575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

たかがテレビの帯と云うなかれ 竹中敬一

2017年10月27日 | Weblog
今はテレビのニュースやドキュメンタリー番組で字幕やそれを彩る帯は
どんな色でも簡単に短時間で作ることができますが、テレビ草創期の
フィルム時代、タイトルや字幕は" 線画さん" と呼ぶイラストレーターの手書き。
ニュースの場合は、時間が勝負ですから、長い字幕は禁物です。手書のため、
間に合わず、私たち報道部員が下手な字で字幕やタイトルを書いて、放送したこと
もありました。

ドキュメンタリー番組の場合は、更に複雑な過程が待っています。
まず、撮影したフィルム(ネガ)を現像して編集します。
その編集した映像に合わせて、再び、元のネガを編集して現像したものが
放送されます。
字幕スーパーは最後のネガ編集の時、ベースの映像にもう一枚、字幕を焼き込んだ
ネガフィルムを合わせて現像しなければなりません。
ひと手間かかる上、ネガを二枚合わせて現像するため、どうしても映像の鮮度が
落ちます。従って、私たちデレクターは字幕スーパーは最小限に抑えました。
方言など分かりにくい言葉は字幕で補うとよいことは、わかっていても断念せざるを
得ませんでした。
私も関わったカメラルポルタージュ(TBS系)では、放送局名だけで、スタッフなど
のスーパーは出しませんでした。

今はテレビを見る立場から、特に、二ユースやスポーツ中継での字幕を彩る帯や
CGによる特殊加工に興味を持って見ています。
相当、古くからイギリスのBBCニュースの字幕と帯は一貫して変わっていません。
ワインレッドの帯に白い字幕、シンプルですが、どこかあかぬけしています。
これに対して、NHKはじめ日本のテレビニュースは字幕や帯に統一性がなく、同じ
放送局でもニュースの時間帯によってスタイルが様々で、その時々の担当者の好みに
よって、帯の色合いなどを決めているとしか思えません。
自戒を込めて云えば、ニュースの中身ばかりに、集中するあまり、書物でいえば
装丁の部分が疎かになっているのではないでしょうか。

アメリカ、ジヨージア州オーガスタで毎年春に開かれるマスターズ・トーナメントの
テレビ中継 (TBS系)は、欠かさず見ていますが、いつの頃か忘れるくらい前から
画面に表示される字幕や帯の色合いが決まっています。
アメリカ3大ネットワークの一つ、CBSが制作。帯の深い緑色がオーガスタの
美しい自然とよくマッチしています。
帯の上手にゴルフ場のグリーンを形どった図柄が置かれいますが、その図柄の薄い
黄色と深い緑色の配色を私はイギリスのBBCニュースと同様、いつも感心して見
ています。

余談ですがCBSはTBSと創業時から二ユースで業務提携を結んでいました。
TBSの系列局にいた私は在職中の昭和57年(1982)、研修旅行でCBSの
ニューヨーク本社を訪れましたが、そこで見たものは、如何にTBSがCBSの
システムを参考にして創業したか、ということでした。
例えば、二ユースのネットワーク(JNN)を日本の民放局で最初に取り入れたのは
TBSですが、その原型はCBSにありました。
CBSの看板番組にCBSイブニング二ユースがありますが、アンカーマンによる
夕方のニュース・スタイルは日本の夕方のニュースの伝え方に大きく影響しています。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする