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●斎藤貴男さん《安倍政治の最大の罪は、民主主義を完全に形骸化し、日本社会を根底から腐らせたこと…》《ネポティズム》《冷笑主義の蔓延》

2022年08月20日 00時00分13秒 | Weblog

[※ 「国葬反対」(週刊金曜日 1388号、2022年08月05日・12日合併号) ↑]


(2022年08月07日[日])
「功」を一つも思い出せないが、「罪」と言われれば、最後のアベ様案件としての統一協会問題…票の差配までもやっていた訳で、ズブズブヅボヅボだった訳です。〝感染者〟によって、どれだけ選挙や投票行動が歪められていたのか…。それでも、自公お維コミを支持するのですか? 正気ですか?
 統一協会汚染議員の一掃…《本来は支持者こそが提言しなければならない善後策であるはずだ。あれだけ奉り続けた元総裁であり、元首相が、彼らのせいで殺されたのだから》。真の保守・真の右翼の皆さん、何してるんですか? 斎藤貴男さんの仰る通り、《自民党は独善の塊…カルトに支配された政権では国民は救われない》。

 斎藤貴男さんは《日本社会を根底から腐らせた》《安倍政治の最大の罪民主主義を完全に形骸化し、日本社会を根底から腐らせたことです》と。同様に、小出裕章さんは《彼のしたこと、しようとしてきたことはただただカネ儲け、戦争ができる国への道づくりだった》、また、安田菜津紀さんは《安倍政権とは何だったのか…「強きにすり寄り、弱きをへし折る政権」…「引き継がれた『膿』を出し切るのはこれから」》。
 週刊朝日の記事【【“安倍政治”の功と罪】ジャーナリスト斎藤貴男日本社会を根底から腐らせた」】(https://dot.asahi.com/wa/2022080300019.html)によると、《第2次安倍政権は、特定秘密保護法安保法制などで強行採決を連発し、森友加計学園問題や「桜を見る会」を巡る問題などスキャンダルが続出した。長期政権が残した歪みは大きい。ジャーナリストの斎藤貴男さんに聞いた》。

 統一協会の《実質トップの名前を自ら挙げ、敬意を表した》ズブズブヅボヅボな“天敵”! 票の差配までしていたヅボヅボな“天敵”。
 再度引用。日刊ゲンダイのコラム【室井佑月の「嗚呼、仰ってますが。」/安倍元首相が旧統一教会の“天敵”って…飲んでるお茶を噴いてしまったぜ】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/309337)によると、《安倍元首相が、旧統一教会の天敵だった? ふぁっ、飲んでるお茶を噴いてしまったぜ。教会のダミー団体の人を、安倍さん主催の『桜を見る会』に招待していたじゃん。教団の大会に、嬉々としてお祝いメッセージ出してたじゃん。最近の報道では、安倍さんの了解がなければ、選挙の時、教団に応援を頼めなかった、ということまでわかっている。他の番組出演者も、なぜそのことを指摘しない? 情弱か?》

   『●「統一協会、暴力団、日本会議に神道議員連盟…どうするの」と
     ヤジり返して、アベ様にそれらの真偽を確認してもらうべきだった
   『●あとの祭り…《故人の過大評価、美化・神格化…「安倍元首相の悲願は
        憲法改正」「憲法改正が安倍元首相の夢だった」》の垂れ流し…
   『●《二〇二一年時点で民主主義国は八十九で、権威主義国は九十。世界人口
       の七割の約五十四億人が権威主義下で暮ら》す…91国目に堕ちる?
   『●《私は意見を言いません、強いものの近くにいたいのです、という宣言
      に、音楽業界の偉い人がすり寄っているという光景は、あまりに…》
   『●前川喜平さん《「暴力と言論」…言論の衰退と暴力の増長の悪循環を
     止めるには言論を立て直すしかない。だから今言論が委縮してはいけない》
   『●《メディアコントロール》という置き土産 … 《新聞・テレビはこの
      宗教団体の名前を報じていないが、ネット上では「統一教会」…》
   『●《彼のしたこと、しようとしてきたことはただただカネ儲け、戦争が
     できる国への道づくりだった》…それを支持する「1/4」と「2/4」
   『●《「民主主義への挑戦・冒涜」という点で言えば、それこそ安倍政権の
        8年とは、まさに民主主義への挑戦と冒涜、否定の連続であった》
   『●《元首相の死によってすべての疑惑を闇に葬り去るどころか、安倍氏を
     神格化しようとしている》…「民主主義を断固として〝破壊〟する決意」
   『●「不気味な兆候」は既に現実になっている…《まさに言論の砦たる
        メディアとメディア人の役割が問われています》(青木理さん)
   『●《少数意見を尊重し、歩調を合わせようと努めて議論を重ね、成り
     立ってきた戦後民主主義ではないか。それを「聞かない」とは。…》
   『●《メディアコントロール》は続いている…《だからといって、政治》と
     統一協会の《関係について徹底追及がおこなわれているわけではない》
   『●武田砂鉄さん《繰り返し問題視されてきた団体…付き合いが深い議員…。
      再発防止のためにも、宗教と政治の関係を洗い出すのが必要不可欠》
   『●つまり、アベ様は《堂々と、司法の場でも違法性が指摘されている》
     統一協会の《実質トップの名前を自ら挙げ、敬意を表したのである》
   『●キシダメ首相は「民主主義を断固守る」ために国葬を行うというが、
     (政界地獄耳)《よほど民主主義を逸脱し独裁的ではないのか》?
   『●統一協会名称変更問題…《実体が変わらないのに、名称を変えることは
        できない》はずなのに、《あり得ない》ことがなぜ可能になったの?
   『●元文科相からして、統一協会とズブズブだったのではないのか? 反面
      教師として、文科省道徳教育教材『わたしたちの道徳』に載せては?
   『●伊達忠一前参議院議長が元総理に統一協会票を依頼したと驚きの証言…
     《今回…安倍さんは…。『井上(義行氏)をアレ(支援)するんだ』…》
   『●汚染責任者アベ様という壺の蓋が割れた瞬間に、自民党“統一協会汚染”
      物質が壺から噴出…衆参院議長、防衛相、文科相、国家公安委員長…
   『●《暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または
     個人》=統一協会…《自民党が大っぴらに反社とつながっていることに》
   『●茂木敏充幹事長、統一協会と「党としては一切関係がない」…《その
     爛れた関係が岸信夫防衛相や二之湯智国家公安委員長、末松信介文科相…》
   『●《法外な寄付を集め、家庭を崩壊させるような活動が問題に…次々と関与が
       判明する自民党こそ、教団との関係を国会の場で丁寧に説明すべき》
   『●《このように安倍氏の一存で統一教会の組織票の差配が決まっていたと
     すれば…》…もはや開いた口が塞がらないよ。どこまでズブズブだったの?
   『●安田菜津紀さん《安倍政権とは何だったのか…「強きにすり寄り、
      弱きをへし折る政権」…「引き継がれた『膿』を出し切るのはこれから」》
   『●統一協会汚染議員一掃…《支持者こそが提言しなければならない善後策
      …あれだけ奉り続けた…元首相が、彼らのせいで殺されたのだから》

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https://dot.asahi.com/wa/2022080300019.html

【“安倍政治”の功と罪】ジャーナリスト斎藤貴男「日本社会を根底から腐らせた」
2022/08/04 08:00

     (斎藤貴男さん/ ジャーナリスト)

 第2次安倍政権は、特定秘密保護法安保法制などで強行採決を連発し、森友加計学園問題や「桜を見る会」を巡る問題などスキャンダルが続出した。長期政権が残した歪みは大きい。ジャーナリストの斎藤貴男さんに聞いた。

*  *  *

 安倍氏への銃撃事件には大変な衝撃を受けました。謹んでご冥福をお祈りしたい。しかし、7年8カ月に及んだ「安倍政治」の評価を問われれば、それはまた別の話です。

 集団的自衛権行使容認アベノミクスなど個別の政策については、議論が分かれるところだと思います。それよりも、安倍政治の最大の罪民主主義を完全に形骸化し、日本社会を根底から腐らせたことです

 安倍氏なりの理想とする“国家像”というものがあったのでしょう。けれども、それを実現するためには手段を選ばなかった自分の理想以外の価値観を軽視し、踏みにじってきました

 異論に耳を傾けず、重要法案を数の力で押し切った特定秘密保護法安保法制、「共謀罪」法などで強行採決を連発しました。安倍氏の考えに共感できる人たちにはすごく頼もしくも映ったでしょうが、反感を持つ人たちは強烈な怒りを覚え、国論が両極端になっていきました。

 森友加計問題桜を見る会では、公文書の改竄(かいざん)や廃棄が常態化。具体的な証拠を突きつけられても「批判は当たらない」で済ませ、権力者は何をやってもよいのだ、というのが自民党や官僚の常識になりました

 こうした強権的な手法やスキャンダルを巡って国論は二分され、ネット上などで互いに罵詈(ばり)雑言を浴びせ合うようになりました。社会が分断されたのは、新自由主義によって格差が広がったのも主因です。公正な競争など望むべくもない条件の差をそのままに、いわゆる“負け組”はすべて自己責任で片付けられてきた。新自由主義は小泉純一郎政権の時に顕著となり、当然の帰結として安倍政権ではネポティズム縁故主義がはびこりました

     (安保法制に反対する国会前デモ)

 今回の国葬を決めた岸田首相は政権維持のため、安倍派を取り込みたいという思いもあったのでしょう。しかし、国葬を巡っても賛否は真っ二つに分かれています。これ以上、国民を分断することは避けるべきです。

 分断と対立が進んで最も懸念されるのは、冷笑主義の蔓延(まんえん)です。安倍氏は国会で質問中の野党議員に対して、「日教組、日教組」とヤジを飛ばしたことがありました。日本教職員組合の何が問題かを説明もせずに、日教組という名称そのものを悪口にして、せせら笑ったのです真っ当な批判に耳を傾けるどころか、お互い議論をしようという態度さえ冷笑の対象になる。これでは罵(ののし)り合っているほうがまだマシ。社会の閉塞(へいそく)感はますます高まるばかりです。

(構成 本誌・亀井洋志)


※週刊朝日  2022年8月12日号
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●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》

2019年10月30日 00時00分40秒 | Weblog


東京新聞の2019年6月28日の社説【最高裁の判断 なぜ再審の扉を閉ざす】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019070102000126.html)。
亀井洋志氏による、週刊朝日の記事【袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 】(https://dot.asahi.com/wa/2019062800063.html)。

 《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての再審請求だった…疑わしきは被告人の利益には再審請求にも当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めてはならない》。
 《静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど“新証拠”を提出した》。

   『●「「3.11」から2年③ 東北復興と壁」
         /『週刊金曜日』(2013年3月15日、935号)について
    「山口正紀さん【裁判長の訴訟指揮も報じるべきだ 大崎事件再審請求】、
     「冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…
     マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、
     無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう」」

   『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件
   『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
       ・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足

   『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
      「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」
   『●39年間「あたいはやっちょらん」、
     一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を

   『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
      あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】
   『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
      三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し
    「まず、小池裕裁判長について。《小池裕氏は、NPO法人による
     森友学園問題で国側が持つ交渉記録等の証拠保全の申し立てについて、
     最高裁の裁判長として保全を認めなかった高裁判断を支持し、
     抗告を棄却した》方です。アベ様には寛大なるご判断、一般市民には
     《あまりにも横暴》、冷酷。「司法判断」としてもデタラメ」

 再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定が出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れているのか? 誤りを潔く認めるべきだ。
 山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。
 「無辜の救済」を拒む最「低」裁の意図は何か?
 白鳥決定を持ち出すと、原口アヤ子さんを何か犯人であるかのような印象を与えてしまうかもしれない。でも、冤罪なのですから、「無辜の救済」が正しい表現。

   『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
      「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》
    《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけには
     いかないのだ」▼袴田さんの無実を信じる人にとってはどうあっても狼に
     許されぬイソップ寓話(ぐうわ)の羊を思い出すかもしれない…
     検察と裁判所を納得させる羊の反論の旅はなおも続くのか
     ▼事件から五十二年長すぎる旅である

   『●《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ…
       政権や検察に忖度した東京高裁、そして、絶望的な最「低」裁
    「NTVの【NNNドキュメント’18我、生還す -神となった死刑囚・
     袴田巖の52年-】…《今年6月、東京高裁が再審開始を取り消した
     「袴田事件」。前代未聞の釈放から4年半、袴田巖さんは死刑囚のまま
     姉と二人故郷浜松で暮らす》」
    「三権分立からほど遠く、法治国家として公正に法に照らした
     「司法判断」ができず、アベ様ら政権に忖度した「政治判断」乱発な、
     ニッポン国の最「低」裁に何を期待できようか…。
     《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》だ」

   『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
       証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」
   『●袴田秀子さん《ボクシングに対する偏見…
      チンピラだっていうイメージ…その印象以外に何の証拠もなかった》

 《袴田巌さんは、いまも、死刑囚のまま》。《特別抗告が棄却され、袴田さんが再収監されるような事態になれば、国民の信頼はおろか、海外からも日本の司法は総スカンを食うことになる》。

   『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…
      無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019070102000126.html

【社説】
最高裁の判断 なぜ再審の扉を閉ざす
2019年6月28日

 四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。

 「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての再審請求だった。

 鹿児島県大崎町で一九七九年に起きた事件だった。被害者が酒に酔い、側溝に落ちているのを住民が発見した。三日後に遺体が自宅横にある牛小屋で見つかった。原口さんは隣に住み、被害者の義姉にあたる。親族の計四人が殺人容疑などで逮捕され、八一年に最高裁で確定した。

 そもそも本当に殺人なのかも疑われる事件だ。側溝に転落した際の「出血性ショック死の可能性が極めて高い」からだ。新証拠の鑑定はそう記している。この見方は地裁・高裁も支持している。何しろ確定判決時の鑑定は「他殺を想像させる。窒息死と推定」という程度のあいまいさだった。

 では、絞殺という根拠は何か。実は共犯者とされた親族の自白に寄り掛かっている。供述は捜査段階でくるくる変わる。虚偽自白の疑いとみても不思議でない。

 なぜ自白したか。「警察の調べが厳しかったから」だそうだ。しかも知的障害のある人だった。今なら取り調べが適切だったか、捜査側がチェックされたはずだ。

 最高裁は新鑑定を「遺体を直接検分していない」「十二枚の写真からしか遺体の情報を得られていない」と証明力を否定した。親族の自白は「相互に支え合い信用性は強固」とした。だが、本当に「強固」なのか。過去の冤罪(えんざい)事件では、捜査側が描くストーリーに沿った供述を得るため、強要や誘導があるのはもはや常識である。

 最高裁の判断には大いに違和感を持つ。審理を高裁に差し戻すこともできたはずである。事件の真相に接近するには、そうすべきだった。事故死か他殺かの決着も、再審公判でできたはずだ。再審取り消しは論理自体が強引である。もっと丁寧に真実を追求する姿勢が見えないと、国民の司法に対する信頼さえ損なう

 疑わしきは被告人の利益には再審請求にも当てはまる。その原則があるのも、裁判所は無辜(むこ)の救済の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めてはならない。
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https://dot.asahi.com/wa/2019062800063.html

袴田事件で「捜査機関が証拠を”捏造”」 弁護団が新証拠の補充書を最高裁に提出 
亀井洋志 2019.7.1 10:30 週刊朝日

     (白半袖シャツに開いた2つの穴と、袴田さんの体の傷(赤ライン)の位置)
     (味噌タンクから発見された白半袖シャツ。右肩の2つの穴の周りだけ
      血が付いている=いずれも藤原よし江さん提供)

 静岡地裁の再審開始決定を取り消した東京高裁決定から、1年余りが経過した。死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さん(83)は最高裁に特別抗告中だが、弁護団はこのほど“新証拠”を提出した。焦点となるのは、袴田さんの犯行時の着衣とされた「5点の衣類(スポーツシャツ、白半袖シャツ、ズボン、ステテコ、ブリーフ)」だ。弁護団は衣類は袴田さんのものではなく、捜査機関によって捏造(ねつぞう)された可能性が高いと重ねて主張した。

    (【写真】味噌工場のタンクから発見された白半袖シャツはこちら)

 改めて事件を振り返る。1966年6月30日、静岡県清水市(現・静岡市清水区)の味噌会社の専務宅から出火。焼け跡から一家4人の他殺死体が見つかった。味噌会社の従業員で当時30歳だった袴田さんが強盗殺人などの疑いで逮捕された。袴田さんは連日10時間以上に及ぶ苛酷な取り調べを受け、逮捕から20日目に「自白」してしまう。裁判では無罪を主張したが、事件から1年2カ月も経って味噌工場のタンクの中から血染めの衣類が発見される。いま焦点となっている「5点の衣類」だ。事件直後、警察が徹底的に捜索しながら見つからなかった衣類が突然発見されるのだから、きわめて不可解な展開だ。

 その後、警察は袴田さんの実家を捜索すると、都合のいいことに発見されたズボンの共切れを見つけ出す。その結果、「5点の衣類」が決定的な証拠とされ、68年9月、静岡地裁は袴田さんに死刑判決を言い渡したのである。

 2度目の再審請求で弁護団は、新証拠についての書面を提出した。そこで指摘したのは、「5点の衣類」のうち、スポーツシャツと、下着の白半袖シャツの右肩に付いた穴状の損傷に関するものだ。事件当時、袴田さんは白半袖シャツの上にスポーツシャツを着て、右肩(右上腕部)にケガをしたとされている。だが、不自然なことにスポーツシャツの右肩には釘で刺したような穴が1カ所あるだけだが、白半袖シャツには穴が二つ空いている。しかも、穴の位置がいずれも一致せずに、ずれているのだ。

 実は、死刑が確定する前の東京高裁で、犯行着衣とされた「5点の衣類」が本当に袴田さんのものなのかを検証するための試着実験が行われている。この時、衣類の穴の矛盾点が明らかになったが、裁判ではほとんど問題にされなかったという。その理由について、袴田さんの弁護団が6月7日に開いた記者会見で、角替(つのがえ)清美弁護士が次のように説明した。

「高裁は、確かに穴の位置はずれているが、おおむね一致している、という見方でした。スポーツシャツに穴が一つで、白半袖シャツに二つあることについては、スポーツシャツはゆったりしているが、白半袖シャツは肌にぴったりと密着している。だから一度スポーツシャツに刺さった鋭い刃物状のものが、白シャツの2カ所に穴を開けることもあり得るということでした」

 白半袖シャツの二つの穴の周囲には、内側から染みついた袴田さんのものとされるB型の血がついていた。ここで気になるのは、出血した袴田さんの傷の位置はどこなのか、ということだ。

 袴田さんは2014年、逮捕されてから47年7カ月ぶりに釈放されたが、驚くべきことに右肩の傷あとが残っていたのだ。生きた証拠であり、衣類の穴との位置関係を比較すれば、矛盾点はいっそう明確になる。

 この測定実験を思い立った支援者の藤原よし江さんは、「5点の衣類」の写真など、裁判資料をもとにスポーツシャツと白半袖シャツの穴を再現し、測定した。その結果、スポーツシャツの穴も、白半袖シャツにできた二つの穴も、袴田さんの傷あとの位置とは、まったく一致しなかったのである。

 藤原さんに話を聞いた。

「シャツの穴の問題は、ずっとおかしいと思っていました。控訴審の段階でも弁護団(再審弁護団とは別)が鑑定を求めていますが、裁判所は却下しました。白半袖シャツの穴のまわりには血が付いているのに、袴田さんの肩の傷の位置に血が付いていない=写真参照=のは、誰が見てもおかしいと思うはずです」

 袴田さんがこれまで一貫して主張し続けてきたのは、事件当時、パジャマ姿で専務宅の消火活動を手伝い、その際、右肩にケガをしたということだ。

 実際にパジャマの右肩部分に、何かに引っ掛けてできた「カギ裂き」の破れがあり、その部分に血が付いていたことがわかった。袴田さんの体の傷あとを測定した藤原さんは、判決文などをもとにパジャマのカギ裂き部分も特定した。すると、傷あとの位置とぴったりと一致したのである。藤原さんが語る。

「裁判所は、パジャマにカギ裂きがあることや、カギ裂きの位置も確認しながら、袴田さんが右肩に傷を負ったことを示す衣類が、二つあることのおかしさについては黙殺したのです。ものすごく非常識な認定をしながら、死刑判決を出していることが本当に許せません」

 再審請求審で弁護団は、本田克也・筑波大学教授(法医学)に鑑定を依頼した。本田教授は「5点の衣類」に付着した血液のDNA型は、被害者のものと一致しないと結論付け、白シャツの右肩の穴のまわりに付いた血も、「袴田さんのものではない」との結果を出した。今回の藤原さんの測定実験も、この「本田鑑定」の正しさを裏付けている。

 14年5月、静岡地裁はこのDNA鑑定結果を「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」と評価し、再審開始を認める決定をした。当時の村山浩昭裁判長は「(5点の衣類は)捜査機関によって捏造された疑いがある」とまで言及し、「これ以上拘束を続けることは、耐え難いほど正義に反する」として拘置の執行停止も決めたのだ。

 だが、昨年6月、東京高裁(大島隆明裁判長)は、本田教授のDNA型鑑定について「手法に疑問がある」などとして、「新証拠としては認められない」とした。

 昨年6月に弁護団が最高裁に特別抗告してから、1年が経過した。弁護団は最高裁側の感触を得るため、調査官に面談を求めているが、回答すらしてこないという。

 最高裁の調査官は、裁判官の指示に従って裁判に必要な調査を行い、資料の作成や、判決の素案作りなどを行う黒子役だ。主席調査官のもとに上席調査官3人が、刑事・民事・行政事件を担当している。最高裁の調査官には、エリートと目される裁判官が起用される。

 弁護団の西嶋勝彦弁護士がこう嘆く。

「20年くらい前までは、調査官も気さくに面談に応じたものです。袴田事件ばかりではなく、名張毒ぶどう酒事件でも対応してくれていました。特別抗告状や補充書の論点を口頭で説明したり、時にはスライドなどを使ったりすることもありました。それが、裁判官会議の申し合わせで決めたのか、ある時から一斉に対応しなくなったのです。調査官がどこまで記録を読み込んでいるのか、裁判官がどこまで合議しているのか。ブラックボックスでまったくわからなくなってしまいました」

 最高裁の決定はある日突然、何の前触れもなく通知される。こんなシステムはおかしいのではないか。調査官が弁護側の面談に応じれば、証拠との向き合い方はまったく異なってくるだろう。現在の調査官に、証拠を丁寧に吟味する姿勢は見られない

 『裁判官幹部人事の研究』などの著書がある明治大学政治経済学部の西川伸一教授がこう指摘する。

「最高裁は孤高の存在で、国民から恐れられているくらいのほうが判決に威厳があっていいんだという発想があるのでしょう。一方で、裁判官は選挙で選ばれるわけではないから、国民の信頼を失うことを非常に恐れています。最高裁長官は年頭のあいさつに、必ず『国民の信頼』という言葉を入れています。けれども、国民に向けて閉鎖的なイメージは拭いようもありません。調査官は各小法廷の裁判官に資料を上げるだけなのですから、合議の秘密には当たらないはずです。弁護人と会談するのも裁判に必要な調査の一環だと思いますが、どうにもユーザーフレンドリーではありませんね」

 特別抗告が棄却され、袴田さんが再収監されるような事態になれば、国民の信頼はおろか、海外からも日本の司法は総スカンを食うことになるだろう。袴田事件のこれまでの経過に対し、再審開始を決定した静岡地裁が発した「耐え難いほど正義に反するという戒めが、軽んじられるようなことがあってはならない。(本誌・亀井洋志
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●《その(貸し付けの)段階で(昭恵夫人は)名誉校長を引き受けていた》=「関係」…そして、福田会問題

2018年04月03日 00時00分54秒 | Weblog

[※ 自公選挙公約「子育て…」小躍りするアベ様日刊ゲンダイ(2017年12月19日)↑]



週刊朝日の記事【まだあるアンタッチャブルな昭恵夫人“案件”を徹底検証】(https://dot.asahi.com/wa/2018032700028.html)。

 《真犯人が誰なのかは、国民の目にも明らかで、茶番劇に過ぎない。そして霞が関で「首相夫人案件」と呼ばれる案件は森友だけではない…森友学園のように破格の条件で国有地が払い下げられた社会福祉法人福田会(ふくでんかい)」…ジャーナリストの山岡俊介氏が語る。「奇妙なのは、福田会はかつて国有地払い下げをめぐって3億円の詐欺事件を起こし、元理事長が逮捕されたこともある。国有地を狙い、不動産ブローカーらが暗躍安倍洋子氏を知る大物フィクサーの関与も取り沙汰され、騒ぎになった」…福島瑞穂参院議員はこう指摘する。「福田会に国有地が譲渡された経緯も不可思議と言わざるを得ません。昭恵さんは総理夫人の立場で法人などに関与することに無頓着すぎます」》。

 アベ様御夫妻案件続出。今度は、 「福田会(ふくでんかい)」。

   『●有印公文書偽造=決裁文書書き換え…
       「行政府の長」と財務相が責任をとるべき大変な犯罪

   『●決裁文書書き換えという犯罪…「最低の官房長官」が
          沖縄に向けて言い放った「法治国家」を取り返さねば

   『●「有印公文書偽造=決裁文書書き換え」朝日新聞大スクープ
                     …その直度にアベ様らのやっていたこと
   『●「2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日」からの 
         この1年間の無駄…泥縄で有耶無耶にするつもり?
   『●「2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日」が
        公文書「書き換え」という名の「捏造」=犯罪の引き金
   『●元祖?・有言実行されない大見得・啖呵
      《報道がそれで抑圧される、そんな例があったら私は辞める》
   『●「国が壊れ、どんどん落ちぶれていく…
       「国難」を叫ぶ人こそが、「国難」の中心にある…」(久原穏さん)
   『●辺野古高江裁判とヒラメ…《「人権のとりで」としての司法が
                 その役割を果たさず、行政と一体化すれば…》
   『●それぞれの「面従腹背」…《官僚は…政治家は
      尊重しなければならないが、魂までは明け渡してはならない》
   『●「粉飾された「美しい国」」…
     「「夫人、ひいては首相の顔をつぶすわけにはいかない」という恐怖政治」

   『●室井佑月さんによるアベ様の「美しい国」「日本を取り戻す」再考…
                   答えは「日本=アベ様そのもの」
   『●「谷査恵子氏の上司」「真に喚問すべきキーパーソン」今井尚哉氏。
                   そして、お維・松井一郎氏は…?
   『●オトモダチ「利権」塗れ…「この国でもっとも「利権」から遠い
            生活保護受給者の暮らしがまた脅かされる」
   『●「「トカゲのシッポ切り」ではなく、「頭の切り離し」」(森裕子さん)。
                 佐川事件でなくアベ様御夫妻案件


 東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018032802000142.html)によると、《▼真相解明にはほど遠かった。証人の佐川前国税庁長官は訴追のおそれを理由に決裁文書改ざんの経緯を明かさぬ。ただ一点、不自然なほど強調したのは首相や夫人の土地売却への関与はないということである▼うまくかわした、おつもりかもしれぬ。しかし、核心を避けながら「責任は自分に」と誰かを守ろうとする姿を国民はどう見たであろう。その証言自体にこの問題に潜む「忖度(そんたく)」の二文字があらためて浮かばなかったか▼どこかに、「国民のための」という眼鏡を置き忘れなかったか。仕事熱心なお方に見えた。その分、悲しい》。
 自民党の詐称する「佐川事件」ではなく、アベ様御夫妻案件であることが明確化。

 日刊スポーツのコラム【政界地獄耳/森友追及で野党が犯した痛恨のミスとは】(https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/news/201803280000175.html)によると、《★一方野党は、昨年1年の国会での森友問題追及で痛恨のミスを犯していた。昨年2月、首相が自らや夫人、事務所が関与していたら首相のみならず国会議員も辞めると発言したことに引きずられすぎた。ここでポイントになるのは「関与」「感知」という言葉の定義だ》。
 でも、《その(貸し付けの)段階で(昭恵夫人は)名誉校長を引き受けていた》=「関係」していたわけで、「関与」していたのです。アベ様もそれを国会で認めています。とっくに、「2017年2月17日はアベ様のタンカ記念日」の啖呵・大見得を有言実行しなければいけなかった。

   『●アベ様は「妻…が関係」を認めた!  
      〈妻や私…が関係していたら総理も国会議員も辞める〉の有言実行を!
    《〈妻や私、事務所が関係していたら総理も国会議員も辞める〉 
     この発言についてあらためて追及したのは、立憲民主党の本多平直議員。
     …谷氏の財務省への問い合わせにより国有地の貸し付けには
     関わってしまっているので、安倍首相は姑息にも、売却と貸し付けとを
     区別して逃れようとしているのである》

 そして、次から次にアベ様御夫妻案件が溢れ出てきます。「福田会(ふくでんかい)」案件については、既に、アクセスジャーナルで、山岡俊介さんが取り上げておられます。 
 【本紙指摘の国有地払い下げの福田会ーー鈴蘭会ーー森友学園の接点】(http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=8473)によると、《財務省所有の国有地がタダで、安倍首相の妻・昭恵氏が後援会長を務める社会福祉法人「福田会」(東京都渋谷区)に払い下げされて…》。
 アベ様御夫妻案件No.4?、No.5??…最早カウントできない酷い状況ではないですか?
 同誌上の記事【<記事紹介>本紙では昨年5月に指摘ーー「まだある“安倍昭恵首相夫人案件”」(『週刊朝日』4月6日増大号)】(http://www.accessjournal.jp/modules/weblog/details.php?blog_id=8481)によると、《本日発売の『週刊朝日』が、安倍昭恵首相夫人が名誉会長や顧問を務めた団体やイベントは主なものだけも20以上あるが、森本学園のように破格の条件で(東京・渋谷の一等地700坪の国有地が財務省から無償で払い下げられたということで注目されるとして、巻頭特集記事で「福田会」という社会福祉法人を取り上げている。この福田会の無償払い下げの事実は、本紙では昨年5月から6月にかけ3回連載で、「母・洋子氏の影もーーアッキーが“後援会長”務める社会福祉法人に国有地払い下げ」のタイトルで指摘。そして、つい最近、再掲していた。そうしたことから、本紙・山岡は同記事でコメントをしている。この機会に、是非、本紙のその過去記事もご覧いただきたい》。

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https://dot.asahi.com/wa/2018032700028.html

まだあるアンタッチャブルな昭恵夫人“案件”を徹底検証
亀井洋志, 小泉耕平, 上田耕司, 大塚淳史, 森下香枝, 村上新太郎2018.3.28 07:00週刊朝日 #安倍政権 #森友学園

     (安倍昭恵氏 (c)朝日新聞社)
     (昭恵氏が名誉会長や顧問などを務めた主な団体やイベント
      (週刊朝日 2018年4月6日号より))

 森友学園を巡る一連の問題の“主犯”として国会に差し出され、証人喚問される佐川宣寿前国税庁長官。だが、“真犯人”が誰なのかは、国民の目にも明らかで、茶番劇に過ぎない。そして霞が関で「首相夫人案件」と呼ばれる案件は森友だけではない。徹底検証した。

 ある自民党幹部によれば、安倍晋三首相夫人の昭恵氏は最近、自宅にはあまり帰宅せず、ホテルを転々とし、講演や、芸能人らが参加するセレブパーティーに参加するなど相変わらずの生活を送っているという。

   「国会で野党に昭恵さんの名前を連呼されることが、安倍さんには
    ボディーブローのように効いている。最近は体調を崩し、
    ホテルのスパに籠もり、点滴を受けるなど元気がない。昭恵さんは
    もう唯我独尊で、誰にも止められないようだ。これ以上、
    非難されないよう党としては行動を自粛してほしいが、
    『何とかして』と安倍さんに言える人は誰もいない。
    アンタッチャブルな存在なんですよ」

 安倍首相の「ゴッドマザー」で昭恵氏の姑、洋子氏もお騒がせな嫁に、とっくに匙を投げているという。

   「昭恵さんの近況を聞かれると、洋子さんは『ノーコメント』と話題に
    したがらない。首相も困っているようで、家では洋子さんに愚痴を
    言っているようだ」(安倍家の知人)

 昭恵氏が、開校予定だった森友学園の小学校の名誉校長に就任したことがきっかけで、霞が関を巻き込んだ大スキャンダルとなったが、その肩書はこれまでに判明しただけで20以上もある。

 その中で本誌が注目したのは、森友学園のように破格の条件で国有地が払い下げられた社会福祉法人福田会(ふくでんかい)だ。

 同会は児童養護施設や障がい者施設の運営で長い歴史があり、会報によると、東京の一等地、渋谷区広尾に2500坪の敷地を持つ。

 うち1500坪は今も財務省から無償で借り、残りの千坪は有償の借地だったが、300坪を財務省に返還することを条件に700坪は事実上、無償で譲渡されていた。昭恵氏は福田会後援会会長も務めている。ジャーナリストの山岡俊介氏が語る。

   「奇妙なのは、福田会はかつて国有地払い下げをめぐって3億円の
    詐欺事件を起こし、元理事長が逮捕されたこともある。国有地を狙い、
    不動産ブローカーらが暗躍。安倍洋子氏を知る大物フィクサーの関与も
    取り沙汰され、騒ぎになった」

 福田会の国有地を巡る詐欺事件は2003年1月、一斉にメディアに報じられた。当時の報道によると、警視庁捜査2課に逮捕された元理事長は都内の財団法人を相手に、「福田会の賃借している国有地の払い下げ話がある」「大蔵省(当時)関東財務局とは話がついている」などと言って、新たな医療・福祉施設の共同経営を持ち掛け、3億円を騙し取ったというものだった。

 福田会の登記簿を確認すると、事件前は約3千万円近くあった法人の資産は事件当時0で1億円近い債務超過に陥っていた。

   「福田会の理事長、理事は名誉職のようなもので実務にはほとんど
    タッチせず、非常勤です。逮捕された元理事長の本業も不動産会社の
    経営者でした。財務省へ払う地代などで負債が膨れあがった福田会は、
    別の不動産ディベロッパーに対し、国有地が払い下げられるとウソをつき
    3億円の資金提供を財団法人を経由し受けたが、途中でウソが発覚。
    その間にディベロッパー側が福田会の理事長を別の人物にすげ替えようとし、
    民事訴訟にも発展しました」(当時を知る関係者)

 逮捕後に元理事長側が被害弁済したので、処分保留となり、事件はウヤムヤになったが、雲散した“新規事業参入”は8年後、実現することになる。

 前述したように700坪の国有地が福田会へ11年7月払い下げられ、12年には都市型老人ホーム、認知症グループホームを開設した。

   「福田会にとってあまりにもおいしい話です。譲渡された700坪の土地で
    新規事業となる高齢者の福祉施設を開設し、法人の資産は13億円にまで
    膨らんでいる。そればかりか、13年以降は既存の児童養護施設や
    障がい者施設の建物まで老朽化を理由に次々と建て替えられ、
    昭恵氏はその竣工式にも出席した」(前出の山岡氏)

 昭恵氏が後援会会長に就任したのは、福田会のホームページによれば13年1月で、国有地が財務省から譲渡された後だ。現理事長の太田孝昭氏に「後援会を発足するので発起人になってほしい」と要請されたことがきっかけだったという。

 太田理事長はかつて東京国税局査察部に所属。退職後、千代田区に税理士事務所を開設し、今では多くの税理士を抱え、コンサルティング業務など幅広く手がけている人物だ。

 だが、昭恵氏が福田会に関わりを持ったのは、第1次安倍内閣が発足した06年だという。この時、初めて児童養護施設を訪れて以来、福田会の会報の「寄付者一覧」などにたびたび名前が登場している。詐欺事件以降、福田会理事長に就任した元衆院議員の高見裕一氏はこう証言する。

   「私は09年に病気のために辞任したのですが、高齢者施設ができて
    いたことはいま初めて知りました。昭恵さんが訪問されるようになったのは、
    当時の施設長と友人関係にあったからだと思います。
    私も2度ほどお目にかかっています」

 昭恵氏はポーランド大統領夫人、トルコ首相夫人らを福田会に案内するなど夫人外交も展開していた。さらに福田会のホームページには、昭恵氏が名誉会長を務め、森友学園との関係で話題となった一般社団法人・鈴蘭会(福岡市)のリンクも貼ってある。福田会は鈴蘭会が主催する漢文などを音読する「素読会」のため、隔月に1度のペースでホールを提供していた(昭恵氏は3月19日までに鈴蘭会名誉会長を退任)。

 弁護士でもある福島瑞穂参院議員はこう指摘する。

   「福田会に国有地が譲渡された経緯も不可思議と言わざるを得ません。
    昭恵さんは総理夫人の立場で法人などに関与することに無頓着すぎます

 福田会に経緯を聞くため、取材を申し込むと、「上からの指示で取材は一切お答えできません」と拒否。

 太田理事長が代表を務める税理士事務所を通じ、取材を申し込んだが、回答はなかった。財務省にも問い合わせたが「理財局の担当者が国会対応に追われていて、期限までに回答できない」。安倍事務所にも事実関係を確認するため質問書を送ったが、期日までに回答はなかった。

 最大の問題は森友などの疑惑に対し、昭恵氏を含む当事者がきちんと説明しないことではないか。(本誌・亀井洋志、小泉耕平、上田耕司、大塚淳史、森下香枝/村上新太郎)

※週刊朝日  2018年4月6日号
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●国会審議形骸化: 与・(癒党込み)野党の国会質問時間の配分は実質「9.5時間対4.5時間」なのね?

2017年11月29日 00時00分04秒 | Weblog

[※ 青木理さん(『サンデーモーニング』2017年11月19日)↑]



週刊朝日の亀井洋志氏による記事【安倍・自民党の姑息…加計疑惑で国会質問減らす】(https://dot.asahi.com/wa/2017112100039.html)。

 《政府は、国会での与野党の質問時間の配分を「従来の与党2対野党8」から野党側の割り当ての大幅な削減を狙い、まずは11月15日の文部科学委員会が「1対2」の比率で実施された。すべての委員会で「5対5」まで削減したい意向だ》。

   『●アベ様の「森友」質問ブチ切れに「忖度」して強行採決…
            「質問権の侵害…言論封殺…国会の自殺行為」
    《自民、公明両党と日本維新の会の賛成多数…民進党の山井和則
     国対委員長は、記者団に「どの委員会でも、その時に国民が
     知りたいことを質問するのは許されている質問権の侵害」と批判》。
    《介護保険法改正案が強行採決されたが、その理由はナント、
     安倍首相が野党の森友学園絡みの質問にブチ切れたから》。
    《つまり、安倍首相は、約8割もの人々が森友問題の説明に
     納得していない事実を無視し、「国民の半分は内閣を支持している」
     のなら昭恵夫人や迫田理財局長への証人喚問は必要ない、としたのだ》

   『●無「責任」な「謙虚」…野党の国会質問時間短縮、
       「国会審議形骸化…それとも、それが狙いなのだろうか」
   『●「草の根でリベラルな価値そのものを広めていく…
      正面からリベラルな価値を訴え、裾野を広げる戦いを」!

   『●疑惑のオトモダチ開学認可…目に見えていた
      「白紙委任状」へと突き進ませた自公お維キト支持者の馬耳東風
    「でも、国会での与・(癒党込み)野党の質問時間を2:8から5:5にしたい、
     との申し出をするそうだ。「謙虚」「真摯」の欠片も無し…
     逃げるは恥だし役立たず息吐く様に噓をつく総理」「トンズラ総理
     口先だけ総理は、(癒党込み)野党の質問時間も削ります、とさ。
     どこまでウソ吐き、どこまで口先、どこまでトンズラするつもり?」
    「つぶやき上にて、《佐藤圭‏@tokyo_satokei  質問「5対5」与党提案へ 
     立憲反発、拒否の意向:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/DA3S13221493.html  
     そんなに与党の質問時間を増やしたいなら予算委員会の日数を
     増やせばいい簡単なこと。》…大賛成。増やした上で、
     般若心経でもなんでも読んでいればいいさ

   『●「そんな当たり前のこと」が通用しない最低の官房長官記者会見…
                 「ここは質問に答える場所じゃない…」?

 (癒党込み)野党の国会質問時間を短縮するそうだ。《国会審議形骸化…それとも、それが狙いなのだろうか》?、まんまと成功。《安倍・自民党の姑息加計疑惑で国会質問減らす》。
 この「国会審議形骸化」を狙った、野党の質問時間の削減について、青木理さん(『サンデーモーニング』2017年11月19日)。質問時間の与野党配分1:2 (80分:160分)は、政府側の答弁の時間を考えれば逆転し、実質「80+80分」:「80分」。さらに、「先の通常国会で質問主意書438件、質問したくてしょうがなかった自民党議員からはゼロ件」だったという、呆れた実情。

 東京新聞の記事【質問割合は「5対9」 衆院予算委で与野党合意】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201711/CK2017112302000129.html)によると、《予算委での与野党の質問時間割合を「五対九」とすることで合意した。十四時間を五時間と九時間で分ける。与党は「五対五」、野党は「二対八」を主張していたが、双方が譲歩》。
 実質「9.5時間対4.5時間」ということね。《国会審議形骸化》の目的は達成されたようだ。

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https://dot.asahi.com/wa/2017112100039.html

安倍・自民党の姑息…加計疑惑で国会質問減らす
亀井洋志 2017.11.22 07:00 週刊朝日 #加計学園 #安倍政権 #森友学園

     (答弁に立つ林芳正文科相(c)朝日新聞社)

 政府は、国会での与野党の質問時間の配分を「従来の与党2対野党8」から野党側の割り当ての大幅な削減を狙い、まずは11月15日の文部科学委員会が「1対2」の比率で実施された。すべての委員会で「5対5」まで削減したい意向だ。立憲民主党の「森友・加計学園問題プロジェクトチーム」座長を務める逢坂誠二衆議院議員が憤る。

   「野党の質問時間を削るということは、国民に十分な説明を
    しないことと同じだ

 政治ジャーナリストの野上忠興氏もこう批判する。

   「安倍首相はあまりにも傲慢で狭量だ。野党から森友・加計問題について
    一分一秒たりとも質問されたくないのが本音だろう」

 疑惑の追及から逃れようとするのは、まともな説明ができないからだ

 実際、15日の文科委でも、逢坂氏は「4条件がクリアされたとはまったく思えない。どういう事実に基づき、誰が判断したのか?」などとただしたが、答弁に立った内閣府の長坂康正政務官はたびたび言葉に窮し、10回にわたって質疑が中断する始末だった。

 文部科学省元審議官で京都造形芸術大学教授の寺脇研氏はこう指摘する。

   「4条件を満たしていないとすれば、認可申請すらできないはずだ
    当然、認可は即日無効になる」

 加計学園は来年4月開学に向けて着々と準備を進めるだろうが、多くの疑惑が残されたままだ

 前文科事務次官の前川喜平氏は、その中でも2015年4月2日に愛媛県今治市の企画課長らが官邸を訪れ、当時の首相秘書官と密会したとする本誌報道(7月23日付のウェブ版記事)が「重要なターニングポイント」だったと語る。

   「この面談が決定的で、国家戦略特区での“加計ありき”が始まった
    ミーティングだったと思う。官邸側が主導して、今治市や加計学園に対して
    具体的な方針を打ち出した契機だったのではないか。官邸での面談は当然、
    総理に報告されているはずで、忖度どころの話ではないと思う。
    私は総理の明確な意思表示があったと確信している。以降、獣医学部新設に
    消極的だった文科省の抑え込みにかかっていく。こういう政府のあり方
    許してしまうと、本当に民主主義が崩壊する端緒になりかねない

 “大義なき解散”で衆院選に大勝したところで、幕引きとはいかないのである。(本誌・亀井洋志)

※週刊朝日  2017年12月1日号
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