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こんな夜にはこんな読書「吉原手引草」

2008-01-17 12:16:08 | こんな夜にはこんな読書
TJがすごい年上のボーイフレンドにあたしの話をした際、

そのボーイフレンドは会ったこともないあたしに
松井今朝子の「吉原手引草」を読んでみ、と言付けたそうだ。

彼女は一体どんなふにあたしを表現したのだろう。

去年の芥川賞、直木賞が発表されたとき
芥川賞の「アサッテの人」はおもしろそうだと思ったので真っ先に読んだけれど
直木賞の「吉原手引草」にはあまり興味を感じなかった。

というわけで会ったこともないTJのボーイフレンドおすすめの、
松井今朝子の「吉原手引草」を図書館での5ヶ月予約を経てやっと読んでみる。

というか最高におもしろい読み物だった。

姿の見えぬ、得体の知れぬ書き手に
各章でそれぞれの登場人物が話をするという設定で

書き手の正体にもわくわくするし
少しずつしか姿を見せない葛城の事件の真相にもどきどきするし

これでどう落ちをつけるのだろうと思ったら
最後まで最高に予想不可能な快感だった。

蜷川実花でいいから、ぜひ映像化してほしい。
現代では想像できない郭の内情や登場人物の人生までも映像で垣間見たい。

これはぜひTJのボーイフレンドに会わせてもらわねば。

心にひっかかった言葉。

「『わちきゃ、おまはんの心がなんとのう、わかるような気が致しんす。
  人の心は深き井戸。身を乗り出して覗いても、暗うて底は見えぬものざます』
 と仰言った。
 ちょっとかすれて艶っぽい声が今も耳に残ってる。」
コメント (2)
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