三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

柿田睦夫『霊・因縁・たたり』とM・ラマー・キーン『サイキック・マフィア』(1)

2017年12月14日 | 問題のある考え

柿田睦夫『霊・因縁・たたり』とM・ラマー・キーン『サイキック・マフィア』を再読。

霊能者や霊媒が、死者がどうのこうのというインチキでだますという点では同じですが、日米の違いがあります。
日本の場合は霊障、霊のたたりで脅し、不安にさせます。
ところが、アメリカでは霊媒が死者との交信をしても、死者の霊が迷っているなどの脅しはないようです。

『霊・因縁・たたり』には、本覚寺の霊視商法、阿含宗の霊視鑑定、統一協会の霊感商法、コスモメイトの除霊・救霊、細木数子の墓相を取り上げています。

それらの共通点
 1 はじめに恐怖あり
相談者が悩みを相談すると、原因を霊視鑑定によってつきとめるのだが、必ず「水子のたたり」や「先祖の不成仏霊」といったことになる。
霊障(たたり)がいかに恐ろしいかを強調し、いま何とかしないといっそう悪くなると脅す。

本覚寺で説く不幸の原因

・犠牲霊 あなたの家系の御先祖を何代も辿っていくと、悪い因縁による犠牲霊が数え切れない程あるはずなのです。
・不成仏霊 この世に何の未練も残さず、大往生できる人が何人いるでしょうか。事故死・自殺・他殺・病死・災害による死など、ほとんどの人がこの世に執着を持ちながら死んでいるのです。
・水子霊 様々な事情で水子にしてしまった人はもちろん、全く身に覚えのない人でも、身内・親戚などに水子がいた場合、心優しいあなたに取り憑く事があるのです。
・変死霊 御家族や親戚・縁者に、不可解な亡くなり方をした人はいませんか?・・・のまま放っておくと、あなたやあなたの御家族にも必ず災いが起こるし、将来あなたの子供、孫、曽孫と永遠にその霊障は受け継がれ、災いを起こし続けるのです。

2 救いの方法を教える
「先祖が霊界で苦しんでいる。この因縁を切らないと、あなたや子供が不幸になる」などと脅し、供養、除霊、仏像の購入などといった救い(アメ)をさしのべる。

不安の原因がなぜ霊障なのか、その説明はない。

桐山靖雄「あるからある、というよりほかにない」
本覚寺「体験によってのみ知ることができる」
霊能者といっても、実際にそんな能力があるわけではなく、説教のマニュアル(手引き書)に書かれてあるとおりに演技をし、暗記したセリフをしゃべるだけのこと。

「本覚寺=明覚寺の「霊視鑑定」マニュアル」から一部引用 

Ⅰ 受け込み
「この部屋には、あなたと私と仏様だけだから、安心してなんでもお話しなさい」
質問事項
・今日はどういうご相談で来ましたか?
・そのような状態になる原因に心当たりは?
・家系、親類に、自殺、事故死、行方不明は?
・家系、親類に病死、若死にした人は?
・時々いやな気配を感じないか?
・家の中で寒々しい感じ、重苦しい感じがしないか?
・家は持ち家?敷地内に何か祀っていないか、それはキチンと供養されているか?
・先祖供養はどのようにしているか?
・水子供養は?
Ⅱ 確認
何をどうしたいのか明確にさせる。
「今の・・・の状態を・・・したいのネ!」
Ⅲ 霊示を聞く
Ⅳ 抑え
※ゆっくり、かんで含めるように、権威を持って、断言していく。
(1)ご託宣(霊示を受ける)
「うーん、良いもの素晴らしいものを一杯持っているね」
「例えば・・・(良いところを話す)」
「しかし、守りが弱く、邪魔が強いね」
「このままじゃどうしようもないネェ。まだ良いほうだよ、今の状態は・・・」
Ⅴ 切り返し、決定
(1)結論的今後の運命の断言
「このままにして置くと・・・こうなるよ」
「修行と祭祀、やるしかないね」
「まぁ、決めるのはあんただが、重い因縁背負って、霊障がすぐに出だしている状況で、このまま悪くなる一方の悲惨な人生を歩むなんて馬鹿げているもんな!」
「昔からお祀りとか仏事とかは女の役目、一々ご主人に相談してやっていないよね。ご主人や子供、家族の幸福のためにあなたが頑張らなくっちゃ」
「わかっていてやらない、知らん顔するのが何と言ってもご先祖さまや水子にたいして一番罪作りだからね」
「今、あなたは試されているんだよ。ご先祖様に、神仏に」

「統一協会の「霊感商法」マニュアル」から

お客様のウイーク・ポイントをつかむために
・自殺者はいないか
・精神病者はいないか
・どういう病死か(ガン、心臓病、脳障害等)
・事故因縁(水死、転落死、交通事故等)はないか
・水子がないか
・家庭不和はないか
・女系の家系ではないか
・直系の中に養子縁組がないか
・短命の家系ではないか
・親子関係は良いか(嫁と姑も)
・武士(殺傷)の因縁はないか
・離婚、再婚はないか
・高齢独身者はいないか

もちろん、祈禱や供養によって問題が解決するわけはない。
コスモメイト「私たちには、種々の霊が複雑に絡み合っているので、なかなか一回や二回の除霊(救霊)では救い切れません」
こんな無責任なことを言って、何度も祈禱や供養をするよう仕向ける。

相談料は3千~1万円程度だが、祈禱・供養は別料金で、しかもだんだん高くなる。
供養の金を出せない人には、新たな相談者を連れてくるように指示し、その人数に応じて供養金に換算するというシステムもある。
関連企業を持ってて、仏壇、仏具類の販売、出版、旅行社、医療法人などによっても稼ぐ。

供養金を出さないと、「信仰を捨てたら地獄におちる」「罰(ばち)があたる」と脅して恐怖を植えつけるので、だまされていたと気づきながらもやめられないし、やめても不安にさいなまれ、霊のたたりの世界から逃げ切れない。


『霊・因縁・たたり』に載っている霊・因縁・霊障を教えの基本におく教団です。

真如苑、霊波之光教会、白光真宏会、法の華三法行、大山ねずの命神示教会、日本聖道教団、弁天宗、念法真教、解脱会、生長の家、創価学会、PL教団、霊友会、立正佼成会、妙智会、仏所護念会

霊のたたりなどを説くのは既成仏教も同じことで、以前にも書きましたが、京都仏教会HPには「全ての宗教がその教義において先祖の因縁やたたり等を説いているわけではないと思われるが、宗教の中には、その教義・理念として輪廻や罰などを説いている場合もある」とあり、霊のたたりを否定してはいません。

http://blog.goo.ne.jp/a1214/e/e59a76eaf968a4d8e87bf16ba8bea1de

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする