三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

福島と沖縄 2

2012年08月12日 | 戦争

沖縄の犠牲について、高橋哲哉氏は「憲法から問う原発という犠牲のシステム」という講演で次のように語っている。
「戦後日本の安全保障の国策と言えば、日米同盟、日米安保体制ということになります。これは、わたしにはやはり犠牲のシステムだったというべきだと思います。沖縄にその犠牲が集中させられてきたということです」

戦後すぐに沖縄は切り捨てられた。
「昭和天皇が1947年にマッカーサーに出した「沖縄メッセージ」というのがあります。米軍が沖縄の軍事占領を25年ないし50年ないし、それ以上にわたって継続してくれることが、アメリカの利益になり、また日本を守ることにもつながると、こういう提案を昭和天皇がマッカーサーに申し出ています」
現在も事態は変わらない。

ダグラス・ラミス『要石:沖縄と憲法9条』の「要石」(Keystone)とは、アーチの最頂部に差し入れて、全体を固定する楔形の石のこと。
要石があることで、石の柱が崩れ落ちようとする力をアーチを支える力に変える。


中国大陸を海から抑えるように台湾~琉球諸島~九州の弧が連なっている。
その中心(要石)が沖縄島である。


アメリカが日本にある基地を撤退するわけはない。
佐伯啓思「アメリカの軍事力は、むろん、アメリカを守るためのものですが、さらに言えば、アメリカと同様の考え方をする同盟国を守るためのものでもあり、もっと言えば、世界秩序を守るためのものであります」(『自由と民主主義をもうやめる』)
沖縄の基地は中国の覇権主義を抑えるために必要であり、ひいては世界秩序を守ることになる、という理屈である。

沖縄に基地があるのは安保条約で決めたからであって、沖縄の基地と安保はセット。
だけど、今は沖縄の基地問題を訴える人も安保には触れない。
ダグラス・ラミス氏は、東京の中年女性から「九条を世界遺産にする話があるが、その可能性はあると思うか」と聞かれて、「いや、日米安保条約がある限り無理じゃないですか」と答えた。
すると女性たちは「えっ、日米安保条約をなくすのですか。日本を無防備にするのですか。だってほかの国には軍事力があるんだから怖いんじゃないですか」と言った、という話を紹介している。

沖縄は日本全体の0.6%の面積であるにもかかわらず、日本にある米軍基地の75%が集中している。
米軍基地の存在を認めるのだったら、沖縄県外に基地を移転することに賛成してもよさそうなものである。
だけど、自分の家の近所に基地ができるのはいやだ。
安全、快適、便利な暮らしをしたい、だけども危ないものはよそに。
原発やゴミの処理場なども同じで、過疎地に押しつけている。

これをNIMBY(ニンビー)と言うことを『要石』で知った。
Not In My Back Yard(自分の裏庭にはあって欲しくない)の略で、施設の必要性は認識するが、自らの居住地域には建設してほしくないとする住民たちや、その態度を指す言葉である。
ダグラス・ラミス「米軍基地が日本にあるということはアメリカの押しつけがかなり入っているんですけれども、沖縄にあるということはアメリカの押しつけでも何でもないんですね。それは日本の押しつけですね」

高橋哲哉「憲法上、国民の負担は平等にするのが本来の形だと思います。それでは、全都道府県で基地の犠牲を平等に負担するとなると、これはそうはいかない。どこかに持っていこうとすると、必ず反対が起こります。なぜ沖縄にみんな押し付けているのか。いずれにしても、沖縄の犠牲があって、日米安保体制というのがこんにちまで来ているわけですね」

コメント (4)
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