斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

米子高専科研費講習会

2017年08月30日 11時43分48秒 | 高専訪問記
昨年に続き、今年も米子高専にお邪魔して、科研費講習会を行いました。皆さんの実力で、採択件数が上向いてきたので、ここでいっきに上げ潮に乗ろうと、30人ほどの教職員の皆さんが集まりました。昨年はGI-net配信の都合で小会議室で狭かったのですが、今年は図書館の大きな部屋だったので、皆さん楽々お聞きいただけたと思います。

もう長いお付き合いになる氷室校長先生とご挨拶しまして、長岡技術科学大学の二期生であられる河野清尊先生に進行をお願いしまして、今年から審査システムが変わる科研の狙いであるとか、これからどう我が国の研究が変わっていくか等を、お話ししました。いずれにしても、自分や周囲の持ち味を生かして、組み合わせなければなりません。

米子高専の皆さんがより良い申請書がかけますよう、今回の講演が参考になれば幸いです。

写真は、米子駅で見かけた、鳥取西部消防局の救急隊で米子救急2です。


そういえば、昨年は気がつかなかったのですが、米子高専の隣には保育園と小学校があって、小さなお子さんのいる教職員には子育てしながら仕事が両立できるいい立地でした。また、近々高専学会がこちらで開催されるとか、鳥取大学医学部と医工連携協定を結んだりと、何かと忙しそうでした。

北海道新聞の記事

2017年08月29日 11時59分09秒 | 斎藤秀俊の着眼
まだ現時点の推測ですが、という前提でインタビューにお答えしたら、このような記事になりました。事実と証言を組み合わせて、直接的に回折波が溺水原因と断定することなく、でも心に突き刺さる記事になっています。上手だなあと感心しました。

あくまでも定性的な説明なので、これから専門家に数値解析を行ってもらって、何が起きたのか明確にして行きたいと思います。

銭函海岸水難の原因の推定です

2017年08月27日 20時35分29秒 | 水難・ういてまて
これまでの状況と助かった高校生の証言から、事故の推定です。

生還した高校生は急に水深が深くなって友達の方を見たら、友達の姿が見えなくなったといいます。
現場は遠浅の海で、大分沖までいくと背が徐々に立たなくなる砂浜の地形のようです。このような砂浜では急に深みが出現するという可能性が低く、たとえあったとしても3人が急に行方不明になるような事故に繋がるとは思えません。

現場には汀線から沖合い200~300 mほどの地点に直線上に並べられた5つの200m直線ブロック帯があります。事故現場は北から3番目と4番目のブロック帯付近のようです。当時は北西の風が風速10m/s以上で吹き込み、波の高さが1.5 m以上あったようです。

当時のヘリコプター映像を見ると、ブロック帯の間の50 mほどの隙間から、回折波が明らかに出ています。ブロック帯の長さが200 m程ですから、回折波は200 mおきに発生していました。問題は、この回折波が波消しブロック帯の背後で重畳波を形成することです。回折波が重なるわけですから、波の高さが1.5 mだとすると、単純には3 mの波になるわけで、本来足の届くところにいたはずなのに、重畳波によっていっきに3 mの高さ、逆に言えば3 mの深さに持っていかれたといえます。



此は、現場で発生していたことと、証言の整合がとれる、あくまでも推測です。今後事故調査の結果を待ちたいと思います。

銭函海岸の海底の状況の推定

2017年08月27日 16時33分40秒 | 水難・ういてまて
航空写真に写っている砕波の状況から察するに、汀線から沖合い20 mから深くなり、どこかでトラフとなって、それより沖合いで一度浅くなってサンドバーを形成し、100 mほど沖合いから深くなる砂浜構造のようです。

報道によって沖合いの波消しブロック付近とありますが、波消しブロックまでは300 mあります。だいたいは50 m付近で姿が見えなくなったとされており、航空写真によるとちょうどトラフの深みにあたる可能性があります。