斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

ダイヤモンドシンポジウム

2015年11月19日 08時15分40秒 | 斎藤秀俊の着眼
ダイヤモンドシンポジウムに引き続き出席しています。
今回は、ナノダイヤモンドの特別セッションが組まれており、ナノダイヤモンドに関する最新の発表を聞くことができました。
ナノダイヤモンドは、粒径が数nmー十nm程度の大きさのダイヤモンドで、粒の表面に様々な官能基をつけることにより、母材のダイヤモンドは環境の影響を受けずに官能基の特性を発揮することができます。環境的に厳しい溶液中での触媒として使おうとしている例がありました。

さて、そのような素材開発の中で忘れてはならないのが、立方晶窒化ホウ素です。cBNといわれます。ダイヤモンドと同じ四面体配位をとるのですが、炭素のように元素ではなく化合物なので、化学的にダイヤモンドより安定な場合があります。もちろん、四面体配位なのでダイヤモンドに匹敵する硬さを有します。ダイヤモンドは硬いとはいっても鉄を削ることができないのですが、cBNは鉄と反応しずらいので、削ることができます。

天然には存在しないのですが、人工合成ダイヤモンドと同じように高圧合成法で粒が作られています。出発原料は比較的製造しやすい六方晶窒化ホウ素(hBN)です。30年ほど前にガス原料から作るcBN膜の合成がブームになりましたが、合成が難しく、最近では研究発表が聞かれなくなりました。

今回のダイヤモンドシンポジウムでは、そのcBNの合成研究復活の要望がいくつか聞かれました。やはり鉄を効率よく加工する要望が根強く、なんとかものにできないかというものです。30年前に比べると、関連技術が発達したため、もしかしたらブレークスルーがあるかもしれません。復活を少し考えた一日となりました。