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●冤罪(その2/2): せめて補償を

2013年02月10日 00時00分15秒 | Weblog


東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012111201001653.html)と社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012122502000134.html)。CMLに出ていたリンク先の前田朗さんのブログより(http://maeda-akira.blogspot.jp/2013/01/blog-post_8.html)。また、asahi.com(http://www.asahi.com/paper/editorial20130206.html)と東京新聞の社説(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013020802000123.html)。

 飯塚事件久間三千年さんは、冤罪であるにもかかわらず、死刑を執行された。これは、被害者の遺族に対する、何と表現して良いのかわからないが・・・・・・遺族の方たちも複雑な感情を抱いてしまうはずだ。
 どんな背景や力学が働いたのかはそれぞれの事件によって異なるが、布川事件氷見事件東電OL殺害事件志布志事件村木厚子氏冤罪事件足利事件・・・・・・、せめて賠償で報いる以外に方法が無いのではないか。しかし、その扉は当方もなく厚い。
 もちろん、徹底した冤罪の原因解明と再発防止も。「警察は、なぜ捜査を誤ったのか検察は、なぜ捜査・公判で誤りを正せなかったのか裁判所は、なぜ「疑わしきは罰せず」の鉄則を忘れて警察や検察に追随したのか」。

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012111201001653.html

布川事件で国家賠償請求 再審無罪の桜井さん 
2012年11月12日 13時58分

 1967年に茨城県利根町で男性が殺害された布川事件で、再審無罪が確定した桜井昌司さん(65)が12日、当時の捜査や公判活動で捜査当局に不法行為があったとして、国と茨城県に約1億9千万円の賠償を求める国家賠償請求訴訟を東京地裁に起こした。

 桜井さんは、冤罪が生まれた原因や責任の所在を明らかにし、取り調べの全面可視化や証拠開示を求めていく方針。刑事司法や捜査当局の改革も訴えていく。

 桜井さんと杉山卓男さん(66)は強盗殺人罪などに問われ、78年に最高裁で無期懲役が確定。2010年7月に再審公判が始まり、昨年5月、水戸地裁土浦支部が無罪を言い渡した。

(共同)
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012122502000134.html

【社説】
新しい刑事司法 冤罪防止を最優先に
2012年12月25日

 法制審議会の特別部会は、新時代の刑事司法制度について、年明けから中間取りまとめに入る。取り調べの可視化や全面的な証拠開示などは必須である。冤罪(えんざい)防止の観点を最優先に考えるべきだ。
 「再審無罪が相次いで起きているのは、現在の刑事司法制度が深刻な“病根”を抱えているからに他ならない。 二〇一〇年の足利事件、一一年の布川事件、今年の東京電力の女性社員殺害事件…。三年連続で無期懲役が確定した人が、やり直しの裁判で「無罪」となった
 現代社会で冤罪事件がなくならないのは、重大事態だ。
 “病根”の在りかは、再審裁判の過程などではっきりしている。長時間にわたる密室の取り調べで、捜査員が自白を強要したり、自白をしない限り、身柄を拘束し続ける「人質司法」の捜査手法がまかり通っているからだ。
 裁判で検察側が被告に有利な証拠を隠したりする、現行の証拠開示の在り方にも大きな問題が潜む。とくに布川事件や東電女性殺害事件で、それがはっきりした。
 後者の場合は、被害者の体内に残っていた精液や爪にあった付着物をDNA型鑑定したところ、被告とは別人のものだと判明した。検察は裁判所に促されても「鑑定書はないなどと不誠実な姿勢だったのは非難に値する
 税金を使って、大勢の捜査員を動員し、集めた膨大な証拠は、すべて開示すべきである。全証拠リストも必要で、弁護側はそれを手掛かりに、無罪を訴える被告に有利な証拠を発見しやすくなる。
 取り調べの全面的な録画録音(可視化)は、待ったなしに導入すべきである。しかも、逮捕時からの録画ではなくて、任意で取り調べている段階からの可視化が必要だ。捜査員が自白を強いるのは、任意段階にも起きるからだ。
 四人が誤認逮捕されたパソコンの遠隔操作事件では、警察庁などが「自白の誘導や強要はなかった」とする検証結果を公表した。だが、誤認逮捕された少年は否認したら、少年院に入ると言われた」などと説明したという。こうした水掛け論にしないためにも、可視化は不可欠なのだ。
 米国の刑事裁判は、一審が無罪なら検察官は上訴できない。「疑わしきは被告人の利益にの大原則を徹底するためにも、日本でも導入の可否を真剣に検討してはどうか。「新時代」の名にふさわしい大胆な改革を求める。
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http://maeda-akira.blogspot.jp/2013/01/blog-post_8.html

火曜日, 1月 08, 0025
「下からの司法改革」えん罪原因調査第三者機関設置運動
日弁連えん罪原因究明第三者機関WG編著

『えん罪原因を調査せよ――国会に第三者機関の設置を』
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b103234.html

9月に出た本を今頃ようやく読んだ。

<誤判もえん罪も昔の話ではない。警察は、なぜ捜査を誤ったのか検察は、なぜ捜査・公判で誤りを正せなかったのか裁判所は、なぜ「疑わしきは罰せず」の鉄則を忘れて警察や検察に追随したのか。もはや裁判所を聖域にしてはおけない。問題に正面から向き合い、えん罪原因を究明する独立した第三者機関の必要性を多面的に訴える。>

志布志事件、足利事件、東電OL事件などあいつぐ冤罪、大阪地検特捜部の証拠改竄事件などで、日本の捜査の在り方がひどいことが一般の人にも理解され始めた。冤罪原因の検証は日本ではまったく行われてこなかった。東京地検最高検おざなりの調査をしただけである。これではダメということで、福島原発事故と同様に、国会に冤罪原因究明の機関を設置しようという運動と理論の書である。

著者はみな知り合いなので推奨するのも気が引けるが、重要な本だ。

これまで代用監獄廃止、取調べの可視化、取調べへの弁護人立ち会いなどを求めてきた運動の次の課題として、ぜひ実現したいものだ。

「上からの司法改革」ばかり先行する現状に対する、「下からの司法改革」の提起としても重要だ。


目次

はしがき[西嶋勝彦]

特別インタビュー 周防正行監督に聞く
  「僕があまりにもショックを受けた日本の刑事裁判の現状を皆さんに知ってもらいたい」

第1章 “えん罪原因究明第三者機関”を考える――その必要性と要件をめぐって[指宿信]
第2章 えん罪原因の解明から刑事司法の根本的改革へ[小池振一郎]
第3章 日本版「えん罪原因究明第三者機関」はどうあるべきか[泉澤章]
第4章 えん罪原因究明第三者機関設置をめぐる憲法問題[木下和朗]
第5章 米イノセンス・プロジェクトの発展から見た日本の課題[伊藤和子]
第6章 えん罪委員会の役割――誤判の発見、組織的改革またはその両方?
       [ケント・ローチ/倉新喜訳・菊地裕子協力]
第7章 科学的証拠の強化が刑事司法の発展を促す[ピーター・ニューフェルド、
       サラ・チュー/徳永 光訳・菊地裕子協力]

[資料]
1 えん罪原因調査究明委員会の設置を求める意見書
2 えん罪事件一覧表(解説・西嶋勝彦)

執筆者・訳者紹介
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http://www.asahi.com/paper/editorial20130206.html

2013年2月6日(水)付
DNA型管理―法律にもとづき厳格に

 この姿勢は腑(ふ)に落ちない。すみやかに見直す必要がある。
 犯罪の捜査や裁判で、きわめて大きな意味をもつDNA型資料の取りあつかいをめぐる警察当局の対応である。
 採取、保管、利用、抹消などに関する法律をさだめ、捜査に役立てつつ、人権侵害がおきない仕組みをつくるべきだ。そんな声に対し、警察庁は「国家公安委員会規則にしたがって適正に運用しており、法制化の必要はない」と反論している。
 新しい時代の刑事司法のあり方を議論する法制審議会の特別部会でも取りあげられた。
 しかし意見が対立したまま方向性を見いだせず、先日まとまった基本構想では、別途検討すべき課題と仕分けられた。「別途」の場が、いつ、どこにできるのかははっきりしない。
 社会の治安と個人のプライバシーという、一人ひとりにかかわる大切な問題だ。
 国民の代表でつくる国会で議論し、その結論を「法律」という形で内外に明らかにして、民主的コントロールの下におく。
 それが当然のことわりではないか。役所の意向でいかようにもなる「規則」で処理し続けるのは、筋がちがう。
 警察も立法に前向きだというのが、つい最近までのおおかたの受けとめだった。
 国家公安委員長が識者を集めてつくった研究会は、昨年2月に報告書を公表している。そこには「法制化をめぐる議論を踏まえ、DNA型データベースの抜本的な拡充をめざすべきだ」とある。席上、どんな法律が考えられるか、警察側がイメージを例示したこともあった。
 それがなぜ変わったのか。
 考えられるのは、法制化によって手足をしばられるのを避けたいという思いだ。
 いざ議論になれば、採取に裁判所の令状を必要とするか▽データベースに登録する容疑者の範囲をどうするか▽冤罪(えんざい)を証明するため弁護側が利用することを認めるようにするか――などの論点が持ちあがるだろう。
 ほとんどの容疑者が任意で採取に応じている現状のほうが、当局には好都合かもしれない。登録件数は先月末の時点で34万件を超え、規則のもとで順調に「拡充」している。
 だが、外国では法律にもとづく運用が当たり前だ。国を超えた捜査協力がますます必要になる時代に、国際標準に届かないやり方が通用するのか。よくよく考えるべきだろう。
 人々の理解と支持があってこその捜査である。「信じよ。任せよでは立ちゆかない
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http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013020802000123.html

【社説】
刑事司法改革 冤罪防止策を固めて
2013年2月8日

 新しい刑事司法制度の基本構想が、八日の法制審議会に報告される。冤罪(えんざい)は深刻な人権侵害だ。この反省に立つはずの改革案に、古い発想がにじんでいる。これで冤罪をなくせますかと問いたい。
 法制審の特別部会がまとめた基本構想は取り調べの可視化について、二つの案を出した。
 一つは原則として、被疑者取り調べの全過程録画を義務づけるとした。ただし、対象事件は「裁判員裁判対象事件を念頭に置き、さらに範囲のあり方を検討する」という内容だ。
 もう一つは、可視化の範囲を「取調官の一定の裁量に委ねる」という案だ。
 裁判員対象事件に限ってしまえば、起訴事件の3%にとどまる。厚生労働省の局長・村木厚子さんが巻き込まれた郵便不正事件や、パソコンの遠隔操作事件などは対象外となってしまう。対象は基本的にすべての事件に広げられるべきだ。可視化は捜査の基本だと発想を大逆転してほしい。
 また、録音・録画を取調官の裁量に任せては、違法・不当な取り調べを抑制することは到底、できまい。「裁量」の文字を入れること自体が、捜査機関側の古い体質が読み取れる。論外だ。
 身柄拘束前の任意段階でも、自白の強要などが行われる捜査実態を考えれば、逮捕時からの録画でも遅いほどである。可視化は最重点テーマだけに、捜査側の都合ではなく、冤罪防止の観点に立って考えられるべきである。
 証拠開示については、「検察官が保管する証拠の標目を記載した一覧表を交付する」案が出た。実現すれば前進になるが、「採否も含めた具体的な検討を行う」とのあいまいな表現が付いた。過去の冤罪事件でも、検察による証拠隠しが問題になった。全証拠のリスト開示は不可欠で、さらに全証拠開示に向かってほしい。
 見逃せないのが、共犯者らの情報提供と引き換えに刑を減免する「司法取引」の導入や通信傍受の拡大、さらに盗聴器を仕掛ける会話傍受の導入などの検討である。これらは警察・検察の捜査力を強化させる“道具”である。
 そもそも特別部会は、自白偏重の捜査が冤罪を生んだ経緯から設けられた。基本構想には、この反省が感じられない。仮に可視化などが中途半端な形で終わり、捜査側が新たな“武器”を得ては、本末転倒になる。今後、分科会で具体案が検討されるが、まず冤罪防止策をしっかり固めるべきだ。
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