今回は、575の会メンバーにしてムードメーカーの明るい麗子さんが欠席で、
9人での落ち葉句会となりました。おひとりでも抜けた穴が大きい。
毎回、的確なコメントをあげてくださる麗子さんに倣って、及ばずながら、
郁子が会での寸評や、話題をお伝えします
①舞ふ落葉マリア像なき教会に
作者の見た教会にはマリア像がありませんでした。お金の問題でなく新旧キリスト教の違いと思わ れますが、紛争地区で傷ついたマリア様を想像したと言うかたもいらっしゃいました。
②坑夫像主(ヌシ)忘られて落ち葉積む
主(ヌシ)が抗夫か、像の作者か読みが分れました。
③無宗派の弟の墓おちば飛ぶ
無宗派という言い方がどうなのか。「おちば飛ぶ」は面白いが「おちば」と
ひらがな表記は是か非か。
④子らの声落葉ふるふる落葉風呂
落葉溜まりに潜ってはしゃぐ子どもたち、ほほえましい光景です。落葉風呂で想像が飛ぶかどうか が分れるところ。
⑤ひらひらとあかるくさよなら紅落葉
落葉と聞く寂しくなりますが、あかるくさよならというのがいいですね。
⑥腑に落ちぬことばかりなり落ち葉掃く
いろいろあっても続く政権、防衛整備品の見本市?腑に落ちぬことは人それぞれ
⑦掃き寄せてまた掃き寄せて舞ふ落葉
リフレインの妙。掃いても掃いても。。。共感を呼びます。
⑧からからと落葉に追われ山くだる
舗装された道をゆく枯葉は、本当にからからと音をたてます。
⑨柿落葉コロナのごとき緑の目
佐保子さんの拾われた落葉をお持ちいただきました。
ドット模様の緑の目が!自然の造形美です。
⑩考妣(ちちはは)の国へゆく径落葉踏む
考妣の国と落葉踏むという取り合わせが素晴らしいです。作者自身は「ゆく径」
にもうひとひねりしたいとのこと。
⑪やまびこの きえゆく先の 落ち葉かな
遠景かと思えば近景かという違和感を持たれた方も。下句を「落葉山」としては?
⑫墨染の 僧の背ひらり 紅葉落つ
墨染めと僧、落ちるとひらり、重なる言葉がもったいない。
⑬朴落葉はらりひらりと空ひろげ
本日のトップ賞。葉が落ちることにより、空が広がるという
視点が新鮮です。沈みがちな気持ちも明るくなりますね。
⑭母の本落葉の栞はさまれて
お母さんの本をとりだして読むという親子関係が浮かんで胸を打つという感想あり。
⑮静けさに埋もれた過去を消す落ち葉
埋もれた過去とはなんだったのでしょう。埋もれているなら消さずともよいのではという意見も。 作者の気持ちは表現できているでしょうか。
⑯降る落葉腰かがめ掃くエンドレス
落葉掃きはきりがありません。腰痛注意。
⑰落ち葉掻く真っただ中にわれた絵馬
われた絵馬にはどんな願い事が書かれていたのでしょう。
◆気になる自由題から。
⑥紅葉かつ散るや生前遺作展
生前葬ならぬ生前遺作展というのもあるのですね。人生の集大成。
句またがりの破調に季語の「紅葉かつ散る」がきいています。
⑧黄蝶白蝶虜は何れ秋の舞
黄色い蝶と白い蝶、戯れながら秋の舞、どちらがどちらに惚れているの?という
ロマンチックな句でした。「何れ」はどちら?の意
⑩しぐるるや住む人いずこ青シート
青シートは、復旧工事が間に合わないための臨時の措置
大雨の被害に遭われた皆さん、一日も早くもとの暮らしに戻られることを
お祈りします。
⑯冬の暮やり残し事溜まりゆく
「やり残し事」は「やり残す事」に変えるか「やり残せし事」が文法的に
よいかもしれません。
※自由題トップ賞は
⑭木犀と風もつれつつ夜を織る
題詠、自由題ともに晴代さんが選ばれました。おめでとうございます。
素晴らしい!
来月の題詠は「冬ざれ」です。寒くなります。お風邪など召しませんよう。