斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

地球環境と技術その1

2015年11月25日 22時58分11秒 | 講義記録
受講者諸君へ

11月25日に地球環境と技術についての講義を行いました。
講義の時に使用した資料をそのままインターネットで公開できないため、次のような形で補足説明を行います。

1)本日のタイトル 摩擦との戦い―ダイヤモンド様炭素膜―

2)就職して、ある日ふと机の上をみたら、次のようなタイトルのメモが載っていた。(あるいは電子メール回覧で回ってきた)技術者としてのあなたは、どのような行動を起こすべきか。
(1)何もしない→給料をもらって働いているのだから、こういう選択肢はあり得ない
(2)読んでみる→普通
(3)観点をもって読んでみる→観点は、これまでの知識がないと作ることができない。つまり、文章を読むときに、その文章のどこに重みがあるのか(価値があるのか)が判定できないといけない。それは大学時代からどんどん積み重ねてほしい。

観点を持つだけでは、まだ足りない。文章の中の技術用語について、読みながら調べるか、頭の中の知識を使って読み進んでいくか、同じ仕事をするにしても、使う時間が違う。少なくとも後者では、仕事が速くなる。

自動車部品へのDLCコーティングの応用展開
自動車部品では、信頼性、量産性、低コストが重視されている。DLCコーティングはこのような要求に応えることのできる技術に育ってきたため、バルブリフター、電磁クラッチ、ピストンリング、燃料噴射ポンプ、ショックアブソーバ、シャフトなどで実用化されている。
バルブリフター:水素フリーDLCコーティングが応用されている。水素フリーDLCは部品同志の接触する界面において油潤滑下で低い摩擦係数を示す。そのため、エンジン部品として過酷な潤滑環境下で動作するバルブリフター表面にコーティングされ、部品の摩擦・摩耗を抑制している。
電磁クラッチ: Si含有DLCが応用されている。Si含有DLCはある種類の油で高い摩擦係数を示す。特に、速度に対する摩擦の正相関特性を利用するばかりでなく、DLCそのものの耐摩耗特性を利用することで、動力のオン・オフを繰り返しても損傷しにくいクラッチを開発することができた。