの
     「死刑執行命令を下したのは、麻生内閣の森英介法務大臣(当時)である。
     大臣任命後1か月後に、死刑判決からたった2年足らず死刑囚
     執行命令を下すのは極めて異例である。・・・再申請求の準備・・・
     なぜ久間氏の死刑が先に執行されたのか、全く理解に苦しむ

   『●「官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている」
                  ・・・冷たい司法が続くわけだ
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
     ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足
   『●足利事件と飯塚事件と、そして「国家は人を殺す」:
                谷垣禎一法相「死刑制度は国民から支持」
    実は菅家氏逮捕後、類似の事件が隣市で起きていた
    著者はある人物を突き止めた。ルパン三世に似た男。
    警察に情報を提供したが動かない。なぜか。著者は疑う。
    もし真犯人が逮捕されれば、過去のDNA型鑑定の誤りが明白になる
    すると同じ鑑定で死刑が執行された飯塚事件はどうなるか
    (警察は「犯人のDNA」は鑑定で全量消費されてしまったと言う。
    本当か。DNAは簡単に増幅できる。試料を全量使うことと
    半量使うことの間に
    質的な差は出ない慎重な研究者なら原試料の一部を保存しているはずだ)。
    著者の推測通りなら、
    司法の威信が根幹から揺らぐ隠蔽(いんぺい)された闇は限りなく深い


   『
●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審
                       司法の良心を示せるか?
   『●足利事件と飯塚事件との12日間:
         死刑執行された久間三千年さんの冤罪は晴らされるか?
   『●「情況証拠のみ」によって「高度に立証」?:
       飯塚事件の再審請求棄却と冤罪下での死刑執行と裁判員制度
   『●袴田冤罪事件を機に死刑制度の再考ができない我国
   『●「疑わしきは罰せず」「疑わしきは被告人の利益に」:
             今ごろそれを裁判所に訴えねばならないとは・・・
   『●鎌田慧さんインタビュー: 「一人の人間として勇気をふるった名判決」
   『●死刑制度存置: 袴田事件にどう責任?、そして、飯塚事件の絶望感
    「また、袴田さんを有罪にした証拠が否定された最大の要因が48年前の
     血痕のDNA鑑定だったことを振り返れば、どんなに昔の事件であっても
     後に再鑑定ができるように、
試料の保存・適正管理をする仕組みも必要だろう。
     袴田事件の再審開始決定が出た4日後に、
     
死刑執行後の再審請求が棄却された「飯塚事件」では、
     
試料が使い切られていてDNA再鑑定ができなくなっている

   『●疑わしきは死刑に:
      この先も決して翻されることはない冤罪死刑・飯塚事件
    「本件では、久間氏と犯行との結び付きを証明する
     
直接証拠は存在せず、情況証拠のみによって有罪認定が行われており、
     中でも警察庁科学警察研究所が行ったいわゆる
MCT118型DNA型鑑定
     よって、被害女児の身体等に付着していた血液から久間氏と一致する
     DNA型が検出されたことなどが死刑判決の重要な証拠とされている。」
    「・・・・・・しかし、DNA型鑑定の信用性に疑問が生じている以上、
     上記血液から検出されたDNA型と久間氏のDNA型が一致する可能性
     というのも科学的な裏付けを伴わない推論に過ぎない。しかも、決定も
     指摘するとおり、本件においては再鑑定のための資料が残されておらず
     再鑑定を行う機会が奪われている。それにもかかわらず、決定は、
     これらの事情を請求人に不利益に扱ったものであって、
     到底容認できないものである」

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014080301001680.html

有罪男性の「DNA鑑定は誤り」 再審請求へ
2014年8月3日 21時54分

 無罪が確定した「足利事件」と同時期の約20年前に実施されたDNA鑑定が有力な証拠となり、有罪判決を受けた中部地方の男性について、弁護士が現在の方法で鑑定をやり直したところ、犯人と一致しない結果が出たとして、今月中にも同地方の裁判所に再審請求を起こすことが3日、分かった。

 鑑定をやり直したのは、足利事件を担当した佐藤博史弁護士で、取材に対し「足利事件と同様に、精度が低い鑑定で有罪が確定したのは全国で8人いる。現在の技術で、正しい判断をすべきだ」と話している。

 佐藤弁護士によると、男性は約20年前、女性を暴行したとして逮捕された。

(共同)
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http://www.asahi.com/articles/ASG845D8DG84UTIL02M.html?iref=comtop_6_04

DNA再鑑定で別人の可能性」 暴行事件で再審請求へ
2014年8月4日20時23分

 約20年前に女性に暴行をしたとして有罪判決を受け、服役した中部地方の男性が、「DNA型鑑定をやり直したら、真犯人とは別人の可能性があるという結果が出た」として、今月中にも再審請求する方針であることがわかった。有罪の決め手となった当時のDNA型鑑定は、再審無罪が確定した足利事件で「証拠能力がない」と判断されて問題となったのと同じ手法だったという。

 男性のDNA型鑑定のやり直しに協力したのは、足利事件でも弁護人を務めた佐藤博史弁護士。佐藤弁護士によると、男性は約20年前に逮捕され、一貫して無罪を主張していた。しかし、事件現場に残された犯人の体液と男性のDNA型が一致したなどとして、有罪判決が確定。現在は服役を終えているという。

 当時のDNA型鑑定は「MCT118型」と呼ばれる手法。捜査への導入間もない時期で、1千人に1人程度を特定できる精度しかなかったという。そこで今年に入り、男性の口内の細胞を使ってDNA型鑑定を実施したところ、当時の男性の鑑定結果とは異なる可能性があることが分かったという。

 佐藤弁護士は「当時の現場に残された試料が残っていれば、改めて最新のDNA型鑑定をするよう求めたい。そうすれば、犯人と別人かどうかはっきりする」と話している。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014080602000137.html

袴田さん抗告審 証拠衣類のネガ存在 検察 従来説明撤回し謝罪
2014年8月6日 朝刊

 静岡地裁が三月に再審開始決定を出した袴田巌(いわお)さん(78)の即時抗告審で、検察側が「存在しない」と裁判所や弁護団に説明してきた五点の衣類のカラー写真のネガが存在していたことが五日、分かった。証拠開示を求めてきた弁護団は「検察の証拠隠しだ」と批判している。 

 東京高裁で開かれた高裁、東京高検との三者協議後に弁護団が明らかにした。

 事件は、一九六六年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で発生。みそ製造会社の専務一家四人が殺害された。強盗殺人などの疑いで逮捕された袴田さんは八〇年に死刑が確定した。

 犯行時の着衣とされた五点の衣類は事件の一年二カ月後、現場のみそ工場タンク内で見つかった。静岡地裁の再審開始決定は、長い間みそに漬けられていたはずの衣類のカラー写真の色合いが不自然であるとし、「捜査機関に捏造(ねつぞう)された疑いがある」と指摘した。今回存在が判明したネガとカラー写真との衣類の色合いの違いが、高裁の判断を左右する可能性が出てきた。

 第二次再審請求審で、静岡地検が五点の衣類のカラー写真を初めて開示した。弁護団は、衣類をさまざまなみそに漬け込んで色の変化を調べた独自の実験結果と比較。「(カラー写真に写っている)五点の衣類のみその染まり方は極端に薄い。一年二カ月も漬かっていたとは考えられない」とし、捜査機関自らがタンクに入れたと主張した。

 弁護団によると、静岡地検は、第二次再審請求審の三者協議が続いていた二〇一〇年と一一年、写真のネガの開示を求めた弁護団に「ネガはない」と回答していた。しかし五日の三者協議では一転して高検検事が「地検検事が事実に反する答えをしたことを率直に謝罪する」と述べ、ネガの存在を認めたという。ネガは百十一枚で、検察側は再審開始決定後一部のネガを鑑定し時間の経過によりカラーの色合いが変わったと主張しているという。弁護団は残りのネガの中に、袴田さんの無罪を証明する証拠があるとみて開示を求めた。

 検察幹部は取材に「再審開始決定後、警察が倉庫を整理していて偶然、ネガを見つけた。故意に隠したのではない」としている。
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●疑わしきは死刑に: この先も決して翻されることはない冤罪死刑・飯塚事件

2014年05月15日 00時00分46秒 | Weblog


日本弁護士連合会のWPに出ていた会長声明【飯塚事件再審請求棄却決定に関する会長声明】(http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140331.html)。

 「久間氏はその後も無実を訴え、再審請求を準備していたが、死刑判決の確定からわずか2年後の2008年(平成20年)10月28日、久間氏(当時70歳)に対する死刑が執行・・・・・・しかも、・・・・・・再鑑定のための資料が残されておらず、再鑑定を行う機会が奪われている」・・・・・・。警察・検察、裁判所の面子、国家の威信をかけても冤罪が翻ることはないと思います。「疑わしきは死刑に」を実践してしまった塚事件、まったく酷いもので、取り返しのつかないとんでもない冤罪死刑・リンチ死事件。

   『●死刑存置賛成派と飯塚事件
   『●NNNドキュメント’13:
       死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●飯塚事件の久間三千年さんと福岡事件の西武雄さん
   『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
               飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行』  
   『●手遅れ!! ~死刑のスイッチを押すことと死刑執行~
    「陶山博生氏(p.43)は塚事件で一審担当。久間三千年さんの
     「死刑執行命令を下したのは、麻生内閣の森英介法務大臣(当時)である。
     大臣任命後1か月後に、死刑判決からたった2年足らず死刑囚
     執行命令を下すのは極めて異例である。・・・再申請求の準備・・・
     なぜ久間氏の死刑が先に執行されたのか、全く理解に苦しむ

   『
●「官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている」
                  ・・・冷たい司法が続くわけだ
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
     ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足
   『●足利事件と飯塚事件と、そして「国家は人を殺す」:
                谷垣禎一法相「死刑制度は国民から支持」
   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審
                       司法の良心を示せるか?
   『●足利事件と飯塚事件との12日間:
         死刑執行された久間三千年さんの冤罪は晴らされるか?
   『●「情況証拠のみ」によって「高度に立証」?:
       飯塚事件の再審請求棄却と冤罪下での死刑執行と裁判員制度
   『●袴田冤罪事件を機に死刑制度の再考ができない我国
   『●「疑わしきは罰せず」「疑わしきは被告人の利益に」:
             今ごろそれを裁判所に訴えねばならないとは・・・
   『●鎌田慧さんインタビュー: 「一人の人間として勇気をふるった名判決」


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http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140331.html


飯塚事件再審請求棄却決定に関する会長声明

本日、福岡地方裁判所第2刑事部は、いわゆる「塚事件」に関する再審請求事件につき、再審請求を棄却する旨の決定を行った。

本件は、1992年(平成4年)2月20日、福岡県飯塚市において小学校1年生の女児2名が登校途中に失踪し、翌21日に遺体が発見されたという事件であり、久間三千年氏が略取誘拐、殺人、死体遺棄の容疑で逮捕・起訴された。久間氏は一貫して本件への関与を否認していたが、1999年(平成11年)9月29日、第一審の福岡地方裁判所は死刑判決を言い渡し、その後、控訴・上告も棄却され、2006年(平成18年)10月8日、死刑判決が確定した。

久間氏はその後も無実を訴え、再審請求を準備していたが、死刑判決の確定からわずか2年後の2008年(平成20年)10月28日、久間氏(当時70歳)に対する死刑が執行された。そのため、久間氏の遺志を引き継いだ遺族によって再審請求が行われていたものである。

本件では、久間氏と犯行との結び付きを証明する直接証拠は存在せず、情況証拠のみによって有罪認定が行われており、中でも警察庁科学警察研究所が行ったいわゆるMCT118型DNA型鑑定によって、被害女児の身体等に付着していた血液から久間氏と一致するDNA型が検出されたことなどが死刑判決の重要な証拠とされている。

本日の決定は、新たな鑑定によってDNA型鑑定の証明力を確定判決の当時よりも慎重に検討すべき状況に至っているとしつつも、上記血液から検出されたDNA型と久間氏のDNA型が異なることが明らかになったものではなく、両者が一致する可能性も十分もあるとし、その余の情況証拠を総合すれば確定判決の有罪認定に合理的な疑いは生じないとして、再審請求を棄却した。しかし、DNA型鑑定の信用性に疑問が生じている以上、上記血液から検出されたDNA型と久間氏のDNA型が一致する可能性というのも科学的な裏付けを伴わない推論に過ぎない。しかも、決定も指摘するとおり、本件においては再鑑定のための資料が残されておらず、再鑑定を行う機会が奪われている。それにもかかわらず、決定は、これらの事情を請求人に不利益に扱ったものであって、到底容認できないものである。

また、当連合会は、2011年(平成23年)10月、人権擁護大会において、「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択するとともに、2013年(平成25年)2月には、谷垣禎一法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出している。

死刑判決が誤判であった場合に、これが執行されてしまうと取り返しがつかない。飯塚事件は、再審請求が棄却されたとはいっても、えん罪の疑いの濃い事案において、その懸念が現実化したものである。

当連合会としては、誤った裁判による死刑の執行がなされることのないよう、死刑確定者に対する死刑の執行を停止することを求めるとともに、本件の再審請求について引き続き注視していく。

 2014年(平成26年)3月31日
  日本弁護士連合会
  会長 山岸 憲司
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