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●袴田事件…《検察は…「色合いなどもう1度、調べる」とする動きがある…裁判官が“デッチ上げ”と見ている証拠から何を引き出そうというのか》

2023年07月20日 00時00分53秒 | Weblog

[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])]


//  (2023年7月3日[月])
袴田事件再審、何も進んでいない…。《検察は、この流れを尻目に迷走どころか暴走を繰り返す。4月、裁判所、検察、弁護側の初の3者協議で「改めて有罪立証するかを含め論点整理に3カ月かかる」と、いきなり7月10日までの猶予を要求。》
 日刊スポーツのコラム【大谷昭宏のフラッシュアップ/袴田事件再審 迷走どころか暴走繰り返す検察 積み重なる耐えがたいほど正義に反する日々】(https://www.nikkansports.com/general/column/flashup/news/202307030000058.html)によると、《それどころか毎日新聞によれば、高裁決定で「捏造(ねつぞう)された可能性がある」とされた5点の衣類について「色合いなどもう1度、調べるとする動きがあるという。一体、今月10日の期限直前に、裁判官がデッチ上げと見ている証拠から何を引き出そうというのか。事件から半世紀。「もう何が起きてもがっかりすることはありません」というひで子さん。ただ「死刑囚でない普通のと、この先、半日でも1日でも長く暮らしたい」と涙ぐまれる。先日、これまで3度も再審が認められた鹿児島県の大崎事件で、福岡高裁宮崎支部は検察の抗告を認め、原口アヤ子さんの訴えを退けてしまった原口さん95歳耐えがたいほど正義に反する日々が、ここでも積み重なっていく》。

 《「これ以上、袴田さんを拘束することは耐えがたいほど正義に反する」と異例の死刑囚釈放を決めた村山浩昭元裁判官》。大谷昭宏さん《耐えがたいほど正義に反する日々が、ここでも積み重なっていく》。
 袴田事件大崎事件、そして、飯塚事件、さらには、大川原化工機事件。検察や警察による冤罪事件、捏造事件、でっち上げ事件、それを見逃す裁判官…《耐えがたいほど正義に反しないか? しかも、《無辜の人の救済》の理念はどこにいってしまったのか?

   『●《捜査機関による証拠捏造》…無罪判決を勝ち取り《いまも、死刑囚の
     まま》から脱却できても、「拘禁反応」に苦しめられ続ける袴田巖さん
   『●大崎事件《無辜の人の救済》の理念はどこに? 《医学の専門家でない裁判
      所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断》
   『●飯塚事件…《裁判所は…検察に証拠品のリストの開示を勧告…したが、
     検察は「裁判所に権限はない」「事案の解明に意味はない」などと拒否》
   『●男性警部補「捏造ですね」…とんでもない冤罪事件・捏造事件・でっち
     上げ事件、国賠が認められても《勾留後に亡くなった1人》の命は戻らない

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https://www.nikkansports.com/general/column/flashup/news/202307030000058.html

コラム
大谷昭宏のフラッシュアップ
元読売新聞記者で、87年に退社後、ジャーナリストとして活動する大谷昭宏氏は、鋭くも柔らかみ、温かみのある切り口、目線で取材を重ねている。日刊スポーツ紙面には、00年10月6日から「NIKKAN熱血サイト」メンバーとして初登場。02年11月6日~03年9月24日まで「大谷昭宏ニッポン社会学」としてコラムを執筆。現在、連載中の本コラムは03年10月7日にスタート。悲惨な事件から、体制への憤りも率直につづり、読者の心をとらえ続けている。


2023年7月3日8時0分
袴田事件再審 迷走どころか暴走繰り返す検察 積み重なる耐えがたいほど正義に反する日々

7月に入り、目を凝らして見ていることがある。57年前、静岡で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(87)について、この春、東京高裁が検察の抗告を棄却静岡地裁での再審開始が決まった

あれから4カ月。この間、袴田さんの支援集会には9年前、初めて静岡地裁で再審開始を決定、「これ以上、袴田さんを拘束することは耐えがたいほど正義に反する」と異例の死刑囚釈放を決めた村山浩昭元裁判官も出席。袴田さんや姉のひで子さん(90)と面会。再審法制定の必要性を語られた。

だが検察は、この流れを尻目に迷走どころか暴走を繰り返す。4月、裁判所、検察、弁護側の初の3者協議で「改めて有罪立証するかを含め論点整理に3カ月かかる」と、いきなり7月10日までの猶予を要求。これまで計3回開かれた協議でも方針は示さないままだ。

それどころか毎日新聞によれば、高裁決定で「捏造(ねつぞう)された可能性がある」とされた5点の衣類について色合いなどもう1度、調べるとする動きがあるという。一体、今月10日の期限直前に、裁判官が“デッチ上げと見ている証拠から何を引き出そうというのか

事件から半世紀。「もう何が起きてもがっかりすることはありません」というひで子さん。ただ「死刑囚でない普通のと、この先、半日でも1日でも長く暮らしたい」と涙ぐまれる。

先日、これまで3度も再審が認められた鹿児島県の大崎事件で、福岡高裁宮崎支部は検察の抗告を認め、原口アヤ子さんの訴えを退けてしまった原口さん95歳

耐えがたいほど正義に反する日々が、ここでも積み重なっていく


大谷昭宏(おおたに・あきひろ)ジャーナリスト。TBS系「ひるおび」東海テレビ「NEWS ONE」などに出演中。
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●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》

2019年10月30日 00時00分40秒 | Weblog


東京新聞の2019年6月28日の社説【最高裁の判断 なぜ再審の扉を閉ざす】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019070102000126.html)。
亀井洋志氏による、週刊朝日の記事【袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 】(https://dot.asahi.com/wa/2019062800063.html)。

 《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての再審請求だった…疑わしきは被告人の利益には再審請求にも当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めてはならない》。
 《静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど“新証拠”を提出した》。

   『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」
         /『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について
    「山口正紀さん【裁判長の訴訟指揮も報じるべきだ 大崎事件再審請求】、
     「冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…
     マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、
     無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう」」

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
    「まず、小池裕裁判長について。《小池裕氏は、NPO法人による
     森友学園問題で国側が持つ交渉記録等の証拠保全の申し立てについて、
     最高裁の裁判長として保全を認めなかった高裁判断を支持し、
     抗告を棄却した》方です。アベ様には寛大なるご判断、一般市民には
     《あまりにも横暴》、冷酷。「司法判断」としてもデタラメ」

 再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定が出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れているのか? 誤りを潔く認めるべきだ。
 山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。
 「無辜の救済」を拒む最「低」裁の意図は何か?
 白鳥決定を持ち出すと、原口アヤ子さんを何か犯人であるかのような印象を与えてしまうかもしれない。でも、冤罪なのですから、「無辜の救済」が正しい表現。

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…
       政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁
    「NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・
     袴田巖の52年-】…《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した
     「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま
     姉と二人故郷浜松で暮らす》」
    「三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした
     「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、
     ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。
     《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ」

   『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
       証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」
   『●袴田秀子さん《ボクシングに対する偏見…
      チンピラだっていうイメージ…その印象以外に何の証拠もなかった》

 《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》。《特別抗告が棄却され、袴田さんが再収監されるような事態になれば、国民の信頼はおろか、海外からも日本の司法は総スカンを食うことになる》。

   『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…
      無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019070102000126.html

【社説】
最高裁の判断 なぜ再審の扉を閉ざす
2019年6月28日

 四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。

 「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての再審請求だった。

 鹿児島県大崎町で一九七九年に起きた事件だった。被害者が酒に酔い、側溝に落ちているのを住民が発見した。三日後に遺体が自宅横にある牛小屋で見つかった。原口さんは隣に住み、被害者の義姉にあたる。親族の計四人が殺人容疑などで逮捕され、八一年に最高裁で確定した。

 そもそも本当に殺人なのかも疑われる事件だ。側溝に転落した際の「出血性ショック死の可能性が極めて高い」からだ。新証拠の鑑定はそう記している。この見方は地裁・高裁も支持している。何しろ確定判決時の鑑定は「他殺を想像させる。窒息死と推定」という程度のあいまいさだった。

 では、絞殺という根拠は何か。実は共犯者とされた親族の自白に寄り掛かっている。供述は捜査段階でくるくる変わる。虚偽自白の疑いとみても不思議でない。

 なぜ自白したか。「警察の調べが厳しかったから」だそうだ。しかも知的障害のある人だった。今なら取り調べが適切だったか、捜査側がチェックされたはずだ。

 最高裁は新鑑定を「遺体を直接検分していない」「十二枚の写真からしか遺体の情報を得られていない」と証明力を否定した。親族の自白は「相互に支え合い信用性は強固」とした。だが、本当に「強固」なのか。過去の冤罪(えんざい)事件では、捜査側が描くストーリーに沿った供述を得るため、強要や誘導があるのはもはや常識である。

 最高裁の判断には大いに違和感を持つ。審理を高裁に差し戻すこともできたはずである。事件の真相に接近するには、そうすべきだった。事故死か他殺かの決着も、再審公判でできたはずだ。再審取り消しは論理自体が強引である。もっと丁寧に真実を追求する姿勢が見えないと、国民の司法に対する信頼さえ損なう

 疑わしきは被告人の利益には再審請求にも当てはまる。その原則があるのも、裁判所は無辜(むこ)の救済の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めてはならない。
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https://dot.asahi.com/wa/2019062800063.html

袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 
亀井洋志 2019.7.1 10:30 週刊朝日

     (白半袖シャツに開いた2つの穴と、袴田さんの体の傷(赤ライン)の位置)
     (味噌タンクから発見された白半袖シャツ。右肩の2つの穴の周りだけ
      血が付いている=いずれも藤原よし江さん提供)

 静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど“新証拠”を提出した。焦点となるのは、袴田さんの犯行時の着衣とされた「5点の衣類(スポーツシャツ、白半袖シャツ、ズボン、ステテコ、ブリーフ)」だ。弁護団は衣類は袴田さんのものではなく、捜査機関によって捏造(ねつぞう)された可能性が高いと重ねて主張した。

    (【写真】味噌工場のタンクから発見された白半袖シャツはこちら)

 改めて事件を振り返る。1966年6月30日、静岡県清水市(現・静岡市清水区)の味噌会社の専務宅から出火。焼け跡から一家4人の他殺死体が見つかった。味噌会社の従業員で当時30歳だった袴田さんが強盗殺人などの疑いで逮捕された。袴田さんは連日10時間以上に及ぶ苛酷な取り調べを受け、逮捕から20日目に「自白」してしまう。裁判では無罪を主張したが、事件から1年2カ月も経って味噌工場のタンクの中から血染めの衣類が発見される。いま焦点となっている「5点の衣類」だ。事件直後、警察が徹底的に捜索しながら見つからなかった衣類が突然発見されるのだから、きわめて不可解な展開だ。

 その後、警察は袴田さんの実家を捜索すると、都合のいいことに発見されたズボンの共切れを見つけ出す。その結果、「5点の衣類」が決定的な証拠とされ、68年9月、静岡地裁は袴田さんに死刑判決を言い渡したのである。

 2度目の再審請求で弁護団は、新証拠についての書面を提出した。そこで指摘したのは、「5点の衣類」のうち、スポーツシャツと、下着の白半袖シャツの右肩に付いた穴状の損傷に関するものだ。事件当時、袴田さんは白半袖シャツの上にスポーツシャツを着て、右肩(右上腕部)にケガをしたとされている。だが、不自然なことにスポーツシャツの右肩には釘で刺したような穴が1カ所あるだけだが、白半袖シャツには穴が二つ空いている。しかも、穴の位置がいずれも一致せずに、ずれているのだ。

 実は、死刑が確定する前の東京高裁で、犯行着衣とされた「5点の衣類」が本当に袴田さんのものなのかを検証するための試着実験が行われている。この時、衣類の穴の矛盾点が明らかになったが、裁判ではほとんど問題にされなかったという。その理由について、袴田さんの弁護団が6月7日に開いた記者会見で、角替(つのがえ)清美弁護士が次のように説明した。

「高裁は、確かに穴の位置はずれているが、おおむね一致している、という見方でした。スポーツシャツに穴が一つで、白半袖シャツに二つあることについては、スポーツシャツはゆったりしているが、白半袖シャツは肌にぴったりと密着している。だから一度スポーツシャツに刺さった鋭い刃物状のものが、白シャツの2カ所に穴を開けることもあり得るということでした」

 白半袖シャツの二つの穴の周囲には、内側から染みついた袴田さんのものとされるB型の血がついていた。ここで気になるのは、出血した袴田さんの傷の位置はどこなのか、ということだ。

 袴田さんは2014年、逮捕されてから47年7カ月ぶりに釈放されたが、驚くべきことに右肩の傷あとが残っていたのだ。生きた証拠であり、衣類の穴との位置関係を比較すれば、矛盾点はいっそう明確になる。

 この測定実験を思い立った支援者の藤原よし江さんは、「5点の衣類」の写真など、裁判資料をもとにスポーツシャツと白半袖シャツの穴を再現し、測定した。その結果、スポーツシャツの穴も、白半袖シャツにできた二つの穴も、袴田さんの傷あとの位置とは、まったく一致しなかったのである。

 藤原さんに話を聞いた。

「シャツの穴の問題は、ずっとおかしいと思っていました。控訴審の段階でも弁護団(再審弁護団とは別)が鑑定を求めていますが、裁判所は却下しました。白半袖シャツの穴のまわりには血が付いているのに、袴田さんの肩の傷の位置に血が付いていない=写真参照=のは、誰が見てもおかしいと思うはずです」

 袴田さんがこれまで一貫して主張し続けてきたのは、事件当時、パジャマ姿で専務宅の消火活動を手伝い、その際、右肩にケガをしたということだ。

 実際にパジャマの右肩部分に、何かに引っ掛けてできた「カギ裂き」の破れがあり、その部分に血が付いていたことがわかった。袴田さんの体の傷あとを測定した藤原さんは、判決文などをもとにパジャマのカギ裂き部分も特定した。すると、傷あとの位置とぴったりと一致したのである。藤原さんが語る。

「裁判所は、パジャマにカギ裂きがあることや、カギ裂きの位置も確認しながら、袴田さんが右肩に傷を負ったことを示す衣類が、二つあることのおかしさについては黙殺したのです。ものすごく非常識な認定をしながら、死刑判決を出していることが本当に許せません」

 再審請求審で弁護団は、本田克也・筑波大学教授(法医学)に鑑定を依頼した。本田教授は「5点の衣類」に付着した血液のDNA型は、被害者のものと一致しないと結論付け、白シャツの右肩の穴のまわりに付いた血も、「袴田さんのものではない」との結果を出した。今回の藤原さんの測定実験も、この「本田鑑定」の正しさを裏付けている。

 14年5月、静岡地裁はこのDNA鑑定結果を「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と評価し、再審開始を認める決定をした。当時の村山浩昭裁判長は「(5点の衣類は)捜査機関によって捏造された疑いがある」とまで言及し、「これ以上拘束を続けることは、耐え難いほど正義に反する」として拘置の執行停止も決めたのだ。

 だが、昨年6月、東京高裁(大島隆明裁判長)は、本田教授のDNA型鑑定について「手法に疑問がある」などとして、「新証拠としては認められない」とした。

 昨年6月に弁護団が最高裁に特別抗告してから、1年が経過した。弁護団は最高裁側の感触を得るため、調査官に面談を求めているが、回答すらしてこないという。

 最高裁の調査官は、裁判官の指示に従って裁判に必要な調査を行い、資料の作成や、判決の素案作りなどを行う黒子役だ。主席調査官のもとに上席調査官3人が、刑事・民事・行政事件を担当している。最高裁の調査官には、エリートと目される裁判官が起用される。

 弁護団の西嶋勝彦弁護士がこう嘆く。

「20年くらい前までは、調査官も気さくに面談に応じたものです。袴田事件ばかりではなく、名張毒ぶどう酒事件でも対応してくれていました。特別抗告状や補充書の論点を口頭で説明したり、時にはスライドなどを使ったりすることもありました。それが、裁判官会議の申し合わせで決めたのか、ある時から一斉に対応しなくなったのです。調査官がどこまで記録を読み込んでいるのか、裁判官がどこまで合議しているのか。ブラックボックスでまったくわからなくなってしまいました」

 最高裁の決定はある日突然、何の前触れもなく通知される。こんなシステムはおかしいのではないか。調査官が弁護側の面談に応じれば、証拠との向き合い方はまったく異なってくるだろう。現在の調査官に、証拠を丁寧に吟味する姿勢は見られない

 『裁判官幹部人事の研究』などの著書がある明治大学政治経済学部の西川伸一教授がこう指摘する。

「最高裁は孤高の存在で、国民から恐れられているくらいのほうが判決に威厳があっていいんだという発想があるのでしょう。一方で、裁判官は選挙で選ばれるわけではないから、国民の信頼を失うことを非常に恐れています。最高裁長官は年頭のあいさつに、必ず『国民の信頼』という言葉を入れています。けれども、国民に向けて閉鎖的なイメージは拭いようもありません。調査官は各小法廷の裁判官に資料を上げるだけなのですから、合議の秘密には当たらないはずです。弁護人と会談するのも裁判に必要な調査の一環だと思いますが、どうにもユーザーフレンドリーではありませんね」

 特別抗告が棄却され、袴田さんが再収監されるような事態になれば、国民の信頼はおろか、海外からも日本の司法は総スカンを食うことになるだろう。袴田事件のこれまでの経過に対し、再審開始を決定した静岡地裁が発した「耐え難いほど正義に反するという戒めが、軽んじられるようなことがあってはならない。(本誌・亀井洋志
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●死刑制度存置: 袴田事件にどう責任?、そして、飯塚事件の絶望感

2014年05月06日 00時00分31秒 | Weblog


マガジン9』(http://www.magazine9.jp/)に出ていた小石勝朗氏による記事【法浪記第26回 改めて、袴田事件の再審開始決定を受けてなすべきこと】(http://www.magazine9.jp/article/hourouki/12282/)。

   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審:
                         司法の良心を示せるか?
   『●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」
                 「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」
   『●袴田事件、48年間のそれぞれの苦難・・・・・・
               袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん
   『●袴田冤罪事件を機に死刑制度の再考ができない我国
   『●「疑わしきは罰せず」「疑わしきは被告人の利益に」:
              今ごろそれを裁判所に訴えねばならないとは・・・
   『●鎌田慧さんインタビュー: 「一人の人間として勇気をふるった名判決」
   『●映画「ザ・ハリケーン」と袴田事件: 
                        「冤罪事件を「絶対に忘れるな」」

 「袴田さんが即日釈放になるとは、弁護団も予想していなかった。袴田さんが無実であり、再審開始が必ずや認められると信じていた人たちでさえ、そうだった。これまで捜査機関や裁判所に、ことごとく主張を跳ね返されてきただけに、なおさらだった。だから、これが現実の出来事なのかどうか、いまだに実感が湧かないのだと思う。解放を心から喜びたい」。

 裁判で「捜査機関による証拠捏造の疑い」が指摘された袴田事件。警察・検察はまだ悪あがきを続けるようだ。
 「東京高裁の大島隆明判長は弁護団に「検察、弁護団双方の意見を聞きながら、速やかに審理を進める」と答えたという」 大島隆明裁判官は、

   『
●『冤罪File(2009年12月号)』読了(2/2)
    「池添徳明氏「横浜事件再審で免訴 葛飾ビラ配布に無罪 
     大島隆明裁判長ってどんな人?」(pp.112-119)。良識派の珍しい、
     貴重な裁判官という評価。「「疑わしきは被告人の利益に」という
     刑事裁判の基本原則を、忠実に実践しているように見える」
     数少ない裁判官」 

という方。 

 当ブログでも指摘したし、この記事でも指摘されている様に・・・・・・「政府の世論調査(2009年)では85.6%が「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えていることは承知のうえで、では袴田さんのような事態が現実に起きていることに対する死刑存置論者の意見を聞きたい」。全く同感だ。

 「それにしても国は、釈放すればあとは姉や弁護団、支援者に任せて知らんふりで良いのか。袴田さんの体調をここまで悪化させた原因は、すべて国家機関や警察にあるのだから、無罪確定前とはいえ可能な限りの支援策を講じるべきだろう。1人の人間の人生をめちゃめちゃにした側の、最低限の対応だと思う」・・・・・・袴田巌さんの「人生をめちゃめちゃにした」警察や検察、裁判官、国家は「最低限の対応」さえ出来ていない。「場合によっては死刑もやむを得ない」とする「85.6%」の人々は、冤罪で死刑にされた久間三千年さん、「飯塚事件」をどう考えているのだろうか? 警察や検察、裁判官、国家の威信にかけて「飯塚事件」をもみ消し冤罪は決して晴れることはないのだろうか・・・・・・、大変に悔しいけれども絶望的じゃないかな・・・・・・。何とかならないものか! 「85.6%」の死刑制度存置派がいるわが国ではますます絶望的か・・・・・・。

 最後に、袴田巌さんについての『BOX袴田事件 命とは』(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/992be37bb74661549a9c7343d2143341http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/9f1d0b1a666a16759c240cbeccd37e90) を漸く見た。フィクションとノンフィクションが混ざってはいるが、本当に恐ろしい中身。映画が出来て約4年。高橋伴明監督の大力作。

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http://www.magazine9.jp/article/hourouki/12282/

小石勝朗 「法浪記」第26回 
改めて、袴田事件の再審開始決定を受けてなすべきこと
2014年4月16日up

 目の前にいるのが本当にご本人なのか、にわかには信じられない気持ちだった。死刑判決が確定しながら身柄拘束48年目にして自由の身になった元プロボクサー・袴田巖さん(78歳)が、再審開始決定~即日釈放から18日ぶりに公の場に姿を見せた。4月14日に東京で開かれた日本弁護士連合会(日弁連)主催の報告集会である。

 袴田さんが即日釈放になるとは、弁護団も予想していなかった。袴田さんが無実であり、再審開始が必ずや認められると信じていた人たちでさえ、そうだった。これまで捜査機関や裁判所に、ことごとく主張を跳ね返されてきただけに、なおさらだった。だから、これが現実の出来事なのかどうか、いまだに実感が湧かないのだと思う。解放を心から喜びたい

 袴田さんの様子は後述するとして、この集会には受けとめるべき材料が多かった。

 率直に記すと集会の会場では、マスコミへのPRに過剰なまでに注力する主催者の姿勢と、マスコミの厚顔無恥な取材態度がどうにも胡散臭く感じられて、「誰に向けた集会なの?」とやや白ける部分もあった。ただ、日弁連は、袴田さんが最初の再審請求をした直後の1981年から継続して支援してきただけに、これから取り組むべきことについてもポイントをきちんと押さえていた。

 静岡地方裁判所(村山浩昭裁判長)の再審開始決定の内容については、前回の拙稿を読んでいただくとして、袴田さんの様子に大騒ぎしているだけのマスコミが報じない部分を報告しておきたい。

 最初の関心事は、再審請求の今後の動向だろう。ご存じの通り、検察は静岡地裁の再審開始決定を不服として、東京高等裁判所に即時抗告したからだ。

 袴田さん弁護団の小川秀世事務局長は強気だった。根拠に挙げたのは、再審開始決定が指摘した「捜査機関による証拠捏造の疑い」である。警察が捏造なんてするはずはないという「偏見」を打ち破り、事実と証拠を素直な目で見ることに加えて、捜査機関の行動を全体的に判断することによって導き出された「必然の結果」だからこそ、「決して動かないものになった」と評価した。

 小川弁護士によると、袴田さんの犯行着衣とされてきた「5点の衣類」には、そもそも犯行着衣である証拠は何もなかったそうだ。犯行現場の近くで発見されたことや血が付いていること、損傷があることなどだけで、犯行着衣と断定されてしまった。それが、再審請求審で実施された血痕のDNA鑑定で完全に否定されたわけで、高裁の即時抗告審に向けても「盤石だ」と、やや興奮気味に語っていた。

 一橋大大学院の葛野尋之教授(刑事法)は、やはり検察の即時抗告に批判的な立場から、もう少し冷静に見通しを分析していた。

 葛野教授によると、高裁の審理では少なくとも、5点の衣類に付着した血痕のDNA型が「袴田さんと一致する」という結果が示されない限り、5点の衣類が袴田さんの犯行着衣とした死刑判決の認定には合理的な疑いが残る。しかし現実的には、高裁でDNAの再鑑定をしたとしても、一致するという結果が得られる可能性は限りなく低い。だから、高裁は「再鑑定を実施しても意味がない」と判断するのではないか、と見立てていた。

 袴田さんの弁護団は3月31日、検察の即時抗告に対して「きわめて不当」との声明を出している。地裁の重い判断を無視して、いたずらに再審開始決定の確定を先延ばしさせるうえ、袴田さんに無用の負担を負わせることを理由に挙げ、「国家機関の不正義により作り出してしまった現状を全く顧みようとしていない」と強く批判した。4月10日には東京高裁に、検察の即時抗告を棄却するよう求める意見書を出している。

 袴田さんの年齢や体調を考えた時、一刻も早く再審を開始し、無罪判決を確定させるべきだろう。東京高裁の大島隆明判長は弁護団に「検察、弁護団双方の意見を聞きながら、速やかに審理を進める」と答えたという。訴訟指揮に期待したい。

 もう一つの大きなテーマは、冤罪を生んだ原因を究明し、同じ被害者を絶対に出さないための対策をしっかり取ることだ。前回の拙稿でも触れたが、「袴田さんが釈放されて良かった」で終わりにしてはいけない制度の改革が不可避である。

 集会で葛野教授は、取り調べの全過程の可視化、検察が持つ証拠の全面開示、DNA再鑑定の機会保障を求めていた。西嶋勝彦・弁護団長も、取り調べの全面可視化、証拠の全面開示、冤罪の原因を究明する公的な第三者機関の設置などを冤罪防止策として挙げた。

 袴田さんは逮捕直後、犯行を否認していたがゆえに、猛暑の中、1日平均12時間、日によっては午前2時まで16時間を超える長時間の取り調べを受けた。取調室に持ち込まれた便器で用を足すように指示されたり、暴行されたりもしたらしい。その結果、逮捕から20日目で「嘘の自白」に追い込まれる。こうした経緯を振り返れば、取り調べの可視化は冤罪の防止に欠かせまい

 今回の再審請求審では、静岡地裁の訴訟指揮で検察が持つ約600点の証拠が新たに開示され、再審開始決定の支えになった。例えば、5点の衣類のズボンはタグに記された「B」をもとに、もともと袴田さんがはけた大きなサイズが味噌に漬かって縮んだとされてきたが、実は「B」は色を示しており、ズボンはY体だったことが明らかになった。検察が自分たちに都合の悪い証拠を出さなくても良い仕組みになっているからこそ、袴田さんの冤罪を証明するのにこれほどの時間がかかったと言える。

 また、袴田さんを有罪にした証拠が否定された最大の要因が48年前の血痕のDNA鑑定だったことを振り返れば、どんなに昔の事件であっても後に再鑑定ができるように、試料の保存・適正管理をする仕組みも必要だろう。袴田事件の再審開始決定が出た4日後に、死刑執行後の再審請求が棄却された「飯塚事件」では、試料が使い切られていてDNA再鑑定ができなくなっている

 葛野、西嶋両氏は「死刑制度の再考」にも触れていた。「死刑事件でも捜査や裁判の誤りが現実にある」ことが明らかになってしまったわけだから、誤判が取り返しのつかないことになる死刑のあり方について、改めて議論する機会にするべきだろう。政府の世論調査(2009年)では85.6%が「場合によっては死刑もやむを得ない」と答えていることは承知のうえで、では袴田さんのような事態が現実に起きていることに対する死刑存置論者の意見を聞きたい。

 最後に、袴田さん本人の様子に触れておこう。

 姉の秀子さん(81歳)とともに会場に入って来る時に、客席に向かってVサイン。やや猫背で、飄々と歩いて演壇へ。イスに座ってからも右手でVサインを繰り返し、やがて両手でVを掲げた。穏やかだが、フラッシュの放射を浴びても表情は変わらない。

 秀子さんの挨拶の途中でマイクを握ると、「西郷隆盛」「改革」「完全平和」「権力一本化」といった単語を織り交ぜて語るが、脈絡はない。秀子さんによると、「ピントが狂ったことを言うが、まともな時もある」そうだ。逮捕から48年近くに及ぶ身柄拘束による拘禁反応と認知症の影響である。秀子さんは「何年かかっても、せめて半分くらいは(もとの)自分に戻ってほしい」と願っていた。ぜひそうなってほしい。

 解放されてから袴田さんと面会した支援者が、集会の前に記者会見した。

 一緒に散歩をした日本プロボクシング協会事務局長の新田渉世さんは「ボクシングの会話がかみ合わずに、ちょっと残念でした」と話した。袴田さんは常に持ち歩いている紙袋にちり紙の束を入れていて、いろいろな物をきれいに拭くほか、念入りに手を洗ったり歯磨きをしたりしていたそうだ。病棟の外出届にはしっかりと自分の名前を書いていた。

 長年の支援者で3回面会した寺澤暢紘さんは「今も自分の世界に閉じこもったまま、まだ自由を実感していない」と印象を語り、その原因となった冤罪の問題性を強調した。「のんびりと自分のしたいことができる時間を確保でき、必要な時に支えてくれる人のいる場所で過ごしてほしい」と望む。現在は東京都内の病院にいるが、郷里の静岡県への転院を検討しているようだ。

 袴田さんの弁護団は、当面の生活費や医療費に充てるため「袴田救済ファンド」と名づけた基金を設け、募金を呼びかけている。無罪が確定すれば刑事補償を受けられるが、それまでには時間がかかりそうだからだ。

 それにしても国は、釈放すればあとは姉や弁護団、支援者に任せて知らんふりで良いのか。袴田さんの体調をここまで悪化させた原因は、すべて国家機関や警察にあるのだから、無罪確定前とはいえ可能な限りの支援策を講じるべきだろう。1人の人間の人生をめちゃめちゃにした側の、最低限の対応だと思う。

   (客席に向かってVサインをする袴田巖さん。右隣は姉の秀子さん。)
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●「情況証拠のみ」によって「高度に立証」?: 飯塚事件の再審請求棄却と冤罪下での死刑執行と裁判員制度

2014年04月02日 00時00分02秒 | Weblog


gendai.netの記事【袴田巌さん「失われた48年」 あまりにも少ない国の“代償”】(http://gendai.net/articles/view/newsx/149044)と、
asahi.comの記事【(48年目の「無実」 袴田事件再審決定:下)冤罪発掘、遅れる日本 米、官民で検証も】(http://www.asahi.com/articles/DA3S11057455.html)。
そして大変に残念で無念な結果となった飯塚事件について、東京新聞の二つの記事【飯塚事件の再審棄却、福岡地裁 2女児殺害で既に死刑】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014033101001118.html)と、
【弁護団「結論ありき」と地裁批判 飯塚事件、再審棄却で】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014033101001902.html)。
西日本新聞の記事【飯塚事件、再審請求を棄却 「状況証拠で高度な立証」 福岡地裁】(http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/79182)。
最後に、日弁連のWEBの会長声明【日弁連/飯塚事件再審請求棄却決定に関する会長声明】(http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140331.html)。

 「袴田氏は長い拘禁生活で精神を病み、糖尿病に加え認知症も進んでいる。捜査機関は証拠をでっち上げ、司法は再審請求を先延ばしにしてきた。国家の罪は極めて重い」・・・・・・袴田巌さんの「失われた48年」、警察・検察・裁判所の罪はあまりに重い。最後の最後、ラストチャンスで、良い裁判長にあたったことが幸運だったようだ。 
 それにしても、飯塚事件・・・・・・。袴田巌さんの「失われた48年」でも大変な問題であるけれども、ましてや死刑を実施してしまった飯塚事件の冤罪死刑囚・久間三千年さん、どう形容すればいいのだろうか?  「犬」や「ひらめヒラメ裁判官」という言葉を投げつけざるを得ない、福岡地裁平塚浩司裁判長に。特に、「決定理由で、平塚裁判長は弁護側の主張を「現場試料の再鑑定に基づかず、抽象的に推論するにすぎない」と指摘。「本田鑑定を踏まえても、犯人の型と元死刑囚の型が一致しないことが明らかになったわけでなく、一致する可能性も十分ある」とした」というのは、意識的か無意識か科警研のミスで現場DNA試料を全て使い切っている初歩的ミス、再試できないという明確なミスなのに、酷い決定理由。

   『●死刑存置賛成派と飯塚事件
   『●NNNドキュメント’13:
          死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』
   『●飯塚事件の久間三千年さんと福岡事件の西武雄さん
   『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
               飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行』  
   『●手遅れ!! ~死刑のスイッチを押すことと死刑執行~
    「陶山博生氏(p.43)は飯塚事件で一審担当。久間三千年さんの
     「死刑執行命令を下したのは、麻生内閣の森英介法務大臣(当時)である。
     大臣任命後1か月後に、死刑判決からたった2年足らず死刑囚
     執行命令を下すのは極めて異例である。・・・再申請求の準備・・・
     なぜ久間氏の死刑が先に執行されたのか、全く理解に苦しむ

   『●「官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている」
                         ・・・冷たい司法が続くわけだ
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
     ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足
   『●足利事件と飯塚事件と、そして「国家は人を殺す」:
                谷垣禎一法相「死刑制度は国民から支持」
   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審
                           司法の良心を示せるか?
   『●足利事件と飯塚事件との12日間:
         死刑執行された久間三千年さんの冤罪は晴らされるか?
   『●「耐え難いほど正義に反する状況」を認めれない仙台地裁
                       ~筋弛緩剤混入事件守大助さん~


 西日本新聞の記事によると、DNAの証拠に関係なく「高度な立証」!?、だそうだ。 しかも「状況証拠」「情況証拠」のみだって!?、呆れた。・・・・・・「「それ以外の状況証拠でも元死刑囚が犯人だという高度な立証がなされている」との判断」。

 日弁連の会長も声明を発表・・・・・・「久間氏と犯行との結び付きを証明する直接証拠は存在せず、情況証拠のみによって有罪認定が行われており、中でも警察庁科学警察研究所が行ったいわゆるMCT118型DNA型鑑定によって、被害女児の身体等に付着していた血液から久間氏と一致するDNA型が検出されたことなどが死刑判決の重要な証拠とされている」。「誤った裁判による死刑の執行」であり不可逆な誤り、非常に恐ろしい。

 そして、裁判員制度。「「とんでもないことが起きた」。袴田巌(いわお)さん(78)の再審開始決定を知り、東京都内に住む元裁判員の50代女性はそら恐ろしくなった。3年前、東京地裁の裁判員裁判の死刑判決に関わった」・・・・・・懸念されていたことが現実に。素人裁判官として「死刑のスイッチ」を押させられるなんて、真っ平御免だ。
 さて、飯塚事件の冤罪死刑囚久間三千年さんの「死刑のスイッチ」を押した森英介元法相、いまも自信を持ってそのスイッチを押した、と言えるのだろうか? 是非、森英介氏に聞いてみたいものである。

   『●冤罪(その2/2): せめて補償を
   『●手遅れ!! ~死刑のスイッチを押すことと死刑執行~


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http://gendai.net/articles/view/newsx/149044

袴田巌さん「失われた48年」 あまりにも少ない国の“代償”
2014年3月28日 掲載

 1966年に静岡県で一家4人が殺害された「袴田事件」の再審開始が27日、静岡地裁で認められ、80年に死刑が確定していた袴田巌氏(78)が東京拘置所から48年ぶりに釈放された。

 27日の決定に検察側が即時抗告すれば、再審を行うかの判断は東京高裁に委ねられる。だが、再審を言い渡した村山浩昭裁判長は、犯行時に袴田氏が着ていたと認定された衣類5点について、「後日捏造された疑いがある」「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」と結論づけた。検察がどうあがいても、逆転無罪は確実だろう。

 となると、政府は袴田氏の“失われた48年間”に対して、代償を払う責任がある。

   「補償金額は、冤罪被害者への補償を定めた〈刑事補償法〉で、
    拘束日数に応じて決まります。1日当たり1000~1万2500円の
    範囲で、拘束中の苦痛や逸失利益、裁判所や捜査機関の過失などを
    考慮して判断されます」(弁護士の紀藤正樹氏)


■1時間当たりたったの521円

 最近の冤罪では、東電OL殺害事件(12年)と足利事件(10年)の元被告に、最大額の1日1万2500円の計算で補償金が支払われた。袴田氏もこのケースに該当すれば、48年分で2億1900万円をもらう権利を手にする。

 もっとも、「時給」に換算すれば、たったの521円だ。都道府県別の最低賃金で最も安い時給664円を大幅に下回る。十分な補償とは到底いえないだろう。

 刑事補償法とは別に、国に対し国家賠償法による損害賠償を請求できるが、勝訴するのは至難のワザだ。

   「国家賠償請求が認められるのは、捜査や起訴段階での警察や検察の
    行為に故意または過失があったことを、訴訟を起こした側が
    立証できた場合のみです。袴田事件に関しても、48年前の事件に
    かかわる証拠を握っている権力側の方が有利なのです」(前出の紀藤弁護士)

 最近では、郵便不正事件で無罪が確定した村木厚子厚生労働事務次官が、国に330万円の損害賠償を求めていたが、最高裁での上告が今月25日に退けられ、村木氏の敗訴が確定した。

 袴田氏は長い拘禁生活で精神を病み、糖尿病に加え認知症も進んでいる。捜査機関は証拠をでっち上げ、司法は再審請求を先延ばしにしてきた。国家の罪は極めて重い
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http://www.asahi.com/articles/DA3S11057455.html

(48年目の「無実」 袴田事件再審決定:下)
 冤罪発掘、遅れる日本 米、官民で検証も
2014年3月30日05時00分

 「とんでもないことが起きた」。袴田巌(いわお)さん(78)の再審開始決定を知り、東京都内に住む元裁判員の50代女性はそら恐ろしくなった。3年前、東京地裁の裁判員裁判の死刑判決に関わった。静岡地裁の決定は、袴田さんの死刑判決の根拠となっていた証拠は「警察による捏造(ねつぞう)の疑いがある」と明確に指… ・・・・・・。
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014033101001118.html

飯塚事件の再審棄却、福岡地裁 2女児殺害で既に死刑
2014年3月31日 12時48分

     (飯塚事件の再審が棄却され、報道陣の取材に応じる徳田靖之弁護士
       =31日午後、福岡市)

 福岡県飯塚市で1992年、7歳の女児2人が誘拐、殺害された飯塚事件で死刑が確定、執行された久間三千年元死刑囚=当時(70)=の再審請求審で、福岡地裁は31日、裁判のやり直しを認めず、棄却する決定をした。死刑執行後の再審開始を認めるかどうか判断が注目されていた。

 平塚浩司裁判長は決定理由で「確定判決の有罪認定に合理的な疑いは生じない。弁護団の新証拠には無罪を言い渡すべき明白性はない」と判断した。

 久間元死刑囚は捜査段階から一貫して無実を主張したが、確定判決は複数の状況証拠で有罪を導いた。08年10月に死刑を執行された。

(共同)
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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014033101001902.html

弁護団「結論ありき」と地裁批判 飯塚事件、再審棄却で
2014年3月31日 17時36分

   (記者会見の冒頭で、声明を読み上げる岩田務弁護士(手前)
    =31日午後、福岡市中央区)

 福岡県で1992年、女児2人が誘拐、殺害された「飯塚事件」で死刑が確定、執行された久間三千年元死刑囚=当時(70)=の弁護団は31日、福岡市で記者会見し、再審請求を棄却した福岡地裁を批判した。「再審を開始すれば死刑制度の存在意義を問い直すことになるとの重大性に目を奪われ、再審をしないとの結論にした」との声明を発表した。

 共同弁護団長の徳田靖之弁護士は、DNA鑑定が、後に再審無罪となった「足利事件」とほぼ同時期に、同手法で同じ警察庁科学警察研究所でなされた点に触れ「裁判所は当時の技官の証言を信用した。なぜ飯塚だけは信用できるのか」と疑問を投げかけた。

(共同)
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http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/79182

飯塚事件、再審請求を棄却 「状況証拠で高度な立証」 福岡地裁
2014年03月31日(最終更新 2014年03月31日 13時19分)

   (福岡地裁に入る弁護団の徳田靖之弁護士(中央)
    =31日午前9時半ごろ、福岡市中央区)

 福岡県飯塚市で1992年に女児2人が殺害された「飯塚事件」で、殺人と誘拐などの罪で死刑が確定し、刑が執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚=執行時(70)=の遺族が申し立てた再審請求で、福岡地裁は31日、請求を棄却する決定をした。平塚浩司裁判長は、確定判決の根拠の一つとなったDNA型鑑定を「直ちに有罪認定の根拠とすることはできない」とした上で「それ以外の状況証拠でも元死刑囚が犯人だという高度な立証がなされている」との判断を示した。弁護側は即時抗告する方針。

 再審請求審の最大の争点は、被害者に付着していた血液のDNA型鑑定の信用性だった。弁護側は鑑定に使われたネガフィルムの再鑑定を本田克也筑波大教授(法医学)に依頼し、「ネガには元死刑囚とは別人のDNA型が写っており、真犯人の可能性がある」とする鑑定書を新証拠として提出した。

 決定理由で、平塚裁判長は弁護側の主張を「現場試料の再鑑定に基づかず、抽象的に推論するにすぎない」と指摘。「本田鑑定を踏まえても、犯人の型と元死刑囚の型が一致しないことが明らかになったわけでなく、一致する可能性も十分ある」とした。

 刑事訴訟法では、再審は「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」が見つかった時などに認められる。検察側はネガは確定判決の審理でも証拠提出しており、「鑑定書は新証拠には当たらない」と主張したが、決定は新証拠と認めた。

 このほか、被害者の遺体発見現場近くで元死刑囚のワゴン車に似た車を見たという目撃証言についても、弁護側は心理学者の分析を基に「供述内容が詳細で警察官の誘導があった」と主張したが、決定は「目撃者は警察官から誘導を受ける可能性がない時期から車の特徴を述べていた」と否定した。

=2014/03/31付 西日本新聞夕刊=
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http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140331.html

飯塚事件再審請求棄却決定に関する会長声明

本日、福岡地方裁判所第2刑事部は、いわゆる「飯塚事件」に関する再審請求事件につき、再審請求を棄却する旨の決定を行った。

本件は、1992年(平成4年)2月20日、福岡県飯塚市において小学校1年生の女児2名が登校途中に失踪し、翌21日に遺体が発見されたという事件であり、久間三千年氏が略取誘拐、殺人、死体遺棄の容疑で逮捕・起訴された。久間氏は一貫して本件への関与を否認していたが、1999年(平成11年)9月29日、第一審の福岡地方裁判所は死刑判決を言い渡し、その後、控訴・上告も棄却され、2006年(平成18年)10月8日、死刑判決が確定した。

久間氏はその後も無実を訴え、再審請求を準備していたが、死刑判決の確定からわずか2年後の2008年(平成20年)10月28日、久間氏(当時70歳)に対する死刑が執行された。そのため、久間氏の遺志を引き継いだ遺族によって再審請求が行われていたものである。

本件では、久間氏と犯行との結び付きを証明する直接証拠は存在せず、情況証拠のみによって有罪認定が行われており、中でも警察庁科学警察研究所が行ったいわゆるMCT118型DNA型鑑定によって、被害女児の身体等に付着していた血液から久間氏と一致するDNA型が検出されたことなどが死刑判決の重要な証拠とされている。

本日の決定は、新たな鑑定によってDNA型鑑定の証明力を確定判決の当時よりも慎重に検討すべき状況に至っているとしつつも、上記血液から検出されたDNA型と久間氏のDNA型が異なることが明らかになったものではなく、両者が一致する可能性も十分もあるとし、その余の情況証拠を総合すれば確定判決の有罪認定に合理的な疑いは生じないとして、再審請求を棄却した。しかし、DNA型鑑定の信用性に疑問が生じている以上、上記血液から検出されたDNA型と久間氏のDNA型が一致する可能性というのも科学的な裏付けを伴わない推論に過ぎない。しかも、決定も指摘するとおり、本件においては再鑑定のための資料が残されておらず、再鑑定を行う機会が奪われている。それにもかかわらず、決定は、これらの事情を請求人に不利益に扱ったものであって、到底容認できないものである。

また、当連合会は、2011年(平成23年)10月、人権擁護大会において、「罪を犯した人の社会復帰のための施策の確立を求め、死刑廃止についての全社会的議論を呼びかける宣言」を採択するとともに、2013年(平成25年)2月には、谷垣禎一法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出している。

死刑判決が誤判であった場合に、これが執行されてしまうと取り返しがつかない。飯塚事件は、再審請求が棄却されたとはいっても、えん罪の疑いの濃い事案において、その懸念が現実化したものである。

当連合会としては、誤った裁判による死刑の執行がなされることのないよう、死刑確定者に対する死刑の執行を停止することを求めるとともに、本件の再審請求について引き続き注視していく。

 2014年(平成26年)3月31日
  日本弁護士連合会
  会長 山岸 憲司
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●足利事件と飯塚事件との12日間: 死刑執行された久間三千年さんの冤罪は晴らされるか?

2014年03月31日 00時00分47秒 | Weblog


asahi.comの記事【DNA型の鑑定評価が焦点 飯塚事件、再審の可否判断】(http://www.asahi.com/articles/ASG3Y5VLHG3YTIPE01R.html)。

 「「飯塚事件」で、福岡地裁(平塚浩司裁判長)は31日、死刑が執行された久間(くま)三千年(みちとし)元死刑囚(執行時70)の再審を認めるかどうかの決定を出す。有罪の根拠の一つとされた当時のDNA型鑑定の信用性を地裁がどう評価するかが焦点」・・・・・・いよいよ再審の可否の判断である。
 足利事件飯塚事件との12日間。2008年10月16日に足利事件のDNA再鑑定が決定し、その僅か12日間、同年10月28日に飯塚事件の冤罪死刑囚・久間三千年さんの死刑が執行されている。この飯塚事件もDNA鑑定が大きな証拠の一つとされている。問題は、足利事件と同じ科警研のDNA鑑定手法であった点。足利事件のDNA再鑑定の決定が決まった時点で、飯塚事件の死刑執行を停止すべきであったにもかかわらず、僅か12日後に、時の森英介法務大臣が「死刑のスイッチ」を押してしまった。それに加えて、久間さんは一貫して否認、つまり、まったく自白していない点、死刑判決が下って数年であり、かつ、再審請求の意志があった点、この死刑執行の異例さ、異常さが分かる。これは、死刑執行時既に久間さんは70歳と高齢であり、刑務所内での久間さんの病死などを許さず、司法の手で死刑にしたい、という官僚の心理が働いたのではないかとも予想される。また、先の袴田事件同様、今回も、「証拠の捏造」が疑われている。立ち会った刑務所の職員、教誨師、そして、なにより久間さん自身がその執行を伝えられた朝、そして、刑場で首に縄を掛けられた時・・・・・・一体どんな思いだっただろうか? 想像するだに恐ろしい。死刑執行に関わった警察官、検察官、科警研、裁判官、森英介法相・・・・・・は、(私は冤罪だったと信ずる)久間さんの命を返してくれるのでしょうか? さらに、真の犯人を逃したことの責任、久間さんのご家族や関係者だけでなく、飯塚事件の被害者の親族への責任をどうとるつもりだろう。

 袴田事件についての静岡地裁村山浩昭裁判長の大英断と同様に、福岡地裁平塚浩司裁判長が決断を下せるかどうか? 「犬」や「ひらめヒラメ裁判官」でないことを祈るしかない。

   『●死刑存置賛成派と飯塚事件
   『●NNNドキュメント’13:
          死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』

   『●飯塚事件の久間三千年さんと福岡事件の西武雄さん
   『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
               飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行
』  
      2008年10月16日 足利事件 再鑑定へ
      2008年10月28日 飯塚事件 死刑執行
      2009年 4月20日 足利事件 再鑑定で一致せず

   『●手遅れ!! ~死刑のスイッチを押すことと死刑執行~
    「陶山博生氏(p.43)は飯塚事件で一審担当。久間三千年さんの
    「死刑執行命令を下したのは、麻生内閣の森英介法務大臣(当時)である。
    大臣任命後1か月後に、死刑判決からたった2年足らず死刑囚
    執行命令を下すのは極めて異例である。・・・再申請求の準備・・・
    なぜ久間氏の死刑が先に執行されたのか、全く理解に苦しむ

   『●「官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている」
                         ・・・冷たい司法が続くわけだ
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
     ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足
   『●足利事件と飯塚事件と、そして「国家は人を殺す」:
                谷垣禎一法相「死刑制度は国民から支持」
   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審
                           司法の良心を示せるか?


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http://www.asahi.com/articles/ASG3Y5VLHG3YTIPE01R.html

DNA型の鑑定評価が焦点 飯塚事件、再審の可否判断
丹治翔 2014年3月30日00時19分
 
 福岡県飯塚市で1992年に女児2人が殺害された「飯塚事件」で、福岡地裁(平塚浩司裁判長)は31日、死刑が執行された久間(くま)三千年(みちとし)元死刑囚執行時70)の再審を認めるかどうかの決定を出す。有罪の根拠の一つとされた当時のDNA型鑑定の信用性を地裁がどう評価するかが焦点。再審が認められれば、死刑執行後初のケースとなり、地裁の判断が注目される。

 久間元死刑囚は捜査段階から一貫して無罪を主張したが、再審請求を準備中の2008年10月に死刑が執行された。刑事訴訟法は、確定判決後に「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」を新たに見つけ、請求に理由がある時、再審開始を決定すると定めている。元死刑囚の妻(66)は09年10月に再審を請求した。

 弁護団は再審請求審で、「新証拠」を提出した。①専門家による女児の体に付着していた血液のDNA型鑑定②その血液型鑑定③遺体遺棄現場近くで元死刑囚の車と同じ型の車を見たという目撃証言についての心理学者の鑑定、の三つだ。

・・・・・・。
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●袴田事件、48年間のそれぞれの苦難・・・・・・袴田巌さんと秀子さん、そして、熊本典道さん

2014年03月29日 00時00分47秒 | Weblog


asahi.comの二つの記事【袴田死刑囚の姉ら拘置所到着 「どうしても会いたい」】(http://www.asahi.com/articles/ASG3W552KG3WUTIL01V.html)と、
【袴田巌さん、東京拘置所から釈放 再審開始決定受け】(http://www.asahi.com/articles/ASG3W56BSG3WUTPB019.html?iref=comtop_6_01)。
東京新聞の記事【袴田事件再審決定 「証拠捏造の疑い」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014032702000264.html)。
asahi.comの社説【死刑囚の再審―過ちはすみやかに正せ】(http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p)。
東京新聞の社説【袴田事件再審決定 冤罪は国家の犯罪】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014032802000164.html)。
最後に、袴田事件をずっと支援されてきた保坂展人さんのasahi.comのコラム【袴田さん釈放に万感 問われる国の責任】(http://www.asahi.com/and_w/life/SDI2014032835581.html?iref=comtop_fbox_d2_03)。

   ●『DAYS JAPAN 2007年12月号』読了 (1/2)
    「森達也氏の本にも出てきた保坂展人氏や亀井静香氏の
     「~まだ間に合うのなら⑨~ 死刑大国・日本」。
     元ボクサー袴田さんの冤罪の件も。保坂議員のメモから起こした
     図が生々しい(森さんの「死刑」にも同様の図有り)。」

   『●『創 (12月号)』読了 (2/2)
   『●『冤罪File No.2 (6月号)』読了
   『●『月刊誌3冊』読了(2/4)
   『●『冤罪File(No.06、2009年6月号)』
   『●冤罪事件映画化: 袴田事件
   『●冤罪が増幅されはしまいか?
   『●冤罪によるアリ地獄
   『●名張毒ぶどう酒事件という冤罪
   『●『美談の男』読了
    「『美談の男/冤罪 袴田事件を裁いた元主任裁判官・熊本典道の秘密』、
     7月に読了。尾形誠規著。鉄人社。2010年6月刊、第1刷。
      本の帯、「私は無罪を確信しながら死刑判決を言い渡した―――。
     39年前の過ちを自ら告白した元エリート判事の転落と再生/
     酒……家族崩壊……自殺未遂……放浪……そして―――。
     逃れたくとも逃れられない袴田事件の呪縛」。
      「裁判員制度が始まろうとしているいま、いつ誰が熊本と
     同じ立場になってもおかしくない」・・・」

   『●『創(2010年7月号)』
   『●袴田事件: いい加減に誤まりを認めるべき
   『●『冤罪File(No.10)』読了
   『●冤罪デモ
   『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない
   『●『検察に、殺される』読了
   『●強大な氷山の一角としての冤罪発覚
   『●「前川さんの身になってほしい!」: 「福井事件」という明々白な冤罪
   『●作られた袴田冤罪事件、理不尽極まる漸くの初の証拠開示
   『●死刑という制度: 「吊るせ、吊るせ」の合唱で何か状況は変わるのか?
   『●手遅れ!! ~死刑のスイッチを押すことと死刑執行~
   『●PC遠隔操作冤罪事件: やはり捏造しようとしていないか?
   『●「どうなるのニッポン」『週刊金曜日』
       (2013年7月26日、953号)についてのつぶやき
   『●飯塚事件の久間三千年さんと福岡事件の西武雄さん
   『●袴田事件: 静岡地裁は「疑わしきは被告人の利益に」を
   『●「曽野綾子とは何か」 『週刊金曜日』
          (2014年1月24日号、976号)についてのつぶやき
   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審:
                         司法の良心を示せるか?
   『
●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」
                 「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」


以下は、昨日の「つぶやき」。

***********
■報道ステーションで袴田さんのインタビュー。思っていたより、遥かにしっっかりとしておられる。実感がわかない印象だ。お姉さんの秀子さんが本当に嬉しそうだ。本当に良かった。いま晩酌をしておられる頃か?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/049357a4c458aa9a0094191c2b363e56 …

■報道ステーションでトップニュース。裁判長の言葉「正義に反する」(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/049357a4c458aa9a0094191c2b363e56 …)。証拠の捏造まで厳しく断罪。裁判時に、衣類という証拠の変更を申し立ててまで捏造。熊本典道元裁判長のコメントを聞いてみたい(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/1ce91952c0e77c5dc55b877bf1632238 …

■意に反して袴田事件の死刑判決を書いた元裁判官・熊本典道さん(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/1ce91952c0e77c5dc55b877bf1632238 …)のインタビュー。贖罪の言葉。熊本さん自身も大変に苦しかった事と思う。また、元刑事のコメントに怒りがわく。何の反省の言葉もないとは

■どう責任をとるつもりか?(http://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/049357a4c458aa9a0094191c2b363e56) 『袴田さんを祝福、捜査批判』(http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20140327-1276329.html)/「ゴビンダ・プラサド・マイナリさん・・足利事件で再審無罪が確定した菅家利和さん・・名張毒ぶどう酒事件で1972年に死刑が確定し、昨年11月に第8次再審請求を申し立てた奥西勝死刑囚(88)の鈴木泉弁護団長は「私たち弁護団にとって、再審開始決定が出たことは何よりの励ましになる」とコメント」
***********

 東京新聞社説「真犯人を取り逃がした上、ぬれぎぬを着せられた人物の一生を破滅に追い込む」・・・・・・ましてや飯塚事件。既に久間三千年さんは、麻生内閣の森英介法務大臣のゴーサインの下、死刑執行。どう責任をとるのだろうか? 責任など、とれる訳もないのだが・・・・・・。「真犯人を取り逃がした上」、死刑執行・・・・・・暗澹たる思いだ。「冤罪であれば、警察、検察庁、裁判所、すべてが誤りを犯したことになる」、取り返しようのない「不可逆な誤り」である。
 最後に、保坂展人さんのコラム。全く同感。「永遠の沈黙」を待つ残酷な司法・・・・・・「捜査をした警察・検察、死刑判決を続けた司法の責任をうやむやにするには、袴田さんの生命が尽きることが、国にとって一番都合がよかったのではないでしょうか。再審の扉を閉じたまま袴田さんが亡くなれば、真相を闇の中へ葬ることができるからです。この間、袴田さんを担当した検察官も裁判官も次々と交代していきました。ただ、時がすぎるのを待っているかのように。しかし、「永遠の沈黙」に陥ることはありませんでした」

   『●冤罪死刑囚の死を待ち、責任を逃れようとする冷酷な人々

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http://www.asahi.com/articles/ASG3W552KG3WUTIL01V.html

袴田死刑囚の姉ら拘置所到着 「どうしても会いたい」
2014年3月27日16時26分

 静岡地裁の再審開始決定を受け、袴田巌死刑囚(78)の姉ひで子さん(81)が27日午後3時ごろ、支援者らとともに、袴田死刑囚がいる東京・小菅の東京拘置所に到着した。ひで子さんは「ただ、ただ、うれしいだけです。巌の拘置を一日も早く解いてあげたい」と改めて喜びを語った。

 袴田元被告は精神を病んでおり、ひで子さんが毎月面会に出向いても、会えない状態が3年半続いている。ひで子さんは「いつもなら、会いたくないと言われたらすぐに帰るんですが、今日はどうしても会いたい。いい知らせがあるからどうしても出てこいと言って、頑張るつもりです」と話した。

 最初にかけてあげたい言葉は何かと聞かれると、「本人が分からなくても、『元気か?再審開始になった』と言ってみようと思います」と答えた。
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http://www.asahi.com/articles/ASG3W56BSG3WUTPB019.html?iref=comtop_6_01

袴田巌さん、東京拘置所から釈放 再審開始決定受け
2014年3月27日17時26分

 静岡地裁の再審開始決定を受け、袴田巌死刑囚(78)が27日午後5時20分すぎ、東京・小菅の東京拘置所から釈放された。逮捕から48年ぶり。姉ひで子さん(81)らと一緒に車に乗り、拘置所を出た。

 支援者によると、袴田元被告には決定文を見せて再審開始について伝えたが、「ウソだ」と信じられない様子だったという。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014032702000264.html

袴田事件再審決定 「証拠捏造の疑い」
2014年3月27日 夕刊

 静岡県清水市(現静岡市清水区)で一九六六年にみそ製造会社の専務一家四人が殺害された袴田事件の第二次再審請求で、静岡地裁は二十七日、強盗殺人罪などで死刑判決が確定した袴田巌(はかまだいわお)元被告(78)の再審開始と刑の執行、拘置の停止を決定した。村山浩昭裁判長は、確定判決で犯行時の着衣と認定された「五点の衣類」について「後日捏造(ねつぞう)された疑いがある」と結論付けた。事件発生から約四十八年、死刑確定から約三十四年で裁判がやり直され、死刑判決が取り消される可能性がある。 

 法務省によると、死刑囚の再審が決定したケースで、拘置の執行停止が認められたのは初めて。死刑囚の再審開始決定は財田川、免田、松山、島田と、後に決定が取り消された名張毒ぶどう酒事件に続き戦後六例目で九年ぶり。名張以外の四人は再審無罪となった。静岡地検が即時抗告すれば、再審を認めるか否かの判断は東京高裁に委ねられる。弁護団は即時抗告しないよう地検に申し入れた。

 第二次請求審の最大の争点は、五点の衣類が袴田元被告のものかどうかだった。検察、弁護側双方の推薦した専門家二人がDNA型鑑定を実施。ともに、白半袖シャツの右肩の血痕が袴田元被告のDNA型と完全には一致しないとの見解を示した。弁護団が「五点の衣類は何者かが捏造した証拠」とした一方、検察側は「試料が古く、信用性が低い」と主張してきた。

 決定は、鑑定から「五点の衣類の血痕は、袴田元被告のものでも犯行着衣でもない可能性が相当程度認められる」と指摘。鑑定結果は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たる」と判断した。

 五点の衣類は事件から一年二カ月後、同社のみそタンク内から見つかった。決定は「実験結果からみても、衣類の染まり具合はみその色に比べて薄く、血痕の赤みも強すぎる。長時間みその中に隠されていたにしては不自然」と指摘。

 弁護側は、衣類のうちズボンはサイズが合わず袴田元被告のものでもないと主張。決定は確定判決の認定を否定し「ズボンが袴田元被告のものではなかったとの疑いに整合する」と認定した。

 再審開始決定を受け、袴田元被告の姉の秀子さん(81)は二十七日午後、東京拘置所へ面会に向かう。

 <静岡地検・西谷隆次席検事> 予想外の決定であり、本庁の主張が認められなかったのは、誠に遺憾。上級庁と協議し、速やかに対応したい。
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http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_pickup_p

死刑囚の再審―過ちはすみやかに正せ
2014年3月28日(金)付

 無実の人を罪におとし、長年にわたり、死刑台の縁に立たせる。許されないことが起きたおそれが強い。

 静岡県で48年前、一家4人が殺害された。犯人として死刑を宣告された袴田巌さんの再審の開始を静岡地裁が決定した。

 検察側は抗告によって手続きを長引かせるべきではない。すみやかに再審すべきである。

 80年代、免田栄さんら死刑が確定した4人が相次いで再審で無罪になった。自白の強要、とりわけ死刑の取り返しのつかなさを考えさせたはずだった。

 袴田さんの死刑確定や第1次再審請求審はそうした動きと並行していたのだが、判決は今日まで維持されている。あの教訓ははたして生かされたのか。司法界は猛省せねばなるまい。

 今回の決定が特に重いのは、袴田さん有罪の重要証拠で、犯行時に着ていたとされた衣服5点について、捜査機関が捏造(ねつぞう)した疑いがあるとさえ言及していることだ。

 死刑を決定づけた証拠がでっち上げだったとしたら、かつてない深刻な事態である。

 捜査・検察当局に求められるのは、この指摘を真摯(しんし)に受けとめ、何が起きたのか徹底調査することではないか。

 袴田さんは78歳。いつ執行されるか分からない死刑の恐怖と向き合う拘置所暮らしで精神の病が進み、姉や弁護人による面会でさえ難しくなった。

 死刑の確定から34年である。むだにしていい時間はない。

 再審を開くかどうかの判断にここまで時間を要している裁判のあり方も検討すべきだ。

 衣服の血痕に用いたDNA鑑定の新しい技術が今回の決定を後押ししたのは確かだろう。ただし、衣服は一審が始まった後に現場近くで突然見つかったとされ、その不自然さのほか、袴田さんには小さすぎる問題などがかねて指摘されていた。

 「疑わしきは被告人の利益に」の理念は尊重されていたのか、問い直すべきだ。

 27年かかって棄却に終わった第1次再審請求審と比べ、第2次審では証拠の開示が大きく進んだ。裁判所が検察に強く促した結果、当初は調べられていなかった証拠が多く出された。

 袴田さんに有利なのに、弁護側が存在さえ知らなかった証言もあった。それもなぜ、もっと早くできなかったのか、と思わざるをえない。

 今回の再審開始決定は、釈放にもあえて踏み込んだ。裁判長が、これ以上の拘束は「耐え難いほど正義に反する」とまで断じた意味はあまりに重い。
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014032802000164.html

【社説】
袴田事件再審決定 冤罪は国家の犯罪
2014年3月28日

 裁判所が自ら言及した通り、「耐え難いほど正義に反する状況」である。捏造(ねつぞう)された証拠で死刑判決が確定したのか。速やかに裁判をやり直すべきだ。

 事件発生から一年二カ月後に工場のみそタンクから見つかった血痕の付いた衣類五点は、確定判決が、袴田巌さんを犯人と認定する上で最も重視した証拠だった。

 その衣類について、今回の静岡地裁決定は「後日捏造された疑いがある」と述べた。

 検察庁も裁判所も証拠の捏造を見抜けないまま死刑を宣告していたのであろうか。


◆「こちらが犯行着衣」

 絶対にあってはならないことであるが、死刑を言い渡した当の裁判所が、その疑いが極めて高くなったと認めたのである。ただならぬ事態と言わざるを得ない。

 そもそも、起訴の段階で犯行着衣とされたのは、血痕と油の付着したパジャマだった。

 ところが、一審公判の中でパジャマに関する鑑定の信用性に疑いがもたれるや、問題の衣類五点がみそタンクの中から突然見つかり、検察官は「こちらが真の犯行着衣である」と主張を変更した。

 袴田さんは、公判では起訴内容を否認したが、捜査段階で四十五通の自白調書が作られていた。毎日十二時間以上に及んだという厳しい取り調べの末に追い込まれた自白で、その内容は、日替わりで変遷していた。

 一審判決は、そのうち四十四通を、信用性も任意性もないとして証拠から排斥したが、残り一通の検察官作成の自白調書だけを証拠として採用し、問題の衣類五点を犯行着衣と認定して死刑を言い渡した。判決はそのまま高裁、最高裁を経て一九八〇年に確定した。この間、どれほどの吟味がなされたのか。

 この確定判決をおかしいと考えていたのは、再審を請求した弁護側だけではなかった。


◆新証拠の開示が鍵に

 一審で死刑判決を書いた元裁判官の熊本典道さん(76)は二〇〇七年、「自白に疑問を抱き無罪を主張したが、裁判官三人の合議で死刑が決まった」と告白している。

 「評議の秘密」を破ることは裁判官の職業倫理に反する暴挙だと批判されたが、この一件で、袴田事件に対する市民の疑念も決定的に深まったのではないか。

 第二次再審請求審では、弁護団の開示請求を受けて、裁判所が検察側に幾度も証拠開示を勧告。静岡地検は、これまで法廷に提出していなかった五点の衣類の発見時のカラー写真、その衣類のズボンを販売した会社の役員の供述調書、取り調べの録音テープなど六百点の新証拠を開示した。その一部が再審の扉を開く鍵になった。

 これまでの再審請求事件では、捜査当局が集めた証拠の開示、非開示は検察の判断に委ねられたままで、言い換えれば、検察側は自分たちに都合のよい証拠しか出してこなかったともいえる。弁護側から見れば、隠されたことと同じだ。今回の請求審では、証拠開示の重要性があらためて証明されたといっていい。

 そもそもが、公権力が公費を使って集めた証拠である。真相解明には、検察側の手持ち証拠が全面開示されてしかるべきだろう。

 柔道二段で体格もよい被害者を襲う腕力があるのは、元プロボクサーの彼以外にない…。従業員だから給料支給日で現金があることを知っている…。袴田さんは、いわゆる見込み捜査で犯人に仕立てられた。一カ月余り尾行され、逮捕後は、時に水も与えられない取り調べで「自白」に追い込まれる。典型的な冤罪(えんざい)の構図である。無理な捜査は証拠捏造につながりやすい。

 冤罪であれば、警察、検察庁、裁判所、すべてが誤りを犯したことになる。真犯人を取り逃がした上、ぬれぎぬを着せられた人物の一生を破滅に追い込む。被害者側は真相を知り得ない。冤罪とは国家の犯罪である。

 市民の常識、良識を事実認定や量刑に反映させる裁判員裁判の時代にある。誤判につながるような制度の欠陥、弱点は皆無にする必要がある。


◆検察は即時抗告やめよ

 司法の判断が二転三転した名張毒ぶどう酒事件を含め、日弁連が再審請求を支援している重要事件だけでも袴田事件以外に八件。証拠開示を徹底するなら、有罪認定が揺らぐケースはほかにもあるのではないか。

 冤罪は、古い事件に限らない。今も起きうることは、やはり証拠捏造が明らかになった村木厚子さんの事件などが示している。

 袴田さんの拘置停止にまで踏み込んだ今決定は、地裁が無罪を確信したことを意味している。

 検察は即時抗告することなく、速やかに再審は開始されるべきである。
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http://www.asahi.com/and_w/life/SDI2014032835581.html?iref=comtop_fbox_d2_03

袴田さん釈放に万感 問われる国の責任
<太陽のまちから> 特別寄稿
保坂展人
2014年3月28日

 無実の死刑囚として拘置されていた元プロボクサーの袴田巌さん(78)が、48年ぶりに釈放されました。3月27日午後5時、東京拘置所から出てくる映像を見て、万感こみあげるものがありました。
 私が袴田さんの置かれている立場を知ったのは、衆議院法務委員会に属して活動していた1998年のことでした。人権問題をたびたび法務委員会で取り上げていることを知って、姉のひで子さんが支援者の方々と議員会館に訪ねてこられたのです。
 当時、すでに30年を超える長期の拘置が続き、しかも確定死刑囚として20年あまりも「死刑執行の恐怖」にさらされていた袴田さんは次第に心の変調をきたすようになっていました。90年代半ばには、弟の無実を信じて励ましてきた唯一の理解者であるひで子さんの面会も拒絶するようになった、と聞きました。
 私の仕事は、拘置所での袴田さんの身体や精神の状況をできるだけ詳細に聞き取り、ひで子さんや弁護団、支援者に伝えることでした。袴田さんは裁判の中で、「神さま―。僕は犯人ではありません。僕は毎日叫んでいます」(母親にあてた手紙)などと大量の手紙を記して、無実を訴えていました。司法の場で自らの潔白が証明されることを信じていたのです。
 ところが、68年、静岡地裁で死刑判決。76年、東京高裁で控訴棄却、80年に最高裁で上告が棄却され、死刑が確定します。
 しかし、一審で死刑判決を出した静岡地裁は、警察・検察による連日12時間に及ぶ取り調べによって作成された45通の供述調書のうち、じつに44通を「違法な取り調べ」によるものとして棄却しました。長時間にわたり自白を迫る強引な調書作成過程の信用性を認めませんでした。それでも、残る1通を採用して死刑判決を出したのです。
 94年、一縷の望みをかけた再審請求が静岡地裁で棄却されると、袴田さんは裁判関係書類の差し入れを拒否し、弁護士とも面会しなくなりました。
 誰とも会わなくなって3年半以上続いた袴田さんの様子をみるために、私は半年ががりで法務省矯正局と交渉して、東京拘置所での面会にこぎつけました。2003年3月10日、私は姉のひで子さんと弁護士と一緒に袴田さんと会い、言葉をかわしました。
 しかし、袴田さんは、空想の世界の住人になっていました。このときの様子は、「塀の中に閉じ込められた『秘密』の闇」として、このコラム(2013年11月19日)で触れましたが、あらためて記します。

 保坂 「元気ですか」

 袴田 「元気ですよ」

 保坂 「今日はあなたの誕生日ですが、分かります? 67歳ですね」

 袴田 「そんなことを言われても困るんだよ。もういないんだから、ムゲンサイサイネンゲツ(無限歳歳年月?)歳はない。地球がないときに生まれてきた。地球を作った人……」

 保坂 「ご両親についてお話したい」

 袴田 「困るんだなー。全てに勝利したんだから」

     「無罪で勝利した。袴田巌の名において……」

     「神の国の儀式があって、袴田巌は勝った。日本国家に対して5億円の損害賠償を取って……」

 保坂 「5億円はどうしたんですか」

 袴田 「神の国で使っている」

 保坂 「袴田巌さんはどこに行ったのですか?」

 袴田 「袴田巌は、智恵の一つ。私が中心になった。昨年儀式があった」 

 長年の拘置によって精神に変調をきたす拘禁反応が強く出ていて、すぐにでも治療が必要な状態でしたが、何の治療もなされませんでした。
 07年、私は、国会内に、ひとりの法律家を招いた勉強会をセットしました。一審の死刑判決に関与したことを悔いて、号泣しながら袴田さんに謝罪した元裁判官の熊本典道さん。多数のメディアの前で、「自分は無罪を確信していたが、他のふたりの裁判官に押し切られて死刑判決を書いてしまった。悔やんでも悔やみきれない」と告白したのです。
 再審への期待が高まったのは、いまから10年も前のことでした。
 04年8月。四谷の中華料理店で私はひで子さんや弁護士の皆さんと、東京拘置所にいる袴田さんに、どのように「再審開始」という朗報を伝えるかの案を練っていました。東京高裁に対する期待は大きく、「きっと始まる、大丈夫だ」という声がありました。しかし、東京高裁は再審を求める訴え(即時抗告)を棄却しました。
 それでも、ひで子さんをはじめ、支援者も弁護団もあきらめませんでした。ボクシング界からも支援の輪は広がりました。私が09年に国会を去った後も、袴田さんを支援する国会議員連盟がつくられました。ただ、弁護士をはじめ熱心な支援者のなかにはすでに他界された方もいます。
 思い出すのは、無実を訴えながら03年に獄中で亡くなった波崎事件の冨山常喜さん(享年86)のことです。
 亡くなる半年前、私は東京拘置所と交渉して、所内にある集中治療室で民間の医師の立ち会いのもとに冨山さんの健康状態をチェックする機会を設けました。

   「このままじゃ死ねないよ。無実を認めてもらわないと」

 病床の冨山さんはそうつぶやきました。人工透析と中心静脈栄養のチューブがつながっている状態を見て、医師は言いました。

   「このままでは、必ず感染症で亡くなります。うちの病院でリハビリをしましょう」

 しかし、その提案は認められませんでした。そして、医師の言葉通り、冨山さんは半年後、感染症のため息を引き取りました。
 それだけに、48年という歳月をへて、袴田さんが生きて東京拘置所を出ることができたことは幸いです。
 この間に、ずさんな捜査による冤罪(えんざい)である、との認識は広がっていました。再審開始決定を下した静岡地裁が今回、「証拠の捏造」と断罪するよりはるか前に、冤罪を訴える元プロボクサー「Hakamada」の名は世界に知れ渡り、EU各国の大使館をはじめ注目を集めていました。そのため、袴田さんに死刑が執行される可能性はありませんでした。
 そうしたなか、捜査をした警察・検察、死刑判決を続けた司法の責任をうやむやにするには、袴田さんの生命が尽きることが、国にとって一番都合がよかったのではないでしょうか。再審の扉を閉じたまま袴田さんが亡くなれば、真相を闇の中へ葬ることができるからです。この間、袴田さんを担当した検察官も裁判官も次々と交代していきました。ただ、時がすぎるのを待っているかのように。
 しかし、「永遠の沈黙」に陥ることはありませんでした。私は袴田さんが生還した喜びをかみしめながら、この不条理を半世紀続けた国家の責任を強く問うべきだと考えています。
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●袴田事件・釈放!: 「捜査機関が重要な証拠を捏造した疑い」「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」

2014年03月28日 00時00分46秒 | Weblog


東京新聞の記事【袴田事件の再審開始決定 静岡地裁「無罪の可能性」】(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014032701000806.html)。
asahi.comの二つの記事【袴田事件の再審開始決定、釈放へ 証拠「捏造の疑い」】(http://www.asahi.com/articles/ASG3K6R2XG3KUTPB01C.html?iref=comtop_6_01)と、
【無実の叫び48年、支え続けた姉「うれしい」 袴田事件』(http://www.asahi.com/articles/ASG3T5QVHG3TUTPB015.html?iref=comtop_6_02)。

 出張先で知った衝撃的なニュース。素晴らしい判断、画期的な判決である(当然の判断で、あまりに遅い)。しかも、釈放である。「村山浩昭裁判長は、犯人が事件時に着ていたとされる「5点の衣類」に付いた血液のDNA型が袴田元被告とは一致しないとする鑑定結果を認定。衣類は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と判断」「村山浩昭裁判長・・は「捜査機関が重要な証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがあり、犯人と認めるには合理的疑いが残る」と判断。「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」と刑の執行停止(釈放)も決めた」。「犬」や「ヒラメ」でないことが証明。

 「無実の叫びが半世紀を経て、ようやく司法に届いた。事件から48年、確定死刑囚となってから33年。27日、静岡地裁が袴田巌(いわお)死刑囚(78)の再審開始を決定した。支援を続けてきた姉は支援者と抱き合い、喜びを分かち合った。だが、死刑囚本人は、その意味を理解できるのかすらわからない」・・・・・・取り返しのつかない48年。死刑囚として精神的に大変な苦痛だったはずであり、これまで袴田事件に関わった警察、検察、裁判所はどう対処する心算だろうか? 「だが死刑囚は長い拘置所生活で精神を病んでおり、その意味を理解できるのかすらわからない」・・・・・・なんて残酷なんだろう・・・・・・激しい怒りがわいてくる。足利事件菅家さんの怒りのコメントと『噂の真相』で有名な宗像紀夫元検事の司法擁護コメントが対照的で、後者のコメントに心底呆れた。
 次は飯塚事件、こちらは既に死刑執行・・・・・・。

   『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審
                           司法の良心を示せるか?

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014032701000806.html

袴田事件の再審開始決定 静岡地裁「無罪の可能性」
2014年3月27日 13時13分

    (袴田事件で再審を認める決定が出され、喜びを語る袴田巌元被告の
     姉秀子さん=27日午前、静岡地裁前

 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして、80年に死刑が確定した元プロボクサー袴田巌元被告(78)=東京拘置所収監中=の第2次再審請求審で、静岡地裁は27日、裁判のやり直しを決定するとともに、死刑の執行を停止、元被告の釈放を認めた

 法務省によると、死刑囚の再審開始決定で、拘置の執行停止が認められたのは初めて。 村山浩昭裁判長は、犯人が事件時に着ていたとされる「5点の衣類」に付いた血液のDNA型が袴田元被告とは一致しないとする鑑定結果を認定。衣類は「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と判断した。

(共同)
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http://www.asahi.com/articles/ASG3K6R2XG3KUTPB01C.html?iref=comtop_6_01

袴田事件の再審開始決定、釈放へ 証拠「捏造の疑い」
2014年3月27日10時55分

    (再審開始が決まり、感想を述べる姉の袴田ひで子さん。
     左は西嶋勝彦弁護団長=27日午前10時3分、静岡市葵区、
     山本壮一郎撮影)

 1966年に静岡県の一家4人が殺害、放火された「袴田事件」で死刑が確定した元プロボクサー袴田巌(いわお)死刑囚(78)=東京拘置所在監=の第2次再審請求審で、静岡地裁(村山浩昭裁判長)は27日、再審開始を認める決定をした。村山裁判長は「捜査機関が重要な証拠を捏造(ねつぞう)した疑いがあり、犯人と認めるには合理的疑いが残る」と判断。「拘置の続行は耐え難いほど正義に反する」と刑の執行停止(釈放)も決めた。

 死刑囚の再審開始決定は免田財田川松山島田無罪確定4事件と、後に覆された2005年の名張毒ブドウ酒事件の名古屋高裁決定に次いで6件目。

 静岡地検の西谷隆次席検事は「予想外の決定。上級庁と協議して速やかに対応する」と語った。刑の執行停止に対しては即日、不服申し立てをする方針。再審開始の判断については、不服申し立てを28日以降に行う方向とみられる。

 事件は66年6月30日に発生。同年8月、みそ工場従業員だった袴田元被告が強盗殺人や放火などの容疑で逮捕され、捜査段階で犯行を認める自白調書が作られたが、公判では一貫して否認。静岡地裁は68年9月、自白調書1通と間接証拠から元被告の犯行と断定して死刑を宣告し、80年11月に最高裁で確定した。

 08年4月に始まった第2次再審請求の最大の争点は、犯行時の着衣の一つとされる白半袖シャツに付いていた血痕のDNA型鑑定だった。確定判決は、シャツの右肩についた血痕の血液型が同じB型だとして、元被告のものと認定。第1次再審請求でもDNA型鑑定が行われたが、「鑑定不能」だった。

 第2次請求で再鑑定された結果、検察、弁護側双方の鑑定ともシャツの血と元被告のDNA型が「一致しない」とする結果が出た。検察側は「鑑定したDNAが劣化しており、汚染された可能性がある」と主張。弁護側と鑑定結果の信用性を巡って争っていた。

 この日の静岡地裁決定は弁護側鑑定について、「検査方法に再現性もあり、より信頼性の高い方法を用いている」と指摘。「検察側主張によっても信用性は失われない」と判断した。そのうえで、犯行時に元被告が着ていたとされる着衣は「後日捏造された疑いがぬぐえない」と指摘。DNA型鑑定の証拠が過去の裁判で提出されていれば、「死刑囚が有罪との判断に到達しなかった」と述べ、刑事訴訟法上の「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」にあたると結論づけた。

 さらに「捏造された疑いがある重要な証拠で有罪とされ、極めて長期間死刑の恐怖の下で身柄拘束されてきた」として、「再審を開始する以上、死刑の執行停止は当然」とも指摘した。

 事件では起訴から1年後の一審公判中、現場近くのみそ工場のタンクから血染めの白半袖シャツやズボンなどが見つかり、検察側は犯行時の着衣を、パジャマから変更。静岡地裁判決は自白偏重の捜査を批判し、45通のうち44通の自白調書を違法な取り調べによるものとして証拠排除したが、5点の衣類を始めとする間接証拠類と自白調書1通で、死刑を選択した。

     ◇

 〈袴田事件〉 1966年6月30日未明、静岡県清水市(現・静岡市清水区)のみそ製造会社専務(当時41)宅から出火。焼け跡から専務、妻(同39)、次女(同17)、長男(同14)の遺体が見つかった。全員、胸や背中に多数の刺し傷があった。県警は同年8月、従業員の袴田巌元被告(同30)を強盗殺人などの疑いで逮捕。一審で死刑判決を書いた熊本典道・元裁判官は2007年、「捜査段階での自白に疑問を抱き、無罪を主張したが、裁判官3人の合議で死刑が決まった」と評議の経緯を明かし、再審開始を求めていた。
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http://www.asahi.com/articles/ASG3T5QVHG3TUTPB015.html?iref=comtop_6_02

無実の叫び48年、支え続けた姉「うれしい」 袴田事件
2014年3月27日12時43分

     (再審開始が決まり、会見で喜ぶ姉の袴田ひで子さん=
      27日午前11時33分、静岡市葵区、福留庸友撮影)

 無実の叫びが半世紀を経て、ようやく司法に届いた。事件から48年確定死刑囚となってから33年。27日、静岡地裁が袴田巌(いわお)死刑囚(78)の再審開始を決定した。支援を続けてきた姉は支援者と抱き合い、喜びを分かち合った。だが死刑囚は長い拘置所生活で精神を病んでおり、その意味を理解できるのかすらわからない。

 再審開始の知らせを手に静岡地裁を出た袴田巌元被告の姉、ひで子さん(81)は、笑顔でくしゃくしゃになっていた。「うれしい。それだけです」。目には涙が浮かんでいた。

 弟を支えるため、一身を捧げてきた48年だった。

・・・・・・・・・。
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●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審: 司法の良心を示せるか?

2014年03月25日 00時00分12秒 | Weblog


mainichi.jpの記事【飯塚事件:再審可否31日に決定 福岡地裁】(http://mainichi.jp/select/news/20140318k0000m040026000c.html)。
asahi.comの記事【袴田事件の再審開始可否、27日に決定 静岡地裁】(http://www.asahi.com/articles/ASG3N3PJ4G3NUTIL013.html?iref=comtop_list_nat_n04)と、
tocana.jpの記事【【死刑囚】元・プロボクサー袴田巌、無罪は明確? 議員が“異例の総会”を開く】(http://tocana.jp/2014/03/post_3829.html】。

   『●袴田事件: 静岡地裁は「疑わしきは被告人の利益に」を
   『●死刑存置賛成派と飯塚事件
   『●NNNドキュメント’13:
          死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』

   『●飯塚事件の久間三千年さんと福岡事件の西武雄さん
   『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
               飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行

   『●「官僚司法とその提灯持ちは改革を拒否し続けている」
                         ・・・冷たい司法が続くわけだ

   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
        ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●足利事件と飯塚事件と、そして「国家は人を殺す」:
              谷垣禎一法相「死刑制度は国民から支持」


 飯塚事件、そして、袴田事件、冤罪を晴らす扉は開くだろうか? 警察や検察を「気遣った」この異常に重い扉。証拠の捏造も疑われる両事件、もうすぐ再審の可否が明らかにされる。罪の重い裁判所・・・・・・、「ひらめヒラメ)裁判官」とならずに勇気を持って司法の良心を示すことはできるだろうか? 福岡地裁平塚浩司裁判長、静岡地裁村山浩昭裁判長は「ヒラメ」や「」でなければいいのですが・・・・・・。

   ●〝犬〟になれなかった裁判官
   『●『冤罪ファイル(2010年10月号)』読了


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http://mainichi.jp/select/news/20140318k0000m040026000c.html

飯塚事件:再審可否31日に決定 福岡地裁
毎日新聞 2014年03月17日 18時40分

 福岡県飯塚市で女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚(当時70歳)の再審請求審で、福岡地裁(平塚浩司裁判長)は17日、再審を開始するかどうかの決定を31日に出すと弁護団、検察に通知した。再審開始が決まれば死刑執行後では初めてのケースになるため、地裁の判断に注目が集まる。

 久間元死刑囚は1992年2月、飯塚市で小学1年の女児2人を殺害し、同県甘木市(現・朝倉市)の山中に遺棄したとして、起訴された。一貫して無罪を主張したが、裁判所は被害者の遺体などから採取された血液のDNA型と久間元死刑囚のものが一致したなどとして有罪と判断。2008年10月に刑が執行された。

 久間元死刑囚の妻が09年10月に再審請求し、弁護団、地検、地裁による非公開の協議が行われてきた。弁護団はDNA型に使われたネガフィルムの解析で「真犯人とみられる異なるDNA型がある」とする鑑定結果を提出している。【山本太一】
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http://www.asahi.com/articles/ASG3N3PJ4G3NUTIL013.html?iref=comtop_list_nat_n04

袴田事件の再審開始可否、27日に決定 静岡地裁
2014年3月20日13時05分

 静岡県で1966年に一家4人が殺害、放火された「袴田事件」で死刑が確定した元プロボクサー袴田巌(いわお)死刑囚(78)の第2次再審請求審で、静岡地裁は20日、再審開始の可否の決定を27日午前に出すと、弁護団と検察側に通知した。

袴田事件の48年

 事件発生は66年6月30日未明。当時の静岡県清水市(現・静岡市清水区)でみそ会社専務の一家4人が殺害、放火され、従業員だった袴田死刑囚が強盗殺人、放火などの容疑で逮捕、起訴された。死刑判決は80年に最高裁で確定。2008年3月には第1次の再審請求を最高裁が棄却した。

 08年4月に静岡地裁へ申し立てられた第2次再審請求審では、事件から1年2カ月後にみそタンクの中から見つかり、犯行時の着衣とされた血染めの衣類5点のうち、白い半袖シャツの右肩についていた血痕のDNA型を再鑑定。検察、弁護側双方が推薦した鑑定人とも、付着していた血痕と袴田死刑囚のDNA型が「一致しない」という判定を出したが、検察側は鑑定資料の劣化などから「鑑定結果には信用性が認められない」と主張している。

・・・・・・・・・。
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http://tocana.jp/2014/03/post_3829.html

【死刑囚】元・プロボクサー袴田巌、無罪は明確? 議員が“異例の総会”を開く
2014.03.21

 3月18日、「袴田巌死刑囚救援議員連盟」総会が、衆議院第2議員会館で行われた。 1966年6月30日、静岡県清水市の味噌製造会社の専務宅が全焼、現場からは刃物による多数の傷を受けた一家4人の死体が発見された。その事件で逮捕されたのが、近くの味噌工場の住み込み授業員であった、元プロボクサーの袴田巌であった。1980年に最高裁で死刑が確定したが、証拠の不自然さなどから、冤罪であるという声が高まり、現在、第2次再審請求が行われている。

 総会で演壇に並んだのは、会長の塩谷立を初めとして、逢沢一郎、大口善徳、生方幸夫、谷畑考、仁比聡平、松浪健太、鈴木貴子、と超党派の議員。そして袴田死刑囚の姉である袴田秀子、弁護団長の西嶋勝彦である。100名ほどの聴衆にも、議員が多く見られる。

 立法府にある議員が、司法の領域に意見をするのは、三権分立の原則からきわめて異例だ。それほどまでに、袴田死刑囚の冤罪の疑いは濃く、人道の立場から救い出さなければならないという気運が高まっている。

 仁比聡平議員は、冤罪が生まれる構造的問題を指摘した。捜査官による証拠のねつ造が行われていたり、被告に有利であるはずの証拠が隠されていることから、冤罪が発生することが多い。検察は手持ちの証拠を全面開示すべきだ、と強く訴えた。

 総合格闘技の選手だったこともある、松浪健太議員は自身の経験から、「リングで殴られているとき怖くないのは、アドレナリンが出ているからだ」と、日本フェザー級6位のプロボクサーだった袴田さんでも、死刑に恐怖を感じていないはずはない、と言及した。袴田死刑囚の収監は45年で世界最長。ギネスにも認定されている。「ギネス記録が伸びるのは、恥ずかしいことだ」と付け加えた。

 「嬉しいはずの朝が来ることが、袴田さんにはどれほどつらいか。半世紀近くもそれを強いているのは自分たちだ」と、鈴木貴子議員は語った。

 西嶋勝彦弁護士から、第2次再審の内容が説明される。それは多岐に渡ったが、主な点は以下の通りである。

 袴田さんを有罪とする最大の証拠は、現場近くの味噌醸造タンクから麻袋に入って発見された、鉄紺色ズボン、ねずみ色スポーツシャツ、白ステテコ、白半袖シャツ、緑色ブリーフ、5点の衣類である。袴田さんが緑色の似たブリーフを穿いていたこと、ズボンの端切れが袴田さんの実家から見つかったことから、犯人である証拠とされた。

 控訴審で、その衣類の装着実験が行われた。なんと、ズボンは小さすぎて、袴田さんの太ももにつかえて、穿くことができなかった他にも様々な不審な点があるが、決定的なのは、2011年に静岡地裁で行われたDNA鑑定だ。衣類には血液がついていたが、いずれの被害者の血液ともDNAが一致しなかった衣類が発見されたのは、事件から11年2カ月後直後の捜索では出ていなかったものだ事件の後に、無関係な衣類が、証拠とするために入れられた可能性が大きい。他の冤罪事件でも、捜査当局が証拠をねつ造していたことがままある。

 また、隠されていた事件直後の関係者の供述が、裁判所の勧告によって、日の目を見ている。火事に気づいた袴田さんは、同僚と一緒に消火活動を行っていたことを、同僚たちは供述している。袴田さんが犯人だと疑われた一つは、左手中指にあった切り傷だったが、それは消火活動の際に負ったものだった。同僚たちも、怪我をしていた。消火活動の時にはパジャマ姿だった。犯行を行い、部屋に戻って5点の衣類からパジャマに着替えて消火に携わるには、時間的にまったく不自然である。だからこそ、検察官は最後まで開示に抵抗したのだった。

 刑の執行停止、再審開始を求めていくことが、満場の拍手で総会の総意として確認される。姉の袴田秀子さんが、強い決意を述べて総会は締めくくられた。

 静岡地裁で袴田事件を担当した熊本典道元裁判官は、無罪であることを確信しながら、3人の裁判官の合議の結果、死刑判決を書かなければならなかった事実を、2007年に告白している。

 袴田さんが、無実である可能性は高いだろう。再審が実現し、無罪が言い渡される日もくるかもしれない。

■深笛義也(ふかぶえ・よしなり)
1959年東京生まれ。横浜市内で育つ。18歳から29歳まで革命運動に明け暮れ、30代でライターになる。書籍には『エロか? 革命か? それが問題だ!』『女性死刑囚』『労働貴族』(すべて鹿砦社)がある。ほか、著書はコチラ。
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