古事記とはなにか -天皇の世界の物語-

2013-10-01 15:32:00 | 日記

神野志隆光著   講談社学術文庫

もしかしたならば、『古事記』の読み方が変わるかも知れない。そういう意味では面白い本。
例えば、高天原と葦原中国と根之堅州国・黄泉国はこれまで天・地・地下(上中下)という、言わば三層の世界だとして読まれていた。しかし、著者の解説にしたがって読むと黄泉国は地上にある、つまり黄泉国と堅州国は平面的にあることになる。確かに、論理的に読むとそうなる(というか、納得できる)。しかし、そうなるとこれまでの三層の世界は上下二層の世界ということになり、物語の世界は一変してしまう。それだけではない。高天原は『古事記』にあって『日本書紀』にはない。
要するに、『古事記』は天皇の世界の神話的根源の物語なのである(従って、葦原中国に住んでいる人間については当然いるものとして何も言及されていない。他の国の神話にあるような人間の誕生については触れられていない)。
勿論、これほどわかり易い部分もあるけれど、素人にはとても付いて行けない難解な部分もあるので、私も完全に理解したとは言えないのだけれど…。唯、これまでの常識は『古事記』と『日本史書紀』を突き混ぜた話になっているという指摘は、認識しておいたほうが良い。
興味のある人は、ぜひ読んでみるといい。


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