天声人語は、相撲の過去が、思い出す。
「東京で年に3回開かれる大相撲本場所のうち、5月の夏場所が一番というファンは多い。何といっても 季節がいい。はね太鼓を聞いて国技館を出れば、観戦でほてった頰(ほお)を隅田川の川風が心地良くな でる。さわやかなその場所が、「技量審査場所」の名称で開かれたのは3年前のことだ▼角界は八百長問 題に揺れていた。春の大阪場所は中止になる。続く夏場所はテレビ中継なし、懸賞も優勝賜杯(しはい) もなし、入場無料という異例ずくめの懺悔(ざんげ)場所に。初日の土俵で謝罪し、再生を誓ったのが放 駒(はなれごま)理事長だった▼横綱朝青龍の騒動をはじめ、若手の暴行死、大麻事件、野球賭博、暴力 団との黒い関係。これでもかと続く不祥事に加え、八百長問題で国技は地に落ちた。放駒親方の人柄と手 腕がなかったら、立ち直りは難しかったという見方がもっぱらだ▼よく言えば伝統が息づき、悪く言えば 因習のよどむ角界で、古池をさらうのは大仕事だったはずだ。道筋をつけての退任から2年余り、66歳 で急逝の報に驚いた人は多かったろう▼魁傑(かいけつ)を名乗った現役時代は、足が長くスピード感に あふれていた。大関昇進と陥落を2度繰り返した。優勝2回もさることながら、負けが込んでも休場しな い土俵態度にファンは惚(ほ)れた▼放駒とは綱を解かれた馬をいい、遠く万葉集にも歌われている。か つての取り口を彷彿(ほうふつ)させる、いい親方名だった。きのうの国技館は満員御礼のもと、横綱白 鵬と新鋭遠藤の一番にわいた。歓声は天上に届いたに違いない。」
よく、解決した。
魁傑氏の御陰だ。
「東京で年に3回開かれる大相撲本場所のうち、5月の夏場所が一番というファンは多い。何といっても 季節がいい。はね太鼓を聞いて国技館を出れば、観戦でほてった頰(ほお)を隅田川の川風が心地良くな でる。さわやかなその場所が、「技量審査場所」の名称で開かれたのは3年前のことだ▼角界は八百長問 題に揺れていた。春の大阪場所は中止になる。続く夏場所はテレビ中継なし、懸賞も優勝賜杯(しはい) もなし、入場無料という異例ずくめの懺悔(ざんげ)場所に。初日の土俵で謝罪し、再生を誓ったのが放 駒(はなれごま)理事長だった▼横綱朝青龍の騒動をはじめ、若手の暴行死、大麻事件、野球賭博、暴力 団との黒い関係。これでもかと続く不祥事に加え、八百長問題で国技は地に落ちた。放駒親方の人柄と手 腕がなかったら、立ち直りは難しかったという見方がもっぱらだ▼よく言えば伝統が息づき、悪く言えば 因習のよどむ角界で、古池をさらうのは大仕事だったはずだ。道筋をつけての退任から2年余り、66歳 で急逝の報に驚いた人は多かったろう▼魁傑(かいけつ)を名乗った現役時代は、足が長くスピード感に あふれていた。大関昇進と陥落を2度繰り返した。優勝2回もさることながら、負けが込んでも休場しな い土俵態度にファンは惚(ほ)れた▼放駒とは綱を解かれた馬をいい、遠く万葉集にも歌われている。か つての取り口を彷彿(ほうふつ)させる、いい親方名だった。きのうの国技館は満員御礼のもと、横綱白 鵬と新鋭遠藤の一番にわいた。歓声は天上に届いたに違いない。」
よく、解決した。
魁傑氏の御陰だ。