神道と日本人 -魂とこころの源を探してー

2011-10-05 15:14:44 | 日記
山村明義著  新潮社刊

本書は内容的に悪くはない。というより、200人を超える現役の神官(宮司、禰宜等)の声を収録した労力は評価していい。まず、一般の我々が神道に対する神官の本音を聞くことなどないからだ。
但し、次の点を指摘しておきたい。
なによりも、著者の主張したい点の記述部分が執こい。もう少し立ち入って言えば、本来読者が持つべき「読後感」というか「そうか、そうだよな」という部分を侵蝕しすぎている。本来、読者は各事例や神官の言説を読んだ時にふと立ち止まって「何故?」「どういうことだろう?」と考えて、先に進むものだ。ところが、著者は読者が考える前に「こうなんだ!」と決め付けてくる。これが非常に煩い。私自身、途中で読むのを止めようとさえ思った。
著者は本書の言わんとするところを読者に分かって欲しかったはずだ。中味の問題ではない。記述の問題。読者の領分を犯しすぎている。改めて、構成と記述法を考えて出版して欲しい。編集者も同じ反省をしてほしい。
ただ、こうした理由からサブタイトルの「魂のこころの源を探して」部分を読者が自分の識見として納得できる筈の領分は希薄になってしまっている。残念だ。


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