アフリカの多くの国では政治は腐敗し、人々は貧困に苦しみ、内戦は絶えない。
ジョン・ル・カレ『ナイロビの蜂』を読むと、先進国や大企業による搾取が大きな原因である。
フランソワ=グザヴィエ・ヴェルシャヴ『フランサフリック』に、フランスが旧植民地国を食い物にしていることが詳しく書かれてある。
この植民地「独立」以来のフランスとアフリカとの歪んだ関係、フランス新植民地主義が現在もなお犯し続けている数々の犯罪は、偶然の所産ではない。それは、フランスの国家としての意思の結果である。
独立戦争を起こしたベトナムやアルジェリアでは拷問、虐待といった残虐行為が日常的になされた。
言うことを聞かないトーゴ大統領は暗殺され(1963年)、カメルーンでは30万人が虐殺された(1958~1964年)。
自己の権力の維持と、個人的な財産の蓄積にしか関心のない「フランスの友人」を名目的統治者とする事実上の傀儡政権を次々と樹立し、フランスの勢力圏へと再統合する。
独裁者がいるからフランスは勝手なことができ、開発援助と資源によって政財界はうるおうという仕組みである。
中南米の独裁国とアメリカの関係と同じだし、他の国も似たり寄ったりなんだろう。
フランスは英語圏のアフリカ諸国にも手を伸ばしている。
アングロ・サクソンに対抗してフランス語圏の縄張りを広げることを目的に、内戦が意図的に引き起こされ、事態が悪化・長期化するよう扇動が行われた。
1967~1970年のビアフラの内戦では、フランスがビアフラを軍事援助したため、飢餓や虐殺で2~300万人の死者が出ている。
ビアフラの飢えた子供たちの写真を新聞で見てショックを受けたが、フランスの暗躍があったとは。
リベリアやシエラレオネの内戦も、フランスが後ろで糸を引いている。
フランスはウガンダの反政府ゲリラ「神の抵抗軍」に支援しているし、スーダンでは「ウガンダと協力関係にある南部の抵抗勢力をもっと効率的に抹殺できるように支援するため」、スーダン政府のダフルールへの攻撃にも関わっている。
フランスのアングロ・サクソンに対する敵意には利権がからんでいる。
豊富な地下資源に関わる利権を獲得するために文字通り手段を選ばない。
もちろん、利権をあさっているのはフランスだけではない。
国と政治家と企業の思惑が一致し、アフリカを搾取し、援助金をだまし取るシステムができている。
アフリカ諸国に莫大な経済支援がされているのに、どうしてアフリカはいつまでも貧しいのか。
政府開発援助のうち、貧困に対する戦いに使われるのは5パーセント以下。
権力の中枢にいる人は政府開発援助から利益を得ている。
たとえば、ザイールのルワンダ難民への援助は、総額25億ドルにのぼると見積もられているが、その相当部分が、まずザイール軍によって横領された。
そして、ザイールの大統領だったモブツは世界一の金持ちになった。
さらに、フツ族の民兵がした戦争努力の一部は、人道援助の資材の売却によってまかなわれた。
独裁者やその取り巻きを太らせるだけなのに、なぜ援助するのか。
独裁者が自分のポケットに納めるだけでなく、援助国の政財界に金をばらまく。
さらには、先進国は資源を独占し、政府開発援助の横領し、そうすることで政治家の選挙資金を調達している。
戦争や貧困、飢餓など問題が生じるのは、そのことで利益を得る者がいるからである。
エイズが蔓延するのも、栄養失調で子供が死ぬのも、政治、経済の問題なのである。
何百万という子供たちが栄養失調に苦しみ、病人が薬を買えず、病院や教育システムが滅茶苦茶な状態に置かれている。
アフリカでは、援助が有効に使われないほうが援助する側にも援助される側にも都合がいい。
日本のアジア諸国への援助について、吉岡逸夫『漂泊のルワンダ』はこう書いている。
ところが、西欧諸国の援助政策は、日本と違って有償よりも無償援助に重点が置かれている。
日本のODAが有効に使われているのか心配になる。