斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

株式会社アッチェとの技術開発センタープロジェクト報告会

2019年08月25日 22時20分04秒 | 斎藤秀俊の着眼
2019年8月24日(土)長岡技術科学大学にて株式会社アッチェとの技術開発センタープロジェクトの報告会「第2回 共同研究プロジェクト進捗報告会 無機系材料の水素吸蔵構造に関する技術開発」を開催しました。

会場となった講義室は200人を超える参加者でいっぱいになりました。
講演では、水素吸着材料のベーシック(基本)編と水素吸着量の測定方法などに焦点をあてた水素アドバンス(応用)編の2本をお送りしました。

200人の会場の参加者の皆様、誰一人として眠ることなく、難しい話をしっかり聞いておられました。流石にびっくりでした。次回以降もわかりやすい講演を目指したいと思います。

本件では、中部キレスト株式会社にも共同研究に加わっていただき、研究推進に大きくかかわっていただいています。御礼を申し上げます。


プールにおける監視のコスト

2019年08月18日 09時08分20秒 | 水難・ういてまて
今年もプールにおける溺水事故が続きました。警察庁の発表によれば全国のプールで溺れてなくなる人の数は10名前後。多いといえば多いですが、少ないと言えば少ないです。そもそもプールは管理された遊泳施設ですから、当然事故が起こってはいけません。

その事故を未然に防いだり、万が一の事故のときに被害を最小限に抑えるのが監視員です。その監視員の時給はピンからキリまであって、時給最低賃金から数千円まであります。公営プールで一年中営業しているところは概して安く、季節営業でも夏休みの学生バイトだと安いです。

指定管理者の考え方によっては救助員有資格者には時給に上乗せして手当があったりします。背の立たないプールでの救助には相当な救助技術がもとめられるためです。溺水は呼吸停止後数分以内であれば人工呼吸だけでも蘇生する可能性が高く、水面に出して直ちに蘇生法を開始する技術が必要です。

当然、監視体制がしっかりしていて安全なプールではコストがかかります。従ってそれは入場料金に反映されます。ざっくり言えば入場料金の高いプールはそれだけ安全が担保されてなければならないということです。

スイミングスクールでは家族が子供から目が離れても安全が確保されます。コーチが子供に寄り添い、常に管理しているからです。更に全体を見渡す監視も行われています。

水も漏らさぬ監視網、昔の学生監視員は時給が安くても物凄い使命を架せられて、事故ゼロを目指し真っ黒になって頑張ったものです。今でも受け継がれていると信じています。

浮島に這い上がれるのはせいぜい10 cmです

2019年08月17日 09時22分52秒 | 水難・ういてまて
水難学会のういてまて教室では、浮島への這い上がりも実技で子供たちに教えます。


その実技を開発する前に、そうとうな実験をこなしています。
その中で、水面から何cmの高さの浮島まで上がれるかという実験をしています。
解答は、10 cm程度です。それ以上になると体格、体力、足の引っ掛けるところがあるか、こんなところで上がれる高さが決まってきます。

たとえば、下図のように足のかけ場がない浮島があったとします。水面から50cmくらいの高さがあると仮定します。人は手とバタ足を使ってなんとか途中まで上がっています。


ところがそれ以上は這い上がれないので、ある瞬間で下図のようにずるっと滑っていきます。その時に足が引っ掛ける場所を探していると脚は浮島の下で水面とほぼ平行に位置することになります。


脚が水面と平行になっていると下図のように沈むときに反動で横方向に向かって体が流れていきます。


反動をつけて潜水する方法を足からであれば、フィートファーストダイブと呼ばれ、水難学会の指導員養成講習会でも実技指導します。
これは、救命胴衣なしの場合です。



勝浦市守谷海水浴場で発生した40人の水難事故について

2019年08月12日 08時16分13秒 | 水難・ういてまて
40人が流されたとなると前代未聞レベルかもしれません。数人の手による救助ではとても間に合わない規模であり、よくほとんどの人を連れ戻して救助できたと思います。ライフセーバーはたいへんいい仕事をしたと思います。亡くなった方と助かった方の運命の分かれ道は何だったのか。海水浴場として適切なのか。いろいろな検証が今後必要かと思います。

勝浦湾の構造をみるとさながらミニ相模湾です。つまり相模湾で起こったことが勝浦湾で起こったということが十分考えられます。相模湾でたて続けて起こった水難事故と同じ時間帯にここでも水難事故がおこりました。
考えられるのは、小笠原諸島近海に停滞していた台風からの土用波です。昔からお盆の土用波に気をつけろと言い伝えられていて、やはりその通りだと思います。