ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト -最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅ー

2011-03-18 15:17:03 | 日記
ニール・シュービン著  早川書房
本書は、水生動物から陸生動物への移行を証拠立てるミッシングリング「ティクターリク」の化石の発見者の一人である、著者の成功物語である(といっても全体の四分の一くらい)。
全体の四分の三を占めるのは、陸生動物(人間を含めて)の骨格の中にある魚類の痕跡を証明することに費やされている。原題を直訳すれば「(人間の)内なる魚」となるが、その由来はここにある。
こうしたアプローチが可能だったのは、著者がフィールド古生物学者(魚の化石が専門)であると同時に、人体解剖学の教授であったから。著者によれば彼の研究室は、フィールドを中心とする古生物学者と、DNAを中心とする遺伝学者のチームに二分されているそうだ。こういう研究室もめずらしい。
さて、そのミッシングリングである「ティクターリク」であるが、大型の鰭をもつ魚で、約3億7500万年前に水生から陸生に移行した魚類で、なんと「腕立て伏せができる魚」だったのだ。発見の経緯についてはここでは説明しない。なかなかスリリングだとだけに留めたい。
われわれ人間の骨格の隅々に魚類の痕跡が残っていると言うのは、不思議でもあるし、やはり進化論は正しいのだ実感もできる。楽しく読める本です。

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