湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

「涼」の詩パート4

2015-07-28 00:00:37 | オリジナル
共通テーマ「涼」でAが書いた詩を投稿します。

  泡のうた
 
さっきスーパーで見た白いソーダ
一リットル入り百六十八円
唾を呑み込んだだけで買わなかったけれど
不透明なシズル おいしそうだった
メッセージ・イン・ア・ペットボトル

目の前の海は
あの白濁した百六十八円のソーダに
ミネラルをたっぷり溶かし込んだ青緑
手紙の入ったペットボトルが流れてきそう
波打ち際に手と膝をつけ
新鮮な泡を舌で触ってみる
私の子が飲んだ私の乳の味
私の子は父と砂浜で凧揚げをしている
このまちは ぎりぎり平和
無数の泡が白く甘く硬く小さく砕ける
空中に見えない白い物質が放射される
防災無線のスピーカーが
「これは テストです」と繰り返す
隣町の救急車がサイレンを鳴らして国道を行く
凪の下で水がざわめく
凧の周囲で風が傾ぐ

共通テーマ「涼」「乾」の詩は8月5日(水)14:00~逗子市民交流センターで行う合評会で取り上げます。
コメント
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