三日坊主日記

本を読んだり、映画を見たり、宗教を考えたり、死刑や厳罰化を危惧したり。

田口ランディ、河合隼雄・中沢新一とニューエイジ

2004年11月01日 | 問題のある考え

熊切和嘉『アンテナ』に出てくる主人公の母親があまりにも普通のオバサンで、そこがすごくよく、どういう俳優かいなと思ってたら、なんと麻丘めぐみだった。
ほら「わたしの、わたしの彼は~左きき~♪」の。
いやはや、驚きました。

で、『アンテナ』の原作者は田口ランディ。
原作は読んでいないが、「プレミア」の映画評に、

田口ランディの小説は神秘体験が過度に強調され、特権化されうる危うさをはらんでもいる。

とある。
「特権化」とは田口ランディの本質をズバリ言い当ててる。
家族の問題を小説にしていても、姫野カオルコは好きだが、田口ランディは何となくいやな感じがする。
それは「特権化」ということかもしれない。
映画評での「特権化」という言葉は、神秘体験を経験する者が特権者意識を持つという意味ではないかと思う。

田口ランディはニューエイジ信奉者である。
ニューエイジは、人間の認識できないことがあると言う(これはもっとも)。
では、その認識できないことをどのようにして認識するか。
神秘体験によってである。
神秘体験で経験したことを意味づけし、理論づける。
たとえば臨死体験を死後の世界をかいまみたとし、死後の世界を描き出す。(
認識できないことを認識できると言っているのは矛盾なのだが)

神秘体験をする者は自己の意識を変革していく。
自己意識を変革した少数者が高次の意識を持つことで、人類全体のステージが上がる。
そんなことをニューエイジは説く。
そういう「特権化」というエリート臭さが田口ランディにはする。

ついでと言ってはなんですけど、河合隼雄・中沢新一の悪口も。
河合隼雄と中沢新一の対談『仏教が好き!』は「神秘主義が好き!」という題名にしたらしっくりとくる。

たいがいの宗教は順調に発達すると、最後に神秘主義という段階に辿りつきます。

と話してるんですからね。

なるほどと思うことも言ってる。
たとえば、「幸福」というのはよくわからない概念で、「楽」とか「安心」のほうがずっと正確だ、「ハッピー」ではなく「リラックス」というのなど。

しかし、

日本仏教の本質を、僕は縄文時代の仏教(つまりアニミズム)と呼んでいるのですよ。

とか

心というわけのわからないものがこの世をつくっている。それがどういうものかは瞑想によって体得するしかないのです。

と言ってるわけで、やっぱり仏教のニューエイジ的解釈だと思わざるを得ない。

それと、ニューエイジの人はすぐに量子論をもってくる。
考え方に似た点があるからというので、簡単にイコールで結びつける。
科学的迷信というか、科学で宗教を権威づけるのはニューエイジの特徴である。

コメント
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