hiroshi.ma様より以下のご質問を頂ました。
共同陶芸で電気窯30KWで備前土で鉢など作品を作っていますが酸化では何も変化がないし還元でも
わら、炭を使わずになにか変化をつけたいとおもいます。食塩水で加飾することを聞いたように思い
ますがよくわかりません。また食塩水でよければ簡単にクリスタリン・塩化マグネシュウムでも何か
できるのではないかと思いますが。簡単にできるような方法があえば教えてください。
明窓窯より
◎ 食塩水を使う事は、命に関わる非常に危険な行為ですので、決して行ってはいけません。
特に、電気窯の場合、屋内で窯を焚く事になりますので、窯で発生した塩素ガスを吸い込む事になり
ます。ご存知かと思いますが、塩素ガスは毒ガスで、兵器としても使用される有毒ガスです。
1) 食塩を使う釉の方法は昔から行われている技法ですが、危険の他、窯自体を痛める結果になり
ます。
① 危険な理由。食塩(水)の主成分は塩化ナトリウムです。高温の窯の中で分解し、猛毒な
塩素ガスを発生させます。屋外であれば、空気中で拡散し少しは薄まりますが、屋内ではまとも
に吸い込み事になります。例え換気扇が回っていたとしても、絶対行ってはなりません。
② 窯を痛める理由。
食塩が分解すると、塩素とナトリウムになります。このナトリウムが釉の成分となる訳ですが、
ナトリウムは気体と成って窯の中に充満します。その為、作品以外の窯の壁や棚板、電熱線にも
こびり付く事になります。これは容易に取り除く事は出来ません。結果的に窯の寿命を縮める
事になります。尚今回は食塩水ですので、食塩を振り掛けるよりは被害が少ないと思われますが
窯を痛める事は確実です。一般に塩釉を使う場合は窯を駄目にする覚悟で行う事が多いですので
真似をしない事が肝銘です。
2) 備前焼で変化を出したい場合の方法。
① 弁柄を水に溶いて上から流し掛け、又は漬け掛けする。
酸化鉄である弁柄は高温で黒色に変化します。備前土とは若干色合いが異なりますので、
斑(まだら)模様にしたり、弁柄の一部をスポンジ等で拭き取たり濃淡を付ける事で色の変化
を付ける事ができます。尚、弁柄以外に酸化クロムやコバルト(呉須)、黄土等を混入させると
より変化のある色になります。又釉を少量混ぜる事で、素地との間に密着度を上げる事が出来
ます。釉の色はほとんど問題ありません。但し釉の量が増えると、光沢が出易くなります。
混ぜる物を色々工夫して下さい。
② 灰を振り掛ける。
備前焼は薪窯で焚くのが正式な方法です。薪の場合燃料の灰が作品に降り掛かります。この灰の
状態も備前焼の見所と成っています。電気窯では無理ですので、人為的に灰を振り掛ける事で
備前焼風に焼き上げる事ができます。灰であれば、天然の物でも合成の物でもかまいません。
但し、灰は種類によって発色に違いが出ますので、色々試して下さい。
ⅰ) 灰を掛ける方法。
a) 作品に霧吹きで水(またはCMC液)を掛ける。
作品に灰を定着する為に行います。灰を着けたい場所近辺に霧を吹く。
流れ出すほど掛ける必要はありません。
b) 茶漉しを使うと自然な降灰になります。
スプーンに灰を取り、茶漉しを振る様に掛けます。但し、作品が濡れている状態で行う事が
大切です。一度で行う必要は無く、何度でも振り掛ける事が出来ます。当然灰の厚みが増し
厚く掛けた灰は、窯の中で熔けて流れ落ちる場合もあります。又は熔け切らずに灰状態で
残る場合もあります。熔け切らない場合でも、窯出し後に、灰の表面を紙ヤスリ等で擦ると
そこも景色になる事があります。
荒れた豪快な状態にするには、灰を投げ付ける方法もあります。
c) 灰は作品を持ち運ぶ際や、斜めにした場合、落ちる事もありますので、若干多目する必要
があります。更に、灰を掛けた箇所は指で触らない事です。灰が剥がれ指跡が付きます。
その為、灰を掛ける前に、作品の底に酸化アルミナ等を塗り直ぐに窯に入れられる状態に
して置く事です。
d) 電気窯ですので、基本的には酸化焼成です。酸化の場合、灰は黄色味を帯びた色に成り
ます。松灰は若干緑色になると言われていますが、はっきりとした違いは出ません。
以上 不明な点がありましたら再度お問い合わせ下さい。
共同陶芸で電気窯30KWで備前土で鉢など作品を作っていますが酸化では何も変化がないし還元でも
わら、炭を使わずになにか変化をつけたいとおもいます。食塩水で加飾することを聞いたように思い
ますがよくわかりません。また食塩水でよければ簡単にクリスタリン・塩化マグネシュウムでも何か
できるのではないかと思いますが。簡単にできるような方法があえば教えてください。
明窓窯より
◎ 食塩水を使う事は、命に関わる非常に危険な行為ですので、決して行ってはいけません。
特に、電気窯の場合、屋内で窯を焚く事になりますので、窯で発生した塩素ガスを吸い込む事になり
ます。ご存知かと思いますが、塩素ガスは毒ガスで、兵器としても使用される有毒ガスです。
1) 食塩を使う釉の方法は昔から行われている技法ですが、危険の他、窯自体を痛める結果になり
ます。
① 危険な理由。食塩(水)の主成分は塩化ナトリウムです。高温の窯の中で分解し、猛毒な
塩素ガスを発生させます。屋外であれば、空気中で拡散し少しは薄まりますが、屋内ではまとも
に吸い込み事になります。例え換気扇が回っていたとしても、絶対行ってはなりません。
② 窯を痛める理由。
食塩が分解すると、塩素とナトリウムになります。このナトリウムが釉の成分となる訳ですが、
ナトリウムは気体と成って窯の中に充満します。その為、作品以外の窯の壁や棚板、電熱線にも
こびり付く事になります。これは容易に取り除く事は出来ません。結果的に窯の寿命を縮める
事になります。尚今回は食塩水ですので、食塩を振り掛けるよりは被害が少ないと思われますが
窯を痛める事は確実です。一般に塩釉を使う場合は窯を駄目にする覚悟で行う事が多いですので
真似をしない事が肝銘です。
2) 備前焼で変化を出したい場合の方法。
① 弁柄を水に溶いて上から流し掛け、又は漬け掛けする。
酸化鉄である弁柄は高温で黒色に変化します。備前土とは若干色合いが異なりますので、
斑(まだら)模様にしたり、弁柄の一部をスポンジ等で拭き取たり濃淡を付ける事で色の変化
を付ける事ができます。尚、弁柄以外に酸化クロムやコバルト(呉須)、黄土等を混入させると
より変化のある色になります。又釉を少量混ぜる事で、素地との間に密着度を上げる事が出来
ます。釉の色はほとんど問題ありません。但し釉の量が増えると、光沢が出易くなります。
混ぜる物を色々工夫して下さい。
② 灰を振り掛ける。
備前焼は薪窯で焚くのが正式な方法です。薪の場合燃料の灰が作品に降り掛かります。この灰の
状態も備前焼の見所と成っています。電気窯では無理ですので、人為的に灰を振り掛ける事で
備前焼風に焼き上げる事ができます。灰であれば、天然の物でも合成の物でもかまいません。
但し、灰は種類によって発色に違いが出ますので、色々試して下さい。
ⅰ) 灰を掛ける方法。
a) 作品に霧吹きで水(またはCMC液)を掛ける。
作品に灰を定着する為に行います。灰を着けたい場所近辺に霧を吹く。
流れ出すほど掛ける必要はありません。
b) 茶漉しを使うと自然な降灰になります。
スプーンに灰を取り、茶漉しを振る様に掛けます。但し、作品が濡れている状態で行う事が
大切です。一度で行う必要は無く、何度でも振り掛ける事が出来ます。当然灰の厚みが増し
厚く掛けた灰は、窯の中で熔けて流れ落ちる場合もあります。又は熔け切らずに灰状態で
残る場合もあります。熔け切らない場合でも、窯出し後に、灰の表面を紙ヤスリ等で擦ると
そこも景色になる事があります。
荒れた豪快な状態にするには、灰を投げ付ける方法もあります。
c) 灰は作品を持ち運ぶ際や、斜めにした場合、落ちる事もありますので、若干多目する必要
があります。更に、灰を掛けた箇所は指で触らない事です。灰が剥がれ指跡が付きます。
その為、灰を掛ける前に、作品の底に酸化アルミナ等を塗り直ぐに窯に入れられる状態に
して置く事です。
d) 電気窯ですので、基本的には酸化焼成です。酸化の場合、灰は黄色味を帯びた色に成り
ます。松灰は若干緑色になると言われていますが、はっきりとした違いは出ません。
以上 不明な点がありましたら再度お問い合わせ下さい。