東京新聞の萩原誠・神野光伸記者による記事【脱原発テントは消えても 避難者を優しく支えた場「またみんな集まってくる」】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201608/CK2016082202000109.html)。
《日曜未明の強制執行だった。東日本大震災後から約五年、脱原発運動の象徴的な場所として知られていた東京・霞が関の経済産業省敷地内のテントが東京地裁によって撤去された》。
3.11東京電力核発電人災以降、「福島の声」を聞き、そして、避難者に寄り添っていたのは、アベ様らでしょうか? それとも、経産省前テントひろばの皆さんですか? 答えが後者であることは明白です。
一連の裁判において、裁判長がヒラメ裁判官だったのかもしれないし、アベ様らがそれを画策したのかもしれない。そうではなく、非ヒラメ裁判官による公平で「冷静」な法的な判断だったのかもしれない。でも、それにしても「冷酷」な司法であり、法的な判断の埒外なのかもしれないが、「福島の声」も耳に届かず、避難者に寄り添おうともしない司法では、また、アベ様らへの過剰なすり寄りでは、あまりに「冷酷」過ぎる。2016年7月参院選の三度目のアベノサギに騙されてさえいなければ、強制執行までは出来なかったかもしれない…これまた「あとの祭り」。
今回の強制執行・強制撤去は「核なき世界」に向けての歩みにおいて「二歩さがる」なのかもしれないが、《「さしひき1歩」を積み重ねて》いかなければ…。このニッポンで、「双子の兄弟の一人」のタブーにも関連して、「核なき世界」の達成がこれほど遠いことに無念さを感じるし、司法の冷酷さに暗澹とした気分になる。
『●「九電本店前ひろば」「経産省前テントひろば」の継続した抗議行動』
「こういった抗議行動の継続は、もんじゅ君の言っていた
「脱原発は、三歩すすんで二歩さがる」「「さしひき1歩」を積み重ねて、
社会は変わっていくような気がするよ」に通ずる話だと思う」
『●経産省前テント村、設置から1000日』
『●冷たい国: 国が経産省前テントひろばの撤去を訴え裁判を起こす』
『●ハズレ東京地裁裁判長に当たってしまった:
国が経産省前テントひろばの撤去を訴えて起していた裁判』
「法廷は民事第37部、村上正敏裁判長。被告と代理人は、
昨年より裁判長の忌避を申し立てており、誰も出廷せずボイコットした。
そうしたなか、2時頃に開廷。「村上裁判長は非常に聴き取りにくい
小さな声で判決文を読み上げるとそそくさと退廷。傍聴人が一斉に
抗議の声を上げたところ、裁判長が戻って来て、これも小さな声で
『退廷命令』を下した」(傍聴した支援者)とのこと。
法廷前の廊下にも支援者がつめかけ、「不当判決を許さないぞ」
「福島の声を聞け」と怒号が飛び交うなか、支援者2名が廷吏に拘束され、
裁判所の外に追い出された。
判決は、国側の主張を全面的に認め、テントの撤去及び、
土地使用料として約1140万円の支払いを命じた。判決確定前に
テント撤去を強制執行できる仮執行も認めている」
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201608/CK2016082202000109.html】
脱原発テントは消えても 避難者を優しく支えた場「またみんな集まってくる」
2016年8月22日 朝刊
(強制撤去される、脱原発テント。後方は経産省
=21日午前3時51分、東京・霞が関で)
日曜未明の強制執行だった。東日本大震災後から約五年、脱原発運動の象徴的な場所として知られていた東京・霞が関の経済産業省敷地内のテントが東京地裁によって撤去された。東京電力福島第一原発事故で避難生活をしている人や、福島で畜産業を続ける人からは「第二の古里を返して」「国への抗議のやり方は別にある」という声が上がった。 (萩原誠、神野光伸)
「何も持たずに逃げてきた。こんな私をテント村の人たちは
優しく支えてくれた。その第二の古里を返して」
原発事故直後、福島県双葉町から避難し、東京都港区で暮らす主婦亀屋幸子さん(72)は、テントのなくなった経産省前で涙ながらに語った。毎週金曜の集会に通い続けた。市民団体のメンバーからの電話で未明に駆け付けたが、テントの撤去作業を見守るしかできなかった。
テントを設置した市民団体代表の淵上太郎さん(74)は「今ここにテントはないが、脱原発の行動をやめるということはあり得ない」と話した。
強制撤去が始まったのは午前三時四十分。静まり返った暗がりの官庁街に、東京地裁の執行官らが現れた。市民団体のメンバーによると、テントの中には五人の男性が寝泊まりしていた。ガタガタという音が聞こえて目が覚めたという国立市の男性会社員(53)によると、「強制撤去を執行します。十分以内に私物を持って出てください」と通告された。
寝泊まりしていた男性らが執行官に囲まれるようにテントから出てきた。ほとんどの人が抵抗することなく皆自分たちの荷物を持ち、テントひろば向かいの歩道まで追い出された。
テントの中にいた北区の無職の男性(63)は「寝ている時に来るなんて、汚いやり方。悔しい」と嘆き、もう一人の北区の男性(64)は「テントは霞が関のオアシスのようだった」と語った。
午後一時から、テントの跡地で開かれた抗議集会には約百人が集まった。たまたまこの日、テントを訪れる予定で上京した福島県浪江町の畜産農家吉沢正巳さん(62)も参加。吉沢さんは福島第一原発事故で被ばくした牛を飼育しており、「福島の原発事故の反省もないまま国は原発を動かしていく。私たちの街は原発事故でチェルノブイリの状態になり、多くの人や家畜が亡くなった」と訴えた。
さらに「テントは脱原発の象徴だったが、抗議のやり方は別にある。テントがあった場所にまた皆集まってくるはず。命そのものがどう扱われてきたか訴えることは変わらない」と強調した。
捜査関係者によると、抗議集会では、吉沢さんが持ち込んだ牛のオブジェをどけようとした男性警察官にぶつかって抗議したとして、丸の内署が公務執行妨害の疑いで、六十代の男性参加者を現行犯逮捕した。男性は黙秘しているという。
◆有無言わさぬ国の意思
武蔵大・永田浩三教授(メディア社会学)の話 テントは再稼働反対や脱原発を多面的に考える拠点になっていた。原発の再稼働を目指す現在の政権下では、そういう日が来るだろうと予想された。不法占拠と言われれば、そうではないとは言いにくいが、判決では表現の場として一定の評価をしていた。国が強制執行を申し立てたのは、参議院選挙での勝利で政権として信任され、有無を言わさないという意思表示だ。
◆都合の悪い主張の排除
高千穂大・五野井郁夫教授(政治学)の話 省庁の敷地内で5年近く活動を続けたのは前例がない。賛否両論はあるが、党派を超えた人々が集まり、権力に対して議論をする場となっていた。今回の強制執行は、政治に対して声を上げることへの不寛容さの表れだ。テントの撤去は不法占拠という理由だが、政府にとって都合の悪い主張の排除と受け取られてもしかたがない。
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