レーガンとサッチャー -新自由主義のリーダーシップ-

2014-06-01 15:09:22 | 日記

ニコラス・ワプショップト著  新潮選書

タイトルから二人の在任期間の政治的行動、その失敗と成功の話だと思うだろうけれど、その通りである。但し、二人の交わした私信がポイントになっているところが、類書とは多いに違っている。こうした本では、むしろ側近達の証言や反対勢力の批判がメインになるのだが、本書はそこを最低限の著述に済ましている。つまり、焦点は二人がどうやってアメリカとイギリスをリードして来たか、そのぶれない姿勢はどこに起因していたかを追求している。
わずか40年ほど前のことなので、記憶している方も多いはずで、そうかそうだったのかと納得てきる人もいると思う。それにしても、ふたりの首脳がこれほど沢山の私信を交わしていたとは驚いた。本書ではそれを「政治上の結婚」と表現しているが、結婚ですよ、親友ではなく。アメリカの大統領と御友達になったという日本の首相はいたけれど。当然、夫婦喧嘩もあった。それでも、二人の関係は壊れなかった。大方の夫婦と同じように。
とてもスピーディーに記述されているので、厭きない。随所に挿入されている私信がキーポイントになっている。今の日本の首相達に、これほど濃密な関係を他の首脳と持っているとは考えられない。秘密保護法とやらが成立したので、そうした私信があったとしても、我々が目にすることはなさそうだ。

 


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