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旅する小林亜星

小林亜星情報満載

形而上学的浮気思考

2005-09-05 00:33:13 | アパート
浮気について真剣に考えてみる。

浮気の定義は
ここでは伴侶がいるのに
他人と肉体的に交わること。

浮気といえば
一度だけ経験がある。

2年前だった。
旅先で意気投合した年上男に
あたしはすっかりメロメロだった。
年下のカレシとは付き合って半年のころ。

旅先から帰京し、
男の地元で再会した。

フラフラとその男の家に行き
その夜を喋り明かして
別々の部屋で眠りについた。

2時間後、
気がつけば
その男にチチを揉まれていた。

眠気眼でなんとか抵抗し
トイレに避難。

したい。
カレシを裏切りたくない。
でも、したい。
できない。

自問自答を繰り返し、
その男の元に戻る。

操を明渡す決心がつかずあたしは
上の口で彼のを受け入れた。
精一杯だった。

彼はあたしの口の中で果てた。

浮気の定義によっては
これは浮気ではないかもしれない。

あたしは
その男が交際を快諾してくれるなら
カレシと別れるぐらい
その男に溺れていたから。
本気だった。

付き合うことは叶わなくとも
一度だけ記念に交わりたい男に
ときどき遭遇する。

それでも
それを実行に移してこなかったのは
あたしの不器用さ。

本当に好きでなければ
大事なひとを傷つけるリスクを負ってまで
操を許したくならないし

もし本当に好きで
大事なひとを傷つけるリスクを負ってでも
操を許すならば
もう二度と元の男の胸の中に戻れなくなるだろう。
嘘をつけない不器用さ。

3時間に3回射精した男の横で
このひとを裏切りたくないと
そっと、思った。
コメント (8)
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最後の晩餐はキムチ鍋

2005-05-30 23:09:58 | アパート
昨日実家に荷物を運び込んだ。
いくつになっても計画性が備わらないのには
つける薬はないらしく
結局ひと月半前から計画していた引越しなのに
アパート契約満了を明日に控えても
まだ掃除が終わっていない。

テレビも冷蔵庫も洗濯機も電子レンジも箪笥もベッドも
すでにないので
今アパートにあるのは
蒲団と最低限の洋服とこのパソコンだ。

家にいるほとんどの時間
見ていなくてもテレビを付けて
とりあえずの映像と音を保持していたあたしには
昨日までは居心地のいい自分の城だったこのアパートでさえも
映像も音もない空間にいることは苦痛以外の何物でもない。

これに追い討ちをかけるよに
今日契約してたADSLが移設で
ネットさえもできなくなった。

電話もネットもできなくなって
携帯電話だけが唯一外界との交信手段であると認識すると
途端に救い様のない孤独に襲われた。

さ、さみしい・・・

自立していたつもりでも
自分が世の中にどれだけ依存していたのかを
見せつけられる。

こんなときは
3大欲求を満たすべく
明日には捨てられてしまう運命の、
6年いっしょにやってきた初代の小さなフライパンで
キムチ鍋をつつく。

無理やりに音楽を流して景気付け!と思いきや
椎名林檎に歌わせたもんだから
逆効果。

それでも拭い切れない孤独に耐えられず
行きずりでプロバイダに契約し
ダイヤルアップで接続。

あまりの遅さに閉口するもアンド。

親とはいえ久々に他人といっしょに暮らすことへの不安、
大声で泣いたり喧嘩できなくなる不自由さ、
風呂あとの裸で扇風機不可、
フリーセックス空間の損失。

自分から選択したものの
実家での新生活への不安は日に日に肥大。

さよなら、身勝手な自由。
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隣りのひとはよく柿食うひとだ。

2004-11-05 00:33:55 | アパート
301号室のねぇさんは昭和49年生まれ。
きれい系で豹柄のパンツをはいている。

303号室のおばさんは怪しいハナ歌が好きだ。
ときどき娘と孫が遊びに来てる。

お隣さんとは3年前に引越しの挨拶をしたっきり、だ。
3日前に朝偶然303号室のおばさんと出勤時間が重なり
3年ぶりに交わした言葉は3秒・・・
「おはようございます、すごい雨ですね」

希薄なご近所関係。

実家もマンションなあたしには
隣人とのお醤油の貸し借りが憧れだ。

友達がダンボールいっぱいに
アメリカンチェリーを送ってくれたとき
たくさんの知り合いに配ったけど
それでも食べきれなくて
隣人に「憧れ」のお裾分けをしようと思って
呼び鈴を鳴らしたが留守だった。
出鼻をくじかれ意気消沈。

うちのアパートは駅から徒歩5分。
20部屋くらいしか入ってない小さなメゾン。
6畳ユニットバスだけど
家賃は破格なので
けっこう若いひとが多いみたいだ。

そこで、考えた。
どうにかして彼らと友達になれないかと。

ヴァーチャルメゾンアイ掲示板!!!
ていうのはどうだろぅ。

今夜お醤油貸して!から始まり
この間取りでいかに冷蔵庫をキッチンに近づけるかとか
近所のおいしいお店とか
スーパーのお買い得情報とか
パチンコ出る台とか
お気に入りのビデオとか
気持ちいい公園とか
駐禁取られない穴場とかを
情報交換したり
夏には近所の川で花火したり
冬には誰かの家で鍋したり
するのだ。

それらの未来の思い出は
掲示板の準備ができたらURLを印刷して
こっそり1階のポストに放りこむだけで
現実味を帯びる。

しかし、
さっそく無料掲示板を借りてこようとして
ふと気づいたこと。

一番書きこみたいのは303号室のおばさんかも・・・
壁が薄くて隣室のテレビの音さえ聞こえてしまう
プライバシーのない空間。

夜遅くまで見てる深夜放送の音
たまに押し殺して発する喘ぎ声
ベッドがギシギシする感じ
境界線の壁際で遠慮なく放屁
やむを得ず起動させる深夜洗濯機
歌番組とともに本気で挑むアカペラ

今まで苦情されなかったのが不思議なくらいだ。

もしそんな夢のよな掲示板を立ち上げたら
彼女はきっと一番に302号室にクレームするだろぅ。

こんな下らない企画をついつい思いついてしまうのは
よほどひと肌恋しい、さもしい秋だからなのか?
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毛ンプレックス

2004-10-30 22:35:21 | アパート
今年2004年のテーマ、
「垢抜けること」

もぅ後半戦にさしかかって随分経つというのに
一向に垢抜けない・・・
ただ努力してないからなんだけど。

垢抜けることについて考えてみたが、
どうしたら垢抜けるか考えてわかるくらいだったら
とっくに垢抜けてるはずだ。

あぁ、垢抜けたいと連呼していたら
友達が
「垢抜けるかどうかはまゆ毛だよ」と言い出した。

まゆ毛!!!
まゆ毛?

母は小さいころ
代々受け継いでる形のいい太すぎず、細すぎず
薄すぎず濃すぎないあたし達のまゆ毛をいじりながら
「あんたのまゆはいいまゆなんだから
 抜いたり剃ったりしちゃだめよ」と言った。

確かに堂々とした臆することないまゆだ。
彼女の言葉を信じて
あたしはまゆ毛に手を加えることをやり過ごしてきた。

21歳のときに
ラインからはみ出たまゆ毛を抜き始めた。
あの、羅生門で老婆が死人の髪の毛を抜くときの感覚?
その感覚に溺れて抜きに抜いたまゆ毛は
まるでやせ細った蚯蚓が額を這っている様。

その失敗に対するトラウマも手伝って
何年間も大切に育ててきたまゆ毛。
とうとう鋏を入れた。

友達はあたしのまゆ毛を「村山富一」と批判しながら
ちょきちょきと切っていく。

出来上がったあたしのまゆ毛はシャープで賢い。
驚くほど顔の印象が変わる。

か、かわいい・・・

恐るべし、まゆ毛。
このまゆ毛を今後いかに自分のまゆ毛にし、
妖艶なラインを描いていくことができるかは
あたしがずっと無頓着だった美に対する不安定な熱意に依る。

女のひとは美を常に追求し、追究しなくちゃいけないことに
あたしは苦痛を感じる。
だけど、彼女たちが美を求めるのは
女の義務じゃなくて
女だけの権利なのだということにやっと気づいた。

垢抜けへの道はひたすら続。
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美しい男

2004-09-27 21:27:55 | アパート
それはそれは美しい男に抱かれた。
いや、抱かれたのではなく抱いたのだ。

その、美しい男は贅沢な肢体を
贅沢にベッドに横たわらせ、
あたしの身体にゆっくりと優しく触れる。

ドリアンのよな至福の時間、
長さも太さも持て余した
使い慣れた、それであたしの中にそろそろと入る。

アクロバティックな絶叫が
愛の練乳を搾り出す。

そして
その、美しい男は先に眠りに落ちた。

チョコレートでできた唇
こけた頬
縦長のへそ
毛のほとんどないスネ

寝顔でさえも
あまりに美しい。

田山花袋のよに
彼が残していった煙草の残り香に
顔をうずめて
あたしは寂しさに震える。
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