斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

技術者の輩出について

2015年04月30日 01時12分50秒 | 長岡技術科学大学の広報
我が国の技術者教育は、日本の産業に大きく影響を与えます。
特に新卒技術者の数をいじることは、将来の我が国の産業構造を変えることであり、そのようなことが行われるのであれば、十分な議論を尽くしてからでなければなりません。会社規模にかかわらず、より多くの企業、特に第2次産業からの意見を聞かなければなりません。

このブログでは、これから不定期にさまざまな観点から技術者教育を見つめていきたいと思います。
今回は、平成22年国勢調査抽出速報集計(総務省統計局)の結果について示します。

我が国の技術者数 2,192,200人
内訳
 農林水産・食品技術者 44,400
 電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く) 298,800
 機械技術者 220,900
 輸送用機器技術者 99,100
 金属技術者 23,100
 化学技術者 75,700
 建築技術者 247,800
 土木・測量技術者 228,300
 システムコンサルタント・設計者 484,000
 ソフトウェア作成者 292,000
 その他の情報処理・通信技術者 110,700
 その他の技術者 67,300


一方、人材供給となる大学等新卒技術者数は(平成7年の古いデータですが)次の通りです。

109,624人

(内訳)

6,035人: 高等専門学校卒
4,491人: 短期大学卒
74,819人: 大学卒
23,182人: 大学院修士課程卒
1,097人: 大学院博士課程卒

平成25年度では高等専門学校卒は5941人で、修士課程修了ではおおむね25000人程度なので、古いデータでも現在とおおよそ変わっていないと思われます。

我が国の約11万人の新卒技術者のうち、高専卒が6%弱ですが、高専からの進学者が専攻科も含めて4000人ほどですので、4%弱は上述の大学卒以降のカウントに将来含まれるものです。すなわち新卒技術者の10%ほどが高専を経由しています。

両技術科学大学では年間700人ほどの修士修了者を輩出しています。全国の技術系修士課程修了者のうちの3%を占めることになります。

上下浜水難に関する記事と役割分担

2015年04月29日 14時17分05秒 | 水難・ういてまて
新しく、記事として掲載されました
http://www.yomiuri.co.jp/local/niigata/news/20150428-OYTNT50287.html


28日には新潟県などの関係者が現場を訪れて状況の確認をおこなったということで、新聞やテレビで報道されていました。いろいろな人たちが動き出すということはたいへんよいことであります。大学の役割は、社会に対して「キーワード」を表明し、観点を明確にすることだと考えています。同じ動くにしても観点をもって動くのとそうでないのとでは、その後に与える影響が変わります。

たとえば、離岸流という言葉に固執するといつまでも「遊泳者にとって危ない海」としか伝わりません。戻り流れを意識すれば、「砂浜に普段着でいても状況によっては命の危険に遭遇する」ことが、市民に伝わります。より具体的に注意喚起ができるということです。そして、それを広く伝えるのがメディアの役割だと認識しています。

新潟県、警察、消防、保安庁の皆さんが集まって会議するのであれば、伝え方もさることながら、「水難通報があったら、すぐに警察、消防、保安庁で緊急通報を共有し、ただちに離陸できるヘリコプターから出動させる」ことを実行していただきたいと思います。こちらは特に特別な予算を必要としません。

今回の戻り流れの発生した状態では、陸からの入水救助はきちんと訓練されていない限り、プロでも無理です。上空からの回転翼機による吊り上げ救助が最も効果的です。国民、県民の税金で運用されている救助組織さらに救助資機材を効果的に活用していただきたいと思います。救助機関が救助機関であることを、国民、県民は期待しています。それ以上もそれ以下もありません。

なお、浮いて救助を待つ溺者に対する吊り上げ救助の有効性については、水難学会の前身の着衣泳研究会ですでに実証しています。私自身、何度も吊り上げてもらっています。

スーパーGI-netによる海外拠点との初会合

2015年04月28日 00時45分47秒 | 長岡技術科学大学の広報
昨日、グアナファト大学(メキシコ)、モンゴル科学技術大学、ハノイ工科大学(ベトナム)と本学をスーパーGI-netで結び、初めての正式会議を行いました。

すでに国内の国立高専51校と豊橋、長岡技術科学大学をハイビジョンで結んだ会議システムGI-netを昨年度から運用中ですが、そこにスーパーグローバル事業で海外拠点をこの3月末で接続が完了しました。

昨日は、接続後初めて本学を含めた4つの拠点を結びながらテレビ会議を行いました。音声はクリアで、さすがに映像は国内並とはいきませんが、会議を行うには申し分ありません。

会議を始める前に、各国の国旗を掲げ挨拶をしました。


続いて、モンゴル工科大学から、モンゴルにおける第二次産業の紹介がありました。今後、このような会議を行いながら、技学を共通語に結ばれていくネットワークが世界に広がるものと確信しています。

スーパーグローバルや3機関連携など各種事業に取組みながら、大学の基本的な教育研究もしっかり同時進行するためには、このようなテレビ会議システムを使うことでできるだけ出張を少なくし、逆に出張先からでも学内の会議にテレビ会議システムを使って参加できるようにしなければなりません。特に、出張先からスマートフォン、タブレット、パソコンを使って学内の会議に参加できるシステムは画期的で、本学では近いうちに会議室に集まらなくてもバーチャル会議室で会議が成り立つようになると思います。



春がきました

2015年04月27日 20時45分55秒 | 長岡技術科学大学の広報
事務棟3階からみた景色です。
山々の雪はすっかりと溶けて、新緑が芽吹いています。
遠くに長生橋が見えます。


桜にも新芽が出てきました。これから初夏を迎えるところです。


今日も上下浜の水難の取材が続きました。ゴールデンウイークのように海水浴シーズンでないのに水難にあうのはなぜかというより、水際にいる人が犠牲になる水難のシーズンがゴールデンウイークだという認識が社会に広まることを願って取材に応じました。「水難の時期には早い」ではなくて、「水難のタイプは2種類(水に入らない時期と水に入る時期)ある」とわかっていただけることを願っています。

上下浜の水難調査結果公表のその後

2015年04月24日 23時52分13秒 | 長岡技術科学大学の広報
連日、メディアから電話がかかってきて、取材対応に追われています。
それなりに情報の広がりを感じていますが、連休前には観光客の皆さんに周知したいので、まだまだメディアの皆さんに頑張っていただきたいと思います。

新潟県のホームページにも早速情報が掲載されました。
たいへん素早い行動に敬意を表したいと思います。
こういう努力の積み重ねが、次の犠牲者を確実に減らしていくことになります。