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●原一男さん《桜井昌司さんは違う。「冤罪事件が私を生まれ変わらせてくれた、ありがたい、と思っている」と価値観を逆転させる奇跡の言葉。》

2023年08月25日 00時00分19秒 | Weblog

[↑ 映画『オレの記念日』フライヤー(https://oreno-kinenbi.com/wp-content/uploads/2022/08/oreno-kinenbi_flyer.pdf)]


(20230824[])
逮捕から仮釈放されるまでの身体拘束は約二十九年におよび無罪となるまでに約四十四年を要した》。
 原一男さん《悪政まみれのクソニッポン国の中で、理不尽にも冤罪事件で29年間の牢獄生活を余儀なくされた桜井昌司さん。私だったら、生きる気力を無くして絶望の淵に沈んでしまうだろう。しかし、桜井さんは違う。「冤罪事件が私を生まれ変わらせてくれた、ありがたい、と思っていると価値観を逆転させる奇跡の言葉まさに、国家権力の横暴さを無化せしめる魔法を見せてくれる映画である》。

   『●桜井昌司さん《冤罪被害の実態を世の中に広く訴える活動…冤罪をなくす
       ための活動とその成果は東京弁護士会人権賞の受賞に相応しいもの》
   『●金聖雄監督《冤罪被害という絶望的なテーマの中で、私が映画を作り
     ながら希望を見出していくと言う不思議な感覚を、ぜひ映画を観る…》

 東京新聞の記事【布川事件の桜井昌司さん死去 再審で無罪確定、76歳】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/272035)。《茨城県利根町布川で1967年に男性が殺害された「布川事件」で無期懲役となり、再審で無罪が確定した桜井昌司(さくらい・しょうじ)さんが23日午前10時30分、直腸がんのため水戸市内の病院で死去した。76歳。茨城県出身。葬儀・告別式は31日午後1時から水戸市堀町2106の2、水戸市斎場で。喪主は妻恵子(けいこ)さん。67年に茨城県警に逮捕され、78年に強盗殺人罪などで無期懲役が確定。共犯とされた杉山卓男さん=2015年死去=とともに獄中から無実を訴え続けた。01年に第2次再審請求し、09年に再審開始が確定。11年に水戸地裁土浦支部の再審公判で無罪となった》。

 とてもショックだ。最近、ブログ【桜井昌司『獄外記』/布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。】(https://blog.goo.ne.jp/syouji0124)が滞り気味だったが…。(当ブログ主の勝手な想い)gooブログ〝仲間〟の桜井昌司さん。ご冥福をお祈りいたします。
 東京新聞の【おくやみ/桜井昌司さん死去 「布川事件」再審で無罪確定】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/272153)。《茨城県利根町布川で一九六七年に男性が殺害された「布川事件」で無期懲役となり、再審で無罪が確定した桜井昌司(さくらい・しょうじ)さんが二十三日、直腸がんのため死去した。七十六歳。茨城県出身。》《再審無罪後は、三重の名張毒ぶどう酒事件などの元被告や遺族が冤罪(えんざい)を訴える活動を支援。獄中での作品をまとめた詩集「壁のうた」も出版した》。

 布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男冤罪被害者を支援し、濡れ衣を着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしてい》た桜井昌司さん。冤罪被害者やそのご家族の支援、桜井さんの重要な活動だ。《他の冤罪被害者・支援者と積極的に交流し、冤罪をなくすための活動にも積極的に取り組んできました。たとえば、2019年3月には、桜井氏の呼びかけで「冤罪犠牲者の会」が設立され、冤罪事件同士が情報交換や相互支援を通じて連帯しながら冤罪をなくすための運動をしています。また、同年5月には「再審法改正をめざす市民の会」に参加し、共同代表を務めています》(東京弁護士会)。

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/272153

おくやみ
桜井昌司さん死去 「布川事件」再審で無罪確定
2023年8月24日 07時24分

 茨城県利根町布川で一九六七年に男性が殺害された「布川事件」で無期懲役となり、再審で無罪が確定した桜井昌司(さくらい・しょうじ)さんが二十三日、直腸がんのため死去した。七十六歳。茨城県出身。葬儀・告別式は三十一日午後一時から水戸市堀町二一〇六の二、水戸市斎場で。喪主は妻恵子(けいこ)さん。

 六七年に茨城県警に逮捕され、七八年に強盗殺人罪などで無期懲役が確定。共犯とされた杉山卓男(たかお)さん=二〇一五年死去=とともに獄中から無実を訴え続けた。〇一年に第二次再審請求し、〇九年に再審開始が確定。一一年に水戸地裁土浦支部の再審公判で無罪となった。逮捕から仮釈放されるまでの身体拘束は約二十九年におよび無罪となるまでに約四十四年を要した

 一二年には国と県に賠償を求め提訴し、捜査の違法性が認められ、二一年、国と県に賠償を命じた東京高裁の判決が確定した。

 再審無罪後は、三重の名張毒ぶどう酒事件などの元被告や遺族が冤罪(えんざい)を訴える活動を支援。獄中での作品をまとめた詩集「壁のうた」も出版した。
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   『●『冤罪File(2010年3月号)』読了
    「特集・再審が動いた! 「狭山事件」、東京高裁が検察に証拠開示を
     勧告。「布川事件」、再審開始確定。「足利事件」、再審で、誤判の
     原因究明へ。」
    《「刑事も悪い、検事もひどい。でも今振り返って、誰を一番恨むか
     と聞かれたら、やっぱり裁判官だな。裁判官だけは分かってくれる
     と信じていたからね」/裁判官の非常識について語り出すと布川事件は
     とめどがない。…「一審の裁判長が法廷で俺に言ったんですよ。
     『どうしてそんな大事な日のことを忘れるんですか』って。
     …『どうして大事な日なんですか。俺にとったら普通の日ですよ』と。
     そうでしょ。犯人にとったら忘れられない日でも、
     俺には普通の日ですよ」/語るに落ちた裁判官」》

   『●『冤罪File(No.10)』読了
   『●冤罪デモ
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
   『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、
        検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》
   『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
      …検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定
   『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を
        着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん
   『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、
        その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》
   『●飯塚冤罪事件で死刑執行されてしまった久間三千年さん…福岡地検に、
     《裁判所が検察に対し、証拠品のリストを開示するよう勧告》した!
   『●飯塚事件…《裁判所は…検察に証拠品のリストの開示を勧告…したが、
     検察は「裁判所に権限はない」「事案の解明に意味はない」などと拒否》
    《布川事件冤罪被害者桜井昌司さん…「こんなことを優秀な裁判官が
     なぜわからないのか日本の警察はこれまでも証拠を捏造して
     きました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されて
     きたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも
     懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、
     ゴビンダさんの事件東電事件)、東住吉事件だれもその責任を
     追及しない。再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を
     法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず
     果たせると確信しています。必ず勝ちます。
     一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす
     殺したのは誰か検察庁です」》


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●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょらんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」

2023年02月26日 00時00分05秒 | Weblog

―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》



/ (2023年02月12日[日])
NTV【NNNドキュメント’23/あたいはやっちょらん 鹿児島・大崎事件 「95歳の叫び」】(https://www.ntv.co.jp/document/backnumber/articles/1894tndd5kqpjiek0ts8.html)。元鹿児島県警捜査員「適正捜査だった」「自白偏重はだめだと徹底的に言われた時代。決して自白の強制はなかった」…本当だろうか? 原口アヤ子さん以外の3人 (一郎氏・二郎氏・太郎氏) が、無実なのに「自白」するだろうか? 志布志事件では何が起きたか? 在りもしなかった事件を、鹿児島県警から「強制的に自白させられた」…。

   『●『冤罪File(2009年12月号)』読了(1/2)
   『●GPJ「クジラ肉裁判」と検察審査会
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
    「…など職業裁判官の怠慢の例は
     数え上げたらきりがありません。ましてや、福岡事件西武雄さん
     飯塚事件久間三千年さんといった無罪な人を死刑・私刑にして
     しまった可能性(控え目に表現しています)さえあります。村木厚子さん
     志布志事件の裁判結果などは極々稀な例です」

   『●『検察に、殺される』読了
    「『検察に、殺される』…。粟野仁雄著。…ガタガタの特捜。
     志布志事件…、氷見事件…。甲山事件…(松下竜一さん
     『記憶の闇』)。高知白バイ事件…。布川事件…。足利事件…。
     袴田事件…。村木厚子さん冤罪・証拠捏造事件…。」

   『●冤罪(その2/2): せめて補償を
    「飯塚事件久間三千年さんは、冤罪であるにもかかわらず、
     死刑を執行された。これは、被害者の遺族に対する、
     何と表現して良いのかわからないが……遺族の方たちも
     複雑な感情を抱いてしまうはずだ。/どんな背景や力学が
     働いたのかはそれぞれの事件によって異なるが、布川事件
     氷見事件東電OL殺害事件志布志事件村木厚子氏冤罪事件
     足利事件……、せめて賠償で報いる以外に方法が無いのではないか。
     しかし、その扉は当方もなく厚い。」

   『●「戦後70年 統一地方選/その無関心が戦争を招く」 
              『週刊金曜日』(2015年4月3日、1034号)
       「山口正紀さん【「可視化」口実の盗聴法大改悪 
        「刑事司法改革」法案】、「志布志事件の川畑幸夫さん
        …足利事件菅家利和さん…布川事件桜井昌司さん
        …冤罪被害者が声をそろえて「全面可視化を」と訴えた。
        …日弁連執行部の賛成で批判記事を書きにくいのかも
        しれないが、メディアは「冤罪をなくし、人権を守る」視点から、
        法案の危険性を是非伝えてほしい」。青木理さん「刑事司法改革
        …端緒は郵便不正事件・・・法務省に都合よく集約…
        日本の司法は中世なみ

   『●《黒田さんは「差別」と「戦争」を最も憎んだ。人々の幸福実現が
     新聞の最大の使命なら、それを最も阻害するのが差別と戦争だからだ》
    《…志布志事件の被害者川畑幸夫(さちお)さんの聞き書き
     「一歩も退(ひ)かんど」…》

   『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたと
     しても、その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》
    《布川事件の再審無罪決定と相前後して、足利事件氷見事件
     志布志事件、そして村木厚子さんの郵便不正事件などで次々と
     衝撃的な冤罪が明らかになったことを受けて、公訴権を独占する
     上に、密室の取り調べが許される検察の暴走が冤罪を生んでいる
     との批判が巻き起こり、2009年に民主党政権下で刑事訴訟制度の
     改正論議が始まった。しかしその後、政権が自民党に戻る中、
     一連の制度改正論議の結果として行われた2016年の刑事訴訟法の
     改正では、むしろ検察の権限が大幅に拡大されるという
     信じられないような展開を見せている

 弁護団は、そもそも殺人事件ではなく、「事故」の可能性を指摘。遺体はなぜ「堆肥の中に」? 冤罪の原口さんにそこまで解明しろ、とでもいうのだろうか?
 「父、母が刑務所に行った人たち、人殺しだと世間の人たちから一生言われる」「娘とか孫、窓の子供まで関わるから」「罪だけは晴らさなくては生きていたくない」。「やっちょらんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」。

 大崎事件は冤罪である。一貫して「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?

 再度書く。何度でも書く。………そして、なんでこんな決定になるのだろう? 鹿児島地裁・中田幹人裁判長、なぜ? 「あたいはやっちょらん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。《これまでに地裁、高裁で3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁ちゃぶ台返ししている。
 山口新太郎記者による。西日本新聞の記事【【速報】大崎事件、再審開始を認めず 95歳、43年前の殺人 鹿児島地裁が第4次請求を棄却】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/944293/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、殺人などの罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めている第4次再審請求に対し、鹿児島地裁(中田幹人裁判長)は22日、請求を棄却する決定を出した。弁護団は即時抗告する方針。》

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行
   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ……に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。
     『イチケイのカラス』…のモデルの一部になっているらしい」

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

   『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
     ・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》
   『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
       侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?
   『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
     ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?

 またしても同じ疑念が頭に浮かぶ ――― 《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》。原口さんが物言えぬようになることを待っているのではないか…なんという冷酷・冷血か。「自らの責任を回避するために、検察は奥西勝さんという冤罪死刑囚の死を持っているとしか思えない。裁判所がそれに加担しているのだから、全く冷酷な人たちである」。

   『●冤罪死刑囚の死を待ち、責任を逃れようとする冷酷な人々
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                  ……死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●司法権力の〝執念〟:映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
    《別の意味で恐るべし、司法権力の“執念”

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》

 何度でも、引用する。斎藤貴男さんのコラムの一部―――――― 最「低」裁を頂点とする司法に失望してばかりだが、最近、衝撃を受けたことを再掲。(斎藤貴男さん)《当時、「週刊文春」の記者だった私は、彼を殺人犯に仕立てた連中に、「今のお気持ちは」と尋ねて回る取材を仰せつかったのだが、凄まじい成果を得てしまった。「犯人は梅田だと上が言うから逮捕したまで証拠なんかねえよ」と、元刑事は笑ったし、元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ真犯人なんか誰でもいい裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい無期だと言ったらつなげばいいんだ」と、力説してくれたものである》…。

   『●裁判員制度反対…「冤罪もあることですし、あたしは死刑制度に反対
       です。人の命を、自民党の人たちみたいに軽く考えられないので」

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https://www.ntv.co.jp/document/backnumber/articles/1894tndd5kqpjiek0ts8.html

2023年1月29(日) 24:55
あたいはやっちょらん
鹿児島・大崎事件 「95歳の叫び」

43年前、鹿児島県大崎町で牛小屋の堆肥の中から男性の遺体が見つかり、義姉の原口アヤ子さん(95)が殺人犯とされた。物的証拠がなく共犯者の親族の自白だけで有罪となった原口さん。冤罪を訴えるも再審の扉は開かず、認知症が進み今は入院生活を送る。事件を調べ直した記者が感じたいくつもの疑問。会いたい…コロナ禍で厳重警戒の中、許された面会。もう話すことができなくなった原口さん心の叫びに耳を傾ける

ナレーション/田丸裕臣  制作/鹿児島読売テレビ  放送枠/30分

再放送
2023年2月5日(日)5:00~/24:00~ 日テレNEWS24
2023年2月5日(日)8:00~ BS日テレ
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●《「証拠は再審請求の段階でも捜査側に偏在している」…検察は掌中の証拠をあまねくオープン》にするよう裁判所は訴訟指揮すべきだ

2021年04月15日 00時00分30秒 | Weblog

(2021年03月31日[水])
東京新聞の【<社説>名張事件60年 証拠開示の法制化を】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/94643?rct=editorial)。

 《一九六一年の名張毒ぶどう酒事件から六十年。奥西勝元死刑囚は二〇一五年に八十九歳で病没するまで無実を訴えた。死後も再審請求は続く。公正な審理のため、検察は証拠を出し渋ってはならない》。
 《日本弁護士連合会は一九年「再審における証拠開示の法制化を求める意見書」を国会提出。「証拠は再審請求の段階でも捜査側に偏在している」と主張する。名張事件は、病没した奥西元死刑囚のただ一人の妹、岡美代子さんが再審請求を継いだが、九十一歳の高齢だ。再審の法整備を待つことなく、公正な審理のため、検察は掌中の証拠をあまねくオープンにしてほしいそれを促す裁判所の訴訟指揮にも期待する》

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
   『●袴田冤罪事件…タンパク質に糖分が触れると「メイラード反応」が
     進み、1年2カ月後には《常識的な範囲で『赤みは残らない』》はずだ

    「《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん。すぐさま、袴田巌さんに
     無罪を! マスコミももっと後押しすべきなのではないか。裁判所も
     自分たちの先輩の誤りを受け入れるべき…『●《読者はこうした報道を
     何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも例外では》ない…
     袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》』」

 《冤罪と同じほど罪深い司法の自殺的行為》でした。《「生死」の間を往復する司法判断に翻弄された奥西元死刑囚》。結局、訴えることが出来なくなるのを待った司法の残酷さ…。一方で、検察…《死後も再審請求は続く。公正な審理のため、検察は証拠を出し渋ってはならない》。袴田事件の構図に通じている…検察=《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》。そして、《冤罪に加担したメディアの責任》も重い。

   『●袴田冤罪事件を機に死刑制度の再考ができない我国
   『●名張毒ぶどう酒事件という冤罪
   『●「疑わしきは罰する」名張毒ぶどう酒事件、あ~っため息が…
   『●司法権力の〝執念〟:
           映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』

   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ……死刑囚の心の叫び」は届かず

   『●名張毒ぶどう酒事件第八次再審請求審:  
         検証もせずに、今度は新証拠ではないとは!
   『●「触らぬ神にたたりなし、ということなのか」?  
      訴えることが出来なくなるのを待つ司法の残酷さ!
   『●奥西勝冤罪死刑囚が亡くなる:  
        訴えることが出来なくなるのを待った司法の残酷さ!
    《とうとう、奥西勝死刑囚が亡くなった。警察や検察、裁判所は
     「触らぬ神にたたりなし、ということなのか」?、訴えることが
     出来なくなるのを待った司法の残酷さ!、を痛切に感じる。
     のろのろと「死」を待っている様にしか見えない。特に、
     裁判所の酷さ。当時の《名古屋高裁刑事第2部(門野博裁判長)》
     《名古屋高裁刑事第2部(下山保男裁判長)》、《名古屋高裁
     刑事一部(石山容示(ようじ)裁判長)》《最高裁第1小法廷
     櫻井龍子裁判長)》ら。《冤罪と同じほど罪深い司法の自殺的行為》。
     《「お父ちゃん、お父ちゃん」。わが子が何度も叫んでいたが、
     どうしてやることもできない▼…父の無実が証明される日を待ち続けて
     くれた子らへの思いが、生きる希望そのものだったのかもしれぬ
     …無残の一言だ》
    「【江川紹子さん「再審開こうとしない裁判所、罪深い」】によると、
     「冤罪をはらさずに死ねないという強い思いが命を支えていた
     と思う。どれだけ無念だったか……再審開始決定が05年に出た
     時点で、裁判をやり直すべきだった。DNA型鑑定が絡む事件以外
     では、決して再審を開こうとしない日本の裁判所の姿勢は罪深い」」

   『●《誰を憎めばいいのか、憎むべきでないのか、死刑をどう考えるべき
     なのか、見終わっても答えは出ず、もやもやが心を覆ったままだ…》
   『●免田栄さん《朝は「針一本落としても聞こえるくらい静か。今日も
     誰かが召されると思うと体がぎゅーっと緊張した」と目をつむった》

 湖東記念病院人工呼吸器事件でも、《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》。
 《事件を作り上げ西山さんの自由を奪った警察、検察の人権侵害は断じて許されない。それをチェックできなかった裁判所も含めて、司法の責任は極めて重い》。《最初から数えて七つの裁判体が有罪判決や再審請求棄却を続け》た節穴な裁判所。警察・検察・裁判所は何も責任をとらないつもり? 《刑事司法のよどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》をあててこそ、《西山さんが待ち続けた「名誉回復」》が叶ったといえるのではないか。何度冤罪事件を繰り返し、再審の扉を何度固く閉じれば良いのか?

   『●湖東記念病院人工呼吸器事件…冤罪服役13年、
     【元看護助手、再審で無罪が確定的に 滋賀の病院患者死亡】
   『●湖東記念病院人工呼吸器事件で冤罪服役…《刑事司法の
      よどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》を!
   『●警察・検察・裁判所は何も責任をとらないつもり? それなくして、
       《西山さんが待ち続けた「名誉回復」》が叶ったといえるのか?
   『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
      を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》
    《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い
     再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減次第
     である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ

 西山美香さんは冤罪で服役し、《青春時代の十数年間を監獄で過ごさねばならなかった》。《再審開始決定までの七つの裁判所の判断は、この矛盾に言及しなかった》。《無理な捜査、虚偽自白、証拠開示の遅れ》…弁護士も立ち会わず、長期拘留して密室で自白を迫る。警察や検察により、被疑者に有利な証拠は隠蔽される。同じことの繰り返しだ。

   『●《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的…代用監獄…
          人質司法》…さらに、司法取引まで投げ渡す大愚
   『●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、証拠の隠蔽や
             喪失、逆に、証拠の捏造…デタラメな行政
   『●《良心に従い職権を行使する独立した存在》ではない
     大久保正道裁判長である限り、アベ様忖度な「行政判断」が続く
   『●《「自白の強要をされたという認識に変わりはない」と反論…
            いまだにこんな水掛け論になるのかと嘆かわしい》
    「《日本の刑事司法はおそろしいほどに後進的代用監獄人質司法
     …《日本の刑事司法制度は国際的水準に達していない》。
     「人質司法」は未だに《国際的にも悪評が高い》。
     《弁護士の立ち会い…多くの国・地域で認めている制度》である
     にもかかわらず、ニッポンでは認められていない。
     《録音・録画(可視化)》もほとんど進まず、
     《事後検証が不可能に近い》。《弁護士の立ち会いが任意段階から
     認められていれば、誤認逮捕という人権侵害もなかったはずだ》」

   『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…
      無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》
   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/94643?rct=editorial

<社説>名張事件60年 証拠開示の法制化を
2021年3月30日 07時18分

 一九六一年の名張毒ぶどう酒事件から六十年。奥西勝元死刑囚は二〇一五年に八十九歳で病没するまで無実を訴えた。死後も再審請求は続く。公正な審理のため、検察は証拠を出し渋ってはならない

 六十年前の三月二十八日夜、三重県名張市の公民館で、農薬入りのぶどう酒を飲んだ女性五人が死亡し、十二人が中毒を起こした。

 奥西元死刑囚は逮捕後に殺害を自白したが公判では一貫して否認。一審津地裁は無罪、二審名古屋高裁が逆転死刑を言い渡し最高裁で確定した。高裁への第七次再審請求に対し〇五年、再審開始が決定されたが検察の異議があり別の裁判部で取り消された。

 「生死」の間を往復する司法判断に翻弄(ほんろう)された奥西元死刑囚。毎朝刑務官の靴音に刑執行か、と怯(おび)え続けた半世紀だったか。最期は医療刑務所の中で亡くなった。

 長期化した名張事件は、他の再審事件と同じく、検察の証拠開示が焦点になっている。

 刑事訴訟法には、再審での証拠開示についての規定がない。刑事裁判は検察、弁護双方が裁判所に開示した証拠を基に審理が進むが、検察側は都合の悪い証拠の開示に積極的ではない傾向がある。

 このため、再審請求審では、裁判所の積極的な訴訟指揮で大幅な証拠開示が実現した事件がある一方、消極的な裁判長もいる。同じ事件なのに裁判体が代わると訴訟指揮に差が出る場合もあった。

 この事件でも、一九年に第十次再審請求の審理を前任者から引き継いだ高裁の担当裁判長は積極的に証拠開示を求め、検察側は昨年、これまで未開示だった被害女性らの調書九件を開示した

 確定判決によると奥西元死刑囚は「毒を瓶に入れた後、封緘(ふうかん)紙は外れた」と自白した。しかし、弁護側は「開示調書のうち三件に『事件の直前、封緘紙は巻かれたままだった』とある」と矛盾を指摘。開示された証拠を番号順に仕分けした結果、千ページ分の欠番があったといい、今後開示を求めていく。

 日本弁護士連合会は一九年「再審における証拠開示の法制化を求める意見書」を国会提出。「証拠は再審請求の段階でも捜査側に偏在している」と主張する。

 名張事件は、病没した奥西元死刑囚のただ一人の妹、岡美代子さんが再審請求を継いだが、九十一歳の高齢だ。再審の法整備を待つことなく、公正な審理のため、検察は掌中の証拠をあまねくオープンにしてほしいそれを促す裁判所の訴訟指揮にも期待する。
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●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》

2021年01月06日 00時00分32秒 | Weblog

[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]


(2020年12月20日[日])
日刊ゲンダイの記事【「告白」あの事件の当事者/滋賀・呼吸器事件<前>「刑務官は戦う相手ではない」と…】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/282243)と、。
【「告白」あの事件の当事者/滋賀・呼吸器事件<後>「介護が必要な方の支えになりたい」】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/282567)。
東京新聞の【社説/再審の在り方 無実の人救う法整備を】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/73907?rct=editorial)。

 《2003年、滋賀県東近江市の湖東記念病院で、慢性呼吸不全で入院していた男性(当時72)が死亡。元看護助手・西山美香さんは、故意に患者の人工呼吸器を外し殺害したとして逮捕・起訴された。12年の服役後、今年3月、再審無罪が確定。西山さんが現在の思いを語る》。
 《殺害容疑をかけられて12年間服役した元看護助手・西山美香さんは今年3月、再審無罪が確定した。…西山さんの弁護団長を務めた井戸謙一弁護士は…「冤罪で絶望している人に道を開いた裁判だと思います」…判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》。
 《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い。再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減次第である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ》。

   『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう 
         としているのに許せない。もともと無実なのだから」》
    「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
     「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
     【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
     無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
     退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
     挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
     のモデルの一部になっているらしい」

 『イチケイのカラス』がドラマ化されるそうだ。#イチケイのカラスhttps://www.fujitv.co.jp/ichikei/)。かなり期待できそう。

 さて、湖東記念病院での冤罪事件。
 《やっとこの日が来た。「呼吸器事件」で殺人犯にされた西山美香さんに大津地裁は「事件性なし」と再審無罪を言い渡した。自白の誘導などで殺人事件に仕立てた捜査と司法の責任は、極めて重い。…事件発生から十七年がたっていた》、《不当な捜査を招いた真相を、裁判を通して明らかにするには至らなかった》。
 《事件を作り上げ西山さんの自由を奪った警察、検察の人権侵害は断じて許されない。それをチェックできなかった裁判所も含めて、司法の責任は極めて重い》。《最初から数えて七つの裁判体が有罪判決や再審請求棄却を続け》た節穴な裁判所。警察・検察・裁判所は何も責任をとらないつもり? 《刑事司法のよどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》をあててこそ、《西山さんが待ち続けた「名誉回復」》が叶ったといえるのではないか。何度冤罪事件を繰り返し、再審の扉を何度固く閉じれば良いのか?

   『●金沢地裁原発差し止め判決: 井戸謙一元裁判官
   『●裁判所も歪む…《国が開発の政策的な枠組みを決め、その下で
       電力会社に》核発電所を…《そして裁判所も一体となり…》
    《原発訴訟で原告勝訴を決めた、たった3人の裁判長――その苦悩
     描いたのが『原発に挑んだ裁判官』(朝日文庫、著・磯村健太郎
     山口栄二、660円)だ。元京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏が
     評論する。…そして裁判所も一体となり…。…北陸電力志賀原発
     2号機の運転差し止めを命じた金沢地裁判決(井戸謙一裁判長)…》

   『●湖東記念病院人工呼吸器事件…冤罪服役13年、
     【元看護助手、再審で無罪が確定的に 滋賀の病院患者死亡】
   『●湖東記念病院人工呼吸器事件で冤罪服役…《刑事司法の
      よどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》を!
   『●警察・検察・裁判所は何も責任をとらないつもり? それなくして、
       《西山さんが待ち続けた「名誉回復」》が叶ったといえるのか?

 《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い。…事実上、裁判官のさじ加減次第である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ》。

   『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
            耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》
    《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
     再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
     一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
     「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
     殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
     「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
     再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に再審請求にも
     当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
     の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
     ならない》
    「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定
     出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
     のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
     検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
     だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
     でっち上げを追認した裁判官だろう》。」

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/282243

「告白」あの事件の当事者
滋賀・呼吸器事件<前>「刑務官は戦う相手ではない」と…
公開日:2020/12/05 06:00 更新日:2020/12/05 06:00

 2003年、滋賀県東近江市の湖東記念病院で、慢性呼吸不全で入院していた男性(当時72)が死亡。元看護助手・西山美香さんは、故意に患者の人工呼吸器を外し殺害したとして逮捕・起訴された。12年の服役後、今年3月、再審無罪が確定。西山さんが現在の思いを語る。

 ◇  ◇  ◇

 西山さんは男性の死亡から1年後に警察の捜査段階で「呼吸器を外した」と認めた。公判では「取調官に誘導された」と否認に転じたが、05年に実刑12年が確定、17年に満期出所した。

 同年12月、大阪高裁は西山さんの訴えを認め、再審開始を決定。昨年3月18日に最高裁で再審開始が確定し、今年3月31日に大津地裁で無罪判決が言い渡された。

「高裁で再審開始決定が出た5日後には大阪高検に特別抗告されましたから、再審無罪の確定までは不安な日々でした。鹿児島・大崎事件(第4次再審請求中=懲役10年)の原口アヤ子さんは41年間無実を訴えていますし、松橋事件(懲役13年)も無罪確定まで34年かかっています。正直、再審開始が決まったときはほっとしたと同時に、長く闘われている方には申し訳ない気持ちもありましたね。最高裁で再審開始が確定してからは、あっという間の1年でした」


■女性刑務所で支えてくれた青木恵子さん

 受刑中の不安な日々は、和歌山県の女子刑務所で出会った女性に助けられた。大阪市東住吉区の女児焼死火災で20年間服役した青木恵子さんだ。

「一緒だったのは3年間くらいでした。刑務所の工場でスポンジの包装の作業をしていたのですが、隣の席になったり、不器用な私にやり方を教えてくれたりして、話すようになりました。青木さんの亡くなった娘さんと私は4歳くらいしか違わないこともあって励ましてくれました。当時の私は自暴自棄になっていて刑務官に『私はやっていない』『早く出せ』などと言っていましたが、『闘う相手が違う。再審を訴えるなら、落ち着いた生活をしなさい』と諭してくれたんです」

 青木さんは服役中の12年に再審決定し、16年に再審無罪が決定した。

「青木さんとは今も交流があって、先日も彼女の自宅に泊まって第10次再審請求中の名張毒ぶどう酒事件の関係者に一緒に会いに行きました。彼女は強くて、冤罪で苦しむ立場の方の支援に動いています」

 西山さんの無罪判決は、患者の死因が「致死性不整脈」の可能性が高く事件性がなかったこと、自白の信用性に疑問があること、の2つが認められたのが大きかった。だが、きわめて厳しい裁判だったという。

 弁護団長の井戸謙一弁護士は言う。

「当初は、引き受けたくないと思っていました。再審無罪となる裁判は、ほとんどが取調官の暴行や脅迫によって自白させられたケース。西山さんの場合は自ら『呼吸器を外した』と話して有罪となっているので、当初は私も無実なのか分かりませんでした。ただ、殺人事件の再審に弁護士が付かないのはおかしいので、ご両親の熱意もあって、まずは記録を読み始めたのです。それで『やっていない』と確信が持てました」

 残されていた調書は不自然なものだった。=この項つづく

(取材・文=小野真依子/日刊ゲンダイ)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/newsx/282567

「告白」あの事件の当事者
滋賀・呼吸器事件<後>「介護が必要な方の支えになりたい」
公開日:2020/12/12 06:00 更新日:2020/12/12 06:00

     (再審で無罪となり、大津地裁前で万歳する
      西山美香さん(中央)ら(C)共同通信社)

■元看護助手の西山美香さん(40歳)

 2003年、滋賀県東近江市の湖東記念病院で、慢性呼吸不全で入院していた男性(当時72)が死亡した。殺害容疑をかけられて12年間服役した元看護助手・西山美香さんは今年3月、再審無罪が確定した。

 ◇  ◇  ◇

 今年3月31日、大津地裁は西山さんに無罪判決を言い渡した。西山さんの弁護団長を務めた井戸謙一弁護士は「再審無罪となる裁判は、ほとんどが取調官の暴行や脅迫によって自白させられたケース」と分析し、自ら「呼吸器を外した」と話して有罪になった西山さんの裁判は厳しいものになるとみていた。

 西山さんは任意の取り調べで、担当警察官に「人工呼吸器のアラームが鳴っていた」と認めるよう迫られた。認めれば、直ちに適切な処理をとらなかったことになる。西山さんは認めなかったが、警察官に机を蹴られたり、亡くなった男性の写真を見せられたりするうちに怖くなって供述を変えてしまう。アラーム音を聞いたことを認めたことによって看護師に対する取り調べが厳しくなり、責任を感じた西山さんが自分が故意にチューブを抜いたと供述した。結局、西山さんを逮捕起訴した証拠は自白のみだった

「裁判を受けたのは、調書を読んでいて無実を確信したから。滋賀県警愛知川署は事件当初、アラームが鳴っていたと思っていました。おむつ交換のため回ってきた看護師と西山さんらがそれに気づかず死亡させたとして、業務上過失致死容疑で捜査をしていたのです。一方、彼女たちはアラームは鳴っていなかったと主張。付き添いの家族すらも、その音を聞いていなかったことなど不自然な点はたくさんありました」(井戸弁護士)

 最終的に、患者の死因が「致死性不整脈」の可能性が高く事件性がなかったこと、自白の信用性に疑問があることから無罪となったが、この判決は大きかったと振り返る。

冤罪で絶望している人に道を開いた裁判だと思います」(井戸弁護士)

 判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している。


■やりたいことは「ふるさと納税」

 西山さんは担当刑事に「いろいろ言いたいこともある」と言う。だが、過去を恨むのではなく「冤罪で苦しむ人を救済できる、再審法の改正が進んでほしい」と冤罪支援を必要とする人には話をしにいったりしている。今月から、介護の仕事にも就いた。

「昨年1月から約1年間、リサイクル工場で働いていましたが、もともとお年寄りのお世話をしたいという思いがあって、介護が必要な方の支えになりたい。いずれはヘルパーの資格も取りたいですね。それに、両親も安心させたいですから。和歌山刑務所にいた頃も月1回、面会に来てくれて、今は裁判も終わってホッとしてくれているみたいです。今したいこと? ふるさと納税なんてやりたいですね」(西山美香さん)

 明るく話した。=この項おわり

(取材・文=小野真依子/日刊ゲンダイ)
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/73907?rct=editorial

社説
再審の在り方 無実の人救う法整備を
2020年12月12日 07時54分

 無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い。再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減次第である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ

 五日に九十五歳で亡くなった免田栄さんは死刑囚として刑事裁判史上初の再審無罪になった人だ。一九五二年に死刑が確定したが、無実を訴え続け、六度目の再審請求で再審が決定。八三年にアリバイが認められ無罪宣告された。

 獄中生活は実に三十四年これほどの人権侵害はない。免田さんは日本の人権を虹にたとえたことでも知られる。遠目には美しくとも、近づくと消える、実体がないのだと−。だが、捜査当局や司法界に、その反省は身に染みているのだろうか

 近年も郵便不正事件、布川事件東京電力女性社員殺害事件湖東病院事件など冤罪(えんざい)が相次ぐ。今も無実を訴えつつ服役する人々が存在する。

 問題の在りかははっきりしている。五百条超の条文がある刑事訴訟法のうち再審についての条文は十九のみで、七十年以上、一度も改正されたことがない

 再審を求める過程では証拠開示の規定がないし、無罪を示す証拠が検察官の手元にあったとしても開示義務はない。再審請求を受けた裁判官の裁量で具体的な進行が決まるのだ。

 日弁連によれば「裁判所の姿勢によって証拠開示が左右されており、検察官が裁判所の決定や勧告に応じない不誠実な対応を採ることもある」という。

 これは正さねばならない。再審請求の手続き段階で証拠一覧表の提出や証拠開示命令などのルールを明確化すべきである。むろん証拠物の閲覧・謄写ができる権利の法制化もいる。そのためには前提となる証拠類の適正保管や目録作成も必要である。裁判所に提出していない記録があれば、その保管も必要なのは当然だ。

 刑事訴訟法上では再審開始の決定に検察官が不服の申し立てができる。そのため再審公判の開始が遅れたり、再審開始の決定が取り消されることもある。検察官の不服申し立てを禁じてはどうか。不服があれば、再審公判の中で争えばよいのだから…。

 冤罪防止へ向けた制度をつくり直すのである。もちろん、なぜ冤罪が起きたのか、その原因究明の第三者的組織も必要と考える。無辜の人を救うための障害は撤廃されねばならない
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●戦争の記憶の継承…《大谷昭宏さんから伺った話。「戦争の記憶が風化する中、語り継ぐ一つの手段が見えるのでは」と水を向けられ…》

2020年11月24日 00時00分47秒 | Weblog


西日本新聞のコラム【春秋/この夏、東海テレビ(名古屋市)の若い記者が75回目の終戦の日…】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/661718/)。

 《…の企画で、護国神社の参拝者に片っ端からインタビューした。そこから偶然が重なり、ある軍人の九州での死の全貌にたどり着いた ▼ジャーナリスト大谷昭宏さんから伺った話。「戦争の記憶が風化する中、語り継ぐ一つの手段が見えるのでは」と水を向けられ調べてみた》。

   『●『創 (12月号)』読了 (2/2)
   『●ドキュメンタリー『死刑弁護人』: 
      バッシングされ続ける「死刑弁護人」安田好弘さん
   『●司法権力の〝執念〟: 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
   『●子供にもSLAPPする国: 三上智恵監督・
        映画『標的の村 ~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』
   『●木下昌明さん、『死刑弁護人』映画評
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                   ……死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●無残!……『朝日』は、素人に《人を裁くという経験を通じ、
               死刑と向き合い、是非を考え》させたいらしい
   『●「テレビ業界で煩悩し格闘している人は決して少なくない」
              …「隠された歴史を掘りおこす」地方テレビ局
   『●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で、
              「『よく撮って、知らせてくれた』…お褒めの声」
    《戦後70年にあたる昨年、8月、東海テレビは『戦後70年 樹木希林 
     ドキュメンタリーの旅』という全6回のシリーズを行った。これは、
     女優・樹木希林が番組に関連する場所や人を旅し、更に、毎回ゲストを
     訪ね、過去に全国の地方局が制作してきた戦争の記憶を紡ぐ
     ドキュメンタリーについて語り合うという内容だ》

   『●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で…
             東海テレビ『ヤクザと憲法』の意味が、今、分かる
   『●《新聞を含むマスコミは…「客観中立で、常に事実と
     正論を語る」という自画像を描き、自ら縛られてきた》
   『●東海テレビ…《テレビの危機的な現状を自ら裸になって提示
         …とはいえ…「テレビ局が抱える闇はもっと深い」》
    《東海テレビ制作の映画「さよならテレビ」の試写を見た。
     数々のドキュメンタリー作品を世に問うたことで知られる同社の
     取材班が、なんと、自社の夕方のニュース番組を制作する報道局の
     現場を2年間にわたって追跡し、2018年の同社開局60周年
     記念番組として放送。言論機関としてのテレビの危機的な現状を
     自ら裸になって提示しようという、その蛮勇ともいえる試みが
     話題になった》

   『●《他局の方がおっしゃったという「東海テレビは
     まだ持ちこたえていると思った」の根拠となるような底力を感じます》
   『●《誰を憎めばいいのか、憎むべきでないのか、死刑をどう考えるべき
     なのか、見終わっても答えは出ず、もやもやが心を覆ったままだ…》

 戦争の記憶の継承、《語り継ぐ》。《大谷昭宏さん…「戦争の記憶が風化する中、語り継ぐ一つの手段が見えるのでは」》。

   『●「現実の戦争を知るベテランジャーナリスト」石川文洋さんの言葉に耳を
    《沖縄で写真展を開いた時のことだ。沖縄戦を体験したお年寄りが、
     異国の戦場の様子にじっと見入っていた。平和教育が盛んな土地柄。
     保育士に連れられ、保育園児も足を運んでくれた。「戦争の記憶
     日常の中にあり、子どもたちに引き継がれている。常に戦争を
     意識せざるを得なかった歴史の裏返しです」
      兵士や兵器を積んだ米軍機が今も戦地に向けて飛び立つ
     ベトナム戦争当時と変わらぬ沖縄の風景だ。差別的な基地負担を
     強いられ、常に事件や事故と隣り合わせの被害者であると同時に、
     「後方支援基地として、命を奪う加害者側でもある。そんな罪悪感にも
     似た感情を持つ人は少なくない」。被害者の痛みが理解できる。
     それもまた、沖縄が歩んできた歴史ゆえだ》

   『●「絶望は愚か者の結論」を心に、壊憲を続けるアベ様に根気強く対抗を
   『●現在進行形の「身代わり」: 「反省と不戦の誓いを…
             沖縄を二度と、身代わりにしてはならない」
   『●アベ様に犯罪をもみ消してもらえる「報道」者、
     かたや、「卑劣な報復=身辺調査」を噂される新聞記者…
   『●大矢英代さん「私たちは、過去の歴史からしか学べません
            …私たちが何を学ぶのかが今、問われている」①
   『●『憲法くん』の誇りとは? 《私は六六年間、戦争という名前で
             他国の人々を殺したことがない。それが誇り》
    《演じるのは、ベテラン女優の渡辺美佐子(86)。この短編を挟んで、
     初恋の人を疎開先の広島の原爆で亡くした渡辺が続けている慰霊の
     旅と原爆朗読劇のドキュメントが描かれる。朗読劇は渡辺が中心と
     なって同世代の女優たちと33年間続けてきたもので、今年が最終公演。
     未来に託す戦争の記憶と女優たちの平和への思いが語られる》

   『●水木しげるさんの言葉を…《戦争に向かうハードルが低く…
       戦争の怖さが(若者の)耳に届きづらい》恐ろしい世に
    《沖縄タイムスの【社説[慰霊の日に]知ることから始めよう】…
     《こういう時期だからこそ、沖縄戦の実相をより深く学び、
     戦争の記憶を引き継ぐ意味を心に刻みたい。きょう沖縄は
     「慰霊の日」を迎える。県民の4人に1人が犠牲になった
     沖縄戦から75年の節目となるが、今年の「6・23」は新型コロナ
     ウイルスの影響で慰霊祭の中止や規模縮小を余儀なくされている》》

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https://www.nishinippon.co.jp/item/n/661718/

春秋
この夏、東海テレビ(名古屋市)の若い記者が75回目の終戦の日…
2020/11/6 10:30

 この夏、東海テレビ(名古屋市)の若い記者が75回目の終戦の日の企画で、護国神社の参拝者に片っ端からインタビューした。そこから偶然が重なり、ある軍人の九州での死の全貌にたどり着いた

▼ジャーナリスト大谷昭宏さんから伺った話。「戦争の記憶が風化する中、語り継ぐ一つの手段が見えるのでは」と水を向けられ調べてみた

▼番組には「父は福岡で終戦1週間前、米軍の空襲で戦死した」と語る男性が登場。ネットのニュース映像を偶然見た人が福岡県筑紫野市役所の草場啓一さんに連絡した。「あなたが追うあの事件の関係者では」

▼1945年8月8日の「西鉄筑紫駅列車銃撃事件」。旧筑紫駅で満員の上下2列車が米軍機の機銃掃射を受けた。犠牲者名簿は現存せず、草場さんは死者100人以上とみて調査を続けている

▼すぐ東海テレビに連絡し男性を訪問、犠牲者が当時27歳の林三夫兵長と分かる。林兵長は果敢に銃撃を縫って車両に戻り負傷者を救出。その4回目に被弾した。虫の息で手帳に「俺は残念。後は頼む」と妻へ記したという

▼「今回はネットの力がうまく働いた」と草場さん。だが身元を特定できた犠牲者はまだ12人。「原爆も投下され敗色濃厚な時期、なぜ罪もない多くの民間人まで殺されたのか。その意味を問い続けるため名前を記録に残したい」と訴える。情報提供は筑紫野市歴史博物館=092(922)1911。
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●《誰を憎めばいいのか、憎むべきでないのか、死刑をどう考えるべきなのか、見終わっても答えは出ず、もやもやが心を覆ったままだ…》

2020年09月30日 00時00分16秒 | Weblog


マガジン9編集部西村リユさんによる映画評【マガ9レビュー 『おかえり ただいま』(2020年日本/齊藤潤一監督)】(https://maga9.jp/200916-5/)。
 
 《2007年8月。名古屋市内で、深夜に帰宅途中の女性が何者かに拉致・殺害され、遺体が山中に遺棄されるという事件が起こった。まもなく逮捕された加害者は、「闇サイト」(違法行為の勧誘を目的とするサイト)を通じて知り合ったという3人の男性。目的は「金銭を奪うこと」という、あまりに短絡的で残酷な犯罪だった。本作は、事件直後から被害者の母親に取材を続けてきた東海テレビによるドキュメンタリー。監督の齊藤潤一さんは、これまでにも『約束〜名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯〜』『死刑弁護人』など、「司法」をテーマにした作品を発表してきている》。

   『●『創 (12月号)』読了 (2/2)
   『●ドキュメンタリー『死刑弁護人』: 
      バッシングされ続ける「死刑弁護人」安田好弘さん
   『●司法権力の〝執念〟: 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
   『●子供にもSLAPPする国: 三上智恵監督・
        映画『標的の村 ~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』
   『●木下昌明さん、『死刑弁護人』映画評
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●無残!……『朝日』は、素人に《人を裁くという経験を通じ、
               死刑と向き合い、是非を考え》させたいらしい

   『●「テレビ業界で煩悩し格闘している人は決して少なくない」
              …「隠された歴史を掘りおこす」地方テレビ局
   『●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で、
              「『よく撮って、知らせてくれた』…お褒めの声」
   『●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で…
             東海テレビ『ヤクザと憲法』の意味が、今、分かる
   『●《新聞を含むマスコミは…「客観中立で、常に事実と
     正論を語る」という自画像を描き、自ら縛られてきた》
   『●東海テレビ…《テレビの危機的な現状を自ら裸になって提示
         …とはいえ…「テレビ局が抱える闇はもっと深い」》
    《東海テレビ制作の映画「さよならテレビ」の試写を見た。
     数々のドキュメンタリー作品を世に問うたことで知られる同社の
     取材班が、なんと、自社の夕方のニュース番組を制作する報道局の
     現場を2年間にわたって追跡し、2018年の同社開局60周年
     記念番組として放送。言論機関としてのテレビの危機的な現状を
     自ら裸になって提示しようという、その蛮勇ともいえる試みが
     話題になった》

   『●《他局の方がおっしゃったという「東海テレビは
     まだ持ちこたえていると思った」の根拠となるような底力を感じます》

 《裁判を傍聴した母親のつぶやきに、共感する人は多いだろう》…。この裁判長の言い草にも、《高裁は控訴した1人を「被害者が1人のこの事件は、死刑を選択するほど悪質ではない」として無期懲役に減刑する。「数」で罪の重さを量ろうとするその姿勢にも、強い怒りを覚えた》…。
 被害者や遺族の皆さんに面と向かって、声高に、死刑反対を主張する気などさらさらありません。オウム事件の被害者遺族の皆さんに対してもも同様です。自分が被害者遺族になった時にどう気持ちが変わるのかは分からない。でも、死刑で何か解決するとは思わない気持ちに変わりはないのではないか…。
 本コラムの結び《誰を憎めばいいのか、憎むべきでないのか、死刑をどう考えるべきなのか、見終わっても答えは出ず、もやもやが心を覆ったままだ。けれど、多分私たちに必要なのは、その「もやもや」と向き合うこと、考え続けることなのではないだろうか。》

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https://maga9.jp/200916-5/

マガ9レビュー
おかえり ただいま』(2020年日本/齊藤潤一監督)
By マガジン9編集部 2020年9月16日

 2007年8月。名古屋市内で、深夜に帰宅途中の女性が何者かに拉致・殺害され、遺体が山中に遺棄されるという事件が起こった。まもなく逮捕された加害者は、「闇サイト」(違法行為の勧誘を目的とするサイト)を通じて知り合ったという3人の男性。目的は「金銭を奪うこと」という、あまりに短絡的で残酷な犯罪だった。

 本作は、事件直後から被害者の母親に取材を続けてきた東海テレビによるドキュメンタリー。監督の齊藤潤一さんは、これまでにも『約束〜名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯〜』『死刑弁護人』など、「司法」をテーマにした作品を発表してきている。

 前半では、事件が起こる前の母と娘の生活が、ドラマ仕立てで描き出される。父親が病気で早世した後、互いに支え合いながら生きてきた二人。母は「いつか家を建てようねって、お父さんと約束したの」と娘に語り、それはいつしか、母娘の共通の夢になっていく。

 手をつないで歩く帰り道、空を見上げ、亡き父親に語りかけながらのおしゃべり。成長した娘と母とが囲む夕食、娘と恋人とのデート……何気ない場面の一つひとつに胸が痛くなるのは、その穏やかな日々がやがて、残酷な形で奪われることを私たちが知っているからだ。会社帰りの娘が一人夜道を歩くシーンには、「逃げてと叫びたい気持ちになる

 もちろん、事実は覆されることはなく、物語は私たちが知っているとおりに進んでいく。路上に駐めた車の中で、「ターゲット」を物色する男たち。警察に呼び出され、娘らしき遺体が山中で発見されたことを知る母親。犯人たちはすぐに逮捕され、やがて裁判が始まる……。

 後半、実際の取材映像を使ったドキュメンタリーパートでは、加害者3人全員の極刑を求めて署名活動を始める母親や娘の恋人の姿が映し出される。「こんな人でも裁かなければいけないのか、今すぐ処刑してくれれば」。裁判を傍聴した母親のつぶやきに、共感する人は多いだろう。地裁で3人中2人に死刑判決が出るものの、高裁は控訴した1人を「被害者が1人のこの事件は、死刑を選択するほど悪質ではない」として無期懲役に減刑する。で罪の重さを量ろうとするその姿勢にも、強い怒りを覚えた。

 一方で、前半のドラマの中に差し挟まれる、加害者の一人──控訴を取り下げ、一審の死刑判決を受け入れた──の生い立ちにも、やりきれない思いにさせられる。両親の離婚、父親の暴力、学校でのいじめ、病気による失職……。「おかえり ただいま」のような日常の挨拶を穏やかに交わせる暮らしが、彼の人生にはおそらくほとんどなかったのだ。

 もちろん、それが罪を正当化する理由になるはずもない。けれど、彼の少年時代を知る男性が「愛情のある人が周りにいれば、そういうことはなかったかもしれない」とつぶやくように、何かがほんの少し違っていれば、違う道筋はあり得たのではないか。家族の誰かが少しでも愛情を示していれば、理解してくれる人が近くに一人でもいれば……。そう考えてみることに、意味がないとは思えない。

 決して後味のいい映画ではない。誰を憎めばいいのか、憎むべきでないのか、死刑をどう考えるべきなのか、見終わっても答えは出ず、もやもやが心を覆ったままだ。けれど、多分私たちに必要なのは、その「もやもや」と向き合うこと、考え続けることなのではないだろうか。

 同時に、ふだん当たり前のように過ごしている日常のかけがえのなさ、愛しさを改めて感じさせてくれる映画でもあると思う。「(犯罪被害者遺族として)毎日憎しみで生きているかのように思われるけれど、加害者のことを考えて生活するよりも、娘のことを考えて暮らしている方が楽しい」。終盤、取材に答える母親の言葉に、ほんの少しだけ心がゆるんだ。

西村リユ


おかえり ただいま

https://youtu.be/2AvrZGm_qHA
おかえり ただいま』 9月19日(土)よりポレポレ東中野にてロードショー、ほか全国順次公開

※公式サイト  https://www.okaeri-tadaima.jp
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●《他局の方がおっしゃったという「東海テレビはまだ持ちこたえていると思った」の根拠となるような底力を感じます》

2020年05月25日 00時00分53秒 | Weblog


2020年1月のサイゾーのインタビュー記事【東海テレビ『さよならテレビ』映画化記念インタビュー前編 テレビは本当に「終わって」いるのか? 東海テレビ自ら現場に切り込むテレビ報道の“自画像”】(https://www.cyzo.com/2020/01/post_227335_entry.html)。
その後編【東海テレビ『さよならテレビ』映画化記念インタビュー後編 ヤクザに人の生死、そして報道の裏側……東海テレビがドキュメンタリーを作り続けるワケ】(https://www.cyzo.com/2020/01/post_227374_entry.html)。
 アップするのが遅くなりました。1月の記事。

 《自らを取材対象とし、テレビ局、特に報道の現場の今をつまびらかにした(ように見えた)このドキュメンタリーは、企画からして挑戦的だった。結果、テレビ局のリアルな姿に真摯に向き合った様子を示したが、見る人によっては「不都合な真実」のようにも受け取られる内容となった。放送関係者の間では賛否両論が吹き荒れ、あなたの、あの人の、あの部署の反応や見解を知りたくて、東海地域の番組だったにもかかわらず、録画DVDが広がっていったのだった。そんな放送業界に激震を与えた東海テレビだが、ドキュメンタリー番組の劇場公開を複数実施しているという顔も持っている》。
 《東海テレビが制作し、東海テレビの放送エリアだけで流れたドキュメンタリー番組『さよならテレビ』では、自らを取材対象とし、テレビ報道の現場をつまびらかにした挑戦的な企画で話題を呼んでいる。放送業界に激震を与えた同作を視聴した森永真弓氏が、ディレクターを努めた圡方宏史と、プロデューサーの阿武野勝彦に、その制作現場について聞いたこのインタビュー。後編では、制作側の意図を超えた“意外な反応”やテレビ番組のあり方のこれからについて聞いた》。

   『●『創 (12月号)』読了 (2/2)
   『●ドキュメンタリー『死刑弁護人』: 
      バッシングされ続ける「死刑弁護人」安田好弘さん
   『●司法権力の〝執念〟: 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
   『●子供にもSLAPPする国: 三上智恵監督・
        映画『標的の村 ~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』
   『●木下昌明さん、『死刑弁護人』映画評
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●無残!……『朝日』は、素人に《人を裁くという経験を通じ、
               死刑と向き合い、是非を考え》させたいらしい

   『●「テレビ業界で煩悩し格闘している人は決して少なくない」
              …「隠された歴史を掘りおこす」地方テレビ局
   『●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で、
              「『よく撮って、知らせてくれた』…お褒めの声」
   『●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で…
             東海テレビ『ヤクザと憲法』の意味が、今、分かる
   『●《新聞を含むマスコミは…「客観中立で、常に事実と
     正論を語る」という自画像を描き、自ら縛られてきた》

   『●東海テレビ…《テレビの危機的な現状を自ら裸になって提示
         …とはいえ…「テレビ局が抱える闇はもっと深い」》
    《東海テレビ制作の映画「さよならテレビ」の試写を見た。
     数々のドキュメンタリー作品を世に問うたことで知られる同社の
     取材班が、なんと、自社の夕方のニュース番組を制作する報道局の
     現場を2年間にわたって追跡し、2018年の同社開局60周年
     記念番組として放送。言論機関としてのテレビの危機的な現状を
     自ら裸になって提示しようという、その蛮勇ともいえる試みが
     話題になった》

 印象に残った一言。《阿武野 当時の社長が、放送を見て私に聞いてきたのは「この番組はテレビに対する愛があるのか?」です。そこで、僕は「愛がなければこんな番組はできません」とはっきり言いました。それで納得してくれました》。

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https://www.cyzo.com/2020/01/post_227335_entry.html


     (映画 ドキュメンタリー 東海テレビ さよならテレビ)

 昨年から、放送関係者の間で「絶対見たほうがいい」と「裏ビデオ」のように出回り、さまざまな場で話題に上がっていたテレビ番組がある。

 東海テレビが制作し、東海テレビ放送地域で流れたドキュメンタリー番組『さよならテレビ』。自らを取材対象とし、テレビ局、特に報道の現場の今をつまびらかにした(ように見えた)このドキュメンタリーは、企画からして挑戦的だった。

 結果、テレビ局のリアルな姿に真摯に向き合った様子を示したが、見る人によっては「不都合な真実」のようにも受け取られる内容となった。放送関係者の間では賛否両論が吹き荒れ、あなたの、あの人の、あの部署の反応や見解を知りたくて、東海地域の番組だったにもかかわらず、録画DVDが広がっていったのだった。

 そんな放送業界に激震を与えた東海テレビだが、ドキュメンタリー番組の劇場公開を複数実施しているという顔も持っている。

 暴力団事務所に100日間密着し、ヤクザたちの日常を描いた『ヤクザと憲法』。「本当の豊かさとは何か」を樹木希林さんのナレーションで問いかける『人生フルーツ』は、劇場公開で26万人を動員している。「放送エリアではなく見る手段がないだけに、お金を払ってでもどうしても見たい」と思わせる、異色かつ力強いドキュメンタリー作品を世の中に生み出し続けている。そんな東海テレビが、自社の報道局の内幕を部分的に映し出したこの作品。そこには、報道と視聴率、テレビ制作者の置かれた労働環境といったさまざまな問題の、リアルな様子が描き出されている。

 テレビ局の赤裸々な姿が、何故ドキュメンタリー番組の対象となるとテレビ局が考えたのか? どんな意図が、どんな思いがあったのか? 今回、映画化を記念して、マスメディアのマーケティング関係の仕事を手掛け、実際に「裏ビデオ」段階で同作を視聴した森永真弓氏が、ディレクターを務めた圡方宏史と、プロデューサーの阿武野勝彦に聞いた。

◇ ◇ ◇

──2018年9月に東海テレビ開局60周年記念番組として放送された『さよならテレビ』が、2020 年1月2日から映画作品として公開されます。そもそもこの企画は、どのようにして始まったのでしょうか?

圡方 プロデューサーの阿武野に、自分たちのテレビ局を舞台にしたドキュメンタリーを作りたいと話したところ、「自画像」というキーワードを出されました。「自画像」という意味では、まず東海テレビ自身を取材しなければならない。なかでも、他の部署ではなく、撮影する自分たちの自画像を描くべきではないかと考え、自分の所属する報道局に、1年7カ月カメラを置いたんです。

 当初は、そこからバラエティ番組の部署などに取材を広げていくとか、ほかのテレビ局にまでいくとか……いろいろな構想もあったのは確かです。しかし取材を重ねるうちに、様々な組織を追うよりも、登場人物たちに迫ったほうがドキュメンタリーとして魅力的になるなと。さらに同じ場所で撮影を続けることで、組織の変化や揺れ動きも浮き上がって見えてくる。結果的に報道局のみに焦点を絞った内容になりました。

阿武野 テレビの歴史は、報道から始まりました。報道は一番根っこの部署です。だからテレビらしさは、報道に凝縮していると思うんです。報道を追いかけることで見えてくる問題は、バラエティなどにも共通すると思うんです。いろいろな部門でカメラを回せば良かったと思うのですが、後日「『さよならテレビ』営業版も作ってほしい」と営業局長から言われました。


「撮るな!」のシーンが業界内で波紋

──ほかの局にも話を広げる可能性があったんですね。映像の中では、報道局にカメラを置こうとすると、部署内に不穏な空気が漂い、撮影スタッフに対してデスクが「撮るな!」と怒りを顕にする部分もありました。あれはネットで書かれがちな「テレビ局の闇!」のようなステレオタイプな悪いイメージを象徴するシーンが、そのまま現れたようにも見えました。

阿武野 闇だなんて。そんな意図はありません。そんなにこの取材は歓迎されていないというジングル程度だったのですが、東京キー局のキャスターが「テレビは今みんなこんなだよ、でもうちはもっとひどい」と言ったので、ちょっとびっくりしました。テレビの業界全体的に、現状を憂う人は沢山いて、「今変われないとまずい」という共通認識がある。そう考えている人たちを刺激したシーンの1つですね。

圡方 そうですね。ただ、あの「撮るな」というシーンを見て、あるテレビ局関係者からは「東海テレビはまだ持ちこたえていると思った」と反応もあったんです。

──「持ちこたえている」というのは……「自分のいる現場よりはマシ」に見えた人もいたということでしょうか?

圡方 いま、テレビ界には、撮られることを嫌だとすら感じなくなっているほど、機械的に仕事をしている人も多いということなんです。特にキー局は組織が大きいですし、仕事がシステマティックになっている分、問題も深いのかもしれません。「撮られることを嫌がるというのは、まだ自意識もあり、撮られる人の気持ちもわかるという人達が集まっている現場の証拠なんじゃないか」ということだと思います。

── 放送後、業界にDVDが出回って、各方面からの感想を聞かれたと思います。「えっ? そんなこと考えるんだ?」と、制作者からするととても驚いたもの、想定外だったものなどはありましたか? 逆に「想定内、想定内」と思ったこととか。

阿武野 全体的に、見る人によって感想が全く異なっていますね。経営者、管理職、社員、組合員、派遣、請負い、アルバイトなどいろいろですね。驚きなのが、「これはみんな演じているのか?」と聞いてくる人も結構多かったですね。

圡方 だいたい全部驚きましたよね。「そんなとこ気になるんだ!」、「そんな解釈するんだ!」って。「最後救われました」って言った人もいて、正直「へえ、そうなんだ」って。

阿武野 そもそもこのDVDがこんなに出回ったことが驚きでしたね。凄まじい数だったと思うんです。東海、北陸、東京だけでなく東北、九州、北海道でも「アレ見ました」と声をかけられましたし、名古屋ローカルの番組の影響がこんなに広がったことが驚きでした。「どうやったら見られますか」と聞かれたこともたくさんありました。ローカルで放送したドキュメンタリーが何の賞を取ったでもなく、こんなに反響があることは、今までないですね。
 その中で、ジャーナリズム関連の本を本棚にずらりと並べていた澤村慎太郎記者のシーンについて、さまざまな人から「あれは本当なのか?」という声をもらいました。「この場面がそんな気になる?」って、ねえ?(圡方氏を見る)

圡方 でしたねえ。


澤村記者の本当の姿はそう簡単に解釈できない

──その澤村記者のシーン、私もかなり気になったんですよ。「今のテレビは大切なものを伝えていないのではないか」と問題意識を投げかける、ジャーナリスト意識が高い澤村記者が、ものすごく熱く語っているのに、映像では本人ではなく執拗なまでに部屋の本棚にずらっと並ぶ、ドキュメンタリ関連の新書が並ぶ様子を映し続けていたのが印象的でした。

阿武野 あれ実は、ロケ用のセットなんです。

──ええええええ!?!?

阿武野 ……と、言うと、みんな「ほーっ」て、信じてしまう(笑)。

──え、あ、ちがうんですね、ほんとに? ちがうんだ、良かった……いや本当に、本当に信じかけましたからね?(笑)。「やだこれ人に言えないじゃん」と思ってしまいましたよ。ああびっくりしました。……一応念の為確認しますけど本当にセットじゃないんですよね?

阿武野 (笑)。それくらい、どこが現実で、どこがフィクションなのかわからなくなってしまうんでしょうね。それこそ、製作者の術中ですよ。

──正直なところ、あの本棚に並ぶ本をずっと見ているうちに、澤村さんは魂を持って行動する真のジャーナリストなのか、それとも、ジャーナリズムの本をひたすら読んでいるだけのジャーナリストに憧れているだけのサラリーマンなのか、どちらなんだろうかと不安を覚えたんですよね……。

阿武野 そうなんです。あの本棚の並びを見て「あんなに様々な本を読んでいる、澤村記者は素晴らしいジャーナリストだ」と感じる人もいました。一方、映像の中には「このネタは今行かないとだめですよ」と圡方にけしかけられ、煮え切らない部分も描かれています。反発しながらも、しっかりドキュメンタリー制作に協力しているシーンも出てくる。澤村記者の本当の姿は、そう簡単に解釈できません。私たち製作者が思う以上に、いろんな見方をされるんだなとも感じました。
 ただ、澤村記者が勉強家であることは確かです。今のテレビ局の記者はあんなに勉強してません。そもそもあの映像に写っている本は、彼の蔵書の本のごく一部だそうです。実に勉強家です。

圡方 僕は澤村記者と話していて「こんなに勉強しているのか」と驚いた方なんです。確かに、映像に写っている本の傾向はイデオロギー的に偏っているように思えますが、彼は、内容はもちろんその背景までをもしっかりと読み込んでいます。右であれ左であれ、あれだけ本を読んでいるテレビマンはあまり見かけません。「事件をどのように報じるべきか?」「メディアはどうあるべきか?」「自分は事件から何を感じているのか?」といった、メディアの倫理を考えて仕事に取り組んでいる人は、今のテレビの世界には少なくなっているんじゃないでしょうか。自分の意見があるというか。もっと上の世代にはいたのかもしれないのですが。
 自分を含め、最近のテレビの人間は「どうやったら見てもらえるか」あるいは、もっと消極的に「どうやったら叩かれないか」と、受け手の反応だけを過剰に意識して制作している人が少なくありません。映像の中にあるように、澤村記者から「テレビの闇はもっと深いのではないか?」と問われて、自分自身も答えられませんでしたからね。

──あれは、本当に言い淀んでいたんですね。「相手の反応をもっと引き出すために敢えて答えない」という手法なのかととらえてしまっていました。実は「ここで黙って更に言わせようとするのはちょっと意地悪だなー」とまで思っていたんですが、考えすぎだったんですね(笑)。そんな、言い淀んでしまった部分を、あえてカットせずに使ったのはなぜでしょうか?

圡方 え、そんな見方をされてたんですね。面白い。あれはもう、本当に答えられなかっただけですよね。意見を持っているという段階で、澤村記者を単純に凄いと思っていました。情けない姿ではありますが、僕自身もまた東海テレビの社員であり、報道局に所属しているメンバーであり、ドキュメンタリーの取材対象の1つなんですよね。そういう意味で、典型的なテレビ局社員の姿として「答えられない」姿を残したほうがいいなと。


いつの日か、東海テレビも生まれ変わるかもしれない

──え? 圡方さんも、取材対象の中の人ということですか?

阿武野 そうです。圡方自身ニュースデスクであり、よく見ると、映像の中で圡方が通常業務中に上司から怒られている姿も映し出されています。自分たちを描く以上、自分の足場までを含めてしっかりと見せていかなければならない。だって、自社の報道局を映している以上、カメラは自分にも向いているんですからね。

──まさに「自画像」として作っているんですね。

阿武野 はい。カメラを自分に向けるには、尋常じゃない覚悟が必要です。よく、他のテレビ局の人が「うちではこんな企画はできない」と言うのですが、とても残念に思います。「できない」のではなくやらないだけ。それは、覚悟もないまま発せられる言葉なんです。
 今回の企画を通じて、さまざまなテレビ局の方々と勉強会をしました。今のテレビは破局に向かって切迫しているんじゃないか、自分たちの時代感覚はどうなのか?これをきっかけに、若い人たちがいろいろな表現にチャレンジしてくれたら嬉しいと、いろいろなところに出向きました。名古屋発で描いた自画像が、いろいろなところで、いろんな受け止められ方をして、いつの日か、東海テレビも生まれ変わるかもしれない。
 『さよならテレビ』は、テレビの世界に波風を立てました。この波風を追い風にして、若い人たちには冒険して欲しいんです。


インタビュー|森永真弓

構成|萩原雄太(かもめマシーン)

阿武野勝彦
1959 年生まれ。同志社大学新聞学科卒業、81 年東海テレビ入社。アナウンサーを経てドキュメンタリー制作。 主なディレクター作品に「村と戦争」(95・放送文化基金賞優秀賞)、「約束~日本一のダムが奪うもの~」(07・ 地方の時代映像祭グランプリ)など。プロデュース作品に「とうちゃんはエジソン」(03・ギャラクシー大賞)、「裁判長のお弁当」(07・同大賞)、「光と影光市母子殺害事件 弁護団の 300 日~」(08・日本民間放送連盟賞最優秀賞)など。 劇場公開作は『平成ジレンマ』(10)、『死刑弁護人』(12)、『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』(12)、『ホームレス理事長 退学球児再生計画』(13)、『神宮希林』(14)、『ヤクザと憲法』(15)、『人生フルーツ』(16)、『眠る村』(18)でプロデューサー、『青空どろぼう』(10)、『長良川ド根性』(12)で共同監督を務める。個人賞として、日本記者クラブ賞(09)、芸術選奨文部科学大臣賞(12)、放送文化基金賞(16)など。東海テレビドキュメンタリー劇場として、菊池寛賞(18)。

圡方宏史
1976年生まれ。上智大学英文学科卒業、98年東海テレビ入社。制作部で情報番組やバラエティ番組のAD、ディレクターを経験したのち09年に報道部に異動。遊軍としてメイン企画コーナーのVTRを担当する。11年、12年に日本の農業や交通死亡事故をテーマにした啓発キャンペーンCMなどを製作。『ホームレス理事長 退学球児再生計画』(13)でドキュメンタリー映画を初監督。公共キャンペーン・スポット「震災から3年~伝えつづける~」で、第52回ギャラクシー賞CM部門大賞、2014年ACC賞ゴールド賞を受賞。公共キャンペーン・スポット「戦争を、考えつづける。」で2015年ACC賞グランプリ(総務大臣賞)を受賞。2016年、監督第2作となる『ヤクザと憲法』(15)を劇場公開し大反響を呼ぶ。
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https://www.cyzo.com/2020/01/post_227374_entry.html

東海テレビ『さよならテレビ』映画化記念インタビュー後編
ヤクザに人の生死、そして報道の裏側……東海テレビがドキュメンタリーを作り続けるワケ
文=日刊サイゾー編集部(@cyzo)

     (映画 東海テレビ さよならテレビ ドミュメンタリー)

 東海テレビが制作し、東海テレビの放送エリアだけで流れたドキュメンタリー番組『さよならテレビ』では、自らを取材対象とし、テレビ報道の現場をつまびらかにした挑戦的な企画で話題を呼んでいる。

 放送業界に激震を与えた同作を視聴した森永真弓氏が、ディレクターを努めた圡方宏史と、プロデューサーの阿武野勝彦に、その制作現場について聞いたこのインタビュー。後編では、制作側の意図を超えた“意外な反応”やテレビ番組のあり方のこれからについて聞いた。

◇ ◇ ◇

──『さよならテレビ』の制作後、社内ではどのような反響があったのでしょうか? 作中に「試写会は必ずする」という約束が出てきましたが、結局試写会の様子は描かれていませんよね。

圡方 作品として全体を見たときに最後に、更に社内でのハレーションを加える必要はないなと思ったので入れませんでした。ちなみに試写で揉めたということはなかったです。どちらかといえば阿武野プロデューサーの作戦が凄くて……。直す時間がないというオンエアの2~3日前に試写をやって、感想を聞く場もなく即解散という。まああのあと各々は飲み会なんかして話し合ったりしたのかなあと思いますけど。

阿武野 ドキュメンタリーは、取材対象に放送前に見せないものです。身内を描こうが、外部を描こうが、それは同じで良いと。でも、行きがかり上、試写会を開くと約束してしまった。だけど、試写をしたら、それで終わり。ありがとうございましたと。放送直前に、ああだこうだ言われても困りますし、意見聞いてもそれを反映して編集し直すことはしないですからね。いつもと同じですが、取材者と取材対象は、放送について議論する必要はないと思いました。意見は、放送後にいつでもたっぷり寄せなさいよと。

──放送後、意見を聞く場をもうけたのですか?

阿武野 放送終了後に、全社に呼びかけて質疑応答のティーチ・インを開催しました。かなり厳しい反応も飛び交いましたね。特に、50代以上のベテラン層からは「とんでもないものを放送した」「東海テレビのイメージを毀損しているんじゃないか」「敢えてよくないイメージだけを切り取って作っているのではないか」という意見を浴びせかけられました。

圡方 年齢やキャリアの長さで反応は違いましたね。年齢を重ねた社員は、仕事と自分のアイデンティティが一体化している人も多い。そうなると、テレビのマイナス面を描かれたことが、あたかも自分自身が傷つけられたように感じられたようです。

──そんな反応を浴びて、どのように返答したのでしょうか?

阿武野 「自分のつま先だけを見て言わないでほしい。もっと遠くに視線を投げてほしい」と反論しました。50代のテレビマンは、まだテレビの影響力が大きいうちに退職を迎えられる、いわば逃げ切り世代です。しかし、もっと先を見て手を打っていかなければ、若い世代にこの組織をつないでいけません。ティーチ・インでは、若い世代は、この番組を「面白いと素直に言えない組織はヤバイ」と言ったし、「もっと自由に表現をしていいんだ」ということに気づいてくれたようでしたね。


■この作品を見た上層部の反応は?

──テレビ業界の中でも、世代によって反応が異なるんですね。もう1つ気になるのが、これを見た上層部の反応です。どのように見たのでしょうか?

阿武野 当時の社長が、放送を見て私に聞いてきたのは「この番組はテレビに対する愛があるのか?」です。そこで、僕は「愛がなければこんな番組はできません」とはっきり言いました。それで納得してくれました。

──なるほど。上層部の理解があったからこそ、業界全体の話題をさらうような企画が成立したんですね。他局の方がおっしゃったという「東海テレビはまだ持ちこたえていると思った」の根拠となるような底力を感じます。
 さてこれまで、東海テレビのドキュメンタリーは『人生フルーツ』や、『ヤクザと憲法』など11本が映画化されていますが、今回『さよならテレビ』も映画として公開されました。

圡方 『さよならテレビ』の場合、放送の時点から映画化が決まっていたわけではなかったです。テレビバージョンをつくったあとに、これは全国の人々に見てもらったほうがいいということになり、映画化の話が進んでいったんです。

阿武野 これまで、東海テレビのドキュメンタリーは11本を映画として公開してきましたが、いつでも公開する時には恐怖を覚えます。テレビで放送することも怖いけれども、映画の観客は、映画館でお金を支払って見に来ますよね。そんな人々の反響はいつもすごく怖いし、その分、とても楽しみです。

──テレビ放送版と映画版両方を見させていただいて感じたことがあります。テレビ放送版は「テレビの報道現場の今はどうなっているのか」がテーマですが、映画版になってそこに「ドキュメンタリーとはなにか」というテーマが加わったんじゃないか、と。

圡方 へえ! それはまた新しい感想です。どのへんでそのように感じられました?

──テレビ放送版よりも作品の長さがあることによって、シーンが増えてますよね。その増えた分の中に、敢えてきつい表現を選ぶならば「露悪的」というか、「実はここ、こういう仕込みをしてました」と制作のネタバラシが多く含まれている印象を受けまして。ありのままを切り取るはずのドキュメンタリーでそこを見せるというのは、問題提起したいことのひとつなのかな、と感じたんです。

圡方 それは考えすぎかもしれません(笑)。そもそもの制作の工程をお話すると、まず今回の映画版とほぼ同じ長さのものを作ったんです。で、そこから削ったのがテレビ版です。もともと映画になったらいいね、と意識して作ったというのもありますし。その後、映画も作ろうということで、もともとの長さのものを生かしたという形ですね。なので、映画に作り変えるときになにかテーマを足したということはないんです。たまたまそう見えたってことなんじゃないでしょうか。

──なるほど……。映画版でも、テレビ版でも、作り手側が恣意的に加えた変化はないということなんですね。いやたしかに、深読みしすぎでした(笑)。
 ところで、ドキュメンタリーを映画で上映することに対して、東海テレビは積極的ですが、ネット配信やDVD販売などはしていませんよね。これはなぜなのでしょうか?

阿武野 みんなが流れていく方向に行くのはあまり好きではないというのもありますね。一人の世界で、ネットで楽しんでもらうよりも、映画館に足を運んでもらい、不特定多数の人とともに、周囲の息遣いを感じながら作品を見てもらいたいというのが希望です。テレビがパーソナルメディアになっていっているからこそ、ネット配信やDVDといったよりパーソナルな方向ではなく、映画というソーシャルな方に向かうことが大事なのではないかと考えています。

──パーソナルな形で受容されてしまう一方、より多くの人々に見てもらうことがでるのがネット配信の魅力です。それを捨てでもやらないのは、どんな考えからなのでしょうか?

阿武野 ネット配信の場合、どうしてもお手軽で「消費」というイメージがあります。そうではなく、自分たちの作品の、もっと大事な手渡し方があるのではないか。それに、もしも、これまでの作品もネット配信をしていたら、ここまで東海テレビのドキュメンタリーに注目してもらえることはなかったでしょう。映画館でしか見られないからこそ、特別感がある。ただ消費されるものにならないような手渡し方の工夫があってもいいんじゃないかなと

圡方 僕自身、通勤途中などでNetflixを見ていますが、どうしても細切れになってしまいますよね。映画館で見た時には涙するほど感動的だったはずの作品が、配信で通勤時間で細かく割って少しづつ見ると、あの時の感動がすっかりと抜け落ちてしまうんです。ディレクターとしては、自分の作ったドキュメンタリーがそのように消費されるのはやはり寂しいなと思ってしまうんですよね。最後まで集中して見た結果、生まれるリアクションを見たいんです。
 映画館ならば、最初から最後まで集中して見てもらうことができる。そして、上映後には見た人のリアクションにも直接触れることができます。テレビやネットなどでは、視聴者のリアクションを見ることはできないですからね。


■観客の反応が帰ってくる場所に身を置くと気持ちが生き返る

阿武野 私たちの製作スタッフは、映画館に足を運び「お客さんがこんなふうに笑っていた」「こんなポイントで泣いていた」と報告しあいます。テレビとは違って、観客の反応が帰ってくる場所に身を置くと、作り手としての気持ちが生き返るような気がします。ネット配信に比べれば少ない人数なのでしょうが、そんな反応を得ることは代え難いものです。

──では最後に。『さよならテレビ』は、映画館でどんな反応が返ってくると思いますか?

阿武野 怖いですよね。テレビも不特定多数に出す怖さがありますが、映画はお金を出して映画館に観に来てくれる生身の人たちですから、凄く怖いです。でも、それは、すごく楽しみでもあります。

圡方 自分たちのことを描いているので、極論すれば「これはドキュメンタリーなのか」さえも自分ではよくわからないんです。自分自身20年以上テレビの現場で働いているベテラン選手なので、用語とか業務の流れとか当たり前に感じていることが多すぎて、一般の人たちが見て何がわからないのかもわからないんですよね。どこに常識のラインを置くかということもとても気をつけました。

──業界で話題になったときとはまた違った種類の感想も出てくるかもしれないですね。

圡方 おそらく、みんなが「満足せず」に帰るのではないかと思っています。『さよならテレビ』は、テレビのいい部分を描くわけでもなく、かといって、ありがちな『テレビの闇』を描いているわけでもない。テレビを取り巻く構造には問題が多いものの、そこで働く個人を見れば、決して憎めないことがわかります。スッキリとわかりやすい結論を得られる内容ではないんです。よくまとまっていた、って言われるのが作り手としては一番悲しいんですよね。


インタビュー|森永真弓
構成|萩原雄太(かもめマシーン)
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●東海テレビ…《テレビの危機的な現状を自ら裸になって提示…とはいえ…「テレビ局が抱える闇はもっと深い」》

2020年01月06日 00時00分26秒 | Weblog


日刊ゲンダイのコラム【高野孟 永田町の裏を読む/「さよならテレビ」はテレビ局が抱える“闇”の一端が見える】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/263030)。

 《東海テレビ制作の映画「さよならテレビ」の試写を見た。数々のドキュメンタリー作品を世に問うたことで知られる同社の取材班が、なんと、自社の夕方のニュース番組を制作する報道局の現場を2年間にわたって追跡し、2018年の同社開局60周年記念番組として放送。言論機関としてのテレビの危機的な現状を自ら裸になって提示しようという、その蛮勇ともいえる試みが話題になった》。

   『●『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著)読了
                …《あなたの政治的ポジションを見つけて…》
    《だいたいみんな、このごろ、まちがえてんのよね。
     「偏らないことがいいことだ」「メディアは中立公正、不偏不党であるべきだ」
     「両論を併記しないのは不公平だ」。そういう寝言をいっているから、
     政治音痴になるのよ、みんな。》
    《あのね、政治を考えるのに「中立」はないの。メディアの役目は
     「中立公正、不偏不党な報道」ではなく「権力の監視」なんです。
     それ、常識。》
    《党派性をもたずに政治参加は無理である。》

 アベ様の政で〝唯一うまく行っている〟《メディアコントロール》。「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で…。アベ様のNHK下足番新聞など、メディアがアベ独裁広報機関・広報紙・広報誌となって久しい。そんな中、東海テレビは注目に値する。
 《言論機関としてのテレビの危機的な現状を自ら裸になって提示…とはいえ…「テレビ局が抱える闇はもっと深い」》。《メディア再生の試み》はどこまで功を奏しただろうか。

   『●『創 (12月号)』読了 (2/2)
    「森達也さん『極私的メデェア論』第38回「視点が違えば世界は違う」
     …《フジテレビで一本のドキュメンタリー番組が放送された。タイトルは
     「光と影~光市母子殺害事件弁護団の300日」。…プロデューサーの
     名前は阿武野勝彦。そしてディレクターは斎藤潤一。…テレビ業界で
     煩悩し格闘している人は決して少なくない。…「鬼畜弁護士を被写体に
     するお前が鬼畜だ」と罵倒されたという。…非当事者である僕たちが、
     本当の意味で共有など出来るはずがない》」

   『●ドキュメンタリー『死刑弁護人』: 
      バッシングされ続ける「死刑弁護人」安田好弘さん
   『●司法権力の〝執念〟: 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
   『●子供にもSLAPPする国: 三上智恵監督・
        映画『標的の村 ~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』
   『●木下昌明さん、『死刑弁護人』映画評
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●無残!……『朝日』は、素人に《人を裁くという経験を通じ、
               死刑と向き合い、是非を考え》させたいらしい

   『●「テレビ業界で煩悩し格闘している人は決して少なくない」
              …「隠された歴史を掘りおこす」地方テレビ局
    「優れたドキュメンタリーが、東海テレビ琉球朝日放送南海放送
     といった地方のテレビ局で生み出され、そして映画化される。
     『死刑弁護人』や『標的の村』、『放射線を浴びたX年後』といった作品
     である。
      東海テレビ阿武野勝彦プロデューサーは《映画にすることで、
     作品は命を永らえることができる》、森達也さんは《テレビ業界で煩悩し
     格闘している人は決して少なくない》、そして、木下昌明さん
     《隠された歴史を掘りおこす》と言う」

   『●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で、
              「『よく撮って、知らせてくれた』…お褒めの声」
    「『LITERA 本と雑誌の知を再発見』(…)の編集部による
     インタビュー記事【東海テレビ・阿武野プロデューサーを直撃! 
     ヤクザの人権、犯罪弁護団、安保批判…萎縮状況の中で
     なぜ東海テレビだけが踏み込んだドキュメンタリーをつくれるのか】」
    「「圧力、自主規制、政権を忖度、報道の萎縮…テレビ業界」で
     「異彩を放つ刺激的なドキュメンタリー」を放ち続ける東海テレビ。
     阿武野勝彦氏は「ど真ん中の仕事…ドキュメンタリーの真ん中」であり、
     そんな仕事には「『よく撮って、知らせてくれた』…
     お褒めの声のほうが多い」そうだ」

   『●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で…
             東海テレビ『ヤクザと憲法』の意味が、今、分かる
    《東海テレビが半年間、ヤクザに密着したドキュメンタリー映画
     「ヤクザと憲法」…▼暴排条例人ごとと思っていたが、別の法律が
     ブーメランのように自分の身に降りかかろうとしている… 
     ▼…金田勝年法相のあいまいな答弁の理由の一つが鮮明になった》


   『●《新聞を含むマスコミは…「客観中立で、常に事実と
     正論を語る」という自画像を描き、自ら縛られてきた》
    「沖縄タイムスの阿部岳さんのコラム【[大弦小弦]
     「さよならテレビ」、とテレビが言う。】…《東海テレビ
     制作したドキュメンタリー番組のタイトルである…
     ▼新聞を含むマスコミは逆に「客観中立で、常に事実と正論を語る
     という自画像を描き、自ら縛られてきた…▼澤村ディレクターは今、
     「番組はメディア再生の試みだと受け止めている」と話す。
     さよならマスコミ、さよなら予定調和、さよなら自主規制。
     こんにちは、自由で新しい表現。(阿部岳)》」

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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/263030

高野孟 ジャーナリスト
永田町の裏を読む
「さよならテレビ」はテレビ局が抱える“闇”の一端が見える
2019/10/10 06:00

     (東海テレビ公式HPから)

 東海テレビ制作の映画「さよならテレビ」の試写を見た。数々のドキュメンタリー作品を世に問うたことで知られる同社の取材班が、なんと、自社の夕方のニュース番組を制作する報道局の現場を2年間にわたって追跡し、2018年の同社開局60周年記念番組として放送。言論機関としてのテレビの危機的な現状を自ら裸になって提示しようという、その蛮勇ともいえる試みが話題になった。それをさらに映像シーンを追加して劇場用の映画として仕立て直したのがこの作品である。

 そのニュース番組は視聴率が低迷していて、同時間帯の各局比較でほぼ常時4位。キャスターを交代させ、グルメ系のコーナーが受けがいいと見ればそちらに傾きそうになったり、見た目に面白いだけのいわゆる「絵になる」シーンを多用したりと四苦八苦。報道局長は見学に来た小学生たちに「権力を監視するのが報道の使命だ」と建前を語るが、現実にはそんな青くさいことを言うスタッフはおらず、ただ一人、契約社員として加わっている50歳のフリー記者のSが周囲の反応にめげそうになりながらも「共謀罪」の問題で番組を作って気を吐いている

 「働き方改革」とかで残業が月100時間を超えることは絶対禁止とお達しがあり、サラリーマン社員としてはそれに従わざるを得ないけれども、視聴率を上げるために取材を増やそうとすれば、契約社員や下請け制作会社からの派遣社員にしわ寄せがいくばかり。そういう中で、「Z印」の番組も増えていく。Zは「ぜひもの」、スポンサー企業からの注文通りの「よいしょ番組」である

 このような、テレビのニュース番組の制作現場の悪循環スパイラルともいうべき現実が、生々しく描かれていて、そこにこの作品の価値がある。

 テレビ放映を見た同社の重役が「会社のイメージを毀損した」と取材班を激しく非難したそうだが、むべなるかな。とはいえ、長年にわたりテレビ報道の現場で仕事をした経験がある私から見ると、この描き方はまだ甘すぎる。社内取材ゆえの奥歯にモノが挟まったかの表現では、私なら何を指摘しようとしているのか容易に想像がつくけれども、一般の観客にそれが伝わるかどうか。

 終わり近くでSが語っているように「テレビ局が抱える闇はもっと深い」のである。ともあれ、映画は来年1月2日から東京・ポレポレ東中野と名古屋・シネマテークでロードショー公開されるので、ぜひご覧下さい。
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●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》

2019年10月30日 00時00分40秒 | Weblog


東京新聞の2019年6月28日の社説【最高裁の判断 なぜ再審の扉を閉ざす】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019070102000126.html)。
亀井洋志氏による、週刊朝日の記事【袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 】(https://dot.asahi.com/wa/2019062800063.html)。

 《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての再審請求だった…疑わしきは被告人の利益には再審請求にも当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めてはならない》。
 《静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど“新証拠”を提出した》。

   『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」
         /『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について
    「山口正紀さん【裁判長の訴訟指揮も報じるべきだ 大崎事件再審請求】、
     「冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…
     マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、
     無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう」」

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
    「まず、小池裕裁判長について。《小池裕氏は、NPO法人による
     森友学園問題で国側が持つ交渉記録等の証拠保全の申し立てについて、
     最高裁の裁判長として保全を認めなかった高裁判断を支持し、
     抗告を棄却した》方です。アベ様には寛大なるご判断、一般市民には
     《あまりにも横暴》、冷酷。「司法判断」としてもデタラメ」

 再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定が出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れているのか? 誤りを潔く認めるべきだ。
 山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。
 「無辜の救済」を拒む最「低」裁の意図は何か?
 白鳥決定を持ち出すと、原口アヤ子さんを何か犯人であるかのような印象を与えてしまうかもしれない。でも、冤罪なのですから、「無辜の救済」が正しい表現。

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…
       政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁
    「NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・
     袴田巖の52年-】…《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した
     「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま
     姉と二人故郷浜松で暮らす》」
    「三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした
     「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、
     ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。
     《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ」

   『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
       証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」
   『●袴田秀子さん《ボクシングに対する偏見…
      チンピラだっていうイメージ…その印象以外に何の証拠もなかった》

 《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》。《特別抗告が棄却され、袴田さんが再収監されるような事態になれば、国民の信頼はおろか、海外からも日本の司法は総スカンを食うことになる》。

   『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…
      無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019070102000126.html

【社説】
最高裁の判断 なぜ再審の扉を閉ざす
2019年6月28日

 四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。

 「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての再審請求だった。

 鹿児島県大崎町で一九七九年に起きた事件だった。被害者が酒に酔い、側溝に落ちているのを住民が発見した。三日後に遺体が自宅横にある牛小屋で見つかった。原口さんは隣に住み、被害者の義姉にあたる。親族の計四人が殺人容疑などで逮捕され、八一年に最高裁で確定した。

 そもそも本当に殺人なのかも疑われる事件だ。側溝に転落した際の「出血性ショック死の可能性が極めて高い」からだ。新証拠の鑑定はそう記している。この見方は地裁・高裁も支持している。何しろ確定判決時の鑑定は「他殺を想像させる。窒息死と推定」という程度のあいまいさだった。

 では、絞殺という根拠は何か。実は共犯者とされた親族の自白に寄り掛かっている。供述は捜査段階でくるくる変わる。虚偽自白の疑いとみても不思議でない。

 なぜ自白したか。「警察の調べが厳しかったから」だそうだ。しかも知的障害のある人だった。今なら取り調べが適切だったか、捜査側がチェックされたはずだ。

 最高裁は新鑑定を「遺体を直接検分していない」「十二枚の写真からしか遺体の情報を得られていない」と証明力を否定した。親族の自白は「相互に支え合い信用性は強固」とした。だが、本当に「強固」なのか。過去の冤罪(えんざい)事件では、捜査側が描くストーリーに沿った供述を得るため、強要や誘導があるのはもはや常識である。

 最高裁の判断には大いに違和感を持つ。審理を高裁に差し戻すこともできたはずである。事件の真相に接近するには、そうすべきだった。事故死か他殺かの決着も、再審公判でできたはずだ。再審取り消しは論理自体が強引である。もっと丁寧に真実を追求する姿勢が見えないと、国民の司法に対する信頼さえ損なう

 疑わしきは被告人の利益には再審請求にも当てはまる。その原則があるのも、裁判所は無辜(むこ)の救済の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めてはならない。
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https://dot.asahi.com/wa/2019062800063.html

袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 
亀井洋志 2019.7.1 10:30 週刊朝日

     (白半袖シャツに開いた2つの穴と、袴田さんの体の傷(赤ライン)の位置)
     (味噌タンクから発見された白半袖シャツ。右肩の2つの穴の周りだけ
      血が付いている=いずれも藤原よし江さん提供)

 静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど“新証拠”を提出した。焦点となるのは、袴田さんの犯行時の着衣とされた「5点の衣類(スポーツシャツ、白半袖シャツ、ズボン、ステテコ、ブリーフ)」だ。弁護団は衣類は袴田さんのものではなく、捜査機関によって捏造(ねつぞう)された可能性が高いと重ねて主張した。

    (【写真】味噌工場のタンクから発見された白半袖シャツはこちら)

 改めて事件を振り返る。1966年6月30日、静岡県清水市(現・静岡市清水区)の味噌会社の専務宅から出火。焼け跡から一家4人の他殺死体が見つかった。味噌会社の従業員で当時30歳だった袴田さんが強盗殺人などの疑いで逮捕された。袴田さんは連日10時間以上に及ぶ苛酷な取り調べを受け、逮捕から20日目に「自白」してしまう。裁判では無罪を主張したが、事件から1年2カ月も経って味噌工場のタンクの中から血染めの衣類が発見される。いま焦点となっている「5点の衣類」だ。事件直後、警察が徹底的に捜索しながら見つからなかった衣類が突然発見されるのだから、きわめて不可解な展開だ。

 その後、警察は袴田さんの実家を捜索すると、都合のいいことに発見されたズボンの共切れを見つけ出す。その結果、「5点の衣類」が決定的な証拠とされ、68年9月、静岡地裁は袴田さんに死刑判決を言い渡したのである。

 2度目の再審請求で弁護団は、新証拠についての書面を提出した。そこで指摘したのは、「5点の衣類」のうち、スポーツシャツと、下着の白半袖シャツの右肩に付いた穴状の損傷に関するものだ。事件当時、袴田さんは白半袖シャツの上にスポーツシャツを着て、右肩(右上腕部)にケガをしたとされている。だが、不自然なことにスポーツシャツの右肩には釘で刺したような穴が1カ所あるだけだが、白半袖シャツには穴が二つ空いている。しかも、穴の位置がいずれも一致せずに、ずれているのだ。

 実は、死刑が確定する前の東京高裁で、犯行着衣とされた「5点の衣類」が本当に袴田さんのものなのかを検証するための試着実験が行われている。この時、衣類の穴の矛盾点が明らかになったが、裁判ではほとんど問題にされなかったという。その理由について、袴田さんの弁護団が6月7日に開いた記者会見で、角替(つのがえ)清美弁護士が次のように説明した。

「高裁は、確かに穴の位置はずれているが、おおむね一致している、という見方でした。スポーツシャツに穴が一つで、白半袖シャツに二つあることについては、スポーツシャツはゆったりしているが、白半袖シャツは肌にぴったりと密着している。だから一度スポーツシャツに刺さった鋭い刃物状のものが、白シャツの2カ所に穴を開けることもあり得るということでした」

 白半袖シャツの二つの穴の周囲には、内側から染みついた袴田さんのものとされるB型の血がついていた。ここで気になるのは、出血した袴田さんの傷の位置はどこなのか、ということだ。

 袴田さんは2014年、逮捕されてから47年7カ月ぶりに釈放されたが、驚くべきことに右肩の傷あとが残っていたのだ。生きた証拠であり、衣類の穴との位置関係を比較すれば、矛盾点はいっそう明確になる。

 この測定実験を思い立った支援者の藤原よし江さんは、「5点の衣類」の写真など、裁判資料をもとにスポーツシャツと白半袖シャツの穴を再現し、測定した。その結果、スポーツシャツの穴も、白半袖シャツにできた二つの穴も、袴田さんの傷あとの位置とは、まったく一致しなかったのである。

 藤原さんに話を聞いた。

「シャツの穴の問題は、ずっとおかしいと思っていました。控訴審の段階でも弁護団(再審弁護団とは別)が鑑定を求めていますが、裁判所は却下しました。白半袖シャツの穴のまわりには血が付いているのに、袴田さんの肩の傷の位置に血が付いていない=写真参照=のは、誰が見てもおかしいと思うはずです」

 袴田さんがこれまで一貫して主張し続けてきたのは、事件当時、パジャマ姿で専務宅の消火活動を手伝い、その際、右肩にケガをしたということだ。

 実際にパジャマの右肩部分に、何かに引っ掛けてできた「カギ裂き」の破れがあり、その部分に血が付いていたことがわかった。袴田さんの体の傷あとを測定した藤原さんは、判決文などをもとにパジャマのカギ裂き部分も特定した。すると、傷あとの位置とぴったりと一致したのである。藤原さんが語る。

「裁判所は、パジャマにカギ裂きがあることや、カギ裂きの位置も確認しながら、袴田さんが右肩に傷を負ったことを示す衣類が、二つあることのおかしさについては黙殺したのです。ものすごく非常識な認定をしながら、死刑判決を出していることが本当に許せません」

 再審請求審で弁護団は、本田克也・筑波大学教授(法医学)に鑑定を依頼した。本田教授は「5点の衣類」に付着した血液のDNA型は、被害者のものと一致しないと結論付け、白シャツの右肩の穴のまわりに付いた血も、「袴田さんのものではない」との結果を出した。今回の藤原さんの測定実験も、この「本田鑑定」の正しさを裏付けている。

 14年5月、静岡地裁はこのDNA鑑定結果を「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と評価し、再審開始を認める決定をした。当時の村山浩昭裁判長は「(5点の衣類は)捜査機関によって捏造された疑いがある」とまで言及し、「これ以上拘束を続けることは、耐え難いほど正義に反する」として拘置の執行停止も決めたのだ。

 だが、昨年6月、東京高裁(大島隆明裁判長)は、本田教授のDNA型鑑定について「手法に疑問がある」などとして、「新証拠としては認められない」とした。

 昨年6月に弁護団が最高裁に特別抗告してから、1年が経過した。弁護団は最高裁側の感触を得るため、調査官に面談を求めているが、回答すらしてこないという。

 最高裁の調査官は、裁判官の指示に従って裁判に必要な調査を行い、資料の作成や、判決の素案作りなどを行う黒子役だ。主席調査官のもとに上席調査官3人が、刑事・民事・行政事件を担当している。最高裁の調査官には、エリートと目される裁判官が起用される。

 弁護団の西嶋勝彦弁護士がこう嘆く。

「20年くらい前までは、調査官も気さくに面談に応じたものです。袴田事件ばかりではなく、名張毒ぶどう酒事件でも対応してくれていました。特別抗告状や補充書の論点を口頭で説明したり、時にはスライドなどを使ったりすることもありました。それが、裁判官会議の申し合わせで決めたのか、ある時から一斉に対応しなくなったのです。調査官がどこまで記録を読み込んでいるのか、裁判官がどこまで合議しているのか。ブラックボックスでまったくわからなくなってしまいました」

 最高裁の決定はある日突然、何の前触れもなく通知される。こんなシステムはおかしいのではないか。調査官が弁護側の面談に応じれば、証拠との向き合い方はまったく異なってくるだろう。現在の調査官に、証拠を丁寧に吟味する姿勢は見られない

 『裁判官幹部人事の研究』などの著書がある明治大学政治経済学部の西川伸一教授がこう指摘する。

「最高裁は孤高の存在で、国民から恐れられているくらいのほうが判決に威厳があっていいんだという発想があるのでしょう。一方で、裁判官は選挙で選ばれるわけではないから、国民の信頼を失うことを非常に恐れています。最高裁長官は年頭のあいさつに、必ず『国民の信頼』という言葉を入れています。けれども、国民に向けて閉鎖的なイメージは拭いようもありません。調査官は各小法廷の裁判官に資料を上げるだけなのですから、合議の秘密には当たらないはずです。弁護人と会談するのも裁判に必要な調査の一環だと思いますが、どうにもユーザーフレンドリーではありませんね」

 特別抗告が棄却され、袴田さんが再収監されるような事態になれば、国民の信頼はおろか、海外からも日本の司法は総スカンを食うことになるだろう。袴田事件のこれまでの経過に対し、再審開始を決定した静岡地裁が発した「耐え難いほど正義に反するという戒めが、軽んじられるようなことがあってはならない。(本誌・亀井洋志
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●《新聞を含むマスコミは…「客観中立で、常に事実と正論を語る」という自画像を描き、自ら縛られてきた》

2019年04月27日 00時00分47秒 | Weblog

[『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著、ちくまプリマ―新書257)↑]



沖縄タイムスの阿部岳さんのコラム【[大弦小弦]「さよならテレビ」、とテレビが言う。】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/408962)。

 《東海テレビが制作したドキュメンタリー番組のタイトルである…▼新聞を含むマスコミは逆に「客観中立で、常に事実と正論を語るという自画像を描き、自ら縛られてきた…▼澤村ディレクターは今、「番組はメディア再生の試みだと受け止めている」と話す。さよならマスコミ、さよなら予定調和、さよなら自主規制。こんにちは、自由で新しい表現。(阿部岳)》

   『●『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著)読了
                …《あなたの政治的ポジションを見つけて…》
    《だいたいみんな、このごろ、まちがえてんのよね。
     「偏らないことがいいことだ」「メディアは中立公正、不偏不党であるべきだ」
     「両論を併記しないのは不公平だ」。そういう寝言をいっているから、
     政治音痴になるのよ、みんな。》
    《あのね、政治を考えるのに「中立」はないの。メディアの役目は
     「中立公正、不偏不党な報道」ではなく「権力の監視」なんです。
     それ、常識。》
    《党派性をもたずに政治参加は無理である。》

 「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で…。アベ様のNHK下足番新聞など、メディアがアベ独裁広報機関・広報紙・広報誌となって久しい。そんな中、東海テレビは注目に値する。
 以前の東京新聞の記事【地方TV局からスクリーンへ ドキュメンタリーの魅力発信】で、《東海テレビ・阿武野勝彦プロデューサー…「ヤクザと憲法」を作ったが、昔なら「ヤクザ」は放送できないと思ってしまっていた。知らないうちに思考停止になっていたが、何かを考えるようになった。停止している思考を回してみると、豊かな表現につながる映画化によってテレビにも豊かな世界を描く人がいると観客に気付いてもらえた》。

   『●『創 (12月号)』読了 (2/2)
    「森達也さん『極私的メデェア論』第38回「視点が違えば世界は違う」
     …《フジテレビで一本のドキュメンタリー番組が放送された。タイトルは
     「光と影~光市母子殺害事件弁護団の300日」。…プロデューサーの
     名前は阿武野勝彦。そしてディレクターは斎藤潤一。…テレビ業界で
     煩悩し格闘している人は決して少なくない。…「鬼畜弁護士を被写体に
     するお前が鬼畜だ」と罵倒されたという。…非当事者である僕たちが、
     本当の意味で共有など出来るはずがない》」

   『●ドキュメンタリー『死刑弁護人』: 
      バッシングされ続ける「死刑弁護人」安田好弘さん
   『●司法権力の〝執念〟: 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
   『●子供にもSLAPPする国: 三上智恵監督・
        映画『標的の村 ~国に訴えられた沖縄・高江の住民たち~』
   『●木下昌明さん、『死刑弁護人』映画評
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●無残!……『朝日』は、素人に《人を裁くという経験を通じ、
               死刑と向き合い、是非を考え》させたいらしい

   『●「テレビ業界で煩悩し格闘している人は決して少なくない」
              …「隠された歴史を掘りおこす」地方テレビ局
    「優れたドキュメンタリーが、東海テレビ琉球朝日放送南海放送
     といった地方のテレビ局で生み出され、そして映画化される。
     『死刑弁護人』や『標的の村』、『放射線を浴びたX年後』といった作品
     である。
      東海テレビ阿武野勝彦プロデューサーは《映画にすることで、
     作品は命を永らえることができる》、森達也さんは《テレビ業界で煩悩し
     格闘している人は決して少なくない》、そして、木下昌明さん
     《隠された歴史を掘りおこす》と言う」。

   『●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で、
              「『よく撮って、知らせてくれた』…お褒めの声」
    「『LITERA 本と雑誌の知を再発見』(…)の編集部による
     インタビュー記事【東海テレビ・阿武野プロデューサーを直撃! 
     ヤクザの人権、犯罪弁護団、安保批判…萎縮状況の中で
     なぜ東海テレビだけが踏み込んだドキュメンタリーをつくれるのか】」
    「「圧力、自主規制、政権を忖度、報道の萎縮…テレビ業界」で
     「異彩を放つ刺激的なドキュメンタリー」を放ち続ける東海テレビ。
     阿武野勝彦氏は「ど真ん中の仕事…ドキュメンタリーの真ん中」であり、
     そんな仕事には「『よく撮って、知らせてくれた』…
     お褒めの声のほうが多い」そうだ」

   『●「自主規制、政権を忖度、報道の萎縮」なテレビ業界で…
             東海テレビ『ヤクザと憲法』の意味が、今、分かる
    《東海テレビが半年間、ヤクザに密着したドキュメンタリー映画
     「ヤクザと憲法」…▼暴排条例人ごとと思っていたが、別の法律が
     ブーメランのように自分の身に降りかかろうとしている… 
     ▼…金田勝年法相のあいまいな答弁の理由の一つが鮮明になった》

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https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/408962

[大弦小弦]「さよならテレビ」、とテレビが言う。
2019年4月15日 08:04

 「さよならテレビ」、とテレビが言う。東海テレビが制作したドキュメンタリー番組のタイトルである。東海エリアで昨年9月、1度放送されただけなのに、手から手へとDVDが渡り、口コミで議論が広がっている

▼土方(ひじかた)宏史(こうじ)ディレクターが社内にカメラを向ける。上司が勝手に取材対象にされてる「やめろ」と怒る。視聴率アップと残業代カットが同時に命じられる。舞台裏の矛盾と苦悩を生々しく描く

▼前代未聞の番組作りを、それでも「ぬるい」と言い放つのは被写体の一人である澤村慎太郎ディレクター。「現実を都合よく切り取って、テレビ的現実を生産してるだけじゃないか」。そのシーンもまた、番組に収める

▼人間が取材テーマや相手を選び、番組に仕上げる以上、純粋な客観報道はあり得ない。必ず作り手の意図が入る。そのことを徹底して、正直に、告白する

▼新聞を含むマスコミは逆に「客観中立で、常に事実と正論を語るという自画像を描き、自ら縛られてきた。インターネットの普及などでより多様な情報に触れた市民が不信を抱き、離れていったのは当然なのかもしれない

▼澤村ディレクターは今、「番組はメディア再生の試みだと受け止めている」と話す。さよならマスコミ、さよなら予定調和、さよなら自主規制。こんにちは、自由で新しい表現。(阿部岳
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●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁

2018年10月29日 00時00分55秒 | Weblog


NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・袴田巖の52年-】(http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-110.html)。

 《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま、姉と二人故郷浜松で暮らす》

 袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ》。あまりに愚かしい検察、そして、東京高裁。身内が犯した犯罪を、意地でも認めない訳だ。袴田さんが自白したのかどうかも疑わしく、尋問時のテープに警察官の脅迫的尋問は残っていても、袴田さんの「自白」は残っていない。

 袴田巖袴田巌)さん「1審の裁判官の熊本」「人間、生きてりゃぁ、会えるんだね」。入院中の熊本典道さんとの10分間の面会が実現。それにしても、お姉さん袴田秀子さんは凄い人だ。東京高裁のデタラメに対しても…「50年闘ってきました。これからも闘っていきます」。
 三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ。

   『●死刑制度存置: 袴田事件にどう責任?、そして、飯塚事件の絶望感
   『●奥西勝冤罪死刑囚が亡くなる:  
        訴えることが出来なくなるのを待った司法の残酷さ!
   『●袴田冤罪事件を機に死刑制度の再考ができない我国
   『●名張毒ぶどう酒事件という冤罪
   『●「疑わしきは罰する」名張毒ぶどう酒事件、あ~っため息が・・・
   『●司法権力の〝執念〟:
           映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』

   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず

   『●名張毒ぶどう酒事件第八次再審請求審:  
         検証もせずに、今度は新証拠ではないとは!
   『●「触らぬ神にたたりなし、ということなのか」?  
      訴えることが出来なくなるのを待つ司法の残酷さ!
   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
       あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
       再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行

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http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-110.html

NNNドキュメント’18

2018年10月14日(日) 24:55
我、生還す
-神となった死刑囚・袴田巖の52年-

今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま、姉と二人故郷浜松で暮らす。

そんな袴田さんを釈放当日から記録し続けた密着映像。そこに映るのは、死刑の恐怖に晒され、精神を患い妄想に囚われた姿。そして自由の中で、再び穏やかさを取り戻していく姿だ。事件から半世紀、いまだ覆らない死刑判決。遂に袴田さんは、死刑判決を下した元裁判官との再会を果たす。


語り/萩原聖人  制作/中京テレビ  放送枠/55分

再放送     
10月21日(日)11:00~ BS日テレ
10月21日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24」
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●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》

2018年06月14日 00時00分46秒 | Weblog


東京新聞の社説【再審への道 「疑わしきは罰せず」だ】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018061202000170.html)と、
コラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018061202000135.html

 《五十二年前の強盗殺人事件で死刑が確定していた袴田巌さんの再審開始決定を東京高裁が取り消した。血痕のDNA型への評価の違いだ。司法は当時の捜査手法への厳しい目があるのを知るべきだ冤罪はまず犯人とされた人に罪をかぶせる不正義がある。同時に真犯人を取り逃がす不正義を伴う。この二重の不正義がある》。
 《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか事件から五十二年長すぎる旅である》。

 《二重の不正義》を認めたくない検察、それを見て見ぬふりする裁判所。木谷明さんや熊本典道さんの話や訴えになぜ耳を傾けようともしないのか…。4年も待たせて、この仕打ち、さらに待てという。《検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか事件から五十二年長すぎる旅である》。検察や裁判所は、冷酷にも「沈黙」を、訴えることが出来なくなることを待っているとしか思えない。
 証拠も無く最高刑・最悪刑で罰する、死刑にする、Death Penalty…冷酷な検察、無能な裁判所。「疑わしきは罰する」「疑わしくなくても罰する」…《どうあっても狼に許されぬイソップ寓話》。検察や警察という《狼》の《本音…「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》。

   『●死刑制度存置: 袴田事件にどう責任?、そして、飯塚事件の絶望感
   『●奥西勝冤罪死刑囚が亡くなる:  
        訴えることが出来なくなるのを待った司法の残酷さ!
   『●袴田冤罪事件を機に死刑制度の再考ができない我国
   『●名張毒ぶどう酒事件という冤罪
   『●「疑わしきは罰する」名張毒ぶどう酒事件、あ~っため息が・・・
   『●司法権力の〝執念〟:
           映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』

   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず

   『●名張毒ぶどう酒事件第八次再審請求審:  
         検証もせずに、今度は新証拠ではないとは!
   『●「触らぬ神にたたりなし、ということなのか」?  
      訴えることが出来なくなるのを待つ司法の残酷さ!
   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
       あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】

==================================================================================
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018061202000170.html

【社説】
再審への道 「疑わしきは罰せず」だ
2018年6月12日

 五十二年前の強盗殺人事件で死刑が確定していた袴田巌さんの再審開始決定を東京高裁が取り消した。血痕のDNA型への評価の違いだ。司法は当時の捜査手法への厳しい目があるのを知るべきだ

 袴田さんの事件は長く冤罪(えんざい)との疑いの声があった。一九六六年に起きた静岡県の旧清水市で一家四人が殺害された事件だ。

 再審開始を認めない決定に、十一日の東京高裁前では「不当決定」と書かれた垂れ幕が掲げられた。

 冤罪はまず犯人とされた人に罪をかぶせる不正義がある。同時に真犯人を取り逃がす不正義を伴う。この二重の不正義がある。

 元裁判官の木谷明氏の持論である。裁判官時代に約三十件もの無罪判決を書いた経験を持つ。一件を除き検察は控訴すらできなかった。その木谷氏の著書「『無罪』を見抜く」(岩波書店)にはこんなくだりがある。

   <冤罪は本当に数限りなくある、と思います。最近、いくつか有名な
     冤罪事件の無罪判決が報道されていますが、あれはあくまで
     氷山の一角ですよ。(中略)『なぜ、こんな証拠で有罪になるのだ
     と怒りたくなる判決がたくさんあります>

 袴田さんの事件では一審で死刑判決に関わった元裁判官の熊本典道氏が「無罪だと確信したが、裁判長ともう一人の陪席判事が有罪と判断し、合議の結果で死刑判決が決まった」と二〇〇七年に明かした。熊本氏自身も判決言い渡し後に、良心の呵責(かしゃく)に耐えかねて裁判官を辞職したとも語った。

 「疑わしきは被告人の利益に」という言葉は刑事裁判の原則で、再審でも例外ではない。ところが日本の検察はまるでメンツを懸けた勝負のように、再審開始の地裁決定にも「抗告」で対抗する。間違えていないか。再審は請求人の利益のためにある制度で、検察組織の防御のためではない

 かつ、検察はかき集めた膨大な証拠も不利なものは隠したりする。今回も新たに開示された取り調べ録音テープから、捜査員が袴田さんをトイレに行かせず、取調室に持ち込んだ便器に小便をさせた行為などがわかった。

 着衣に付いた血痕のDNA型の判定などで地裁と高裁の判断は分かれた。だが、問題なのは再審制度の在り方にもある。無実の人を救済せねばならないのは検察も同じではないか。最高裁では死刑囚の再審という究極の人権問題にも道筋を示してもらいたい。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018061202000135.html

【コラム】
筆洗
2018年6月12日

 羊が川で水を飲んでいるのを見かけた狼(おおかみ)がもっともらしい理由をつけてその羊を食べてしまおうと考えた。「おい、おれの水をにごらせているぞ」▼羊は反論する。「私はほんの口先で飲んだだけです。それに飲んでいるのはあなたよりも川下です」。あきらめない狼は別の理由を考える。「そういえば、おまえは去年、俺の親父(おやじ)の悪口を言った」。羊はこれにも反論する。「去年なら、まだ生まれていません」。狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない。一九六六年、一家四人が殺害された事件で、東京高裁は死刑が確定した袴田巌さんの再審開始を認めた静岡地裁の決定を取り消した。つまりは、袴田さんが「犯人」なのだと▼検察の主張に対して反論、反証を積み重ねた結果、静岡地裁の再審開始を勝ち取ったのは二〇一四年。同時に釈放され、死刑は執行停止となっていた。今回、死刑と拘置の執行停止は取り消されなかったものの、再びの重い日々となるだろう▼東京高裁が再審を退けた最大の理由は袴田さん犯人説と結び付かなかったDNA鑑定に対する信ぴょう性。検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか事件から五十二年長すぎる旅である。
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●「死刑という刑罰」: 飯塚事件では「冤罪被害者」を死刑…「冤罪被害者」の命を、最早、償いようもない

2018年05月04日 00時00分02秒 | Weblog


レイバーネットのコラム【●木下昌明の映画の部屋 第239回/死刑映画週間『獄友』『白と黒』など8本を上映〜「死刑という刑罰」を考える】(http://www.labornetjp.org/news/2018/0216eiga)。

 《金聖雄(キム・ソンウン)監督の『獄友(ごくとも)』は、日本で起きた狭山袴田布川足利といったよく知られた殺人事件で長期拘束された5人の「冤罪(えんざい)被害者」に焦点を当てたドキュメンタリー。彼らはなぜウソの自白をしたのか、獄中で何があったのか? 互いに「獄友」と励まし合ってきたことなどが描かれる》。

   『●氷見事件(富山冤罪事件)の冤罪被害者のいま
                 ・・・「人生の歯車は狂ったまま」
   『●「人生の歯車は狂ったまま」:
       東京新聞・桐山桂一さん「冤罪とは犯罪よりも罪深い刑罰」

   『●名張毒ぶどう酒事件という冤罪
   『●「疑わしきは罰する」名張毒ぶどう酒事件、あ~っため息が・・・
   『●司法権力の〝執念〟:
           映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』

   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず

   『●名張毒ぶどう酒事件第八次再審請求審:  
         検証もせずに、今度は新証拠ではないとは!
   『●「触らぬ神にたたりなし、ということなのか」?  
      訴えることが出来なくなるのを待つ司法の残酷さ!
   『●司法権力の〝執念〟: 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
   『●奥西勝冤罪死刑囚が亡くなる: 
        訴えることが出来なくなるのを待った司法の残酷さ!
   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず

 例えば、氷見事件では、今も「人生の歯車は狂ったまま」だそうだ。
 例えば、名張毒ぶどう酒事件奥西勝さんは、訴えることが出来なくなるのを…冷酷。
 例えば、飯塚事件では、冤罪者・久間三千年さんを死刑・殺人・私刑。「冤罪被害者」の命を、最早、償いようもない。
 《安倍政権下での死刑執行は31》…だそうだ。

   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●①飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●②飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●飯塚事件冤罪者を国家が死刑執行、
       「この重すぎる現実」: 無惨…「死刑執行で冤罪を隠蔽」

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http://www.labornetjp.org/news/2018/0216eiga

木下昌明の映画の部屋 : 死刑映画週間『獄友』『白と黒』など8本を上映


木下昌明の映画の部屋 第239回
死刑映画週間『獄友』『白と黒』など8本を上映〜「死刑という刑罰」を考える

 死刑って何だろう。なぜ廃止にならないのか。これまで映画でも絞首刑をはじめ、ガス室、銃殺、首に金輪をはめてネジで絞めあげるなどの数々の処刑を見てきたが、そんな残酷シーンに衝撃を受けても、いつしか忘れてしまう。

 死刑は世界的にみれば廃止に向かっている。隣国の韓国では20年間も執行されていない。が、日本をはじめ中国や北朝鮮はいまだに続いている。これでいいのか?

 「死刑という刑罰」を考える映画週間と銘打ち、8本の映画と8人の「語る人」によるイベントを2月17日に開催する。

 新作の金聖雄(キム・ソンウン)監督の『獄友(ごくとも)』は、日本で起きた狭山袴田布川足利といったよく知られた殺人事件で長期拘束された5人の「冤罪(えんざい)被害者」に焦点を当てたドキュメンタリー。彼らはなぜウソの自白をしたのか、獄中で何があったのか? 互いに「獄友」と励まし合ってきたことなどが描かれる。

 イスラエルの『スペシャリスト~自覚なき殺戮(さつりく)者』は、ユダヤ人を強制収容所に送り込んだナチスの親衛隊中佐アイヒマンの裁判記録。ここから哲学者ハンナ・アーレントが追究した‟凡庸”な悪の本質もあぶり出されてくる。

 中山節夫監督の『新・あつい壁』は、ルポライターの主人公が、無実なのに死刑にされた男の事件を追った劇映画。

 堀川弘道監督の『白と黒』は1963年と旧作ながら面白い。死刑廃止論者の弁護士が妻を殺されたのに犯人の弁護を買ってでる――犯人像が二転三転するミステリー。そこから何がみえてくるのか?

 その他『プリズン・エクスペリメント』『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』『弁護人』『ヒトラーへの285枚の葉書』など。『ヒトラー……』にはギロチンがちらりと出てくるが、胸にぐさり――。これらの作品を素材に金聖雄、鵜飼哲(さとし)、黄英治(ファン・ヨンチ)、坂上香、森達也、佐藤慶紀、太田昌国氏らが語る。

 ちなみに安倍政権下での死刑執行は31人。(『サンデー毎日』2018年2月25号)

※2月17日~23日東京・渋谷ユーロスペースにて。問い合わせ03-3461-0211

〔追記〕『ヒトラーへの285枚の葉書』についてわたしが語ることになりました。改めて見直すと、死刑がどうのの問題を超えて、なかなか奥行の深い作品で、考えさせられました。
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●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】

2018年05月01日 00時00分06秒 | Weblog


NTVのテレビ【NNNドキュメント’18/あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】(http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-82.html)。

 《原口アヤ子さん(90)。…出所後「自白は強要されたものだ」と主張した。原口さんが再審を求めて22年。…再審制度の目的は「罪のない人の救済」。だがなぜ再審は始まらないのか。制度の在り方を問う》。

   『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」
         /『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について
    「山口正紀さん【裁判長の訴訟指揮も報じるべきだ 大崎事件再審請求】、
     「冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…
     マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、
     無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう」」

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
    《「やってないものは、やってない」-。殺人罪で服役した原口アヤ子さんは
     一貫して無実を叫んだ。その願いは第三次の再審請求でやっと重い扉を
     開けた。裁判所は早く無実を認めるべきである》。
    「《あたいはやっちょらん》…《だれより責任の重いのが…
     でっち上げを追認した裁判官》、《鹿児島地裁は証拠開示を認めず、
     原口さんの無実の訴えに再審の重い扉を開くことはなかった》。
       年老いた原口アヤ子さん…。無慈悲な司法、長年月に渡る放置
     というか見殺し。司法の「」だ…《原口さんは既に九十歳。三審制でも
     過去二回の再審請求でも救えなかった。司法界の恥と刻まれる》」

   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

    《重い再審の扉が大きく開き、光が差し込んだ。「大崎事件」の
     第3次再審請求即時抗告審。昨年6月の鹿児島地裁決定に続き、
     福岡高裁宮崎支部も再審開始を認めた12日、弁護団や
     支援者たちは喜びに包まれた。逮捕から39年一貫して無実
     訴えてきた原口アヤ子さんも今は90歳で、残された時間は限られる。
     「命あるうちに無罪判決を」。願いは今度こそ届くのか-》

 逮捕から39年間の「あたいはやっちょらん」の叫び!…「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」。そして、今、《昨年6月の鹿児島地裁決定に続き、福岡高裁宮崎支部も再審開始を認めた》にも係わらず、なぜ再審は始まらないのか? 2回も再審開始を地裁が決めたにもかかわらず、検察の抗告がいたずらに時間を浪費し、有罪か無罪かを争うのではなく、再審開始かどうかをいつまでも争う。また、証拠を警察が独占し、場合によっては隠蔽している可能性すら指摘されている。
 冷酷な司法。警察・検察・裁判所は、原口アヤ子さんが「沈黙すること」を、冷酷にも、待っているのではないのか? 彼/彼女らは、自分たちがソレに加担しているという意識はないのか?
 冤罪者を死刑によって、「沈黙させて」もいる。飯塚事件では、決して再審は認められない…《司法権力の“執念”》。《再審制度の目的…「罪のない人の救済」》は、死刑後に達成されても…。
 原口さんは、かつて言っていたそうだ、「やっていない罪を受けて、死ぬことはできません」。

   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず
   『●司法権力の〝執念〟: 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』
    《別の意味で恐るべし、司法権力の“執念”

   『●NNNドキュメント’13: 
      『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●①飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●②飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か? 
         廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン
   『●飯塚事件冤罪者を国家が死刑執行、「この重すぎる現実」:
                       無惨…「死刑執行で冤罪を隠蔽」

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http://www.ntv.co.jp/document/backnumber/archive/post-82.html

2018年2月18日(日) 24:55
あたいはやっちょらん
大崎事件 再審制度は誰のもの?

1979年鹿児島県大崎町で男性が牛小屋の堆肥の中から遺体で発見された。逮捕されたのは義姉の原口アヤ子さん(90)。共犯とされた親族3人の自白が決めてだったが、出所後「自白は強要されたものだ」と主張した。原口さんが再審を求めて22年。鹿児島地裁は2度も再審開始の決定を出したが、検察側の不服申し立てに阻まれている。再審制度の目的罪のない人の救済。だがなぜ再審は始まらないのか。制度の在り方を問う。

ナレーター/湯浅真由美 制作/鹿児島読売テレビ 放送枠/30分

再放送
2月25日(日)11:00~ BS日テレ
2月25日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24」
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●39年間「あたいはやっちょらん」、一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

2018年04月08日 00時00分25秒 | Weblog


西日本新聞の記事【無実の叫び、壁破る 大崎事件高裁再審決定】(https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/400629/)。

 《重い再審の扉が大きく開き、光が差し込んだ。「大崎事件」の第3次再審請求即時抗告審。昨年6月の鹿児島地裁決定に続き、福岡高裁宮崎支部も再審開始を認めた12日、弁護団や支援者たちは喜びに包まれた。逮捕から39年一貫して無実を訴えてきた原口アヤ子さんも今は90歳で、残された時間は限られる。「命あるうちに無罪判決を」。願いは今度こそ届くのか-》。

   『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」
         /『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について
    「山口正紀さん【裁判長の訴訟指揮も報じるべきだ 大崎事件再審請求】、
     「冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…
     マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、
     無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう」」

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
    《「やってないものは、やってない」-。殺人罪で服役した原口アヤ子さんは
     一貫して無実を叫んだ。その願いは第三次の再審請求でやっと重い扉を
     開けた。裁判所は早く無実を認めるべきである》。
    「《あたいはやっちょらん》…《だれより責任の重いのが…
     でっち上げを追認した裁判官》、《鹿児島地裁は証拠開示を認めず、
     原口さんの無実の訴えに再審の重い扉を開くことはなかった》。
       年老いた原口アヤ子さん…。無慈悲な司法、長年月に渡る放置
     というか見殺し。司法の「」だ…《原口さんは既に九十歳。三審制でも
     過去二回の再審請求でも救えなかった。司法界の恥と刻まれる》」

 《やってないものは、やってない》《あたいはやっちょらん》。39年間「あたいはやっちょらん」、一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに、早く、《命あるうちに無罪判決を》。

 飯塚事件名張毒ぶどう酒事件など、さらには、核発電絡みの裁判や高江・辺野古の沖縄イジメ判決など…これまで、司法の冷酷さを嫌というほど見せつけられている…。原口さんは、《「あたいはやっちょらん」。何度も繰り返してきたその言葉を発することすら難しくなった》…そうだ。《今なお固い一念をうかがわせていた》…司法は誤りを、今こそ直ぐに、認めるべきではないのか?

   『●名張毒ぶどう酒事件という冤罪
   『●「疑わしきは罰する」名張毒ぶどう酒事件、あ~っため息が・・・
   『●司法権力の〝執念〟:
           映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』

   『●血の通わぬ冷たい国の冷たい司法: 「奥西勝死刑囚(87)
                     ・・・・・・死刑囚の心の叫び」は届かず

   『●名張毒ぶどう酒事件第八次再審請求審:  
         検証もせずに、今度は新証拠ではないとは!
   『●「触らぬ神にたたりなし、ということなのか」?    
         訴えることが出来なくなるのを待つ司法の残酷さ!
   『●「福島の声」を聞き、避難者に寄り添っていたのはアベ様ら?、
                   それとも、経産省前テントひろばの皆さん?
   『●飯塚事件冤罪者を国家が死刑執行、「この重すぎる現実」:
                       無惨…「死刑執行で冤罪を隠蔽」

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https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/400629/

無実の叫び、壁破る 大崎事件高裁再審決定
2018年03月12日 17時00分

 重い再審の扉が大きく開き、光が差し込んだ。「大崎事件」の第3次再審請求即時抗告審。昨年6月の鹿児島地裁決定に続き、福岡高裁宮崎支部も再審開始を認めた12日、弁護団や支援者たちは喜びに包まれた。逮捕から39年一貫して無実を訴えてきた原口アヤ子さんも今は90歳で、残された時間は限られる。「命あるうちに無罪判決を」。願いは今度こそ届くのか-。

 午前11時すぎ、裁判所前。弁護団の2人が「高裁で初の再審開始決定!」と書かれた幕を広げると「おおー」「やった」と歓声が上がり、万歳三唱が響いた。森雅美弁護団長は「万感の思いでここまでたどり着いた。アヤ子さんに喜びを伝え、声を聞きたい」。“吉報”に笑みが浮かんだが、その後は表情を引き締め「これで確定して再審を開始し、無罪を勝ち取りたい」と力を込めた。

 原口さんは高裁の“壁”にはね返されてきた。最初の再審請求は2002年、鹿児島地裁が再審開始を認めたが、高裁宮崎支部で04年に取り消された。第2次請求も退けられ、今回は3度目の請求。それゆえ、弁護団や支援者はこの日の決定を万感の思いで迎えた。

 歓喜の輪の中に原口さんの姿はなかった。体は弱り、昨年秋からは入院生活を送る。「あたいはやっちょらん」。何度も繰り返してきたその言葉を発することすら難しくなった。それでも、再審の話になると目の色が変わる。

 12日、入院先の病院で知らせを聞いた原口さんは「ありがとう」と絞り出したという。今月4日、鴨志田祐美弁護団事務局長が「潔白」の意味を込めたダリアを手に訪問した際、「良い知らせを持ってくるよ」と語り掛けると、原口さんは何度もうなずいた。そのまなざしは、今なお固い一念をうかがわせていた

=2018/03/12付 西日本新聞夕刊=
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