575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

コトバの戦場      遅足

2011年12月17日 | Weblog
コトバをめぐって静かな戦いが行われています。
戦場は、原発事故をめぐって行われる記者会見の場です。
仕掛けているのは東電の広報の皆さん。

たとえば、「事故」は「事象」と言います。
「老朽化」は「高経年化」。
建屋にたまった高濃度の「放射能汚染水」を「滞留水」。

事象とは、ことの成り行き。事故もことの成り行きではありますが。
意味するところは全然違います。

高経年化。これは辞書にもありません。
経年とは年数を経ること。
たしかに経年的事故という言い方はありますが・・・

滞留水。これはヒドイ。前半のたまった水という意味しか表していませんね。

東電さんばかりではなく「どじょうの総理」も、この戦場に参戦。
昨日「原発機所は収束」と発表しました。
これを聞いた事故現場で働いている一人は
「オレは日本語の意味が分からなくなったのか。
総理の言っていることが分からない」と。

太平洋戦争が負け戦になった頃にも同じような「事象」がありました。
皇軍の「退却」を「転進」として発表した大本営発表です。

都合が悪くなると、より広い概念を表す言葉にすりかえる。
よくある手法ですが、コトは生命に関わる原発事故。

普通の人たちなら、こんなコトはしませんよね。

でも専門家によると、これは記者会見を乗り切ろうとする時に
原子力ムラの常套手段だそうです。政治家も同じ穴のムジナ。

記者もコトバの職人。静かなコトバの戦争は今日も続いています。
記者の皆さん、負けてもらっては困りますよ。

コメント
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