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●刑事訴訟法の「改正」どころか、警察・検察に、司法取引と盗聴拡大という「追いゼニ」

2016年05月24日 00時00分53秒 | Weblog


東京新聞の社説【刑事司法改革 冤罪防止につなげねば】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016052002000134.html)。

 《国会で審議中の刑事訴訟法の改正案は、取り調べの録音・録画とともに、司法取引を導入する。通信傍受も大幅に拡大する内容だ。冤罪(えんざい)防止という目的から逸脱する刑事司法の改革ではないか》。

 司法改革の議論の出発点・原点《冤罪をどうしたらなくせるかという問題意識》を意識的に無視している…それどころか、「警察・検察」(ドロボウ)に追い銭司法取引導入、通信傍受盗聴大幅拡大)。ドサクサ紛れ、《抱き合わせ》。そういうのは「改正」とは言わない、「改悪」「壊悪」。

   『●青木理さん「冤罪」「マイナンバー」
     「監視・管理されたがり社会」、金子勝さん「もんじゅ「廃炉」?」
   『●「検察・警察も冤罪防止のために“前向き”」?…
      刑事訴訟法の「改正案が成立すれば、新たな冤罪を生む」
     《刑事訴訟法の改正案に反対する「日本の司法を正す会」が8日、
      都内で集会を開催。弁護士の郷原信郎氏やジャーナリストの青木理氏、
      元国会議員の鈴木宗男氏ら5人が、継続審議になっている
      改正案の危険性を訴えた》
     《改正案は、2010年に足利事件、11年に布川事件
      12年に東電OL殺人事件と、冤罪が相次いで明らかになったことを受け、
      「取り調べの部分可視化」「司法取引」「盗聴拡大」などを抱き合わせ
      今年の3月に国会に提出された。ところが、「改正案が成立すれば、
      新たな冤罪を生む」のは間違いないというのだ》
     《「司法取引」や「盗聴拡大」も結局、当局にとって都合のいい捜査手法を
      広げるだけ。「自分には関係ない」─―そう思っていても改正案が
      成立すれば、誰もがいつの間にか“犯罪人”に仕立て上げられてしまう
      可能性がある》

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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016052002000134.html

【社説】
刑事司法改革 冤罪防止につなげねば
2016年5月20日

 国会で審議中の刑事訴訟法の改正案は、取り調べの録音・録画とともに、司法取引を導入する。通信傍受も大幅に拡大する内容だ。冤罪(えんざい)防止という目的から逸脱する刑事司法の改革ではないか。

 今回の刑訴法などの改正のきっかけは、二〇〇九年の郵便不正事件だ。無実である厚生労働省前事務次官の村木厚子さん(当時は局長)が巻き込まれてしまった。冤罪をどうしたらなくせるかという問題意識が出発点だった。

 答えの一つが取り調べの録音・録画(可視化)だ。密室の取調室で虚偽の“自白”が強要されることをなくす-、それが期待された。だが、法案化の過程で、可視化の範囲が限定されてしまった。

 裁判員裁判の対象事件と検察の独自捜査事件だけだ。全事件のうちたったの約3%にすぎない。可視化の義務化は確かに一歩前進には違いないものの、対象範囲があまりに狭すぎる

 重大犯罪でなくとも、冤罪は起きる。設備などが整わない現状があるとしても、将来はすべての事件で可視化されるべきである。その方向性を打ち出したい。

 一方、可視化を受け入れた代わりに捜査側は新たな“武器”を手にすることになる。一つが司法取引だ。容疑者や被告が共犯者の犯罪を供述したり、証拠を提供すれば、起訴を見送ることも、求刑を軽くすることもできる

 これは虚偽の供述を生む恐れをはらむ。自分の罪を小さく見せるために、共犯者の罪を大きく見せることがあろう。あるいは無実の人を事件に巻き込む恐れもある。

 司法取引の場には弁護人が同席するが、容疑者や被告の利益を守る立場だ。共犯者の利益を守る立場にはないから、虚偽供述を生まない保証はない

 もう一つは通信傍受だ。薬物犯罪や銃器犯罪など四類型に限られていたものを組織的な詐欺や窃盗など九類型を追加する。しかも、従来は警察が通信事業者の元に赴き、第三者が立ち会っていたが今度は警察施設で傍受し、第三者の立ち会いも省く内容だ。

 通信の秘密を侵し、プライバシーを侵害しうる捜査手法である。捜査を進める半面、乱用の心配もつきまとう。憲法上の疑念もあり、危険性は少なくない。広い捜査権限を与えていいものか

 足利事件布川事件など近年も再審無罪事件がある。法改正では、冤罪防止の原点に立ち返った発想が求められる。
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