斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

ペナンにて

2015年11月05日 17時48分07秒 | 斎藤秀俊の着眼
マレーシアのペナンに来ています。
今日は、国際ワークショップの打ち合わせでホテルから3 kmほど離れている豊橋技術科学大学ペナンキャンパスに行こうとして、ホテルの前にいたタクシーに3kmほどだけれど乗っけて、とお願いしたら、3 km?歩いていけ、と言われてしまいました。

そりゃ、ペナンの人は平気だろうけれど、気温31度湿度80%のここを真夏の太陽の直射日光の下で歩いたら、一日もちませんよ。

だったらどうしたのか、については秘密です。百戦錬磨ですから。

これから長岡高専の先生と学生の合計6人を迎えに行きます。

グローバルリポート

2015年11月05日 11時55分54秒 | 斎藤秀俊の着眼
どこのグローバルリポートかは伏せといて。

溺水防止の啓蒙を行うことはたいへんいいことですが、統計には気をつけないと、その啓蒙自身の意味を問われることにんりかねない。

1)毎日、毎時間40人が世界で溺水によって命を失う。
多くの国で溺死の統計すら発表していない状況下で、この数字はどこまで信用できるのか?
日本ですら、警察庁の発表では年間800人前後とされているのに、厚生労働省の人口動態統計年報では、家庭内だけで
W65-W74 不慮の溺死及び溺水 3964
そのうち
W65 浴槽内での溺死及び溺水 3626
W66 浴槽への転落による溺死及び溺水 42

その2倍くらいが屋外の溺死。少なくとも日本の場合はどの統計を使っているのか?

なお、東京都健康安全研究センターの調べでは、6461人(2008年)が溺死している。

2)低所得国、中所得国で溺死は主要死因だ。
そもそも、溺死を経済で切り分けることが、まったく意味をなさない。プアな途上国にスーパーマン先進国がご慈悲をみたいな考え方が透けて見えてきそうで、気分が悪くなる。
東京都健康安全研究センターの調べでは、1970年から交通事故死が激減して、溺死が我が国では相対的に幅を利かせるようになってきている。さらに、先進国の中では10万人あたりの溺死者の割合はダントツの一位だ。日本は低所得国なのか?これこそ余計なお世話だ。

3)溺水予防のためには教育、救助、泳ぎの練習
まったく、噛み合っていない。救助の技術と要救助の技術の整合・連携を考えていない。何のためにChain of Survivalをグローバルスタンダードにしたのか。危ない場所に近づかないという教育は有史以来ずっとしている。それでもだめだから、Chain of Survivalだというのに。

というように、溺水の世界だけは、まだまだ途上(世界)で、そういうひとたちと国際会議で議論しないとならないのです。