斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

地球環境と技術その2

2015年11月26日 00時59分27秒 | 講義記録
学生諸君ならびにそのほかの方々へ

全学科から200人が受講しているので、直接関係ない学科もあり、こういった自動車部品の話をしてもピンとこないだろうということで、講義中に挙手でいくつかのキーワードについて聞いたところ、次のような結果になった。

ショックアブソーバを知っている YES 2%
バルブリフターを知っている   YES 0.5%
電磁クラッチを知っている    YES 0.5%
ピストンリングを知っている   YES 10%

中型以上のバイクに乗っていればショックアブソーバくらいは知っているはずだが、そもそも3ない運動の影響が多大でバイクに無縁の学生が多く、ショックアブソーバは全滅に近かった。ピストンリングくらいは知っているだろうと思いきや、全体の10%。クルマに乗っている学生はそれなりにいると思うが、やはり、こんなもん。技術者を養成する高専―大学ラインにいる学生が多くても、これが現実。

そもそも、今のクルマにクラッチがないから、電磁クラッチといっても学生はピンとこない。だから、電磁クラッチに最先端のDLC膜が使われていると話しをしてもその価値はわからない。こういうすごい発明をしたというT社のすごさもわからないし、技術でT社にあこがれるという学生は、少なくとも学部3年生の時点では限られる。

だからこそ、大学の教養科目でこういう講義をするという意味がある。実物は見せられないけれども、文章と写真と、とにかく観点を教えてあげる。たとえば、同じDLC膜なのに、一方では低摩擦係数、他方では高摩擦係数。低摩擦のDLC開発の歴史において、高摩擦DLCが得られたとしても、それをゴミとしてとらえず、それを使って新たな用途開発をするという感性をぜひもってほしい。