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●司法権力の〝執念〟: 映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』

2013年02月14日 00時00分26秒 | Weblog


綿井健陽さんの『逆視逆考PRESS』(http://watai.blog.so-net.ne.jp/2013-02-10)で、映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』(http://yakusoku-nabari.jp/introduction/http://yakusoku-nabari.jp/story/)のことを知りました。

   『●『創(2009年5月号)』
   『●高い冤罪の可能性: 名張毒ブドウ酒事件
   『●名張毒ぶどう酒事件という冤罪
   『●『冤罪File(No.10)』読了
   『●強大な氷山の一角としての冤罪発覚
   『●「疑わしきは罰する」名張毒ぶどう酒事件、あ~っため息が・・・

 名張毒ぶどう酒事件について、昨年5月末、第7次再審請求差戻審で名古屋高裁が再審の求めを却下している。綿井さんの言うように、正に「別の意味で恐るべし、司法権力の“執念”」である。

   「名古屋高裁刑事二部(下山保男裁判長)は二十五日午前、
    弁護側が提出した新証拠は「毒物がニッカリンTではないことを
    示すほどの証明力はなく、確定判決に合理的な疑いは生じない」として、
    検察側の異議を認め奥西勝死刑囚(86)の再審を開始しない
    と決定した。いったんは再審を開始すると判断した名古屋高裁刑事
    一部の決定(二〇〇五年)を取り消した。」
    (http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012052502000260.html
      (『●「疑わしきは罰する」名張毒ぶどう酒事件、あ~っため息が・・・』) 

 警察、検察、裁判所・・・・・・なぜここまで頑なに再審を拒むのか?

   「名張毒ぶどう酒冤罪事件の第7次再審請求差戻審で、またしても、
    名古屋高裁は開きかけた扉をあっさりと閉じてしまった。
    本当にまじめに新証拠の審査を行っているのか? 奥西勝死刑囚は
    無実の罪で囚われ、すでに86歳だそうだ。警察や裁判所の罪を
    糊塗したままで、冤罪は続いていく」

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http://watai.blog.so-net.ne.jp/2013-02-10

Twitterまとめ投稿 2013/02/10

wataitakeharu 
NHK放送文化研究所のシリーズ、『制作者研究』はどれも興味深い。ネット上でも全文がPDF閲覧できる。http://t.co/jbF8tvpO 個人的には、現代センター代表・吉永春子さんの登場を期待している。吉永さん、お元気だろうか?02/10 05:52

wataitakeharu 東海テレビの司法ドキュメンタリーの中でも、名張毒ぶどう酒シリーズは、どれも秀作だが、今回の『約束』(2月16日から劇場公開)はその中でも最高傑作だった。 http://t.co/75pUkmi9 恐るべし東海テレビの執念、そして、別の意味で恐るべし、司法権力の“執念”!02/10 05:22

wataitakeharu 昨日(9日・土)のTBS「報道特集」で放送された死刑執行の実態。http://t.co/2yA4BR8t 巡田忠彦記者による3回目の死刑リポートは、この番組の名物シリーズ企画となりつつある。東海テレビの司法ドキュメンタリー番組・映画と同じく、僕はこれからも必ず観ると思う。02/10 05:10

wataitakeharu 先日の高円寺ドキュメンタリー祭で、森口豁さん取材の沖縄ドキュメンタリー番組を観た人は、ぜひ以下のテキスト(PDFで全文閲覧可能)も読んでほしい。http://t.co/gIuIIc3Z あのETV特集放射能汚染地図」の七沢潔ディレクターが丹念に調べた森口豁さんの足跡。02/10 04:53
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http://yakusoku-nabari.jp/introduction/

何度裏切られても、彼が信じ続ける。
裁判所が事実と良心に従って、
無実を認めてくれると。

獄中から無実を訴え続けている死刑囚がいます。奥西勝、86歳。昭和36年、三重県名張市の小さな村の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡しました。「名張毒ぶどう酒事件」です。奥西は一度は犯行を自白しますが、逮捕後、一貫して「警察に自白を強要された」と主張、1審は無罪。しかし、2審で死刑判決。昭和47年、最高裁で死刑が確定しました。戦後唯一、無罪からの逆転死刑判決です。
事件から51年――際限なく繰り返される再審請求と棄却。その間、奥西は2桁を越える囚人が処刑台に行くのを見送りました。いつ自分に訪れるか分からない処刑に怯えながら
あなたは、その恐怖を、その孤独を、その人生を、想像することができますか?


これは、冤罪ではないか。
司法は、獄中死を望んでいるのか?

事件発生当初から蓄積した圧倒的な記録と証言を再検証し、本作を作り上げたのは、『平成ジレンマ』『死刑弁護人』の齊藤潤一斎藤潤一(脚本・監督)と阿武野勝彦(プロデューサー)。これは、東海テレビ放送の名物ドキュメンタリー「司法シリーズ」を手掛ける二人が、カメラが入ることが許されない独房の死刑囚を描き出す野心作である。
そして、奥西勝を演じるのは日本映画界の至宝、仲代達矢。息子の無実を信じ続ける母・タツノ役に、樹木希林。ナレーションをつとめるのは、寺島しのぶ
そう、本作は映画とジャーナリズムが日本の司法に根底から突きつける異議申立なのだ。


半世紀近く拘置所に閉じ込められている
奥西さんの心境は測りしれません。
私がこの状況に追い込まれたらどうなるか、
そういう気持ちで演じました。
60年俳優をやってきた中で、
私にとって記念碑的な作品です。
  ――――――――――― 仲代達矢


http://yakusoku-nabari.jp/story/

独房から無実を訴え続けている死刑囚がいる。奥西勝、86歳。昭和36年、三重県名張市の小さな村の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した。逮捕された奥西は「警察に自白を強制された」と訴え、無実を主張。1審は無罪だったものの、2審は逆転死刑判決。そして昭和47年、最高裁で死刑が確定した。奥西は、死刑執行の恐怖と闘いながら、いまも再審を求め続けている

奥西の無実を信じているのが、母、タツノ。事件で村を追われ、見知らぬ町で独り暮らしを始めた。内職をして電車賃を稼ぎ、月に1度、名古屋拘置所にいる息子に会いに行く。タツノは奥西に969通の手紙を送った。「お金のあるあいだ、湯たんぽを貸してもらい、牛乳も飲みなさい」「やっていないのは、おっかあが一番知っている」「長い間の苦労は毎日、涙いっぱいですよ」再審を待ち続ける母。奥西はタツノと約束をする。“無実を晴らして、必ず帰る” しかし、その約束は果たされることなく、母は昭和63年、84歳で亡くなった。

そしてもう一人、奥西を支え続けたのが支援者の川村富左吉※(73歳)。確定死刑囚への面会は、肉親と弁護士以外許されていないが、川村は法務省に掛け合い奥西との面会を許される。川村は奥西との面会を10冊のノートに記録した。「起床7時。運動毎日50分。運動は3坪ほどの部屋で歩くばかり」「作業、朝7時40分頃から袋貼り。午後4時に終わる。報酬は月2千円」「正月の食事、鯛の塩焼き・数の子・餅・赤飯・みかん・菓子。普段は米麦6対4」「息子が突然、面会に来た。20数年ぶり。嬉しかった」「誰かの死刑が執行された。一斉放送のニュースが突然切れたのでおかしいと思った」「胃がんの手術。3分の2を切除」

事件から44年後の平成17年4月、名古屋高裁は奥西の再審開始を決定した。川村と奥西は名古屋拘置所の面会室のガラス越しに握手。「今度は晴れて、塀の外で握手をしましょう」と二人は約束した。しかし、喜びもつかの間、検察が異議申し立てをし、再審は棚上げとなった。そして、その半年後、川村は病に倒れ、この世を去る。奥西との約束を果たすことができずに…。

平成18年、奥西の再審開始決定は名古屋高裁の別の裁判官によって取り消されたが、2009年、最高裁は名古屋高裁に審理を差し戻し。平成24年、名古屋高裁は再び、再審開始決定を取り消した――。

司法は、何を望んでいるのだろうか?

                               ※川村富左吉の「吉」の字の“土”は下が長い
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